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第90話 300年前の真実は聞けば聞くほどろくでもなかった

お久しぶりの更新です~!


更新頻度上げる予定だったのですが、ちょっと色々締め切りに追われていて全然更新できていません、すみません。


締め切りがもうすぐ決着付く予定ですので、そちら終わり次第どわーっと更新しようと思います。


2023年6月15日に、最強ギフトで領地経営スローライフ小説2巻が発売となります!


そしてなんと、コミカライズ単行本1巻も同時発売です!


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(WEB更新出来ていなかった分)小説2巻は、書き下ろしが本当に沢山です! 


(しっかり数えていませんが)6万文字程度だったWEB版の内容に、王都武闘大会までの森林合宿修行パート等など沢山書き足して、王都武闘大会決勝回りなどゴリゴリ書き直して、他色々イベントを書き足して約11万文字の内容にしました!


WEB版ではあまり出番のなかった「あのキャラ」もなんと村の仲間になり、挿絵にもバッチリ登場しております……!


とにかくはちゃめちゃ改稿しましたので、書籍版の2巻を是非読んでみてください!


 街を襲撃したモンスターを撃退した翌日。


 僕達は、ナスターシャの背中に乗ってミムラスの街に向かっていた。もうしばらくすれば着くだろう。


「相変わらずナスターシャ姉ちゃんの背中に乗って飛ぶのは最高だな~!」


 といって、寝転んでくつろいでいるのは(自称)大英雄カノンだ。


 300年前にナスターシャと知り合いだったそうだが、一体どんな関係だったのだろう。僕は気になって聞いてみた。


「300年前。ある街が魔族に襲われて壊滅したんです。ワタシはたまたま街を通りかかったのですけれども、そこで毒に侵されて倒れているカノンちゃんを見つけたんです」


「毒か……もしかして、毒魔獣デウゼルクススとの戦いか」


 全身に毒の粘液をまとう魔獣に街が襲われて、カノンが単騎で戦いを挑み、身体を張って街の住人が逃げる時間を稼いだという武勇伝の1つだ。


「あー、それそれ。あの街の領主め……よくもだましたな」


「だました?」


「そう、だまされたんだよ! アタシが『あの魔獣倒すの手伝ってやるから、1000万ゴールドちょうだい』って持ちかけたら、『王都からの援軍が3時間ほどで到着するので、その間時間を稼いでください。成功すれば3000万ゴールドお支払いしましょう』と返されて。良い条件でラッキー、と思って魔獣の相手してたら……」


「街の住人全員避難して戻ってこなかったんだな?」


「そう! 援軍は来ないし! 領主もどっか行って報酬踏み倒されるし! あの魔獣もアタシと相性悪くてめちゃしんどかったし」


「そうだったのか……」


 酷い真実が、大分美談にされていたな。


 ……もっとも、毒魔獣デウゼルクススは、それまで街を4つ滅ぼしていた。


 率いていた魔獣の群れごと単騎で戦って倒したというのは、英雄カノンはやはりとんでもない強さだ。


 一体、どんな才能ギフトなのだろう。


 才能ギフトバレれば、弱点もバレてしまう。【剣聖】の様な有名な才能ギフト以外は、親しい者にしか明かさないのが普通だ。


 英雄カノンのギフト。とても気になるが、聞いては失礼にあたる。


「で、魔獣の毒でアタシが死にかけてたときにナスターシャ姉ちゃんがたまたま通りかかって。毒とか色々治療してもらって、そのままなんか成り行きで一緒に暮らすようになったんだ」


「そうなんですよ~。カノンちゃん、ワタシの家に勝手に入ってくるモンスターさんなんかを倒してくれて、とっても助かってたんですぅ~」


 なるほど、そんなギブアンドテイクの関係だったんだな。


「あと、魔族を倒すためにちょくちょく魔族が暴れてる街の近くまで送ってもらったっけな」


「カノンちゃん、あれ怖かったんですからね~! ワタシ、戦いが起きている場所の近くになんて行きたくなかったのに……」


「待ってくれ。英雄譚では、『英雄カノンはドラゴンを従えていた』と書かれているが、もしかして」


「ええ!? ワタシ、英雄譚に載っちゃってるんですかぁ!?」


「やったじゃん! ナスターシャ姉ちゃんも有名人の仲間入りだー!」


「よくありませんよぉ~! ワタシ、目立つの恥ずかしいですぅ~」


 カノンとナスターシャの間で軽い言い合いが始まる。


 しかし、いつも村の仲間に対して一歩距離を置いているナスターシャに、こんなに気易く話せる相手がいたとは。


「二人は、本当に仲がいいんだな」


「まあね! でも、一回だけ大喧嘩したっけな。本気で殴り合ったっけあのときは」


「しましたねぇ~。あのときは、ワタシも本気でしたよ~」


「!? ナスターシャが本気で喧嘩したのか!?」


 これは流石に驚いた。


 ナスターシャがモンスター相手でさえも攻撃しようとしたのを見たことがない(最初に会った、操られていた状態のとき以外)。そんなナスターシャが本気で喧嘩とは。


 隣にいるマリエルとカエデも目を見開いている。


「あれは、魔族の大きい拠点の在処がわかって、そこに攻撃を掛けようって話になった時だな。確か……ムーなんとか砦だったっけか」


「ムーゲルシュトン砦の戦いか!?」


 ”ムーゲルシュトン砦の戦い”。300年前の大戦の中で、魔族と勇者が正面から激突した特に大きな戦いだ。


 当時の勇者とその仲間達が活躍して、確かその戦いにカノンは不参加だったはずだが……。


「あれはカノンちゃんが悪いんですよ! 自分で戦いに行くだけじゃなくて、ワタシも無理やり戦いに連れて行こうとして!」


「いーや、ナスターシャ姉ちゃんが悪い。『カノンちゃんが死んじゃうのは嫌ですぅ~』ってアタシが出かけようとするのを力尽くで止めようとするから!」


「……そして、殴り合いの喧嘩になったと」


「そうなんですよぉ~。ワタシ、カノンちゃんに殴られてウロコを5枚も割られちゃいましたぁ。痛かったですぅ~」


「アタシは両拳と足の骨全部砕けたけどな! ナスターシャ姉ちゃん硬すぎるんだよ!」


 カノンの戦闘スタイルは、おそらく素手の殴る蹴る。硬いウロコに覆われているナスターシャとは相性が悪すぎる。大怪我するのはまぁ当然だろう。


 ……大砲のゼロ距離砲撃でも傷一つ付かないナスターシャのウロコを破壊するパンチというのも、十分恐ろしいというか恐ろしすぎるのだが。


 僕の”刻印魔法”で強化されているタイムロットさん達でも、ナスターシャのウロコには小さな傷を付けるのが精一杯だ。エンピナ様でも破壊出来るかどうか。


 試そうとは思わないが、僕でも相当強力な融合魔法を使わないとナスターシャのウロコは破壊できない。


 英雄カノンの実力、恐るべし。


 等と考えていて。その時、僕は一つ思いついてしまった。


「なぁカノン。もしかして、魔王バーゲルベーハンとの戦いって……」


 魔王バーゲルベーハン。カノンの英雄譚に登場する魔王である。どこかの山奥に潜んで人類を大量に殺す魔法を発動するための準備をしていたところを、英雄カノンに見つかって倒されたらしい。


 しかしこの魔王には奇妙な点がある。後に倒された魔族達の記録のどこにも、バーゲルベーハンの名前がないのだ。魔族達に魔王バーゲルベーハンの名前を出しても、全員『そんな魔王はいない』という反応だったそうだ。


 ある日、街に全身怪我だらけの英雄カノンが訪れて、誰と戦ったのかと聞かれたときに『山奥に潜んでいたバーゲルベーハンと名乗る魔王と戦って、勝ちはしたが大怪我をした』と答えた。この会話の中でしか、バーゲルベーハンの名前は登場しない。


 とにかく、実在したのか怪しい謎の多い魔王なのである。


 しかし今、その謎が解けてしまった気がする。


「ああ、そう言えばそんな名前の魔王でっち上げた気がする。街で『その全身の怪我はなんですか』って聞かれて『よく背中に乗せてもらってるあのドラゴンと喧嘩して負けて怪我しました』なんてとてもダサくて言えなかったから。テキトーな名前の魔王をでっち上げて、そいつと戦ったことにした」


 ……。


 僕は、頭を抱えている。


 子供の頃憧れていた英雄譚が、真実を知れば知るほど色あせていく。


 ……決めた!


 僕はもう、これ以上カノンの300年前の活躍について聞かないことにする!


 聞いても幻滅するだけだ!


「あ、見えてきましたよメルキス様~」


 僕が決意したとき、いよいよ街が見えてきた。


 北の街、ミムラス。


 堅牢なレンガの壁に囲われている、大きな街だ。


 僕も父上に連れられて何度かきたことがある。しかし、どうも様子がおかしい。


「ナスターシャ、もっと近づいてくれ」


 近づくにつれて、街の様子がはっきりと見えてきた。


「あれは……モンスターに襲われているのか!?」


 街の壁の一部が崩れ、大型モンスター達が押し寄せている。


「ナスターシャ、あの近くに降ろしてくれ!」


「わ、わかりましたぁ~」


 ナスターシャに地上へ降ろしてもらい、僕達はそれぞれ武器を手にしてモンスターの群れへと突撃していく。


超大幅改稿した小説2巻、6月15日発売です!!


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