【番外編】極東大陸の”カタナ”を振ってみた
世間はお盆休みですが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?
殺人的な暑さが続いております。身体にはお気をつけ下さい。
この作品の本編は、ある程度まとまったら一気にどーんと更新する予定です。
今回、少し時間が取れましたので番外編を書きました!
コミックノヴァ様、ピッコマ様で連載中のコミカライズの宣伝も兼ねて、今回は
『カエデとシノビ達が村の仲間になった数日後』
のエピソードとなっています!
シノビさんたちが村の仲間になって数日経ったある日のこと。
僕は、訓練場でカエデと雑談していた。
「そういえばカエデ。シノビは変わった形のナイフを使ってるな」
「はい。土を掘ったりするのにも使うので握るのに力が入り易い構造になっているのです」
そういって腰からクナイを取り出して見せてくれた。
「なるほど、ただのナイフとは違うわけだ。極東大陸の武器は面白いな」
「他にも、極東大陸の剣は”カタナ”といってこの大陸とは違う形をしております。ご覧になりますか?」
「あるのか!? 見たい見たい!」
「承知いたしました。少々お待ちください」
カエデが音も無く消える。
僕は武人として、剣などの武器には目がないのだ。極東大陸の剣、どんなモノか楽しみだ……。
「お待たせいたしました。こちらでございます。変装のために使っていたモノで、特に名刀などではなくただの量産品ではございますが」
僕はカエデが差し出した”カタナ”を受け取って、鞘から抜いてみる。
「綺麗な模様だ……とても量産品とは思えないな」
僕達の普段使っている剣は両刃だが、このカタナは片刃。それに反った形となっている。どうやら、片側の刃で斬ることに特化した構造になっているようだ。
「主殿、よろしければ実際に振ってみてください」
僕はカタナを構える。普段使っている剣よりも、大分軽い。不要なものを極限までそぎ落としているのだろう。
「主殿。”巻き藁”という、試し斬りのための道具を用意しました。是非お使いください」
いつの間にか、シノビさん達が植物で組み上げた練習台を用意してくれていた。
「ありがとうございます。早速斬らせてもらいます」
まず、僕はいつも使っている身体能力魔法を解除する。身体能力を強化したままでは、どんなボロ剣でも力にモノを言わせて何でも斬れてしまうからだ。
そして剣で”マキワラ”を斬りつけると――
”ザクッ”
鈍い音がして、刃が半ばまでマキワラに埋まった。
「全然斬れてない……そうか、普段使っている剣より軽い分、体重を乗せないといけないのか。それにこの刃の切れ味と形状。これを活かすために、刃を少し引きながら斬ることを意識して……」
普段よりも少し腰を下ろし、剣を身体に近いところで振るうことを意識する。
「一度振っただけで正しい構えを導き出すとは、さすが主殿」
そして僕は身体をひねって体重を乗せつつ、カタナを斜め下に振り下ろす!
”スパッッッ……”
マキワラが、一直線に斬れていた。
「……お見事です、主殿。見事な一撃でした。断面がこんなに滑らかとは。とても今初めてカタナを握ったとは思えません」
「ありがとう、カエデ。凄いなこの”カタナ”は。扱いは難しいけど、しっかりと力を引き出してやれば僕らが普段使っているような両刃剣を超える切れ味を発揮してくれそうだ。だけど」
僕はカタナを鞘に収めてカエデに返す。
「興味はあるけど、これまで両刃剣の技術を学んできた僕の手には合わなさそうだ。……だがそれはそれとして、武人としてちょっと良い剣は収集したくなっちゃうな」
振っただけで分かった。あの軽さで強度と切れ味を実現するために、僕の普段使う両刃剣とはまるで違う製法で作られている。そしてそこには、職人の魂が込められているのがはっきりと感じられた。
ワガママなことを言うのだが。
自分で使うことはないのだが、欲しい。
僕はイチ武人として剣の蒐集が好きだ。自分では扱えないとはいえ、あれほど技術の粋を集めて作られたカタナはほしくなってしまう。
部屋の壁に飾っておきたい。時々特に意味も無く鞘から抜いて、うっとり眺めたりしたい。使わないのに月に一回くらいメンテナンスしたい。
しかも今回見せてもらったカタナは、量産品だという。だというのに、あの刃の美しさ。
名刀と呼ばれるカタナは、一体どれほど美しいのだろうか。
「極東大陸、いつか行ってみたいなぁ……」
そしてそこで名刀を手に入れてみたいものだ。
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最新話ではカエデとシノビ達が仲間に加わり、王都武闘大会編へ突入するところです!
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