忘却者、刻限の定めを超えて行け
短編、どう書けばいいのかが分かりません...。
昔々、この大和帝国には様々な国が存在した...。しかしながら、その国の多くは世界の創始者によって呼ばれ、また捕らわれた使徒により、ことごとく破壊され、その記憶も人間や魔に属するもの、神などの上位存在に忘れてしまった...。
しかしながら、そこは血で血を洗う永遠の戦いを望む戦神たちの戦場であり、調停者たちや観測者たちが観測する望みが叶わないバカバカしい魔境でもある。そんな世界が5つほど壊れながらも存続し、様々な種族が力を合わせるか、国を作り、何とか生きている...。
...そんな魔境でも今も様々な種族が生きている中、色んな理不尽を垣間見えながらも日常が紡がれる...。正直、生きていてもバカを見るだけだが、殺されたくないし、死にたくないのが人間というものだと俺は思う...。
...そんな思いを頭の中で繰り返しながら俺は考える...。俺は...。
「お~~~いっ!!マコト~~~!!」
僕は後ろを見ながら、彼女の走る姿を見た...。その彼女は特徴的な巫女服とサラサラとした黒髪をなびかせながら、頭の上にある猫耳らしき耳をパタパタさせ、後ろにある尻尾を立てながら穏やかな笑顔で近づいてきた...。
僕はそんな笑顔を見て、顔をパッと上げて、こちらも笑顔で手を広げながら出迎えた...。
「...姉さん...。僕を心配してくれて来てくれたのかい?...いつも迷惑をかけてしまってごめんなさい...。」
そんな感じで、脅迫してきたが、その声音と表情からしてこちらを心配しているのが理解できるくらいこちらは分かってはいる...。
「...朝見たときにあんたの不安そうな顔を見たら、来るにきまってるじゃない!!これでも私はあんたの姉であり、隠れ大妖怪の一人なのよ!?人間のあんたはまだ保護が必要な年齢でしょ?!」
....。そこまで言われるとこちらとしても何も言うことが出来ない...。そんな不甲斐ない自身を彼女はこうやって心配し、たしなめてくれる。
本当にいつもこんな自分を大切にしてくれて、違う種族なのに家族のように扱ってくれる...。
...本当に今世は恵まれているな..、と思う。そんな状況だから、僕は彼女たちの期待に応えたいと思っているが、正直、上手くやれているかどうか分からない...。
「...でも、」
僕はそう疑問を呈したが、彼女は僕の様子を見て、間髪いれず、反論した...。
「...一応、心配なのはこっちだって分かってるわよ...。でもね...。私はね...。種族が違ってもアンタの姉であることには変わりはないのよ...?」
彼女は心配そうな声色で僕の顔を覗き込む...。そこには不安そうな表情で口を閉じながら、僕の横に座る姉の姿があった。しかしながら、姉のそんな様子に対して、僕は、この先の不安要素を口に出す...。
「...それでも下の子たちを守るためには、...僕が...。」
そこまで僕が言ったところで、隣に座っていた姉が僕の口に人差し指を押して、閉じさせてきた...。
「それ以上、ネガティブなことを言うんじゃないわよ?これは姉としての命令よ?分かったかしら...?」
彼女は頭上についている猫耳をビンッ!、と立てながら、特徴的な金色の瞳を細めつつ、黒い瞳孔がシュッと細く、その表情、様子からして怒っていることが分かる...。
...しかし、僕は彼女の怒った様子を見ても、このネガティブな思考を辞めることはできない....。
何度も彼女に対して、ここでの気持ちを伝え、思考も共有したが、性格面では本当に申し訳ないほど、暗いという自覚がこちらにはある...。
「姉さんの気持ちは分かってはいるんだけど...、臆病者の自分が出来るのは、これぐらいしか...。」
「あんたね...。」
彼女はハアッ...と、ため息をつくと、自身のこめかみを抑えながら、彼に対して何か言おうとするが、途中で諦めたかのように口を閉じ、一旦、一息ついてから、口を開けた。
「...分かったわ。これ以上は無駄だし、アンタの好きにしなさい...。ただし...、」
そう、彼女は言葉を一旦切ると、こちらに向き直り、頬を少し大きく膨らましながら、その特徴的な猫耳と尻尾をピーンッと立てながら、口を開き、続きの言葉を紡ぐ。
「..何か問題が起きる兆候が予知出来たら、すぐさま連絡入れなさい。私との感情リンクもあるからわかるけど、連絡入れないと何もこちらは情報が分からないの...。」
「...うん。ありがとう、姉さん...。」
僕はそう答えることしかできなかったが、何とかその言葉で前を向き、今日も出来るタスクをこなせるように仕事場に向かった...。
このときはまだ蝉の声が激しく、まだまだ暑い夏のとある日の出来事で森林の独特の香り、日差しが激しく照り付けるような光景が目に入る...。
そう、これはまだ僕が、あの厄災にあうまで2週間近くの出来事の会話だった...。
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「...ハッ!!」
またあの懐かしい光景の夢をみた...。これでこの夢をみたのは何度目だろう...?
いいかげん、こんな過去に縛られたくないのに....。
...ふと、そんなことを思いながら、頭の横に置いてある20世紀型の目覚まし時計を見てみる..。時刻は深夜4時でいつもより40分早い起床時間だった...。最近はこんな時間に起きて、このような過去の記録を夢として見る....。
そんな日常を無常な習慣として組み込みながらも、俺はめんどくさそうに立ち上がり、いつもの習慣を始めるために淡々と準備をする...。
まずは人前に出れる格好にするために着ていたダサTシャツを脱ぎ捨て、その上から上下ジャージに着替える...。そこから、外に出て、ボロ古いアパートのドアを閉めた...。そこからはいつも通りの習慣だ...。
この古いアパートは真ん中の中庭を囲ってあるように設置されているので、そこの中庭に向かう。そこにはよくドラマとかで貴族などが使いそうなテラス用の丸く白い机と4つの椅子がひとまとまりで置かれており、その隣にはポツンと井戸とその上から吊り上げられた桶があった...。
俺は今日も習慣になる水汲み作業を開始するために、井戸のほうに向かい、桶がつるされてあるロープを手に取る...。そこから桶を井戸の下に落として....、水を汲み取る...。
しかし、そんなとき、ふとおかしな違和感を感じる...。そこに視線を巡らせると、その違和感に気づいた...。
その違和感の正体はこの水汲み用の井戸の隣にある不自然におかれた土管である...。正直、こんな場所に土管を置く理由が分かんないのに、こんな奇抜なことをやる人物に心当たりがあったのも含め、土管のほうに歩いていく...。
そして、土管のほうにつくと、上向きに土管の穴があるのと、そこからスヤスヤと穏やかな寝息が聞こえる...。
..なるほど...。そういうことか..。そう俺は思い、俺自身が使うデバイス魔術ー"模倣魔術 コピー・ドライブ"を使い、近くに置いてある鉄製バケツを複製したあと、上向き土管の黒い穴のところに遠慮なく、落とした...。すると...。
カンッ!!ゴツンッ...!!!
「....いたーーーーいっっ!!!」
.....どうやら、犯人と思わしき人物がやっと起床したらしい...。俺はその声の主に呆れつつも、もう何度目かのセリフを声の主に極めて優しく、理不尽な口調にせず、敬語で話しかけた...。
「...ここで何をしているんでしょうか..。」
俺は土管にいる人物のほうを覗くと、頭上に黒く曲がった角と猫耳らしき獣耳が生えた赤髪の女性が涙目になりながら、こちらを覗き込んでいた...。
「...だって...。」
「..."だって"ではありませんよ?使ってないとはいえ、井戸の付近は侵入者阻害用の結界がそこらかしこに入り組んでいるのですが...。さらに言えば、そこめちゃくちゃ重要な結界なのですが...。」
そう俺が問いただすと、彼女は少し目をジト目にして、土管の穴があるうえのほうへと顔を出して、土管口周りの壁に両手を置きながら、俺の先ほどの行動に対して嫌そうに抗議するような言い返しで言った。
「まず、土管に私がいるかを想定せずに桶を落としたことに対して謝罪はないのかしら?私、これでも異世の管理者よ...?まあ、この世界とは違う別の世界線の話だけども...。」
「あなたの管理していた世界は既に崩壊し、他の神から廃棄されているでしょ...。しかし、別世界の管理者だった全能で偉い獣神である"リリア・ロスハート"様がここに何の御用でしょうか?」
そう俺に呼ばれた彼女は別世界の管理者とは思えないほどの幼さを残した童顔で、目をジト目にして頬をピンク色に少し膨らましながら、俺に問いただすように両腕をわたわたと動かしながら、批判するような物言いで言い返した。
「も~~う...。そんなにかしこまらなくていいって前に言ったじゃん!私、そういうの苦手なんだってば...。」
彼女は俺に対してそう抗議した...。正直、井戸の中にいることを言わない辺り、なんともずうずうしい上位者の性質の悪さを感じる...。
...ハアッ、と大きなため息を俺はつくと、このまま、言い争っても、この問題に対して、何の進展もないので、彼女がいた土管から離れる...。
そして、いつもの作業に戻り、井戸のほうに向かい、水汲みを再開した...。
その後は鍋にバラバラに切った食材をぶち込み、煮込み料理で朝食の仕込みは完了した。午前11時頃の話だ...。
このときは奇しくも彼女に注意された時と同じ夏の日だった...。しかし、この地域は霧に包まれているため、夏の激しい日差しは見えないのが幸いだ...。目に染みるのは勘弁だからな...。
そんなくだらな心情を胸にしまい、俺は近くに住む同居人を起こしに行く...。
...これが俺の現在行っているいつも通りの習慣で、どうにもならない現状に対する現実逃避でもあるのは何とも情けない話だ...。
...だがしかし、このとき、俺たちは知るよしもなかった。別世界と過去の因縁からの脅威はもうすぐそこまでせまっていることを...。
...そう、これは俺たちがまだ、大きな脅威に迫られていない日常の光景の一部。つまり蛇足になる一コマの光景だ...。
忘却された世界線
異世界の管理者
恩恵と調停者
七つの罪を持つ処刑人
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