howling 1-2
「…何となく予想は出来ますが、提案とは何でしょうか」
「君を生徒会役員にスカウトしたい」
返答は、予想と全く同じだった。
「…理由をお聞かせ願えませんか」
心の中で溜め息をつきながらも、それを表に出す事無く、
サンダーは理由を聞いた。
「何、只の恒例だよ。毎年、その時の主席に生徒会に「連行」する事になっているのさ。
…実にくだらんと思っているがね」
これもほぼ予想通りだった。_____最後の一言を除いては。
「第一、主席入学者が公平な判断を下せるとは限らない」
「それに、任意ではなく強制なのだ。これではまともな人選が出来るはずが無い。
…一応言っておくが、私は君のような亜人や獣人が嫌いという訳では無いからな」
「はあ…」
レティナのペースにすっかり呑み込まれてしまい、サンダーは曖昧な返事をしてしまう。
その様子で自分が少しエキサイトしてしまったのに気付いたのか、レティナは軽い咳払いをすると_____その様子が妙に色っぽかったが、サンダーの意識にはさざ波一つ立てなかった_____話を元に戻した。
すなわち、生徒会勧誘についてである。
「…話が長くなってしまったな。
ここまで話した上で、敢えて聞こう。
生徒会に入る気はあるかい?」
「残念ですが、お断りさせて頂きます」
そして、勧誘に対する答えは当然の如く「否」だった。
「やはりな。そう来ると思っていたよ」
しかし、拒絶されたはずの方は、楽しそうな笑みを浮かべていた。
「では、今日の所はこれで退くとしよう」
「わかりました。それでは、俺はこれで失礼します」
そんな宣戦布告を内に秘めたセリフを常套句で返し、サンダーは中庭を後にした。