8お昼寝最高
で、腕時計を見るともう、11時半になっていた。昨日だってしっかり寝たのにぽかぽか気持ちよくってぐっすり眠り込んじゃった。
巨人も居ないし、おかみさんもいないし。
若干ガッカリしながらも幹に手をかけ、降りてみる。
登った時と同じような抵抗感を感じ、雲を抜ける。
タップリ寝たので元気だ。
で、雲を抜けてから感覚で3mくらい下がった所で地面に足が付いた。
?さっぱりどうなっているのかわからない。
木の真下から上を覗くとずーっと上まで有るような気がするのに、2,3歩離れると3m程度の木にしか見えない。
ま、取り敢えず、ばあちゃんに報告だ。
で、焼きそばにかぼちゃコロッケ、ほうれん草のバター炒めを平らげながら報告。祖父はあっという間にご飯を平らげ、畑に直行してしまったので祖母と2人きりだ。
「一緒に登ってみない?」誘ってみたけれどケラケラ笑って断られた。
ま、そうだよね。
「どうせだったら、本や飲み物を持って行ってのんびりしてきたら?」
祖母は、不思議をなんとも思わない根性でも備わっているのでしょうか。
でも、良い案なので採用することにして、食器を洗い、昨日買った水とお菓子と読みかけの本をかばんに詰め、「行ってきます」の挨拶でまた木に向かう。
一度、登ったらそれきりという訳ではなかったようで、木はそこに存在している。また登り始めると結構な距離感がある。登る時は、遠いのね。
雲に辿り着きそこを抜けると、相変わらずの光景が広がっている。
こりゃ、また寝ちゃうかもしれないな。
水と本を取り出し、かばんを枕にゴロンと寝転んでみる。
絶妙だな。
しばらく推理モノを読み進めて1時間くらい過ぎた頃、かすかな雷鳴が聞こえてきた。
あまりにのどかな風景に似つかわしくない雷鳴、周りを見回しても何も見えない。
聞き間違えたかな。もう一度、ごろ寝した。
「ゴロゴロゴロ・・・」
明らかに先程より近い場所から聞こえてくる。
起き上がってキョロキョロ辺りを見回すと、遠くの方に灰色の小さな雲の塊が空中にプカプカ浮かんでいた。
丁度一塊ぐらい。
雲の赤ちゃん?
小さくゴロゴロ鳴きながら、ゆっくり近づいてくる。
何だか可愛い。雷とか光るのかな。でも、ゴロゴロ鳴っているだけだし。
ゴロゴロしながらその雲の赤ちゃんはゆっくりとこちらに近づいてきた。