第44話 村の仲間が,圧倒的パワーで(不本意に)他の参加者を圧倒する
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「誰か、誰かあの女を止めろぉ!」
片手でハンマーを空高く弾き飛ばしたナスターシャを見て、予選大会参加者たちの心が一つになる。
『あの女を止めないとやばい』と。
「オレに任せろ! 呪詛魔法“ダークビジョン”!」
ハンマー使いの男の取り巻きの1人が、ナスターシャに魔法をかけた。
“ダークビジョン”。しばらくの間、相手の目を完全に見えなくする魔法だ。
「きゃあああ! 目が、目が見えませーん! 誰か助けてくださいぃ〜」
ナスターシャは、完全にパニックになってしまっていた。
「いまだ!全員で叩け!」
ハンマー使いの男が、仲間に指示を出してナスターシャを襲わせる。
「こ、来ないでくださーい!」
ナスターシャが身を守るために、手当たり次第に手を振り回す。
そこにたまたまあったのが、さっきのハンマーだったのが不幸だ。
ナスターシャにとっては、『目が見えないので適当にその辺りにあったものを掴んで振り回した』だけなのだが、その破壊力が尋常ではない。
“ボガアアアアアアアアァン!!”
ハンマー使いの男とその仲間たちが、まとめて一撃で吹き飛ばされ、数十メートル離れた闘技場の壁に張り付いていた。
死んではいないだろうが、間違いなく戦闘不能だ。
……そこから先は、ひどい有様だった。
「逃げろ、あんなバケモノに勝てるわけがねぇ!」
「俺は棄権する! 早く、早くここから出してくれ!」
「うるさい、棄権するのは俺が先だ!」
闘技場の中で、参加者はパニックなって出口へと殺到する。
残る参加者が2人になる。そこでようやく、ナスターシャに掛けられていた魔法が解けて目が見えるようになった。
「や、やっと目が見えるようになりましたぁ〜。って、ええ!? なんで皆さん壁に叩きつけられて気絶しているんですか!? 誰がこんな恐ろしいことを……?」
(((お前だよ!!!!!)))
という思いで会場が1つになったのを感じた。誰も怖いので口に出さないが。
「え、皆さん棄権しちゃったんですか……? じゃあ私もきけ——」
「俺は棄権するぜヒャッハァ! あんな危険な女とやりあうなんてまっぴらごめんだぜヒャッハァ!」
棄権しようとしたナスターシャより早く、マッドネストムが棄権を宣言する。
『最後の1人になったため、ここで予選終了です! 決勝戦に進むのは、ナスターシャ選手です!!」
「なんでええええええぇ〜?」
司会の声が響くと,会場中から歓声が湧き上がる。
「冷静であれば、目が見えなくてただハンマーを振り回すだけのナスターシャの攻撃を避けることは難しくありません。あの程度でパニックになって勝機を逃すようでは、他の予選参加者は本戦に勝ち上がっても間違いなく初戦敗退でしょう」
僕の隣で、カエデが冷静に分析する。辛辣だが、僕も同じ意見だ。
「僕もそう思う。残念ながら、今年の予選参加者には、本戦を勝ち上がれる実力者は居なかったな」
『それでは、そのまま本戦開始となります! 第一試合、メルキス選手VSジャッホ選手!』
いよいよ本戦の幕が上がり、僕の名前が呼ばれる。
「じゃあ行ってくるよ」
「主殿、ご武運を」
カエデが恭しく頭を下げて僕を見送る。
僕は闘技場に降り立つ。
「あぁ、ワクワクしてきた……!」









