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あやかし氷室探偵所。  作者: 友坂 悠
エピソードワン。
5/10

普通の猫は化け猫になったりしない。

 夕方耕助さんに報告をした後、僕はまたお屋敷に戻って来ていた。

 今度はちょっとラフな格好で。


 庭に簡易テントを張ってその中で待機する。ミケコが現れるのを待つつもり。


 もう夏も終わる。夜は寒いかも?

 ジーンズにTシャツ、一応長袖のパーカーも持ってきた。


 依頼の打ち合わせの時にそう約束をしてたので、戻って来た僕を庭まで案内してくれたみどりさん。


「ミケコちゃんをみたのはどのあたりだったんですか?」

 と、聞いてみる。


「あそこの池の向こう側でした。生前と寸分変わらぬ姿でこっちを見ていたので、ミケコ、と呼んでみたのですが……」


 ああ、やっぱりこの人はミケコは死んだと思ってるんだな。そう思い。


「そのままふうっと居なくなっていました」


「気のせい、とは思われなかったんですか?」


「化けて出たのかとは思いましたよ」


「化けて、ね。何か思い当たる節でも?」


「もしかしたら探して欲しいのかも知れません。あのこは奥様の側に居たかったでしょうから」


 ああ。


 居なくなった原因が何かある。みどりさんはそんな風に考えているのかもしれないな。


 これ以上は口を噤んでしまったみどりさん。夕飯の支度がと奥へ戻って行ってしまった。


 しょうがない。ミケコが現れるのを待つしかないかな。




 日が暮れるのが少し早くなったかな。そう思いながら空を見る。

 とにかくミケコの姿をこの目で見ないことには判断が出来ない。そう思いここで見張ることにしたのだ。


 僕がいたら出てこない、とかいう話だと最悪。

 その場合は別のアプローチでいくしかないんだけど。


 割と猫には好かれるタチだとは思ってる。

 野良猫も僕には姿を見せてくれることもおおい。

 ミケコやーい。出てきておくれ。

 そう願ってじっと庭を見続けた。




 でも。

 いったいミケコに何があったんだろう?

 化けて出たいようなそんな事件があったのだろうか?

 まだ生きているのかもしれないって、そんな可能性も無いではないけど、みどりさんのあのセリフはほんと気になる。


 普通の猫は死んだからって化け猫になったりはしないのだから。

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