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プロローグ『リセット』

スローペースで書きます、よろしくです。





  ―――姫ええええええ!!!!


 黒い騎士が振り降ろす剣を避ける事が出来ず、バッサリと斜めに斬られる姫。走っても手を伸ばしても届かない手は、虚しく空気しか掴めない。


 次こそは、次こそはと何度も同じ『最後』を繰り返し、終わらぬ戦いを数え切れない程経験した。パターンを変えても必ず同じ『最後』を迎える、そして姫が死ぬと強い眩暈と頭痛に襲われ意識を失う。


 もう何度目だろうか、彼女が涙を流しながら死んで行く姿を見るのわ。これも生まれながら持つ『能力』のせいだ、任意でもう一度やり直す事ができる能力。例えば自分が死に直面した時に発動すれば、時間を選んで巻き戻す事が出来る、つまり死を回避して無かった事に出来る。


 それを駆使し何度もやり直して、姫を死から回避させようと努力して来たが、必ず同じ結末が待っていて、死が訪れる最後ばかりが巡ってくる。どうすればいいのか、どうしたら姫は死なずに済むのか……それこそ数え切れない程考えて来た、だが最後はやはり変わらず姫が死んでしまう。


 どこからやり直せばいいのだろう、村から出てから?

 姫と初めて出会う所から? 騎士になった辺りから?

 色々試してきたけど最後は変わらない、もうどうしたらいいのかわからない、一応一つだけ試していない事がある。


 だけどそれをすれば能力自体失うかもしれない、姫と出会わないかもしれない、だからその手段だけはあえて避けていた。でもこのまま何も変わらないのなら、その手を使わないと負の連鎖が続く、もう姫が死ぬ所なんて見たくない、だからやるしかない、全く違う人生が待っていても後悔はしない。


 目をギュッと瞑る、もう目の前で血を流し倒れた姫を見たくない、もう辛いのはごめんだ、これを最後にしたい。次で必ず姫を救ってみせる、大きく息を吸い込み、荒野の中心で大きな声で叫ぶ。




 ―――リセット!!!!!




 すると、突然大きな光に飲み込まれる。身体がフワフワと浮いた感覚に襲われる、これは初めての体験だった、今までは光に包まれると直ぐに意識が無くなった、だが今回は身体が一気に軽くなり、まるで空へ吹き飛ばされるイメージ。


 光も収まり、真っ暗な視界。瞼を開けるのが少し怖い、今回は『全てをやり直す』と言った言葉を頭にイメージし、リセットをした訳だから、どうなっているのか検討が付かない。


 ゆっくりと瞼を開けていく、少しずつ光が入って来る。真っ白な紙に色が付いていくように、目の前に広がった景色は青と緑の二色で統一された。身体もなんだかすごく軽い、一体どの辺の時間にまで戻ったのだろうか、でも全てをやり直しているから、元の自分では無い可能性もある。


 体付きは子供の様だし、今は鏡が無いから顔なんか分からない。この草原の先には街が見える、最初はそこへ行くとしよう。




「姫……ひめ? ひめって……何だったかな」



 待っていてください、必ず貴女を助けます。例え記憶が無くなったとしても、思い出して必ず助けます。



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