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Saga of Dragons Fragments of the Memories  作者: evilplant
chapter1 howling
21/32

howlig 3-3

サンダー一家の女子組は基本的に怒らせると怖いです。

「……スティリア。どうやら全員が妨害を受けているようだぞ」

アースの報告に、スティリアは溜め息をついた。

アクア、スティリア、アース、そして途中で合流したオフィリスとミカゲは、不良冒険者達に道を塞がれていた。

「あ、あの……よけて欲しいんです、けど……」

アクアが相手の様子を気にしながら控えめにお願いする。

「え~、こんな可愛い女の子がいるのに邪魔だって言うんですかあ~?」

わざとらしい口調でシーフの男が答える。

「あらあら。あなた達、『桜華』の団員でしょう?

普段ならこんな事出来ない筈ですよ」

「おお、お姉さん鋭いですな~。

そんなお姉さん、俺達と一緒に遊びません?」

「ふふ、残念だけれど今忙しいの。そっちの方向に行かないといけないのよ」

残念そうな表情を繕ってオフィリスが2回目の依頼をする。

「う~ん、残念ですけどここは対価が必要なんですよ~」

「ちゃんと体で支払う、っていう対価が……ね」

そのセリフで一斉に笑う不良冒険者。

(……不愉快ね)

そろそろスティリアも我慢の限界だった。

見れば、アクアも何時の間にか腰に2振りのロングダガーを吊っている。

「……本当に、そこを避けて貰えないんですか?」

「まあな~。ちゃ()()()必要な対価を払うのなら別だけどな」

アクアのセリフが最後通牒だと気が付かない冒険者は、おちゃらけたように答える。

スティリア達には、それで十分だった。

「うふふ、そうなの……。じゃあ、力ずくで避けて貰うしかないわね」

オフィリスが『カレンデュラ』という銘の長杖(スタッフ)を構えながら微笑む。

「……もう頭に来た!スティリア、殺っちゃうよ!」

態度の豹変したアクアが両手で『アビスリヴァイア』を抜き放つ。

「貴方達が邪魔をしなければ、こんな事にはならなかったのに」

スティリアが細剣(レイピア)の『ソロウコキュートス』を相手に向けて、呟く。

「お前達は相手の格を見破れなかった。

……これは、その報いだ」

最後にアースが『グレイヴヤード』と呼ばれたクローを装備し、相手に宣告した。

「へっ!たかが4人が、俺達に叶う訳」

「それが全員S級冒険者でも?」

アクアの言葉に、その男は「は?」と言うかのような表情で固まる。

そしてその男は、次の瞬間頭を横に落として(・・・・)絶命した。

「あたしはギルド『竜騎士連合』団員、『水紋』のアクア•オルヴァリーシス!」

「同じく『竜騎士連合』団員、『氷獄』のスティリア•グレイシゼル」

「同ギルドマスター、『砕星撃』のアース•グラドアルガ」

「『竜騎士連合』のサブマスター、『深緑樹』のオフィリス•ドラセナシアよ」

全員が名乗り終え、オフィリスが前に出ると、全ての冒険者達が

後ずさった。

「言ったわよね?此処を通るなら対価が必要だ、って。

……それなら、私達は貴方達を生け贄にして此処を通りましょう」

その言葉を聞いた瞬間、冒険者達は自分の体が動かない事に気が付いた。

ある者は足が凍りつき、ある者は何処からともなく生えてきた蔦に足を縛られ、どんなに引っ張っても解放される気配は無い。

「さあ、『お仕置き』を始めましょう……ね?」

そう言って、オフィリスは冷たい笑みを浮かべた。



一方その頃、サンダーは住宅街の上を飛行していた。

背中の翼を羽ばたかせ、猛烈な速度で神樹に向けて疾駆する。

やがて神社の鳥居が見え始めた頃、サンダーはここに来る前に危惧していた物を見つけた。

(やはり……2人共此方に来ていたのか)

ローグと白虎が、鳥居の前で地面から飛び出した縄に縛られ、身動きを取れなくなっていた。

すぐに鳥居の前に辿り着き、2人の前に降り立つと、ローグがびっくりした顔でサンダーを見た。

「サンダーさん、駄目です!早く離れ……」

しかし、その言葉が言い終わる前に、サンダーの足下から縄が飛び出し、あっと言う間に身動きを封じた。

「何やってんだよ、サンダー……」

白虎が呆れたように言うが、サンダーは気にしなかった。

それを仕掛けた張本人が現れたからだ。


「……全く、何でこの頃こんなに侵入者が増えるのかしらね」

大幣を持った龍人の巫女が、数人の巫女と神職を連れて神社の方から歩いて来た。

「……咲耶か。久しぶりだな」

その顔に覚えのあるサンダーは、寂しそうな笑みを浮かべてその巫女に話し掛けた。

「……何よ。あなたなんか知らないわ」

「5歳の時に会った記憶があるのだが……まあ、覚えていないか」

剣呑な口調の咲耶に、サンダーは同じ調子で言葉を返す。

「そっちのお祖母さんは、もう……?」

「亡くなったわ、5年前に。最期まで『サンダー』って子の心配をしていたけど、あなたには関係無いわよ」

「そうか。悪いな……」

悲しそうな顔になるが、サンダーの口調は変わらない。

「……それよりも、まずは自分の心配をしたらどう?今此処で神聖な儀式を行っているんだから、用が無いなら」

「帰ってくれ、か?

……悪いが、それは出来ない。それのせいで困っている奴が居るからな」

その時、急に樹の上から誰かの声が聞こえて来た。

『我の仔等よ、此処から助けておくれ……』

『……!』

頭の中に直接響くその声は、悲しみに満ちていた。

『待っていろ、すぐに助ける』

『おお、竜の子よ……。我を我の半身に戻してくれるのか……?』

『半身、とは?』

その声に向けて、サンダーが問い返す。

それに対して返って来た答えには、流石のサンダーも驚いた。


『エルフの寵愛を受け、狼人に育てられた子だ……。急げ、もう残された時間は少ないぞ……』

その言葉を最後に、それっきり声は聞こえなくなった。

サンダーは時間停止を発動させると、驚いた2人の心境を無視して指示を出した。

「……ローグ、5秒後に束縛を解除するから、一気に樹の上まで登れ」

サンダーの指示に、ローグは少し混乱する。

「えっ?で、でも……」

「良いから行ってくれ。お前にしか出来ない事だ」

だがサンダーのその口調と台詞で理解したローグは、首を縦に振った。

「……分かりました」

それに対してニヤリと笑うと、白虎の方にも指示を飛ばす。

「白虎も一緒に行ってやってくれ。ローグ1人では危険だからな」

「お前の方は……大丈夫か。分かった、任せろ」

それにアイコンタクトで感謝を伝えると、サンダーは前を向き、時間停止を解除した。

(5)

「聞き分けの無い人ね。それなら力ずくで去って貰うわ」

「人の話を鵜呑みにする巫女に言われる筋合いは無いな」

(4)

「何ですって!?」

「まだ気付かないのか?お前達のやっている事が」

(3)

「そんな事位知ってるに決まっているでしょう!!あの邪悪な狼人(・・)を浄化するのよ!」

「……やはり、お前は何も知らないんだな」

(2)

「どういう事……」

「そのままの意味だ。……言われた事を鵜呑みにして、自分での思考を避けた」

(1)

「うっ……」

「ついでに言うとな。……お前の術はただ教えられた事を実戦に使っているだけだ。

俺をそんな術で縛る事など出来ない」


(0)


「こんな風にな」

そう言うと同時に、サンダー達3人の束縛が光と共に消滅した。

後ろに居た巫女が慌てて術を行使しようとするが、次の瞬間そこにはサンダーしか立っていなかった。

慌てて周囲を探すと、樹の真ん中辺りに疾走する2人を見つける。

しかし、それを撃ち落とそうとした神職は、サンダーによって昏倒させられた。

「2人の邪魔はさせない」

「貴方、自分のしている事が分かって……」

「その言葉、そっくり返そう。お前達は今自分が何をしようとしているのか分かるのか?」

「決まっている!あの穢れた狼を浄化するだけだ!」

サンダーは溜め息をつくと、剣を大振りのサバイバルナイフに変えた。

「1つ教えておこう。お前達が今言った『穢れた狼』というのは、神霊族の1人で、夢を司る者、そして全ての狼の頂点_____ナイトメアフェンリルの『ソムニス』その人だ」

手で弄んでいたナイフを向け、サンダーは更に言い放つ。

「あの人がいれば確実に止めただろう、あの人は彼に会った事があるからな」

「そ……それと今のこの状況と何の関係があるのよ!」

「俺は、あの人と約束した。お前が道を外れそうになったら、俺が止めると。

_____さあ、始めよう。言っておくが、手加減などしないからな。『リベレーション•ドラゴンソウル•ホワイトウィンド』!」

その瞬間サンダーが白と黄緑の風に包まれ、近くに居た咲耶達を吹き飛ばした。

咲耶は3リメル程後退しつつも辛うじて転倒を避け、目の前の敵を驚愕の表情で見詰めた。

白く輝く羽毛と翼、そして黄緑色の焦点の無い(・・・・・)目を持つ竜人に変化したサンダーは、右手のサバイバルナイフを咲耶達に向けた。

「2人の邪魔をするなら、容赦しないよ……」

対して咲耶は大幣を構えると、サンダーに向けて言い放った。

「それなら、貴方を倒して進むだけよ!」

一瞬の沈黙の後、2人は相手に飛びかかった。

今回は説明無しです。

思い付いたら書くかもしれないです。

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