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Saga of Dragons Fragments of the Memories  作者: evilplant
chapter1 howling
23/32

howling 3-5

2週間経過しちゃったよごめんなさい!

という訳で1章終了です。

次は人物紹介+閑話(サンダーの過去)です。

「うう……ん」

濃密な闇に覆われた空間で倒れていたローグは、ゆっくりと起き上がって頭を振った。

(……ここはどこだろう)

周りを見渡すが、闇に遮られて何も見えない。

(確か、ソムニスさんを助ける為に、結界に触れて……)

そこまでの記憶はあるが、何故此処に来たのかは分からなかった。

(……そうだ、ソムニスさんは!?)

当初の目標を思い出し、改めて周りを見渡す。


「……私は此処だよ」

急に響いたその声にローグが振り向くと、いつの間にかソムニスが後ろに立っていた。


「こんにちは、ローグ君」


ローグは、彼の姿を見て言葉を失った。

簡単に言うならば、彼は『悪夢』に襲われたような姿をしていた。。

狼の耳は片方喰い千切られ、右目が深い爪跡で潰され、左腕が根元から無い。

そして首から下の面積の少ない露出部分には、白い包帯が巻かれていた。

黒と灰色の毛皮、そして黒一色の髪に、ルビーのように紅い眼。

フード付きローブを着た彼は、自身もまた死神のように見えた。

「……この姿が怖いかい?」

「そんな事ありません!」

その台詞で自分が恐怖していると受け取られた事に気付き、ローグは慌てて否定した。

「……本当に?」

「本当です」

ソムニスは薄く微笑むと、更に問いを投げかけた。

「じゃあ、君は何故ここに来たのかな?」

「……」

若干躊躇うような仕草をした後、ローグはゆっくりと、しかし毅然とした様子で答えた。

「自分勝手な理由ですけど……。

僕は、皆を守る為に、貴方を助けに来ました」

その言葉に頷いたソムニスは、更に問いを投げかけた。

「どうやって仲間を助けるつもりだったんだい?」

「貴方を助ければ、皆で渦斗さんを倒す事が出来るんです」

「自分では出来ないのか?」

「今はまだ……出来ません」

「……では質問を変えよう、狼の長よ。自身の仲間の為に、命を捧げる覚悟はあるか?」

それを聞いたローグは少し俯き、首を横に振った。

「それは……出来ません。だって、生きていなければ皆を助けられないですから」

それでも、とローグは顔を上げた。

「もう守られるだけじゃなく、皆をずっと守りたい。それが僕の願いです!」

その言葉と共に、ローグは光に包まれ狼の獣人へと姿を変えた。


体の表面が緑と白の筋が入った毛皮に、首から上が優しそうな狼の顔になる。

目はソムニスと同じような真紅になり、肩まで伸びた髪は首の後ろで纏められていた。

ローグの変化を見たソムニスは、満足そうに頷いてから口を開いた。

「良いだろう。お前の決意、しかと受け取った」



「それで、ソムニスさん。どうやって此処から出ましょうか」

若干不安そうな顔をしたローグが狼人の姿のままソムニスに尋ねる。

「それなんだがな……。少し、お前の体を借りるぞ」

そう言った後、黒い霧になったソムニスがローグの体に入り込んだ。

浮遊感覚を感じた次の瞬間、体のコントロールがソムニスに移っていた。

ローグは少し慌てたが、自分の意識は体の中にまだ存在している事に気付いてすぐに落ち着きを取り戻した。

『思った通りだ。凄い魔力量だね』

「さっきから気になるんですけど、口調変わってませんか?」

『気にしない気にしない。それより、これなら何とか足りそうだね』

そう言うと、ソムニスは両手を翳して魔力を凝縮し始めた。

ローグが保有する魔力の、かなりの量が変換されて闇の球体を作り出す。

『先に言っておくぞ。これを解き放ったら、お前は暫く動けなくなる。それでもお前は仲間を信じるか?』

「勿論です!」

ソムニスの問い掛けに、間髪入れずローグが答える。

ソムニスは頷くと、最大まで凝縮された魔力を解放した。



放出された闇が晴れると、先程まで封印のあった場所に黒い毛並みの狼人が立っていた。

「ローグ、なのか……?」

白虎がその狼人に近付いて問い掛けると、突然彼は光に包まれ次の瞬間にはローグと同じ色の毛並みに変わって崩れ落ちた。

「おいっ!?」

慌てて白虎が支えると、ローグは荒く息を吐いていた。

「ごめ……ん、白虎。後、は、お願……い」

「分かってる、だから少し休んでろ」

そう言うと、ローグは安心したように微笑む。

「ありがとう、白虎……」

そのまま目を閉じ、眠るように気を失った。



「こんな……こんなはずでは……」

そう呻いている渦斗に近付くと、サンダーは彼に言い放った。

「もう諦めろ、渦斗。お前の計画は此処で潰えた」

渦斗は項垂れると、ガックリと膝をついた。

「そうか……。儂のした事は間違いじゃったのじゃな」

「そうは言わない……ただ、方法が不味かっただけだ。

それに、まだやらなければいけない事が有るんじゃないのか」

「やるべき事……か……」

小さく呟き、彼は顔を上げる。


その時、世界が止まった。


同時に、微かな声が渦斗の頭の中に響いて来た。

「あなた……」


振り向くと、半透明の龍人の女性がそこに立っていた。

渦斗がそれに近付くと、彼女は口を開いた。


「久し振りね、あなた。随分変わってしまったのね」

依桜(いお)……儂は、取り返しのつかないことをしてしまっていたのじゃな」

項垂れる渦斗を、彼女は透ける体で抱き締める。

「大丈夫よ。幸いにも大事には至らなかったから、此処からまたやり直せば良いわ」

「しかし……」

尚も言葉を濁す彼に、依桜は呆れたような、それでいて華やかな笑みを見せた。

「仕方無いわね、全く。

……じゃあ、貴方に1つやって欲しい事があるの」

「やって欲しい事?」

依桜は頷くと、話を続ける。

「そう。やって欲しい事……貴方が為すべき事。

私達の子供達が一人前になるまで見守っていて欲しいの」

「儂に出来るじゃろうか……」

「出来るわよ、貴方なら。じゃあ、お願いね……。

貴方が此方に来るまで、私は待っていますから……」

その台詞を最後に、依桜は光の粒子となって消えた。


はっと気が付くと、心配そうに顔を覗き込んでいる咲耶が目の前に居た。

「おじいちゃん、大丈夫?」

「ああ、大丈夫じゃよ。

……すまんのう、大変なことに付き合わせてしもうて」

ゆっくりと立ち上がると、渦斗はいつの間にか実体化していたソムニスと向き合った。

「すみませぬ、ソムニス殿。貴方様に何とお詫びすれば良いのか……」

「別に良い。過ぎた事だ。

……それより、その堅苦しい口調は止めて欲しいんだけれど」

「は、はあ……」

ふっと微笑みを浮かべ、ソムニスは言葉を続けた。

「それに、謝るならあそこの2人に言ってくれよ。私を助けたのは彼等なんだから」

「……そうじゃの」

そう言って、渦斗はサンダーと気を取り戻したローグの方に向き直った。

「儂は2人に感謝しなければならんな」

「別に良いですよ。それより、依桜さんは何と?」

「咲耶が一人前になるまで面倒を見て欲しいそうじゃ。

全く、あいつは殆どぶれないのう」

「子供の心配はするのに自分の事は疎かにする人でしたからね」

違いない、と渦斗が言い、2人は少しだけ笑った。


神社の前に戻ると、ビル街の方に行っていた面子が待っていた。

「よっ、サンダー。お疲れさん」

サンダーに気付いたファイアが声を掛けて来る。

「一番頑張っていたのはローグだけどな。

それより、『桜華』のギルドメンバーに絡まれたようだが大丈夫……」

「ちょ、ちょっと待って頂戴!それ本当なの!?」

サンダーが最後までセリフを言い終わる前に、咲耶が食ってかかった。

「……ええと、答える前にまずあなたの名前を教えて欲しいんだけど」

ウィンドにそう言われて、咲耶は彼らと自分は初対面だという事を思い出した。

「そ、そうよね。ごめんなさい。

私は葉桜咲耶。ここ葉桜神宮の巫女よ。

_____それで、さっきの話は本当なの?」

「ええ、本当よ。ただ、襲う相手を間違えた、と言うべきかしら」

それだけで、咲耶は彼女達が何をしたのか理解した。

「まさか……『倒し』ちゃった?」

「勿論だぜ。だからここに入らなかったんだけどな。

というか、あいつら倒して良かったのか?」

ファイアの問いに対する答えは、第三者からもたらされた。

「大丈夫ですよ。寧ろ倒して貰って感謝したい位です」

咲耶の後ろから現れたのは、1人の龍人の巫女だった。

咲耶と似ている容姿の彼女は、軽く自己紹介をしてから話題に戻った。

「葉桜 桜宮(さきゅう)と申します。この度は私の父と娘がお世話になりまして。

_____それでその件ですが、この後は私達に預からせてもらえませんか」

「構いません」

彼女の依頼に対してアースが即答する。

「有難うございます。……それから咲耶、後でお話があるから来て頂戴」

「……わかりました、母上」

げんなりとした顔で咲耶が頷くと、桜宮はにっこりと微笑んだ。

「……それでは、俺達はこれで。じゃあな、咲耶」

「ええ、また明日」

咲耶のセリフに少し違和感を覚えつつ、サンダー達は家路についた。



次の日。

「おや、サンダー君。……っと、何だか疲れているようじゃないか」

サンダーに声を掛けたレティナは、彼が少し疲れた様子でいる事に気付いた。

「レティナ先輩……。ええ、少しですが」

実は昨日の影響でサンダー以外全員休みを取っていたのだが、サンダーは彼女にそれを言わないでおく事にした。

「そうか。あまり無理はするんじゃ無いぞ。

それより、水無月先生から君のクラスに神社の巫女がいると聞いたのだが」

実はサンダーはこれを予期していたのだが、敢えてそれをばらすつもりは無かった。

「ええ、いますよ。珍しいですよね、葉桜神宮の巫女がこの学園に来るなんて」

「そうだな。基本的にあちらの業務で手一杯な面があるから仕方ないだろう。_____おっと、話が逸れてしまったな」

改めてサンダーに向き直るレティナ。

何となく、サンダーは嫌な予感がした。


「さて、サンダー君……。今は部活動勧誘期間だ。この意味が分かるかな?」


_____やはり、この学園生活は波乱の日々になりそうだ_____

サンダーは現実逃避気味に、そんな事を考えていた。

今回は無しです。

書いて欲しい事があったら感想欄からどうぞ。

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