↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪の怪人☆お悩み相談室  作者: 四季


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/105

第六十八回 ミニマムーン(1)

 今日は雨。

 それも、結構本格的な雨だ。


 梅雨頃は今年もそれなりに降雨があった。が、夏に入るにつれ徐々に減り、ここしばらくは晴れの日ばかり。そのせいで非常に暑いことになっていた。


 しかし、今日、久しぶりに雨が降った。

 そのおかげで、少しは気温が下がったような気もする。


 もっとも、むわぁ……と広がる蒸し暑さのせいで、快適ではないのだが。


 しかし雨だからといって仕事がなくなるわけではなく。

 僕は今日も、いつもと変わらず『悪の怪人お悩み相談室』へ向かう。



 今日僕が担当する怪人は、とても可愛らしい容姿の怪人だった。


「こ……こんにちは。ぼく、ミニマムーン……よろしくお願いします」


 百センチあるかどうかくらいの低い背で、きな粉をまぶしたおはぎのような顔。体つきは肥え気味で、尻には丸い尻尾がついている。


 ぬいぐるみのような愛らしさだ。


 僕は、可愛いものが凄く好きということはない。が、目の前の怪人の可愛らしさには、心奪われてしまう。

 こんなにも愛らしい怪人、初めてだ。


「ミニマムーンさんですね」

「うん……そう、よろしくお願いします」


 ミニマムーンはペコリとお辞儀をした。


 その動作を目にすると、可愛らしすぎて「可愛いぃぃぃ‼︎」と叫びたくなってしまう。たまらない。


「岩山手と申します。こちらこそよろしくお願いします」

「うん……よろしくお願いします」


 またしても「よろしくお願いします」と言ってきた。


 なんて丁寧なのだろう!

 しかも可愛いし!


 ……おっと、つい冷静さを失ってしまっていた。


「では。どうぞ、そちらの椅子にお座り下さい」

「分かった……座るね」


 ミニマムーンはちょこちょこした頼りない足取りで椅子の方へと歩いてくる。そして、椅子のすぐ近くまで来ると、足を止めた。軽く首を傾げつつ、椅子の脚をじっと見つめている。


「どうかなさいましたか?」


 あまりにじっとしているものだから、何か問題でもあるのかと思い、僕はそう尋ねた。

 すると、ミニマムーンは小さく答える。


「このいす……座れないよ」

「えっ」

「ぼくとどかない……どうしたら、いいかな……?」


 どうやら、背の関係で椅子に座りづらいようだ。


「あっ、すみません。お手伝いしましょうか」

「いいの……?」


 きな粉をまぶしたおはぎのような顔に遠慮の色が浮かぶ。


「はい。ミニマムーンさんがお望みであれば、お体を椅子の高さまで持ち上げさせていただきます」


 ミニマムーンは控えめな性格だ。それゆえ、自分から頼むというのは難しいだろう。となると、こちらから提案する方がスムーズ。


 そんな風に考え、僕は提案した。


 するとミニマムーンは、数秒考えてから「うん……よろしくお願いします」と、小さな声で返してきた。


 その後、僕は両手でミニマムーンの体を抱え上げ、ゆっくり椅子に座らせた。


「……ありがとう」


 椅子に座った後、ミニマムーンがそんな風にお礼を言ってくれたことが、僕はとても嬉しかった。


 いや、僕だからではないだろう。

 こんな可愛らしい怪人に礼を言われて嬉しくない人なんて、そうたくさんはいないはずだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ここまで読んで下さり、ありがとうございます。 ポイント・ブクマなど、いただければ嬉しく思います。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。