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終わらない物語  作者: 華百合
10/10

クリスマス企画☆偶然の贈り物


 『もし、クリスマスまでにリア充になれてなかったらさ、3人でサビシマス会しようね』

それは、半年ほど前に同期3人組で交わした約束だった。それからたった数日しか経たないうちに、皿池に恋人ができてしまうなんて…。俺は全く、予想もしていなかったんだ。

 

正直、クリスマスなんて、中学のときぐらいから特に気にしてない。もちろん、その時につきあってる人がいた年は、ちゃんとプレゼントをあげたり、ちょっと特別感のあるデートを演出してあげたりはした。あとから文句言われても嫌だからね。

社会人になってからは尚更、意識しなくなった。だいたい平日だし。大学のときからつきあってる彼女は、そのへんの理解がきちんとできている人で、プレゼントを渡すのが多少前後しても喜んで受け取ってくれた。今年はその彼女も、もうそばにはいないんだけどね。

だから今年のクリスマスイブの予定は、仕事だけ。そう思っていた。


                   *


 クリスマスイブ当日の午後のこと。

「阪本くん、先週の会議で営業さんが言ってた資料って、いま持ってる?」

隣の席の皿池が、パーテーションからひょっこりと顔を覗かせた。仕事の後はデートの約束でもしてるのか、いつもよりお洒落してる。ぴったりとしたタートルネックに胸が強調されていて、良からぬ想像をしてしまいそうになるのを必死にセーブしながら、俺は皿池に渡すファイルを探した。

「ほい。これだよ」

「ありがと~!あ、ついでにちょっと聞いてもいい?」

「ん、なにー?」

皿池の質問にあれこれと答えていたら、部長が課長に何やら話しかけているのが聞こえてきた。

どうやら、課長を飲みに誘っているらしかった。クリスマスイブなんだから、勘弁してあげればいいのに…と思ってしまう。イブに上司とサシで飲みに行くなんて…。その話し声は皿池の耳にも入っていたようで、一瞬、彼女は『えっ』という顔をする。

しかし、そこですかさず神谷さんが助っ人に入り、予定のない人みんなで飲みにということになった。神谷さんが参加者を募ると、なんと皿池がすっと手をあげた。それを見て、数名の社員たちがつられて手をあげ始める…。よし、俺も。

「じゃあ、参加者は部長と課長含めて9人ってことで!」

いつもの店、あとで予約しときますね~なんて言いながら、神谷さんは課長に笑いかけていた。

 2人きりではないけど、偶然にも、皿池と一緒にクリスマスイブの夜を過ごせることになった。彼女のことは諦めるべきだって、わかってはいるけど、でも。


神様。頼むから今夜だけ、見逃してよ。


                  ~Fin~

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