くっころ騎士
《ジャンヌサイド》
「っつ!ここは」
頭が痛い、一体何があった、なぜ私はこんなところで寝て…そうだ‼︎私の隊は少女に蹂躙された!なるほど、私は捕縛されたということか
冷静に現在の状況を確認したジャンヌはあたりを見渡した
「それにしても、ここは一体どんな場所なんだ?窓もなく壁も…不思議な材質だ。あれは扉か?見た感じとっても何もない…装備は…やはり全て取り上げられているか…」
ジャンヌは元の鎧姿ではなく、不思議な繊維で作られているTシャツと半ズボンを着せられていた
それにしても、この材質は一体?肌触りとか、私の持っている服よりいいのだが。
まあそうは言っても私の私物のほとんどは村人が着ているものとさして変わらないが…気持ちいいなこの服。
この服もらえないだろうか…って!私は何を考えている!私は聖ルミナスの騎士!こんな…こんな…こんな気持ちいい服に絶対に屈しないぞ!
ジャンヌが心の中で葛藤していると、部屋の扉が開いた
「やあ、お目覚めかな?」
開かれた扉の先にはあの少女がいた
まるでおとぎ話に出てきそうな水色のエプロンドレスを着た少女…それを目にした瞬間ジャンヌのなにかが吹っ切れた
あ、これダメだ
ジャンヌの中の何かは最後の最後の抵抗として少女に向かってこう言った
「くっ!殺せ!」
「はい?」
《アリスサイド》
拝啓お父さんお母さん、僕は人生?初めて女騎士から『くっころ』をもらいました…
って違う‼︎お父さんお母さんさんって…とっくの昔に死んどるわボケナス‼︎ゼーハーゼーハー…よし、一旦落ち着こう。なんでこの子はいきなり『くっころ』したんだ?
まあ、だいたいわかるけど。そりゃあ自分の部隊が一瞬で全滅したらそう…
「わ、私は気持ちいいのと可愛らしいのに絶対に屈しないぞ!」
…え?どゆこと?意味わからないよ。とりあえず冥土さ〜ん!
『はい。マスター何かおよびでしょうか?』
口に出してないのにもうきたよ。頭の中見てるよね?
『いいえ?見てませんが?』
…もう、なにも考えないようにする
『はぁ?』
「と、とりあえずこの女騎士どうしよう?」
先程から女騎士は「私は屈しない。屈しないぞ…いやでもちょっとだけ…いや!屈しないぞ!」とブツブツ呟いている
アリスはジャンヌから少し距離を取ると冥土さんに話しかけた
(どうしようこの子…これもともと考えてた方法取らなくてもいいかな?)
『ちなみにもともと考えてた方法とは?』
(機械責めで快感を与えて屈服させる)
『それは…』
冥土さんはアリスの考えていた方法に引いた
「屈しないぞおおおおおおおお!」
「うるさいわ⁉︎」
「あひゅん‼︎」
いきなり叫んだジャンヌにアリスは豆鉄砲を打ち込んだ。ちなみに豆鉄砲は全ての指から打つことができる。アリスの腕は万能なのだ!ということはさておいて
「さて、落ち着いたかい?」
「は、はい」
とりあえず話ができる程度に落ち着いたジャンヌはアリスの目の前で正座していた
「とりあえず君は捕虜ということになってる」
「はい」
それを聞いたジャンヌはしゅんとなった
そりゃそうだ、誰も好き好んで捕虜になりたくない
「隊の人間が死んだことを根に持っているかもしれないけど…「あ、それはもうどうでもいいです」え?なんだって?」
思いがけない言葉にアリスは耳を疑った
「いや、仲間でしょ?」
「確かに一般的には仲間という括りに入ると思いますけど」
「うんんん?」
ジャンヌの含みのある言い方にアリスは困惑した
「だって…だってあの人たち私をいっつもバカにしてたんですよ?事あるごとに!しかも国の偉い人とか私をいやらしい目で見たり…」
「え?え?君さっきまで屈しないっていってたよね?」
「はい。いってましたけど、よく考えたらどうでもいいかなって…教会の教えもなんかどうでもよくなってきて…教え、よく考えたら意味わかんないやつばかりですし」
「なんですと⁉︎」
ジャンヌは苦笑いしながらそういった
アリスはそんなジャンヌに対し口がぽかんと開いた
「教会ってなんか堅苦しいんですよね〜服は最低品質しかダメですし。おしゃれ出来ないですし。休みほとんどないし、出てくるご飯はクソまずかったし…なんであんな騎士団にいたんだろ私?」
「え、ええ〜」
アリスは予想外の事態に困惑していた。ジャンヌが演技しているのかとも思ったが、それは否定されることになる
『マスター。この方は本当のことしか喋っていませんよ?』
「マジで?」
『はい、脳波を確認していましたが嘘をついていません』
冥土さんは嘘発見器のような機能も付いており、その精度はほぼ百発百中である。
それにしても、これが本心だとするとさっきまでの心の抵抗?はなんだったんだ?
「だ、誰⁉︎」
『あ、申し遅れました。私、マスターのメイドこと冥土さんといいます』
「は、はぁ…?」
ジャンヌはきょとんとしていた
『それよりもマスター。少し面白いことを発見したのですが…』
「ん?なに?」
『ジャンヌ様の意思に何やら他の存在が干渉していた跡があるのです』
「なるほど」
「え?」
アリスは少し考え込むような仕草をするとジャンヌに対し質問をぶつけた
「ねえ、騎士さん君はどうして騎士になろうと思ったんだい?」
「えっと、『神託の儀式』の時ですけ「なにそれ」え?」
アリスとジャンヌは互いに目をパチパチさせた
「えっ『神託の儀式』を知らないんですか⁉︎」
「いや、神託はわかるけど…」
「ほら、神様が『天職』を授けてくれるっていう」
「いや意味がわからん」
アリスは「なんじゃそりゃ」という顔をした
「ちなみに『天職?』はどういったことがわかるの?」
「えっと…」
それからいくつか質問した結果こんなことがわかった
『天職』とは神がその人に最も適したものを与えるということ
この世の中は『天職』が最重要視されており、『天職』による差別もあると(なんじゃそりゃ)
『天職』による恩威はないということ
『天職』には沢山の種類があるということ
「はえ〜」
「ちなみに私は『聖騎士』だったんですよ!」
「そんなドヤっても僕には凄いかどうかはわかんないんだけど?」
「がびーん」
どうやらこの騎士さんの『聖騎士』ものすごいレアらしい
確率でいったら0.0000....何パーセントしか出ない職業で、それが出たら将来が約束されるとか
そして…『天職』の中でも一番強いのは
「もしかして、『勇者』とかあるの?」
「え?もちろんありますよ?最強の『天職』です!」
『勇者』もどうやら『天職』らしい