ヰ115 校正前の会話
漆黒のポニーテールの注)餓鬼臭え木下藤子は、スマホアプリによって管理された通りの時間に、自宅の勉強部屋にある、小さい頃から座り慣れたべんき(ョー)椅子に座っていた。
藤子は、真剣な顔で目の前に貼られた元素記号のポスターを見つめ、最初は目で文字列を追っていたが、そのうちに少しずつ肥を出し始める。
……学習に対して理解を深めるのは、やはり声を出すのが一番いい。声を出そうとせず、詰まってしまうのが一番良くない。
藤子は、出されたお大を確認し、残った気になる点を紙に掻き移した。
日課である勉強椅子に座る時間を終えると、藤子はスッキリした顔で部屋を出ていった。
……カイトが用意してくれたアプリで、勉強部屋に行く時間に規則が設けられたことにより……最近はすこぶる体調もいい。……お肌の調子も過去いちだし、……これはお通じ表も期待出来るわね…。と、藤子は一人で微笑み、
海人からお勧めされていた、『勉強以外でアウトプットする方法』を準備し始めた。
メ(旧ツイスター)を投稿する時の文字数は、無料アカで全角140文字(半角280文字)までだ。
カイトが言うには、その文字数制限を逆手にとり、メ上にその日学んだことを要約、整理することで、学習のアウトプットの訓練になるとのこと。
『#べんき(ョー)垢』で、日々ポストをすれば、強制的にアウトプットの習慣を作れるから、それにより知識の定着が期待出来るし、
後で自分用のデータベースとしても利用できるから、一石二鳥だよ、とカイトは言っていた。
早速毎日取り組んでいるけど、
自分で言うのもなんだけど…さすがJCのべんき《ョー》垢。
亻亻ネ、リポスト、リプライが大変なことになっているわ……。
この習慣によって、より勉強への理解が深まったのうな気がするわ。
……ありがとう、カイト。いつもあなたには助けてもらってばっかりね……。
今回のカイトの助言のおかげで、私も色々と気付かされた…。
と、藤子は考えていた。
今まで私はべんき《ョー》を舐めていた。
そう。以前の私はべんき《ョー》のことを甘くみていたとしか言いようがない。
べんき《ョー》の表層だけを見て、分かったような気がしていただけなのだ。
カイトは私に、…メ(旧ツイスター)で包み隠さずに、べんき《ョー》の音を公開するようにと言った。
勉強垢も鍵をかけずに全開にしたまま、私は勉強ノートに対しても、誰にでもコメントしてもらえるようにした。
……反響は凄まじかった。
特に私の腹臭に対してのコメントが多く、皆がJCの勉強に暖かい言葉を注いでくれた。
「……ねえ、カイト?こうなるって分かっていたの?」
学校の正門前でそう言う私に、カイトは答えずにただ笑ってみせた。
「私、べんき(ョー)がこ面、白いものだと思っていなかった。」
「それはね?木下が勉強を舐めていたからこそ、今になって気付けたことなんだよ。」
「え?それってどういうこと?」
「さあね?あとは自分で考えな。まあ、ただひとつ言えるのは、勉強は詰まらないものではなかっただろ?毎日きちんと行っていれば、困知勉行の賜物で、いつも柔軟に固体を出せるようになるし、勉強が詰まることもない。」
「ウフフ。カイトって難しい言葉をわざと使うの好きよね?コんちべんこウ、ってなあに?」
海人は優しく微笑み、「生まれつきの能力に関係なく、懸命に努力を重ねれば必ず結果に結びつくという意味だよ。」と言う。
「もう!カイトったら!じゃあ私が生まれつきはバカだって言いたいの??」藤子は頬をプウッと膨らませて、海人の背中をポカリと殴った。
「アハハハ……じゃあ、木下は生知安行かな?」
「なによ?また難しい言葉を使って?!せいチあんこウ、ってなによ??」
「……生まれつき楽々と出来ちゃうタイプってこと。まあ、どちらにせよ、今回の木下は凄く努力しているよ。……どうだい?期末はイケそう?」
藤子は、一瞬顔を赤くして俯き、すぐに顔を上げるとこう言った。
「うん…こんなに自信のあるテストは始めてかも……。今朝も試験勉強の範囲に入りきらないくらいに、科目も不特定で、勉強部屋に長居してしまったし。」
「インプットしたものを適度にアウトプットすることが重要だからね。」と海人も嬉しそうに答えた。
「それにね?カイトにアプリでの管理を教えてもらってから、あんまり負荷なく、綺麗に固体を出せるようになったんだ。紙の消費も減って無駄も無くなったのよ。」
「それは良かったね。今度からちゃんと記録を取っておくのもいいかもね。」
「……カイトもそれ見る?」と藤子は小さな声で言った。
「……いや、俺はいいよ。そっちは鍵垢にして、他の友達(女の子)と共有でもすれば?他の子にも木下のやり方を教えてやりなよ。教えることで、また木下自身の理解が更に深まると思うから。」
「分かった。じゃあ亜理沙ちゃんに教えてあげよっかな……」と藤子は、聞き取れないくらいの独り言を呟いた。
「よし。木下。」
「はい!なんでしょーか、センセー!」胸を張った藤子が、ビシッと敬礼する。
「明日、俺が作った模擬試験をやろう。本試験よりも問題数は多いが、…多分これを押さえておけば、満点は間違いないだろう。
……卒業生から多くの過去問を見せてもらったし、経口が読めない時は、非経口から攻めるということも考えてある。まあ、今の木下に非経口攻めは必要なさそうだけどな。」
「……何から何までありがとう……カイト?私……あんなポッと出の編入生達に負けないから……」
「ああ。」
「……でもカイト?正直気になるんだけどさ?カイトが学年1位なのを知っていて、あんな喧嘩を売ってくるなんて……あの人達、相当勉強に自信があるのかしら……」
「それがさ……」と言って海人が愛・不穏をスチャッと取り出す。
「あの金髪メッシュくん、なんか何処かで見たことがあると思って……ちょっと気になって調べてみたんだ……」
「え?カイトは前に会ったって言ってたじゃん?それだけじゃないの?」
「…まあ、あの日お前も会ってたけどな」「記憶にございません。」
「まあ、いいや。それでさ。気になるから調べてみたら…………あの金髪メッシュくん………少し前に世間を騒がせた、カンニング中学生だったんだよ……」
「……………誰?」
「人の噂も7.5日…。あんな大事件も現代社会のスピードだと、一瞬で忘れ去られてしまうのか……。いや、逆か。今はデジタルタトゥーとして75年以上…、下手したら人類が滅ぶまで残ると思うけどな……
え、木下は知らない?あのカンニング事件。」
「知らない」と藤子は言うと、海人の精悍な顔を見返した。
カイト……改めて見るとカッコいい……。
私、ホントにカイトの彼女になれるのかな………。
「彼はさ、少し前のネットで大騒ぎされた、伝説の全教科カンニングのチート魔だよ。SNS上には彼の本名も開示されているけど、人々は通称、チーギュウCheaterって呼んでいたね。」
「牛なの?チーターなの?」「彼は自分のことをジャガーと呼んでくれって言っていたけどね。随分イメチェンして、不良っぽくなってたから、最初気付かなかったよ。」
「じゃあ、今回もカンニングでズルしようって気かしら……」と藤子は顔をしかめながら言った。
「……そうかもしれないね。まあ、でも試験問題でも入手出来なければ、いくらカンニングとは言え、完全な答えを得るのは難しいんじゃないかな。まあ、だから俺の方は、今回、全教科100点を狙うよ。それなら問題ないだろ?」「さすがカイト!……サスカイ、悪態、子はかすがい!」
「……木下、お、お前、呆痴彼女やってないよな………。」「?……なんのこと?……今、こういう『口上』って言うの?女子中高生の間でめちゃくちゃ流行ってるのよ?チックタックとかで。」
……それ、もとネタは尾刀水鳥じゃないのか??呆痴彼女もJCに消費されるようになったか………。
ブームも、もう終焉に近いかもしれないな……。
「オホン。……と、ところでさ、あのもう一人の転入生の三船さんだけどさ?木下はあの子のことをどう思う?」と海人が聞いてきた。
「ど、どう思うって………。」
「いやさ?あの子、多分頭いいだろ?この前ちょっと話してみたんだけどさ」
「…は、話したんだ……」と藤子は、急にショボン……となりながら言う。
「彼女、俺にコラッツ予想はなんでいまだに解けないんだと思う?って聞いてきたんだよ。……これは俺に何かカマをかけてきてるんだな、て思ってさ、逆に何でだと思う?て聞いてみたんだ。」「で、あの子はなんて?」
****************
「私も良く分かってないけど、有限では証明出来るけど、無限では証明が困難なのではないかしら?」と、ネルネは言った。
「……なるほど」と海人が答える。
「ところで救世主?」「メサ…なんだって?」
「貴方は、有毛と無毛のどっちが好みなの?」
「……?……好みと言う意味がよく分からないが、3n+1問題に関しては有限性の証明が本質なんだと理解しているよ。」
「……合格よ。もし、貴方が無毛派であると主張すれば、……この場で警察に通報するところだったわ。では正々堂々と戦いましょう。」
白セーラーの少女は、オホホホ……と高らかに笑うと、ヒョコヒョコと松葉杖を突いて去っていった。
***************
「……で、その『コラはよそう』ってなんなの?今回の試験範囲と何か関係があるの?」
と、漆黒の有毛派、木下藤子は、自分のパソシが、オシリスとアヌビスに若干食い込むのを感じながら聞いた。
「…コラ?ああ、広い意味で公民の範囲と言えるかもしれないね。」と設楽居海人が言う。
「名誉毀損、肖像権、そして著作権侵害。内容によっては刑事責任を問われる非常に重い犯罪だよ。こういったことに限らず、時事的な問題に関しては、いつでもアンテナを張っておかないとね。」
「じゃあさ?ネットミームとかって違法じゃないの?」と藤子が言った。
「ああ。確かに……ミームはグレーだよね。」と海人が答える。「アメリカではね、フェアユース法というのがあって、ミームなんかも『パロディや風刺として新しいメッセージを加える』と判断される場合は、合法になる可能性があるんだ。でも日本ではダメな場合も多いはずだよ?だからコラ画像を見る時は、その違法性を疑ってみないといけないね。」
……私、根っからのMだから、Sのカイトに、『お前なんて勉強ヒマなくせに!』とか、おコラれたり、なじられたりしたら……
……ちょっとキュン、てしちゃうかも……。
そういえばMは就職に不利だって聞いたことがあるけど……。カ、カイトのお嫁さんに就職……。
いや、この考え方は現代だと大炎上ね……。
とにかく今は試験に集中。
シケチュウ、シコチュウ、Oナキン中♡
藤子は、背中を向けた設楽居海人に向けて、心の中で3回投げキッスをすると、真っ赤になって俯いた。
『Unedited conversation』
いつも誤字、脱字、変換間違いが多くてスミマセン!見つける度に後日修正しておりますので、お許しください。




