プロローグ
楽しんでください
ここは夢の中誰にも邪魔されない。
どんなことをしても、どんなことを言っても許される唯一の場所。
海を漂っているように不安定でそれでも心地よいこの場所で私は願う
ここに私を閉じ込めて
素敵な魔法 、綺麗なドレス 、言葉を話す動物に 、カラフルな花々 、みたこともないようなご馳走 、全部ある。おとぎ話のようなこの世界。
皆と同じ制服も、ありきたりな毎日も、
もういらない。
私を夢に閉じ込めて。
『いいよ』
え?
『あなたの望み叶えてあげる』
あなただれ?
『悪魔、じゃないよ。私はねおとぎ話の門番。』
おとぎ話?
『そうよ。あなた願ったでしょう?おとぎ話のような夢の世界に閉じ込めてって』
そうね
『だから、おとぎ話の世界に連れて行ってあげる。』
本当に?!
『もちろんよ。私はね、あなたの望みをなんでも叶えるために生まれてきたのよ』
私のために?まって、それじゃあ私はおとぎ話の世界に閉じ込められるってこと??
『ええ、そうよ。それがあなたの願いでしょう?一度願ったことを変えることはできないわ。あなたはもう元の世界には戻れないの。』
なにそれ。まさか、ほんとうに願いが叶うなんて思わなかったから…
『悲しいの?元の世界に戻れないのが?
』
いいえ、そんなわけないじゃない。
嬉しくてしょうがないわ!
『でも、もうあなたの家族にも友達にも会えないのよ?』
それがなに?
『なんでもないわ、無駄話だったわね。
さぁ、おとぎ話の世界に行きましょうか』