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『世界システム』の始まり、大航海時代

あらすじにも書きましたが、主観こみこみです。

これを読んでも全て鵜呑みにせず、他の方の文章もお読みくださいませ。


 どうも、内葉です。

 この度は私が学校、予備校、独学で学んだ上で自分なりの解釈をした『世界システム』について書き連ねていきたいと思います。

 小説というより表らしきものを交えた簡単な説明ですね。


 皆様はこの『世界システム』をご存知でしょうか?

 

 これはアメリカの歴史学者、イマニュエル・ウォーラーステイン大先生の提唱した学説で、簡単に言ってしまえば近世、特に大航海時代以降の世界を説明するものです。

 

 この学説は多くの学者様方の賛同を得、(もちろん否定的な方もいらっしゃいますが)高校の教科書にも載せられるほど一般的な考え方となりました。


 ただ内容はかなり難しく、完全に理解している方は多くないでしょう。僕もそうです。全然理解には程遠いところにいます。(ならこんな文章書くな)

 というか、学校の先生ですらよく分かってない方も多いです。


 完璧に理解するには多分、歴史学、経済学その他をたっぷり勉強した上で、もとの論文を何十回も読まなきゃならんと思います。


 しかしそんな難しい内容だというのに近世以降の歴史の説明にはかなり使います。

 さらにそれだけでなく、現代の社会問題の論争にこれを使うと嫌に納得できたりします。


 これは完璧な『世界システム』が成り立っていないからだとも言われますが。


 発展途上国がなぜ貧しいのかだとか、日本の食料自給率がなぜ低いかだとか、なぜトランプ大統領が馬鹿だと言えるのかだとか。

 『世界システム』は結構万能なのです。



 それでは先に進みます。

 長ったらしくこの学説を見ていきましょう。


 しかしそもそも大航海時代の流れが分かっていないとどうしようもないので、その説明をさせて頂きます。

 そんなの完璧だぜっ!て方は二話へどうぞ。


 時は遡って大航海時代。

 スペインやポルトガル、イギリスなんかがこぞって海に出ていって、インドや中国との安価な貿易を求めた時代ですね。

 

 この頃のヨーロッパ、胡椒などの香辛料が現地で買う値段の数百倍しました。

 これは香辛料がヨーロッパに辿り着くまでにムスリム商人やヴェネツィア商人を介さなければいけなかったからで、まあ手数料みたいなものです。




 さて、それでは皆さんがポルトガル人だったとして考えてみましょう。


 あなたはイベリア半島にいたイスラム系王朝を追い出し、再征服(レコンキスタ)を終えました。

 隣を見れば、スペインはまだレコンキスタの真っ最中。余裕がありません。

 一応同じキリスト教国家なので漁夫って土地を奪ったりはしませんが、だしぬくチャンスです。さあどうしよう?


 ここでポルトガル人は考えました。

 

 「インドの香辛料、もし自分達で手に入れられたら大儲けじゃね?」


 こうなった訳です。


 実現したらこれまでアホみたいにかかった手数料がゼロになるわけですから、儲かりますよね。

 

 こうしてポルトガル人の挑戦が幕を開けました。


 まず問題になるのが航路です。

 その頃スエズ運河はまだなく、地中海から紅海、インド洋へと出るのは不可能です(ここを陸路で頑張って運んでいたのがムスリム、ヴェネツィア商人達です)。

 そこでポルトガル人はアフリカ大陸回りの航路を考えました。


 1445年、エンリケ航海王子がヴェルデ岬に到達(本人は船酔いで途中帰国)。


 そして1458年、バルトロメウ・ディアスが喜望峰に到達。これが凄いことで普通、大西洋に出ると北大西洋海流に乗ってアメリカ大陸に連れて行かれます。(その頃は認知されていませんが。)しかしバルトロメウはここを越えていった訳ですね。


 そしてその数年後、ヴァスコ=ダ=ガマがとうとうインドに到達!


 こうして新しい香辛料貿易の航路が開かれ、ポルトガルは一気に大国へと成り上がります。



 この流れに触発されて、スペイン、イギリスが海へと出ていきます。

 大航海時代です。

 こんな感じ↓


 挿絵(By みてみん)




 スペインは1492年、コロンブスが地球一周によってポルトガルを追い越そうと船を出しました(この頃、地球は平らだと考えられていたので、結構な賭けではあったのです)。

 この頃のスペインはレコンキスタが終わり、その土地に住んでいた商売上手なユダヤ人(キリスト教に迫害されていたので、税金さえ払えば自らの信仰が認められるイスラム国家へと逃げていました。)から財産を没収しており、お金持ちだったのでそれをスペインの未来に賭けてみた形ですね。

 結果到着したのはサン=サルバドル島、未開のアメリカ大陸だったわけですが。



 ちなみにイギリスは、その後にカナダへと進みました。

 大航海時代の主役はまだスペインとポルトガルです。


 まあそんな訳で、無事に両国ともインドに着きました。コロンブスはおめでたいですね。


 しかし、二つの大国が同じ土地にいる!喧嘩になる!(同じ大陸じゃねーよ)


 と思った彼ら、教皇に頼んで教皇子午線を引いてもらい、トリデシリャス条約というものを結んで世界を二分します。1494年頃です。

 こっちからこっちはスペイン、こっちからこっちはポルトガルって感じですね。

 

 はじめはまあそれなりに良かったんですが、少し経ってから問題が起きました。


 地球一周問題です。


 1520年頃、マゼラン(の部下)が地球一周を成功させたのです。


 困りました。線を引いたのはいいけれど、地球が丸かったら一周してもとのところまで戻ってきてしまう。

 そんな訳で頑張って条件を変え、結び直したのがサラゴサ条約です。

 これによってポルトガルはアジアを、スペインはアメリカ大陸(1500年にアメリゴ=ヴェスプッチが新大陸を探検、命名)を手に入れました。


 世界が拡大しましたね。

 ヨーロッパだけの商業活動がアジア、南北アメリカ大陸にまで発展しました。


 そうして侵略と貿易が始まりました。

 スペインのピサロやコルテスによる原住民族の征服、強制労働。

 主な貿易商品は図の通りです。


 挿絵(By みてみん)


 補足していきます。


 まずは右側。

 とにかく業が深い貿易で、まず火器と装飾品。これをアフリカの原住民に渡します。


 それで何を要求するか。

 なんと、他部族の黒人をとっ捕まえてくるように言うのです。火器があるので簡単に他部族は捕まえられますから。

 なかなか狂った考えですよね、こうして黒人奴隷が生まれました。

 黒人奴隷はヨーロッパの侵略ではなく、ヨーロッパの操作によってできた存在だったわけです。

 

 ではでは、この捕まえた黒人達を新大陸、アメリカに送りましょう!

 はじめは征服した土地の現地人を使っていたんですけど、病気やら酷使やらで人口が減ったので黒人奴隷を使うようになったらしいです。


 連れてきた黒人奴隷はサトウキビ畑で働かせます。砂糖は胡椒並みに高く売れるので、作り甲斐がありますね。

 できた砂糖は全てヨーロッパに持っていきましょう!はい、スペイン、ポルトガルは大儲け!

 この二国の力を底上げした貿易ですね。





 次は左側。

 この貿易は従来の封建制をめっためたにした貿易です。おいおい説明します。


 まずこちらの『銀』はメキシコ銀のことです。

 『メキシコ』とつきますが、産出されたのは南アメリカのポトシ銀山で、明、ヨーロッパに運ばれるにあたってメキシコを経由するため、この名が着きました。


 欧州とアジアの貿易においては、基本銀がアジア側に対価として支払われます。

 その頃のアジア(主に中国)は国力が圧倒的に高くヨーロッパの欲しい特産品なんてありませんから、ヨーロッパ各国は銀で払うしかなかったんですね。


 ちなみにこのメキシコ銀と日本銀の輸入により、明は丁税と地税が銀納になりました。(一条鞭法)


 が、影響は明だけにとどまりません。

 これまで少なかった銀が、一気にヨーロッパに流入してきたのです。なにが起こりますか?



 そう、インフレです。


 少なかったから希少価値があったのです。それが増えたら価値は当たり前のように下がりますよね。

 こうして銀の価値が下がり、ものの値段が跳ね上がりました。

 これが価格革命です。


 ………さて、これでやっと下地の九割は完成でしょうか。

 ここらで二話に行っときましょう。

 そろそろ本題ですね。



 

二話は明日出します。

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