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あやかし氷室探偵所。  作者: 友坂 悠
エピソードワン。
7/10

月明かりの下で。

 みどりさんらしき人は僕のうしろ手に縛られている紐をごそごそと解いて。


「お願いです。もうここの屋敷には来ないでください。依頼も取り下げられた頃でしょう。何もかも忘れそのまま帰ってもらえませんか?」


 そう、言った。


 僕はなんとか自由になった両手で、ちょっとモタモタとしながらなんとか目隠しを外す。

 頭ぎゅうぎゅうに布が巻かれてたみたいで、ちょっと苦労したけど。

 目が見えるようになった時にはみどりさんはもう居なかった。




 どうしよう?


 ここは、どうやら地下の物置風の場所。窓もない。

 閉じ込められて放置でもされたら、助からなかったかもしれないな、とか思いつつドアを開け目の前の階段を登る。

 時間は、と、ポケットのスマホを探すけどどこかに落としたのか見つからなかった。


 荷物のあった場所にもしかしたらそのままあるかも?

 中庭は、あっちか。


 何処かでぶつけたのか足が痛い。足を引きずりながら外に出ると、月が天空真上にかかった所だった。時間は、たぶんまだ日付変わってないくらいか?


 僕を襲ったのは……、たぶん、みどりさんじゃない。少なくともあの人一人ではない。

 あの人には僕をあそこまで運ぶのはたぶん無理だ。それも、引き摺って運ばれたらしいこの状況では、複数犯とも考えにくい。

 って。

 そもそもなんのために襲われたのか? それがわからない。

 依頼は取り下げたから何もかも忘れてさっさと帰れ?

 って。

 そんなの願い下げだ。


 ここで僕が捜査をする権限なんてもう無いのかも知れないけど、こうして襲われて逃げ出す被害者がすこしくらい屋敷の中探ったってバチは当たらないはず。


 庭に出て、荷物を探したけれど見つからない。

 何処に隠されたのか?

 まさか玄関の門の外に放ってあるとか?

 有り得る、かな。


 みどりさんの台詞を反芻する。

 余計なことを考えずあれを成仏させてくれるだけでよかったものを……って、

 それは僕が何か犯人の嫌がることをしようとした、と、いうことじゃないか?


 だったら。


 答えは一つだ。


 あのミケコの居る場所を掘り返されたく無い人がいるって事だ。




 じゃぁ。


 やってやろうじゃないか!




 見渡す限りの場所に土を掘れるような物は……、あった!


 小さいスコップが花壇の脇に刺さってた。


 月明かりだけが頼りだけどだんだんと目が慣れてきた。僕はスコップを取ると池の向こうに例の場所にしゃがみこみ、地面を掘り始めた。

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