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第3書 俺には1つの選択肢しか残っていなかった。

「先輩が専属執事······」

 幸次は瞳をキラキラと耀かせながらこちらに熱い視線を送る。

「急に言われてもな······」

「詳しいことを聞いた上で考えてもらっても問題はございませんから」

「······分かりました」

 メルシアは専属執事について詳しく説明をしようとする。

「ここでの話もあれですし、これから貴殿方に住んでいただくホームに行きましょうか」

 そう言うとメルシアは床に向けて魔法陣を展開し始める。

「神から授けられし力で我らを拠点に転移させよ。テレポート!!」

 メルシアの詠唱が終わるとともに俺たちは謎の光に包まれた。気が付くとそこは見知らぬ建物の中で、魔法陣も消滅していた。

「おかえりなさいませ! 勇者様」

「ここは貴殿方の使うホームとなります。屋敷内は十数名のメイドと執事が在中しておりますのでご気軽にお声掛けください······」

「勇者様、お荷物お預かり致します」

「初めまして、今日から勇者様方の身の回りの給仕をやらせていただきます。執事長のウェルター・ログルスと申します。以後お見知りおきを」

 執事長と名乗るものは意志紙たちに深々と頭を下げて、敬意を示した。

「よろしくお願いします······」

「それでは早速ではありますがお部屋へ案内させていただきます」


 柊たちは執事長にされるがままに屋敷内を案内して貰うこととなった。

「こちらがこれから勇者様方が就寝する寝室となります」

 教室ほどの大きさの部屋にとても大きい寝具が1つと本や道具を大量にしまえる棚が1つ置かれていた。

「「オォ~!」」

「勇者様方にはこのようなお部屋を1人1つづつ用意しております。勇者様方はお先にこちらのお部屋でお休みくださいませ」

 柊たちは指定された部屋に持ち合わせていた荷物を置きに部屋の中へ入った。意志紙も同様に自室へ入ろうと角部屋のドアノブに手を触れた時だった。

「聡殿、少々お時間を······」

 ウェルターの声は俺の手を止める。

「どうかしましたか······?」

 俺は静かにある場所に招かれた。

「ここは······?」

 目の前の風景はまさに忘れられた廃墟のような古びさを感じさせる。

「この屋敷のメインキッチンだった場所でございます」

 これがキッチン!? 何十年もほったらかしにされた物置部屋にしか見えないぞ······。

「ウェルターさん、ここまで来て何を······?」

 俺の質問に素早く答えた。

「簡単な研修ですよ」

「簡単な研修とは······?」

「専属執事の研修です。研修と言っても単なる片付け作業ですから気難しく考えなくて大丈夫ですよ」

 研修初日にするような汚れの量には見えないんだが······。

「さすがにこの部屋の中にあるもの全てを片付けるわけではないですよね······?」

 ウェルターは俺に鋭い眼差しを向けながら、笑顔で振る舞う。

「お疲れでしたらお部屋でお休みしていただいてもよろしいですよ。ただし、お休み後即刻この屋敷から退去していただくことになりますが······」

 俺に拒否権はないどころか専属執事にならないと生きていけないということか······。

「ウェルターさん、俺はこれから何をすれば良いんですか?」

「見て分かるようにこの部屋は5年ほど掃除を行っていない部屋となりますから、汚れの除去から始めましょうか」

 そう語るとウェルターは部屋の中にあるシンクの目の前に立ち始めた。

「神聖なる水の女神、我に水の加護をお与えくだされ! ウォーターボール」

 ウェルターが呟く詠唱とともに彼の目の前に球型の水が出現した。

「それが先ほど言っていた魔法······」

「聡殿は魔法を見るのは初めてでしたか」

 ウェルターは俺の手を握り、不思議なものを流す。それはとても温かく、ジワジワと身体全体に浸透していく。

「この体内で感じるのは?」

「それは聡殿の身体に流した私の魔力ですね」

 これが魔力なのか。思っていたよりも動作がリアル過ぎて血管のような物体がドクドクと動いているのを感じる。

「聡殿の身体全体に流れている魔力を手のひらに乗せるようなイメージで集めてみてください」

 ウェルターが教えたように俺は全身に流れる魔力を手のひらに乗せられるだけ乗せるように集めた。

 ······ッポ!

「良いですよ、目を開いてください」

 ウェルターの指示通り俺は力んでいた目を開く。目の前には暖色の丸い球体が浮かんでいた。

「これが魔力······?」

「はい」

 なぜかこの球体には目を惹かれそうになってしまう。

「暖色の魔力ということは聡殿は火や土の魔法が使えるようですね。勇者様方のように聡殿も2属性の魔法を扱えるとは素晴らしい! しかし、困りましたね〜。お掃除には不向きな属性だったようです」

 ウェルターは1階から箒と塵取りを持って戻って来た。

「今回は塵取りと箒で頼みます」

 ウェルターに塵取りと箒を貰い、床に落ちた誇りやゴミを塵取りへ掃いていく。

━━━数時間後。

 全くゴミが減らない······。もう2、3時間くらいはゴミを掃き続けているのに全く減らないんだが!ってか、剣と魔法の世界で俺は何で手作業で汚れた部屋を掃除しているんだ······?

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