天職
「ふむふむ、成る程…これで大体わかった」
「え?なにがです?」
「っていうか今更だけど、君捕虜なのにめちゃくちゃフレンドリーな感じするんだけど…」
「えへへ〜」
にヘら〜とジャンヌは頭をかきながら笑っていた
こいつは一体なんなんだ?まあいっか、別に捕虜らしくして欲しいわけじゃないけど…なんだかなぁ…
「冥土さん、この女騎士の『天職』について測定してくれ」
「分かりました。少々お時間がかかりますので失礼します」
「…」
「…」
やばい、もうなにも話すことない…どうしよう…とりあえずなんか話すか?
「えっと、そろそろ聞くことは聞いたから…」
ぐううううううううううう
アリスが静寂に耐えきれずとりあえず話を切り上げようとしたら、巨大な音が響く響いた
「あ、あああの、えっっとあああああああ‼︎」
「そ、そういえばご飯まだ食べてなかったね?」
恥ずかしくて赤面したジャンヌを見てアリスは、ご飯の準備をしてないことを思い出した
一応捕虜的な扱いだが、しっかりとご飯を食べさせるようにしている
「冥土さ…んは今は手が離せないから…久々に僕が作るか」
アリスはそう言って席を立った
「それじゃあ、ちょっとまっててね」
僕は赤くなった顔を隠しながら首を横にブンブン振るジャンヌを横目で見ながら部屋を出た
なんだかな〜最初会った時は堅物な騎士に見えたのに…うーん謎だ。とりあえず今はご飯作って冥土さんの報告待ちか
仮の檻代わりにしていた部屋を出た僕はいくつかの部屋を通り過ぎて倉庫にやってきた
倉庫には、いくつもの金属でできた箱が所狭しと積まれていたが、いくつかは劣化による破損があるものもあった。その中からアリスは破損のない箱を開けて冷凍保存していた肉や野菜…調味料を取り出し保存が効いているか確認をした
「うん、大丈夫っぽい。いくつか壊れちゃってたのは想定外だったけど…ここ真空状態にしてたはずなんだけど…うーん、そっちの確認も必要かも。まあ、今は女騎士さんのご飯を作んないとね」
ふんふーん♪とノリノリでご飯に使う食材を手に取った僕は倉庫の近くにある調理室に向かった。僕はアンドロイドなので食事、睡眠必要ないのだが、捕虜の食事や、アリスの嗜好品としてたまに食事をしたりしていた。そしてこれが一番の理由だが、僕の多々あるうちの趣味の一つが料理だということだ。
「さてと、うーんどんな感じにするか…」
僕は調理室にある端末をを眺めた。この端末には僕が眠る前の時代の全ての料理が記させているものだ
今回は捕虜の料理だし、別に難しいやつでも、おしゃれなやつ作るわけにはいかないか…でもてきとうなやつは僕のプライド的に問題が…うーん、やっぱこれかな?
アリスは端末を操作して、一つの料理をピックアップした。簡単そうに見えて以外に奥が深い料理(とアリスは思っている)…そう、ステーキだ
僕は端末を操作する手を止めて、調理室に取り付けられている一つの機械の中に食材を入れた
こちらの機械は、解凍用の設備である。なお、この設備は一瞬にして食材を最高に状態の戻せるという優れものだ
「それじゃあ、まずは…(以下略)」
僕は解凍された肉を手にとって、調理をし始めた。肉は1ブロックで持ってきたため薄く切りって行った。一応今回はパン、ステーキ、サラダ、コンソメスープの組み合わせにしている。肉をステーキにできるような薄さにしたら、早速肉を焼いた。味付けは無難に塩胡椒である。ジュージューという音と、いい匂いが漂ってきた。
肉を焼いている間に、僕はコンソメスープを取り出した。今回、コンソメスープとパンはインスタントにしたものを使っている。
「うん、いい感じかな?」
肉に火が通ったことを確認した僕はステーキをお皿に盛りつけた。あとはこれをパンとスープとともにお盆に乗せて女騎士のところに運ぶだけだ
僕は廊下をてくてく歩き女騎士がいる部屋の前まで来た
「作ってきたぞ〜」
僕がドアを開けるとそこには、よだれをぼたぼたと口から垂らしている女騎士の姿があった
「はいよ、これが今回の…」
「はむう」
…おおいい食べっぷり
女は僕が机にお盆を置くなり手で肉やパンを手で掴んで食べだした。
しっかしこれはあれだな、うん、冷静になった時に見たら恥ずか死ぬなうん。
「うう、暖かい。うううう、生じゃないちゃんと調理したご飯…うううう。うわーーーん!」
「ほら。どうどう」
「馬じゃないけど。どうでもいいや!うわーーーーん!」
落ち着いてきて話を聞いてみるとどうやらこの女騎士は…これからはジャンヌという。えっと、どうやらジャンヌが所属していた騎士団の飯はとんでもなくまずかったらしい。たまに土とか泥も出たことがあるとか。もうそれ食事じゃないよねってやつばっかり。それで、今回久々に食べた暖かいご飯。いやもうね?泣いちゃったね。…それにしても、よくそんな食環境で我慢できたなって思う。僕だったら上官ぶっこr…げふん、えーっと平和的におはなしをするね。うん。おはなし(殴って)まあ、これにも『天職』が関わってそうだけど…あとは冥土さんの報告待ちかな?
僕はジャンヌを見た
泣きながら笑顔でご飯を食べてるジャンヌを
ふふっー僕の作ったご飯こんなに美味しそうに食べてくれるなんて…嬉しいな〜
「ど、どうしました?」
「いや?なんでも?」
頭に『?』を浮かべたジャンヌが小首をかしげたが、またご飯をばくばく食べ始めた。
ーふふっ。嬉しいなぁ〜
「あ〜美味しかった〜」
「そうか…それは良かった」
うん、やっぱり自分が作ったもので喜ぶ人を見るのはいいものだね
僕は笑顔でお腹をさするジャンヌを見ながらそう思った
しばらくその顔を見ながら達成感に浸ると、僕はポケットからスイッチを取り出して机の上に置いた
「それじゃあ僕外に出るから…何かあったらこれ使って呼んでね。それじゃ」
「あ、はい」
ジャンヌの返事を聞き僕は部屋を出たのだった。
うーん…これから何をし…あ!
「そうだった!忘れてた‼︎人形作んないと!」
色々あって忘れてた。防衛用の人形作ろうとしてたんだった!
僕は倉庫にかけていったのだった
今回は外骨格にするか?いや、やっぱりフレーム構造にして…換装を帰れるってやつがやっぱりロマンあるよね!今回はフレームにするか〜
そうやって僕は倉庫にある金属類をまとめた箱をガサガサした
「とりあえず骨組みは…防衛用だから、うーん、アダマンタイト…かなぁ?」
アダマンタイトというのは、オリハルコンより硬く、そして…重い。アダマンタイトは自然に生成されるものではなく、人が作り出した合金である。分子の配列を横に縦にぎっしりと詰め、そして絶妙なしなり具合によって最強の合金とも言われる。
アダマンタイトインゴットを引っ張り出した僕は、ほかの部品を取り出した。今回は戦力の増強が主なので、姿は気にしない。
「アダマンタイトを骨組みにするから…防御面はおそらく大丈夫…装甲も一応アダマンタイトにしとくか…武装は、レーザー?目からビームとかいいね。可動部分はオリハルコンも使って軽量化するか…いやミスリル塗料も捨てがたい…とりあえず作っていくか。サイズ感は…」
そこで僕はジャンヌがいる部屋のカメラにアクセスした。一応捕虜だからね。監視もしっかりしないと。
どうやらジャンヌはベッドに横になっているようだ…よだれを垂らして寝ていた。なんか寝言で「お肉…おかわり〜」って言ってるんだけど…ベタだなぁ〜
そこまで見て、人形の制作に意識を戻したのだった