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第3話 XenoArts

小さい女の子が出てきますが、それは完全に僕の趣味です。

「ここがXenoArts内部よ。どう?すっごい広いでしょ」


「ああ…こんな広い場所、一体どこに…」


「ここは地下よ。だから普通の人は知ることは無い」


 星野花音は再び歩き始めた。僕も続く。


「なあ…頼むから腕の拘束を解いてくれ。歩きにくいったらありゃしない」


「ああ、そうね。どうせ今は能力も使えないんだし外してもいいか」


 そうだ。僕は能力抑制剤も打たれたんだ。花音は懐からポケットレーザー(サイリウムのような物)で縄を切り裂く。やっと手が自由になった。試しに胸に手を当てて瞬間移動(テレポーテーション)をしようとしたが、やはり出来なかった。僕は観念して花音にそのまま付いていく。

 

しかし、かなりの広さだ。人も沢山いる。皆XenoArtsとやらの組織の一員なのだろうか。


「しかし、歩くのは疲れるな。最近あんまり歩いてなかったし。これに乗ろうよ」

 

 廊下の端にあったのはカプセル型の電動車椅子だった。


「これはただの電動車椅子じゃ無いよ。思った場所に自由に行ける。空も軽くなら飛べるしね」


 そう言いながら、花音は車椅子に乗り込む。僕もとりあえず乗った。こんなものに乗ったのは初めてだ。移動は瞬間移動で事足りてたし。


 とりあえず花音の車椅子に付いていくように念じると、勝手に動き出した。なかなか凄い。


 感心していると、車椅子の端に付いているスピーカーから花音の声が聞こえてきた。


「何か訊きたいことなら今答えるよ。何でも言って」


「じゃあ…この組織はいつからあったんだ?」


 少し間が空いてから、返事がくる。


「大体2年前よ。ゼノンエナジーが発見されたのが3年前。私の師匠が見つけ、今までの物質と異なる…ってことで『Xenon』と名付けた。とりあえず師匠の小さな研究所でそれについて調べたわ。ただ、それはとんでもない力を発揮することが分かった。試しにマウスにゼノンを注入したところ、マウスの歩いた所が次々に氷結していった。最初は氷結するだけかと思ってたけど、他のマウスでも実験したら、檻から瞬間移動する個体や、空を飛ぶ個体、発火の能力で藁ごと燃え尽きた個体もいた。つまり、これは様々な能力を発生させる物質だということが分かったのよ」


 3年前…家族が失踪した時期だ。


「じゃあ…僕はゼノンの力で能力が使えるってことなんだな」


「ええ。あなたの存在は、ある人の探知能力で見つけた。しかし、三つも能力を持つ人は初めて見たな。一体どこでその力を?」


 言うべきかどうか迷ったが、今更黙秘するのも変なので、はっきり言う事にした。


「家に青い液体が注射器と一緒にあったから打ったんだ。そしたらこんな力を得て…」


「ああ、やっぱり」


「やっぱりって何だよ!?」


「まあ、それは後々分かるわ」


 釈然としない答えだが、後々分かるというなら黙っておくことにしよう。


「で、どうやってここまで大きな組織に出来たんだ」


「まあ、最初は元々師匠と一緒に研究していた科学者数人で地下に小さい研究室を作った。極秘でね。何しろこのエネルギーは悪用されたりでもしたらかなり危険。研究室の規模をでかくしようにも、信用出来る人だけで研究しようとしてるもんだから難しかった。ただ、ここで凄い発見をした。ゼノンって、機械に入れても凄い反応を起こしたのよ」


「凄い反応?」


「ロボットのくせに、人間のような動き、感情を持つようになった。だから、大量に人型ロボを作ってゼノンを入れ、働かせた。それであっという間に巨大な施設になった。ただ、人間のような感情のせいで扱いにくくもあったけど…」


「どう扱いいにくかったんだよ」


「あなた、一日も休まずにずっと不眠不休で働かされたらどう思う?」


「そりゃあ、そんな会社辞めてやるさ」


「でしょ?ゼノンの力を得たロボットは凄い機動力を得た。そのかわり、仕事も普通のロボットみたいに電池が切れるまで延々やってくれるわけじゃない。一回ストライキだって起こされた。そこが難点よ。ただ、普通のロボットよりも要領はいいから、結果的に工事は早く済んだ。で、今の組織があるわけよ。ここにいるの人の8割はロボットなんだよ」


「ほぉ、そりゃ凄いな」


 僕は素直に感心した。ずっと家にこもりっきりだったからこんな世界があるなんて知らなかった。いや、こんな世界があることを知っているのは、この世のごくわずかな人だけなんだろうけど。


「ここがゼノン研究室。ゼノンについて優秀な科学者たちが研究し続けている」


 花音が車椅子から降りたので、僕も降りることにした。自動ドアが開くと、そこには青と白の明るい色彩の壁紙で囲まれた部屋があった。まさに研究施設という感じだ。中には10人程の人がいた。いや、もしかしたらロボットなのかもしれない。人間と全然見分けがつかない。


 白衣を着たある科学者は、試験管にあの時見た青い液体、ゼノンを入れて色々混ぜたりしていた。また、ある科学者はマウスにゼノンを飲ませていた。すると、そのマウスは突然体が膨らみ、破裂した。檻が血だらけになる。思わず目を反らした。


「本来、1つの個体に1つの能力しか入らないはず。2つ以上入れようとすると、今みたいに破裂したりする。体が本来の限界を超えるんだからね。実際一つの能力を持つだけでも体力が無い人は死んでしまうことがある」


「なんでそんなことが分かる」


「実際、既に実験で2人死んでいる。1人は1つだけで失禁しながら死んだ。1人は強そうな男だったから2つ摂取した。そしたら、体が破裂した。思い出すだけでぞっとするわ」


 想像しただけで気分が悪くなった。ただ、僕は既に沢山人を殺した。何故こんなことで気持ち悪くなってるのか。


「かなりやばい実験してるんだな。お前らもばれたらやばいんじゃないか?」


「ええ、だから仕方なくあなたをここに匿ってるの。ゼノンの存在がばれたら困るからね。さ、次の場所行くよ」


 花音は部屋を出て、また車椅子に乗った。僕も乗って、後に続いた。


「ここはゼノロボ整備室。そのまま戦闘用ロボットの整備室だよ。ここの整備員はほとんどロボットなんだけど…1人だけ本物の人間がいるんだ」


 周りには大量の巨大ロボットがいた。その光景はまさに圧巻。40mを超える程の高さのロボットが10体近くいるのだ。目の前にはさっき遭遇した黒と青のロボット。右にはかなり細身のロボットがいて、左にはとても太いロボットがいる。どのロボットも整備員がそれぞれ10人くらいで整備を行っていた。


 しかし、本物の人間とやらはどこだ。全員人間にしか見えないのだが…


 探していると、奥の方から小さな女の子が駆けてきた。頭にはヘルメットとゴーグルを付け、軍手をはめて、レーザー照射器も持っている。この娘も整備員なのか?


 女の子は花音の元に来ると、元気な声で挨拶した。


「花音さん、おはようございます!こんな所まで来てどうしたんですか?」


「ちょっとこの男にXenoArts内を案内してたんだ。あなた、覚えといて。この娘は『木野(きの)コノハ』。11歳だけど、あらゆるメカニックに詳しい天才よ」


 こんな小さい娘が天才?まあ、大量の男ロボットと一緒に働いてるという事実からそれは認めざるを得なかった。


「そーなんですかっ。宜しくお願いします!…えっと」


「あ、そういえばあなた名前は?」


 言われてみれば名前を教えていない。隠す必要も無いので言う事にした。


「日向紫苑だ」


「紫苑さんですか!コノハって言います!宜しくお願いします!」

 

 凄く元気の良い娘だ。だが、嫌いじゃない。コノハが手を差し伸べて来たので、一応握手をしといた。


「ふーん、紫苑くんって言うんだ。別にどうでもいいけど」


 さらっと酷いことを言われたが…同年代の娘に下の名前で呼ばれたのは初めてだ。少し恥ずかしくなって俯く。


「ここのロボットも全部ゼノンの力を得てるの」


「ってことは、人間の感情を得てるんだろ?危なくないのか?」


「それについてはダイジョーブなんですっ!これを見てください!」


 コノハは作業服のポケットから補聴器のような物を取り出した。


「ゼノンコントローラーって言うんです。これを耳につけてー、ロボットの中の操縦室に入って頭の中で支持を出すだけで、ロボットが思った通りに動くんですっ!凄いでしょ?私が作ったんです!」


「そんな凄い物を作れるのか?こいつは…」


「ええ。だから天才って言ったでしょ。これのおかげで、ゼノンの力を最大限に発揮することが出来るようになったってこと」


 だから、あの時、操縦室に瞬間移動した時に何も無かったのか。それで不意打ちを食らってしまった。まさかそんな技術が存在するなんて思っても見なかった。しかし、1つ疑問が浮かぶ。こんなロボット今まで見たことが無かった。こんな巨大なものが現れるのならニュースぐらいにもなるだろう。だが、それは何かの事情があるのだろう。僕はあえて訊かないことにした。


「さ、次は一番広い部屋、ゼノンヒューマンたちが暮らしている所に行くよ」


「ゼノンヒューマンってことは僕と同じ力を持つヤツらか」


「まあ、持ってる能力は違うけど差し詰めそんなとこかな。あなたもそこで暮らしてもらうことになるけど…皆人間だし、個性豊かなヤツらだから楽しめると思うよ」


「は?何で僕がそこで暮らさなきゃいけないんだ」


 僕は花音の口からさらっと言われた言葉に敏感に反応する。そんなの聞いてないじゃないか。


「当たり前でしょ。さっきも言った通り、ゼノンの力が外部に漏れるのはこちらが困るし、あなたも顔は知れ渡ってんだから、ここにいた方が安全でしょ。利害一致ってわけ」

 

 そう言われると納得だ。それに僕はこういう非日常な生活を望んでいた。どちらも得をするというのなら悪いことではないだろう。


 僕と花音は再び車椅子に乗って、彼らの暮らす場所に向かった。

 


話が凄い中途半端な場所で終わってますが、原稿用紙10枚以内で一つの話を終わらせたいので、違和感の無い場所で一応止めました。


次回は、沢山のゼノンヒューマンが出てきます。お楽しみに。

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