【コント】円周率
実況
「さぁ!いよいよやってまいりました!
世界記録に挑戦!!
今回は円周率10万桁暗唱に挑戦です。」
解説
「円周率10万桁、暗唱できれば当然ギネス記録です。
非常に楽しみですね。」
実況
「今回、円周率暗唱に挑戦するのは、
東京アタフタ大学教授・溝口教授です。
過去、非公式ですが、円周率12万桁の暗唱に成功しています。」
解説
「ここ1週間は円周率のことしか考えてなかったと言ってましたから、
ぜひ、結果に結びつけてほしいですね。」
実況
「本日は溝口教授の挑戦、その序盤戦を2時間生放送でお届けします!
解説は東京アタフタ大学名誉教授の福原謙三さんです。
よろしくお願いします。」
解説
「よろしくお願いします。」
実況
「さぁ、まずは円周率暗唱会場を呼んでみましょう。
リポーターの斎藤さん!」
(暗唱会場)
リポーター
「はい、円周率暗唱会場の斎藤です。
溝口教授、一時間ほど前に現場に到着しました。
現在、会場の真ん中にある椅子に座り、空を見上げまま、
うわ言のように『π・・・π・・・』とつぶやいています。
あまり近づきたくありません。
こちらからは以上です!」
(スタジオ)
実況
「ありがとうございました。
現場から中継でした。
『あまり近づきたくない』とのことでしたが・・・」
解説
「そうですね。
これから円周率を暗唱する人間が、
『π』と言ってしまっては元も子もない気がします。」
実況
「さぁ!まもなく、溝口教授の挑戦が始まります。
立会人2名が会場に現れました!」
解説
「今回は長丁場ですから、
立会人が交代で暗唱の内容を確認していくことになっているんですよ。」
実況
「なるほど。
さぁ、溝口教授、立ち上がりました。
いよいよ円周率10万桁暗唱の挑戦、スタートです!!」
溝口
「では、いきます・・・」
立会人1
「・・・。」
立会人2
「・・・。」
溝口
(ゆっくりと深呼吸・・・)
立会人1
「・・・(見守る)。 」
立会人2
「・・・(見守る)。 」
溝口
「2.14・・・」
立会人1
「終了ー!」
立会人2
「只今の記録、0ケタです!」
実況
「終了しました!
これは意外な結果です!
記録・0ケタ!
この結果、いかがでしょう?」
解説
「意外ですね。
私、正直、もっと行くんじゃないかと思ってました。」
実況
「では、挑戦を終えた溝口教授にインタビューしてみましょう。
暗唱会場の斎藤さん!」
(暗唱会場)
(リポーターの後ろでは、溝口教授が四方八方に
「ド忘れ!ド忘れ!!もう一回やらせて!!」と叫んでいる。)
リポーター
「はい、円周率暗唱会場です。
会場は意外な結果に騒然としています。
それでは、無事円周率暗唱を終えた溝口教授にインタビューしてみましょう。」
溝口
「ド忘れ!ド忘れ!!
飛んでた!記憶、飛んでた!!」
リポーター
「まずはお疲れさまでした。」
溝口
「疲れてない!
全然、疲れてない!!
もう一回やらせて!!」
リポーター
「無事、円周率暗唱を終えた、今の率直な感想は?」
溝口
「無事じゃない!
事故!完全な事故!
お願いだから、もう一回やらせて!!」
リポーター
「この記録、誰に伝えたいですか?」
溝口
「誰にも知られたくない!!
もうヤダよ~!!最悪だよ~!!」
(崩れ落ちる)
リポーター
「こちらからは以上です!」
(スタジオ)
実況
「斎藤リポーターでした。
ありがとうございました。」
解説
「いやぁ、醜かったですね。」
実況
「さて、番組には溝口教授へのFAX/メールが沢山届いています。
いくつかご紹介しましょう。
こちら、山口県のPN「およそ3」さんからです。」
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溝口教授の挑戦、大変残念でした。
テレビの前でワクワクしていたのに、
溝口教授が「2」と言った瞬間、
目玉が飛び出し、アゴが外れ、愕然としました・・・
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解説
「古いアメリカのアニメみたいなリアクションしますね。」
実況
「神奈川県のPN「2ってことはないだろう」さんからです。」
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溝口教授の挑戦、がっかりでした。
家族全員で溝口教授を応援しようとテレビを見ていました。
しかし、溝口教授が「2」と言った瞬間、
家の四方の壁が倒れ、屋根が落ちてくるという
ドリフのコントのようなことになりました。
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解説
「それほど、溝口教授の「2」発言は衝撃的だったんでしょうね。」
実況
「ここで、消防から入った情報です。
溝口教授が「2」と言った瞬間、倒壊した建物は全国で7棟にのぼっています。
今後も強度の弱い建物は倒壊する恐れがあるので、十分警戒してください。
また、全国で合計5名の方が吐き気やめまいなどで病院に運ばれていますが
全員、命に別状はないということです。」
解説
「大惨事になりましたね。
『ただ、円周率を10万桁暗唱したかった』というだけなんですが。」
実況
「さて、溝口教授の挑戦が予定よりも早く終了したため、
放送時間の方、大幅に余ってしまいました。」
解説
「まだ、2時間残ってますね。」
実況
「仕方がないので、お天気カメラで外の様子でも見てみましょう。」
解説
「もう投げやりですね。」
(お天気カメラの映像。
平和な住宅街が写しだされている。)
実況
「あー、平和ですねぇ。」
解説
「何事もなかったかのような風景ですね。」
(次の瞬間、住宅街のうちの一軒が倒壊する。)
解説
「あ、また倒れましたね。」
このコントは僕の手帳のメモ書きにあった「2.14・・・」「終了ー!」という殴り書きから広げた話です。
実況と解説スタイルのコントって、実況が状況を説明して、解説がさらに広げるって形で書きやすいんです。
だから、今後の僕のコントでも、実況と解説スタイルのコントは出てくると思いますが、
またかよ、と言わず、読んでください・・・