シャンプー事件
木村咲と佐藤灯は仲良しだ。
小さい頃からの幼馴染で小学校から現在の高校まで同じ学校である。
二人はいつも、くだらない話をしている。
咲「ちょっと聞いてほしい話があんだけど」
話し始めたのは咲の方だ。
灯「どうしたの?」
灯が聞く。
咲「この前家でちょっとした事件があったの。シャンプー事件」
木村家で起こったシャンプー事件。
咲「いつも通り私寝る前に風呂入ったの。でまあ最初にいつも頭洗うのよ。だから頭に水ぶっかけんじゃん」
灯「シャワーのことね」
頭に水ぶっかける=シャワー。
灯「表現が荒々しいな」
咲「まあまあまあ。シャワーをガーってぶっかけたの。そしたらこの後事件よ! 事件!」
咲の話すテンションが上がっていく。
咲「なんと…」
灯「なになに」
灯も興味深そうに頷く。
咲「…シャンプーを出したと思ったらリンスだったの」
咲の大事件。
シャンプーじゃなくてリンスだった。
灯「それお前のミスだろ」
呆れたようにツッコむ灯。
咲「いやいや違うの!」
それを必死で首を振り否定する咲。
咲「うちではもう、シャンプー右リンス左って配置で決まってんの。そしたらシャンプー左リンス右の配置に変わってたの」
灯「はあ。そう」
しぶしぶ納得する灯。
咲「こん時(シャンプーを出す時)私すごいボーッとしてたの。いつもやる動きだから。そしたらリンスが一気に出てきたの。でもシャンプーしてないからもったいないけど流したの」
咲が悲しそうに話し終える。
灯「なんで入れ替わってたの?」
咲「結局それは分かんない」
灯「あ、謎のままなんだ」
咲「うん。まあ多分、誰かが落として戻した時に入れ替わったんじゃない?」
灯「だとしたら事件でもなんでもないよ」
こんな感じのくだらない話を二人をいつも話している。
咲「でもシャンプーかと思いきやリンスの衝撃はもはや大事件だったの」
灯「知らねえよ」