冒険の始まりの前説
王様の登場まで少し時間が開くらしい。
RPGに出てくるような洋風な煌びやで豪華な作りに圧倒される。
「いや、作り込みすごいなこれ。予算いくらかけてるん?プレッシャー半端ないやん」
今にも競馬の重賞レースが始まりそうなファンファーレが鳴り響く。
王様が来るのだろう。
「いやーなんか緊張してきたわ」
扉が開く。
後光が凄い。照明ききすぎ。
ようやく光に目が慣れるとそこに立っていたのはさっきの老人だった。
「いや、お前結局王様だったんかい」
「いえ、私なんてそんな大層なもんではありません」
「じゃあ、あんたなに?」
「王様のティアラ置きでございます」
「そんな職業ないわ!仕事選べ」
「ティアラ置きは先祖代々受け継がれてる聖職でございます」
「しょうもない、一族だな」
「私を侮辱するのは構いませんが、我が一族はこの仕事に誇りを持っています。誰にも侮辱させません!この仕事、ティアラ置きを」
「あと、ずっと気になっていたけど、クラウンな!王様の冠はティアラじゃなくてクラウンやから」
「なんにしても、クラウン置きの仕事を馬鹿にしないでください!誇りを持っています!」
「しっかり訂正してるやないか、ティアラ置きの誇りどこ行ったんや!?
で、何しに出てきたの?」
「伝えたい事がありまして」
「何?」
「王様の乗った車が事故渋滞で到着が遅れています」
「世界観!せめて馬車とか言っとき、あほか」