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第75話 王国騎士団の団長が村の視察に来る

今回は短いので次回更新は早めです!


感想欄で『メルキスはギフトもコピーできるのに何で最近しないの?』と言う質問がありましたのでお答えします。


説明不足ですみません,メルキスは『魔法』と名前のついたギフトのみコピー出来ます。(大賢者のギフトもコピー出来ますが元々全属性の魔法を使えるので省略してます)



 ――王宮にて。


 1人の若い男が、国王の前にかしづいていた。


 王国騎士団長、クレモン・カルゼザ。騎士団最強の男だ。


 糸目が特徴の、飄々とした男である。


 年は若いが、公式戦無敗。どころか、誰も非公式の戦いでも誰も負けたところを見たことがないという。まだ本気を出したことすらないという噂さえある。


「陛下、どないしはったんですか今日は?」


 クレモンが軽いノリで、訛りのある口調で国王に語りかける。


「うむ。ある村の視察……というより、偵察を頼まれて欲しくてな」


「かしこまりました。で、陛下。王国騎士団長の僕をわざわざお呼びになったということは、かなり危険度の高い村の視察なんですね? 極秘で近隣国の村の様子を見てこいとか、場合によっては盗賊の仕業に見せかけて村人全員始末してこいとか。任せてください。僕そういうの得意ですから」


「はっはっは。頼もしいのう。じゃが、そんな物騒な話ではない。ちとな、ワシの娘がいる辺境の村の様子を見てきてほしいんじゃ」


「王女様のいる村……ああ、マリエル様がザッハーク君の息子さんと一緒に田舎の村に引っ越しはったっていう件ですか?」


「そうじゃ。武闘大会で魔王を倒した件は、ワシも高く評価しておる。ああ、お主は直接見ておらんのだったかな?」


「ええ。残念ながら、僕はその日王都門の警備にあたってましたもんで」


 武闘大会の運営は、王国騎士団が取り仕切る。


 しかし、面倒事が嫌いなクレモンは


『武闘会の日は闘技場に王国騎士団が集中する分、王都の門の警備が薄くなる。外敵に備えるため、王国騎士団長が防衛にあたる必要がある』


 という決まりを作り、のんびりと誰も敵の攻めてこない王都の門でくつろいでいた。


 これが騎士団長のサボりであるというのは、騎士団の中では公然の事実である。


 しかし


『門の守りが薄くなるのは実際本当だし、クレモン団長がいれば安心だよな』

『そもそも、クレモン団長戦い以外はからっきしだから、武闘会運営にはいても役に立たないしな』

『むしろ下手な指示を飛ばされるより、いないほうがスムーズに運営の仕事ができるしな』


 などの理由で誰も文句を言わない。


「というわけでクレモンよ。お主の目で見て信用のおける者に、メルキス君の村をこっそり見てきてもらいたいのじゃ。ワシ個人としてはメルキス君を信用しておる。だが、国王としてあれほどの戦闘力を持つ者を、放っておく訳にはいかん。いくらマリエルが隣にいると言ってもな」


「承知しました」


「まぁ、色々言ったがワシは安心したいんじゃよ。一かけらの心配もなく、メルキス君を信用したい。そのための偵察じゃ」


「わかりました。陛下にそこまで言わせるとは、大したもんですねメルキス君は。ほな、僕が行ってきます」


「ほう、お主自らか?」


「ええ。前から、復活した魔王を倒したメルキス君のことは武人として気になってたんですわ。いい機会ですし、直接見見てみたいと思います」


「そうか。くれぐれも、正体を明かさず、村のありのままの様子を見てくるのじゃぞ」


「かしこまりました」


 こうして、王国騎士団長クレモンがメルキスの村を偵察しに来ることとなった。


 






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