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楔の花嫁  作者: 如月皇夜
第一章 華物語
9/10

第2話 巫女01

「眼を離すとすぐ問題を起こすとは・・・我が孫ながら情けない」


「・・・・・・申し訳ありません」


「しかも、守護者である彼らにまで迷惑をかけて・・・巫女としての自覚が足りないわね」


「いえ、私達は迷惑とは・・・」


「奈都は黙ってなさい」


「・・・・・・っ」


自分の主を庇おうとした奈都だったが、瑠璃から向けられた凄まじい威圧に、口を閉じた。

あれから瑠花も目を覚まし、一安心していたところに当主からの呼び出しがあり瑠花たち三人は母屋にある現当主の部屋『冬珊瑚の間』にきていた。対面からかれこれ十数分、瑠花と瑠璃の間で冷戦が繰り広げられていた。お互い表情にこそ出ていないが、放たれる威圧は凄まじい。常人にとっては毒になる程のソレは、流石現当主と楔の巫女。傍に控えている守護者達は、その威圧に当てられたのか、皆顔色が悪い。


「今日は離れから出るな、と伝えるように言ってあったはずだけど」


「えぇ、お聞きしました」


「それなのに離れから出るとはね。しかも守護者を唆してまで」


「お言葉ですがお祖母様、私はお飾りの人形でも、素直に従う物でもありません。自分の意思があります。今回も、社の敷地内で息抜きを、と思ったまでです。部屋に閉じ込められたままだと息が詰まりますので」


サラリと嫌味を含めて返す愛孫に、一体誰に似たんだか、と小さく溜息を零す。


「それで言いつけを守らなかった、と。その所為で今回、大事になったようですけど」


「その件については、深く反省しております。その件については、ですが」


刺々しく返す瑠花の表情は無表情に近く、彼女の守護者である2人でも寒気を覚えた。

そんな彼女にも平然とした態度でいられる瑠璃は流石と言うべきか。


「そもそも、何故離れから出てはいけないのか、きちんとした理由をお話にならなかったお祖母様にも非があるのでは?」


「・・・確かに、それは正論だな」


「流矢」


「・・・すまない」


「・・・・・・確かに、流矢の言うとおり、その件については私の配慮が悪かったわ。――・・・この話は、もう少しあなたが成長してから話すつもりだったのだけれど・・・」


そういい、瑠璃がス・・・と瑠花の前に白緑色の小さな宝玉の首飾りを差し出した。


「これは・・・・・・?」


「『神妃の首飾り』・・・これは、あなたが持つべき物。・・・私としては、すぐにでも棄ててしまいたい程、憎たらしい首飾り」


心底嫌そうに顔を顰める祖母を不思議に思いながらも、首飾りを手に取る。

やんわりとした光を放つその首飾りに、瑠花は懐かしいと感じた。


「あなたももう幼児ではないのだし、その件についてはあなたの意志に任せるわ」


「・・・この首飾りと、今回の件はどんな関係なんですか?」


「直接は関係ないわね」


「・・・・・・」


あっさりとそう告げる祖母に、瑠花は微かに殺気を放った。それに気付いた奈都達は内心焦り、流矢達は苦笑いを浮かべた。


「ただ、無関係と言うわけでもない」


「・・・・・・はっきりと仰ってください」


「そうね、はっきりと言っておきましょう」


パチン、と手に持っていた扇を閉じ、瑠璃は真っ直ぐ瑠花を見つめ


「あなたに一部の記憶がないのは、私が封じていたから。理由は、あなたの『楔の巫女』としての力を封じる為」


「やはり、お祖母様でしたか」


「あら、気付いてたの?腕が落ちちゃったかしら」


「気付いたのは今朝ですが、ね。故意に忘却させられるだけの力を持つのは、お祖母様を除いていませんし」


「そう、洞察力は昔に比べ成長はしてるようね。その封印が、解け始めてる・・・そう言えば、賢いあなたには分かるわよね?」


「近いうちに、『楔の巫女』として覚醒する、と」


「そういう事。楔の巫女については昔から口が酸っぱくなるほど教え込んでるから大丈夫よね?」


「えぇ、文字通り、叩き込まれてきましたからね」


昔を思い出したのか、何処かげんなりとした様子で返す瑠花に、瑠璃はニンマリと笑みを浮かべた。




.

遅くなって申し訳ありません!!

少々私生活が忙しくなってきまして、時間があまり取れなくなってきてます。

今後もコレくらいのローペースになってしまうことをご了承いただけたらと思います。

今回から第2話です。

今回は序盤と言う形ですから、何がなんだか分からないと思いますが、2話のテーマは題名通り『巫女』についてです。

『楔の巫女』とは何なのか、それは徐々に明かされていくはず(?)ですので、今後もよろしくお願いします。

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