Exp0 プロローグ
異世界アイドル物語スタートです!
頭を空っぽにしてお楽しみ下さい!
私の名前は、井之頭口 凜子。
こう見えてもアイドルグループ”StaR☆EnGinE”のメンバーをやっているよ。
ファンの皆からは”リン”って呼ばれているから、そう呼んでね♪
え? 芸名かって? 井之頭口って苗字見て言ったでしょ? 苗字見たからだよね?
本名だよっ!
マネージャーさんが、インパクトある名前はファンの皆に覚えて貰いやすいからって、本名そのまま使ってるんだよぉ……しくしく。
あ、他のメンバー?
メンバーは全員で6人。
私が特に仲のいい娘が2人いて、1人は夢原 ドリィ、愛称は”ドリたん”。
え? 本名かって? 芸名だよっ!
なんで私の本名が芸名になって、”ドリィ”なんてファンシーな名前が本名になるんだよっ!
本名は夢原 由芽ちゃん。
ゆめゆめとか、変なあだ名をつけられて苛められたのが原因で、自分の名前が好きじゃないんだって。
だから芸名を使ってるんだ。口数は少ないけどすごく良い子なんだよー
時々「……ワロス」とか、「……それな」とか、「……超wktk」とか、あまり聞いたことのない言葉をボソッと言うけど……基本的には良い子だよ?
あっ、もう1人仲の良い子は獅堂 風子ちゃん、本名だよ。
芸名か本名か聞かれると思って先手を打ったんだよーだ、ふっふっふ。
あ、風子ちゃんの愛称だね。”フーちゃん”って呼ばれているよ!
運動神経がバツグンで、特に運動量の多いダンスパートはフーちゃんが一番上手いんだ♪
電車で居眠りして営業に遅刻したりする、ちょっとワキが甘いところがあるけど、良い子なんだよ。
え?他の3人のことも教えろって?
気が進まないなぁ……
なんでかって?
それ知ってて聞いてる?あ、知らないんだ……
じゃあ教えるけど、”StaR☆EnGinE”は6人組だけど、ファンのみんなの推しメンは3人に集中してるんです。
もう分かったでしょ?私たち3人は人気のない方なんだよっ!
フロントメンバーかバックメンバーで言うところのバックの方なの!
こういうの、自覚して言うの結構辛いんだからさ、気遣って下さいよね。
それでも他のメンバーの事を聞きたいって?えー嫌だー!
はぁ……分かりましたっ! 気になるんでしょ!? 教える……教えますよォ!
んーとフロントメンバーの写真がこれね。
向かって右側にいるのが、霧島 冴さん、愛称は”冴姉”
メンバー最年長で、東京にある国立の超有名大学に合格した、現役女子大生19歳だよ。
アイドル界の最高頭脳なんて呼ばれていて、クイズ番組なんかでも大活躍。
ちなみに眼鏡はダテ眼鏡だよ。
向かって左側にいるのが、比嘉 ひかりちゃん、愛称は”ひかりん”だよ。
ス タイルバツグンで、グラビアでも活躍しているだ。
何?スリーサイズ? 公式サイトのプロフィール見ればいいじゃない。
何? 今すぐ教えろ? それセクハラだよっ!?
ちょっと、バストとかヒップとか連呼するのやめて!
教えるからっ! 教えるから静かにしろぉーー!
あー、疲れる……
ひかりんのスリーサイズはB:89 W:58 H:87
まだ16歳だから、まだ大きくなるんじゃないかな、胸。
え? 私? 私のスリーサイズ? それ聞くのセクハラだってば!?
公式サイトのプロフィール見るからいいって?見ーるーなー!
B:79 W:57 H:83 って!音読しないでよぉ…………
胸ないの、ほんとコンプレックスなんだよぉ…………
え?最後の1人はって?
えっと、フロントメンバーのセンターをしているのが、輝崎 はるなちゃん。
私と同い年で愛称は”はるにゃ”だよ。年齢?17歳だよ。
はるなちゃんはねー、なんていうかアイドルの輝きっていうのかな?
何をやっても可愛く見えるんだよね。ファンも一番多いよ。
ロシアンたこ焼きで当たりを引いて涙目の時でも、ファンのみんなからカワイイコールされてたからねー。
私のときはどうだったかって?気合コールされたよ、あぅ。
まぁそんな感じでフロントメンバーはフロント同士が仲良くて、バックの私たちはバックのメンバーで程ほどにやってるんだよ。
だって、楽屋が狭いハコでパフォーマンスする時は、フロントとバックで楽屋も分かれるんだよ。
仲良いんじゃなくて程ほどの関係なのかって?
えーと大丈夫、私たち3人ズッ友だよ?多分。
◆
そうそう、それで私たち3人楽屋にいたんだ。
リン、ドリたん、フーちゃんの3人でね。
ちょうど公演が終って、舞台からハケてきた所だったんだ。
パフォーマンスに影響が出ちゃうから、公演中は何も食べてなくて、用意されてた390円(税込)の幕の内弁当を食べようと思ってね、3人で一緒にお箸を割ったのよ。
そしたらお弁当が消えた。
え? 落としてないよ! いくら疲れてても、そこまでプルプルしてないよ!
アイドルだよっ! お年寄りじゃないよっ!?
でね、お弁当がなくなっただけじゃなくて、楽屋だと思ってたところが楽屋じゃなかったのよ。
えーと、白雪姫とかの映画に出てくるような、お城の中っぽいところ。
周りには王様っぽいコスプレした人とか、お姫様っぽいコスプレした人がいてさ。
カボチャズボンの王子様はいなかったけれど。
ドリたんもフーちゃんもキョトンとしてる。
多分私もマヌケな顔をしてたと思う。
私たちは状況を掴めてなかったんだけど、どうも王様っぽい人は違うみたい。
ぐいっと背中を反らせて近づいてきて、私達に言ったんだ。
「おぉ、良くぞお越しくださった異世界の方よ。わが国の勇者として、民をお救い下さい!」
「え?何て言いましたか?」
「勇者殿に、民をお救い下さいと」
「私達その……ゆうしゃ?じゃないですよ?」
「え?」
「えっ?」
王様(仮)は、少し迷ってたみたいだけど、うんうん頷いてからまた聞いて来た。
「勇者殿は異世界で何をされておられたのでしょうかな?」
「え?あの・・・アイドルですけど?」
「は?」
「えっ?」
これが私達3人の・・・アイドルグループ”StaR☆EnGinE”の人気のないほう3人の、異世界召喚だったと分かるのは少し後の話だったり。
「・・・異世界召喚ktkr」
あれ?ドリたん何か言った?