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第4話 ゼノンヒューマン

大量の能力とキャラが一気に出てきます。今は無理に覚えなくてもいいです。

 軽く五分ぐらい走ったか。目の前に妙な光景が見える。ここは地下のはずなのにマンションのような場所がある。ここにゼノンヒューマンとやらが住んでいるのか。

 

 花音によると、ここにいるゼノンヒューマンはネット上での募集で集まった人たちらしい。命の危険があるという条件付きで。


 それでも、40人集まった。そのうち10人ぐらいは好奇心で集まったような人だった。そして、皆にゼノンを注入した。二人はショックで死んでしまった。怖くなって5人の男が逃げようとした。能力を使って逃げようとしたのだが、暴発して自滅した。そして、3人の女は恐ろしくなって気絶してしまった。その人たちは偶然別の人が手に入れた記憶操作(メモリチェンジャー)の能力で記憶を消し、地上に返された。  残ったのは30人だった。この中から、戦闘要員として戦える人を残すことにした。15人は断り、15人は残った。断った人たちは記憶操作と更にある人が持っていた消去(イリミネイト)能力で、記憶と能力を消された。


 残った人たちは訓練を重ねながら、戦闘要員として活躍しているという。


 花音が車椅子から降りたので、僕も降りる。そのままマンションらしき建物に入っていく。そして、そのロビーには大きな円卓と十個の椅子、そして6人の男女がいた。彼らがゼノンヒューマンだろうか。


「皆、紹介する。彼はゼノンヒューマンの日向紫苑よ。瞬間移動(テレポーテーション)観念動力(テレキネシス)精神感応(テレパシー)の3つの能力の持ち主よ」


「へぇ、3つも持ってるなんてすげぇな!」


 一人の男が言う。なかなか爽やかそうな青年だ。恐らく同い年だろう。その男は立ち上がると、握手を求めてきた。


「俺は工藤誠一(くどうせいいち)。18歳だ。発火(パイロキネシス)の能力を持ってる。宜しく」


 僕は握手をする。発火ってことは戦闘用の能力なのだろう。


 今度は誠一の隣にいる女が立ち上がって、こちらに歩いてきた。


支倉志乃(はぜくらしの)です。17歳です。千里眼(クレヤボヤンス)の能力者です。宜しくね」


 志乃は笑って自己紹介した。なかなか可愛い娘だ。ショートカットで、スタイルもいい。

 

 志乃に惚れていると、今度は眼鏡をかけた背は小さいがどこか偉そうな男が口を開いた。


「僕の名前は奥村賢吾(おくむらけんご)探知(ディテクション)の能力を持ってます。宜しくお願い

します」


賢吾は眼鏡を押し上げて、足を組んだ。まさに参謀という感じだが、あまり気に入らない男だ。


「俺は尼崎玄(あまざきげん)だ。借力(テッキョン)の能力者だ。宜しく!」


 とんでもなく大柄な男だ。上半身は裸で、物凄い筋肉がついている。借力の持ち主ということはとんでもない馬鹿力を持ってるんだろう。


北瀬麻耶(きたせまや)です。記憶操作(メモリチェンジャー)を使えます。どうぞ宜しく」


 まさに大人といった感じの女性だ。大人かどうかは分からないが…記憶操作ということはさっき花音が言っていた人なのだろう。しかし、かなりグラマーだ。つい胸に目がいってしまい、あわてて目を反らす。


 そして、ここにいる中で最後の一人の男がこちらに歩んできた。見た目からして30は超えている。身長も僕よりかなり高い。


消去(イリミネイト)の能力者。有働健介だ。32歳。宜しく」


 不愛想な感じだ。しかし、かなりの威圧感がある。こんな人もいるのか…先行きが不安になる。


「今はこれだけしかいないけど、後9人ここにいるぜ。思念分析(サイコメトリー)とか治癒(リミッション)とかを使える奴もいるぜ」


 誠一が言う。初対面にしては馴れ馴れしい奴である。が、今まで仲良くしてくれる人がいなかった僕にとっては少し嬉しかった。


「じゃあ、最後に確認しておいて」


 花音が言う。


「あなたは、ここで一生暮らしていく覚悟がありますか。そして、ゼノンを悪用する者たちと戦う覚悟がありますか」


「ああ…あるさ」


 僕は頷く。当然だ。前までの1人だけの面白くも無い生活はしたくないし、もう戻る場所も無い。ここで暮らそう。どんな奴かは知らないが、僕に敵対する奴は全員殺してやる。僕はこの中でも恐らく最強クラス。きっと活躍出来るはずだ。


「じゃ、紫苑くんも立派なゼノンヒューマンになったところで、これを渡さないとね」


 花音はロビーにあった倉庫のような場所から黒くて大きい剣を取り出した。青いエネルギー(ゼノン)が血管のように浮いている。なんとも不気味な剣だ。どうやら重いようで、両手で抱えるように持ってくる。


「はい。これが紫苑くんの武器。異聖剣(ゼノンカリバー)よ。どう?かっこいいでしょ」


 花音が僕に異聖剣を渡してくる。しかし、重い。危うく落とす所だった。


「威力は凄まじいし、振るだけで衝撃波が出るから遠距離戦でも活躍できるよ」


「いや、その前にこんなの振って戦えねぇ。持ってるだけで体力が削がれる」


「あなた、何のための観念動力なの…それを使えばこんな剣、簡単に持ち上げられるでしょ。地震を起こせる程の強さなんだから」


 ああ、そうか。僕の観念動力があって、この剣があればいよいよ最強じゃないか。いつの間にか声を出さずに笑っていた。


「じゃあ、私はゼノロボ組に戻るけど、何か質問は?」


「そういえば、ゼノロボ組はお前以外にもいるのか?」


「勿論。ロボットにロボットが乗るのは流石に変だしね。凄腕の8人のパイロットがいるよ」


「そうか…まあそれだけだ。ありがとう」


 あれ?何故僕はお礼を言っているんだ。そして、何故花音を心配してるんだ。


 花音は手を振って、車椅子に乗って彼女の仲間が待つ場所へと戻っていった。


「じゃ、後は俺たちが案内する番だな。紫苑って言ったっけ?お前の部屋に連れてってやる」


 誠一が笑みを浮かべながら言う。この中だと一番仲良くなれそうな奴だ。暫くこいつに付いていくことにしよう。


 ロビーには三台のエレベーターがあり、僕と誠一は真ん中のエレベーターに乗った。ボタンは10階まであり、誠一は9階を押した。


「お前の部屋は901だ。覚えとけよ。部屋は指紋認証でロックが解除される。いいな」


「ああ。で、お前の能力…発火(パイロキネシス)だっけ?見せてくれよ。自分以外の能力は見たことが無いんだ」


「えぇ?正直、自分も熱いからあんまり使いたく無いんだが…」


「だったら無理にとは言わない。いつか見ることになるだろうし」


 約5秒で9階に着いた。僕らはエレベーターを降り、部屋へと向かった。


「すまんな。しかし、俺はお前の能力を見てみたいぜ。本当に3つも使えるのかな」


「ああ、勿論使え…あ、そういえば能力使えないようにされたままか…」


 部屋の扉の前に着く。


「まあ、敵か味方かも分からないような奴に能力を使われたら困るしな。特にお前の持つ能力は。さ、指紋登録しなよ」


 僕は親指を小型カメラに見せる。ピーと音が鳴り、緑のランプが付くと、扉が開いた。


「なんで僕の能力は困るんだよ」


「そりゃあ、瞬間移動なんて一発でここから抜け出せるし、観念動力は使いようによっちゃこの基地を破壊することだって出来る。精神感応なんか俺たちの秘密とか考えてる計画とかばれちまうだろ?はっきり言って危険すぎる」


 言われてみればそうだ。しかし、そうしたら敵が出てきた時、僕は外に出るはずだ。その時に逃げ出されたらどうするつもりなんだ。


 僕らは部屋に入る。前まで住んでいた家に比べるとかなり狭い。が、最低限の設備は整っており、全て最新鋭だ。荷物という荷物は無いので、異聖剣を棚の上に置いて、大きなベッドに寝転がった。何だかとても疲れている気がする。時計を見る。時刻は既に2時を回っていた。地下だから時間の感覚が分かりにくい。時計を見た瞬間、物凄い眠気に襲われた。


「じゃあ…僕寝るわ」


「お前、こんなことがあってすぐに寝れるのかよ。呑気だなぁ」


「まあな、最初に捕まった時はてっきり殺されるもんかと思ってたし。あまりに扱いがいいから拍子抜けしちまった…」


「へっ、花音からお前の話をお前が来る前に聞いた時はとんでもない奴だと思っていたんだが…何だか仲良くなれそうだな。じゃ、おやすみ」


「ああ…あ、1つ訊いていいか」


「ん?」


 部屋から出て行こうとしていた誠一が振り向く。


「敵は、誰だ。何故お前らと敵対する」


 誠一は少し考えた後、言った。


「ゼノンの力を使って襲ってくる奴は皆、敵だ。そう教えられてきたからな…」


 誠一は部屋の電気を消して、部屋を出た。部屋が真っ暗になった瞬間、僕は眠りに落ちた。



 夢を見た。何が起こっているかは分からない程、ぐちゃぐちゃな夢だ。誰かが戦っているかのような激しい夢だった。



 目覚めた。サイレンの音で。時計は8時を指していた。まだ眠い。重い体をゆっくり起こして、ベッドから降りて伸びをする。すると、誰かがガンガン扉を叩く音が聞こえた。


 扉を開けると、誠一が見たことの無い危機感に満ちた顔で言った。


「ゼノンヒューマンが現れた。大阪の街を氷漬けにしまくっている。早くゼノンスーツに着替えて、異聖剣を持て!」


 僕は言われるがままに、棚に入っていたゼノンスーツを着た。花音がロボットに乗っていた時に着ていた服だ。いつもの黒と血管のような青の配色。


 思ったよりピチピチだ。苦労して着ると、一瞬、大きな衝撃が体に走った。何かが疼く感じだ。もしかして、このスーツはゼノンの力を活性化させるものなのか?


「おい、早くしろよ!」


 誠一の怒声で我に返る。僕は異聖剣を持つ。あれ?何故か前に持った時よりも軽い気がする…


「用意はそれだけだな?ゼノロボ発進場にまで走るぞ!」


「ああ!」


 僕と誠一は部屋から出た。鼓動が速い。


 これが僕の初仕事になるのだ。

次回、紫苑の初仕事をお楽しみに。

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