ヰ74 本当の価値
少額制のお小遣い程度、千ビった2人の少女、木下藤子と伏木亜理沙は、
渋谷一丸球ビルに入った裸ンジ仝リーショップに居た。
2人は無言で店内を見て回り、不快感のある腰回りが外側に触れないように、心持ち前傾姿勢になって歩いている。
「お探しございますか~~??」
顔を上げると、ギャル風メイクをロリータ系にアレンジした、山姥金髪ヘアの店員が颯爽と現れて、スパンコールのミニスカをきらめかせながら、おのぼりさん少女達の道を塞いだ。
「サイズお出しいたしますよ~」
「あ、はい……」と言って藤子と亜理沙は、満面の笑みを浮かべた店員の顔面圧に気押されて、後ずさりをした。
「あー、これなんかどうっすか~?チー(ズ)皮の限定デザイン。人気ありすぎてあとこの一枚だけっすよ~」
「…あ、いえ……一枚だけじゃ……困るんです。友達もいますから……」と藤子が小さな声で言う。
「え~??て、ことはお揃いで探してるんすか~?マジですかあ?……そういえば、お二人似てますよね?双子かなにかですか~?」
「……あ、いえ、そういうわけじゃ…」
「じゃあこれどうすかー?」と山姥スタッフは、長い爪で売場にある白いノヽº¯ノ〒ィを摘みながら言った。「今流行のレトロスタンダードタイプなんですけどー、どうすか?サイズ出しますよ~。」
「え……白ですか?それ汚れません?」と亜理沙が言う。
「あー、大丈夫っすよ。これ、裏地が最初から黄色いんです。あと裏が赤いのと、茶色いのもありますよ~。凄いでしょ?」と言って店員は布を裏返してみせた。
「……いえ、ちょっとそれは……結構です……。もっと、その、普通なやつはないんですか…」と藤子が言う。
「普通のですか?………じゃ、これならどうです?今年に入ってからの一番のヒットモデル!チョコミント・ノヽº¯ノ〒ィ。ゴム部分がビターチョコ色で、全体はミント色。クロッ千はミントよりも・あ・な・た・色に染めてね♡
これ今自分も履いてるんすよ。サイズお出しいたしましょうか?」
「亜理沙ちゃん、どうする?」と言って藤子が横にいる少女をつつく。
「え?もうなんでもいいよ。私、早く着替えたい……」
「そ、そうだよね。じゃ、店員さん?サイズ出してもらえますか?」
「はい、ただいまーー!!」と言って山姥ギャロリータ店員がミニスカトろジーンズのスパンコールをきらめかせて腰を振りながら事務所へ走っていった。
藤子が「このくらいの値段ならいいよね?」と言う。「いいよ。私も丁度新しいのが欲しかったし。……それにお揃いってなんかイイね!」と亜理沙が笑う。
「そうだね。私達、急に仲良くなったけど、もうずっと前から親友みたいな気分!」と藤子が恥ずかしそうに言うと、亜理沙も「私も!」と飛び付いてきて、クスクスと肩を揺らした。
「はい。どーぞ~、サイズお持ちいたしました~」
頬に星印のシールを貼ったギャロリータ店員がニッコリと笑う。微妙に歯並びが悪いが、色は真っ白で綺麗だった。
2人の少女は、店内の棚に接するように置かれたボックス型のクッションに座ると、
足元に持ってきてもらった布の籠に荷物とダッフルコートを入れた。
「2サイズ持ってきたから、試してみてね~」
藤子と亜理沙は、はーい、と返事をして、その場で黒い才ー八"ー八ºソシを脱ぎ始める。
「じゃ、終わったら呼んでくださーい」と言うと店員は次の客に呼ばれて、トテトテトテ……とそっちへ歩き去っていった。
「うわあ、藤子ちゃん、黒八ºソまで…結構いっちゃってたね…」
言われた藤子は赤い顔をして「ここ暖房暑くない?」と言った。
少しデザインの異なるセーラー服を来た2人のポニーテール少女は、布の籠に入っていた白いビニール袋に、黒八ºソを丸めて入れた。
そして再び、タックの入った紺色のスカートにもぞもぞと手を入れると、亜理沙は黒に小さな兎のプリントが沢山入ったノヽº¯ノ〒ィを出し、藤子はパステルブルーにピンクのストライプの入ったノヽº¯ノ〒ィを引っ張り出して見せ合った。
「うわあ…藤子ちゃん……本当にヤヴァかったのね……結構…な量ね……1万円分くらいはイッてたんじゃない?」「亜理沙ちゃんの方は濃い色であんまり目立たなくていいね。」
「まあ、ちょっとだとしてもやっぱり気持ち悪かったけどね。あ、藤子ちゃん、それ、売り物だから直接履いちゃダメよ。お店の人が用意してくれたノヽº¯ノ〒ィをまず履いてから試着してね。」
「どーですかー?」ギャロリータ店員が腰をフリフリ戻ってくる。
「ちょっと歩いてみるといいすよ~?」
スカートを軽く摘みながら、藤子は通路を少し歩いてみて、「ちょっとゆるいかなあ……」と言った。
「クロッ千の内側に指1本分入るくらいで丁度いいですよー。」
「じゃ、じゃあこれで丁度いいのかな…下にお店のインナーノヽº¯ノ〒ィを履いているから解りにくいかも。」「ちょっと見せてもらっていいですかあ?」「は、はい。」
店員が藤子のスカートを捲り上げ、太もも部分の弛みや、おへそとの距離などを指で引っ張って確認する。
「亜理沙ちゃんはどう?」と藤子が耳を熱くして尋ねると、
「うん。私はこれで大丈夫!」と言ってお腹をぽん、と叩いた。
「これより小さくすると歩きづらいですよぉ?」と店員が言うのを聞いて、藤子も「じゃあ私もこれにします。」と言った。
「お包みしますか~?」
「あ、このまま履いて帰っちゃダメdeathか?」「あ、大丈夫すよ~。じゃあ一度脱いでインナーノヽº¯ノ〒ィをご返却くださ~い。」
2人は一度Note-PCになると、
チョコミント・ノヽº¯ノ〒ィのタグを切ってもらい、改めて履き直した。
「ではお会計、おひとり985円です~。今日履いていたものはお包みしてお持ち帰りになりますかあ?」「は、はい一応。」「このチョコミントの箱可愛いね。」と亜理沙が嬉しそうに言う。
店員は顔色一つ変えず、慣れた手付きで、女子(注)餓鬼臭え汚れたノヽº¯ノ〒ィを、ささっと綺麗にたたみ、ミント色の箱にしまった。
「あ、もし良かったらぁ、ここにある布製品用の防水スプレー買っていかれますかあ??…これかけておくと~、全然持ちが違うんですよぉ?特にお客様にはオススメですよ~!」
藤子はこれ以上ないくらい顔を真っ赤にして、「……は、はい…買っていきます……」と囁くような声で言った。
「ありがとーございま~す!では合計2985円になりま~す!!」
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「……藤子ちゃん?完全に予算オーバーっぽいけど大丈夫?」と亜理沙が心配そうに友人の顔を覗き込む。
「どうしよう……カイトへのプレゼント分、もうお金がないよ……。」
駅前の植木の周りに張られた、手摺型の腰掛けに座りながら、藤子は手に持った買い物袋を見て項垂れていた。
亜理沙は、友人の膝の上を見つめ……、
午前中のコトブキ町でのお店の出来事を思い返していた……。
「ねえ、藤子ちゃん?」
「ん?」
「その、チョコミントのパッケージ、カワイイよね。」
「ん?ああ、そうだね。カワイイね。」
「デパートで買ったチョコの包み紙ともよく合ってるね。」
「?」
「さっきのコトブキ町のショップでさ……あの時はちょっとビックリしたけど、…冷静に考えてみるとさ……あのショップが間違っていたのは……ああいうものを、買い取って知らない人に売ろうとしていたってことだよね。」
亜理沙は慎重に言葉を選びながら、一言一言を区切る度に唾を飲み込みながら言った。
「と、言うと?」
「つまりね。ああいうものをあげると、男の子ってさ………その…やっぱ喜ぶんじゃないかな?」
「え?亜理沙ちゃん、本気で言ってるの?」と藤子は膝の上に乗った紙袋を、胸の前でギュッと抱き締めて言った。
「……心当たりはない?…カイトくんは制服とか好きじゃない?ほら、優しくてカッコいいカイトくんだって男の子だよ?藤子ちゃんのセーラー服姿とか好きじゃなかった?」
ハッ……と、藤子は自分の口を手で押さえた。
……そしてluinの履歴を開く。
21:18(せっかく、うち制服かわいいのにな}
※出典:ヰ3『アンドロイドの好きなもの』より
……かわいいのにな…かわいいのにな…かわいいのにな…
「その顔は…どうやら心当たりがあるみたいですね?」と言って亜理沙が二の腕辺りをツンツンつついてくる。
「で、でも……」
「まだなにか??……もうプレゼントは決まったんじゃないの?……ほら、あなたのその膝の上にあるものはなあに?」
藤子は恐る恐る、チョコミント柄のケースを開き、薄紙に包んでもらった、
水色とピンクのストライプのノヽº¯ノ〒ィを指でそっと開いた。それはしっとりと濡れ、
強いイ更戸斤大を発していた。
「殺気のコトブキ町のショップの相場だと、氵心み亻寸きノヽº¯ノ〒ィは2万円。ゝс の╯I╰亻更は1人、4万円だったから…藤子ちゃんのそれは、少なくとも6万円の価値があるってことよね。」
「え……でも……い、いきなりそんな高価なものをプレゼントしたら…、重い女だと思われて引かれないかな……?」
「大丈夫よ、藤子ちゃん!お金の問題じゃないわ!要は気持ちの問題よ!」と亜理沙が両拳をグーにして、鼻息荒く顔を近付けてくる。
「……それは、安いものをあげる時に言う言葉では……」
「つべこべ言わない!勇気を出して!ガムバれ木下藤子!!」
「……で、でもさ…カイトはこれを貰ってどうするのかな?チョコは食べられるけど、これには使い道なんてないよ……。」
「…まあ、確かに。あ、でも洗濯物を押し付けてさ、『私のノヽº¯ノ〒ィを洗ってください!』ていうメッセージになるんじゃないかな?」
「そ、そ、それは、ほとんど、ぷ、ぷろぽーずになるのでは???」ボフンッと頭から湯気を出した藤子が意識を軽く飛ばしながら叫ぶ。
「まあ、まだバレンタインまで日数があるわ。それまでもう少し考えましょう。藤子ちゃん!私、力になるから!!」
と、亜理沙がそのままギュウゥゥゥ……と湿った手で握ってくる。
「ねえ、亜理沙ちゃん。」と藤子がポツリと言う。
「なあに?」
「……色々ありがと。」
「いいよ。どーってことないから。」
「あのさ、亜理沙ちゃん」
「なあに?」
「お願いがあるんだ」
「へ?なあに?」
「私さ……亜理沙ちゃんとはずー~っと親友だった気がするの……こんなにすぐ仲良くなれるなんて、なんか不思議。…だからさ。今回のこの……出会いを記念して……
…今履いてるチョコミント・ノヽº¯ノ〒ィ、取りかえっこしてくれないかな?」
…………。
「……ダメかな?」
「藤子ちゃん!!」
ガバッと亜理沙は友人の肩に抱き付き、この世への無念同士をぶつけ合った。
「実はね!私もおんなじこと考えてた!藤子ちゃんと同じの買ったしさ、取りかえっこ出来たら素敵だな、って!!」
「…ああ、良かった。断られたらどうしようかって…私……」
「どーしたの?藤子ちゃん?なんで泣いてるのよ?もう!」そう言いながら、亜理沙も涙をポロポロと流し始めていた。
「「うわぁぁぁぁん……、なんか嬉しいよお……心がぽっかぽっかするよお……うわぁぁぁぁん……」」
ゝсの涙……プライスレス。
………
……
ゝсのノヽº¯ノ〒ィ交換。価値、1千億サトシ=1000 BTC。
それは千ビッたお二人さんの尊い友情の証。
さて。おあとがよろしいようで。
『true worth』
今年もライトノーベル賞級のパワーワードを、数多く生み出してきたカレイドスコープ先生ですが、
あなたのお気に入りになったFワードは、ございましたでしょうか?
宜しければ感想などをお聞かせください。
来年はネルネや葉南ちゃんのような強力メンバーがまた活躍しますよー。お楽しみに。評価くださーい。
では良いお年を~




