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仮面の勇者  作者: 偽陥 アニア
仮面の勇者 第一章 神殺編
8/20

仮面の勇者 8

仮面の勇者第8話

異世界人たちとの戦闘、いったいどうなるのか

さぁ、冒険の始まりです。

仮面の勇者8話


:1の最強 1


盛者必衰。諦一最強(ていいち さいごう)はこれを座右の銘にしていた


全てのものはいずれ衰え、弱くなる。己の力も例外なく弱くなっていく、それを最強は小学2年生の時に理解した


「……俺は、世界最強になる」


最強は生まれてわずか7歳で最強を目指した


2


最強は常に強者を求めた


10歳になるまでに剣道や弓道といった武器を使わない武道を全て極めた上に、22歳現在まで引き分けを抜けば無敗という、まさに最強だった


しかし、そんな最強には個人的な難点があった


それは、諦一最強は女である事だ。最強は短髪で筋骨隆々、見た目だけでは絶対に男と思うだろう


異世界召喚された者の中で初手で最強を女と見抜いたのは我弍飛蒼(がにと あおい)死十即破(しと そくは)だけだった


そして最強は男だ女だといった話が大嫌いだ。昔、対戦した男が「女のくせに生意気なんだよ」と言ったところ


その男は完璧に打ちのめされ、心が折れ格闘技界から消えた


3


最強の家族は父、母、妹の4人家族である


父は過去プロレス界で名を轟かせた最強の人間、今は新しくラーメン屋を営んでいるとか


母は昔空手をやっており、段位は黒帯、今は投資家となり大いに稼いでいる


妹はまだ中学2年生の14歳、この歳にして合気道でかなり力をつけている


4


そして、諦一最強は偽名である


本名は「清一才華」(せいいちさいか)しかし、最強は名乗る名を変えた


″諦めない一人の最も強い者″


そういう意味で、最強は名を変えた


父も母も、これに同意し、両親は喜んでいた


5


そんな最強は今、好敵手と呼べるほどの相手と闘っている、その者の名はユール・シャット、最強、君は彼と戦い何を思う?


:最強と勇者 1


「おいおいどうしたぁ! ユール・シャット! こんなモンなのか !?」


さっきから僕は最強の拳を剣で守っているだけだ、この連打をどうにかしないと……


「喰らえ! 螺旋打!」


最強は腕を回しながら風を作り拳を繰り出してくる


「クソッ!」


守り切るので精一杯だ! どうにか打開策を考えないと


マイラかアオイがいれば………


「……おい、ユール・シャット……テメェ、俺じゃねぇ奴のこと考えてんな?」


バレた? いや、違う、この人は戦いが好きな人だ、なら、戦闘中に違うことを考えるのは


「つまんねぇな、テメェ」


戦闘中に他人の事を考えるのは……よくないか


「殺陣打!」


この技、確か防御貫通の技!守れな……


「オラァ!」


僕は後ろに飛ばされる、でも、ガモの言った通り、死にはしない程度だ


「あぁー………負けそ」


2


「おい! ユール・シャット! 早く立て! その煙の中から出てこい!」


出てこいって言われても、痛い上に……今僕は怖いんだよ、あなたの事が


「おい! 死んじゃあいねぇだろ! どうした? ビビってんのか!?」


「ああ、ビビってるよ、怖いよ、あんたと戦うのが、今はすごく怖いよ」


僕は立ち上がる、煙から歩いて出ていく


「でもね、どれだけ怖くても、震えていても、戦うんだ」


僕は……負けるつもりはない!


「勇気はあるみたいだな、でも、今のままじゃ勝てねぇと思うぞ?」


僕は目を閉じて、笑う


「はーっはっはっはっはっはー! 僕を誰だと思っているのさ! ユール・シャット! この世界に巣食う悪を滅し、世界を救う男だ!」


僕はそう言い剣を投げ捨てる


「目には目を歯には歯を………拳には、拳だろ!」


僕は、勇気があるただの人間、本物の勇者なんかじゃない、でも


「それでも、諦めないんだ!」


最強はニッと笑う


「面白ぇ! 剣士が剣を捨てるか!」


「捨てたんじゃない、剣を変えただけさ」


僕は右手を指先まで伸ばし前に突き出し、構える


「豪戦打!」


最強は地面を殴り岩を飛ばす


「さぁ、終わりにしようか!」


僕は剣に見立てた腕を後ろに回す


「ソードオブ……」


そう唱えた時、周囲の時間が遅くなった


「なんだ……これ?」


3


「うぁ、い、痛い」


私、滅七時恋は殴られた


そう! 殴られたんだ! 私は神になる男なのに! だから! 完璧じゃなければ! いけないのに!


「あれは、最強と誰だ?」


最強と剣を持った男が戦っている


「そうだいい事を思いついた」


4


なんだ、あいつ、確か最強に殴り飛ばされた


「滅七ぁ! 邪魔すんじゃねぇ!」


最強がそう叫ぶ


「邪魔? いいえ、違います、これは神の裁きです」


神の裁き? 何を言ってるんだあいつ


そういえば、アオイは滅七の事を完全試合がどうとか言ってたような……


滅七が辺りを見回す、近くの家にいた子どもを連れくる


「最強、この子どもを殺されたくなかったら、チートを私に渡しなさい」


滅七が指をパチンと鳴らし時を動かす


「さぁどうしますか? 子供が死ぬか、あなたがチートを渡すか」


滅七は子どもの頭を掴んでいる、子どもは大泣きしている


最強はため息をついた


「やらねぇよ、それに、そんなガキ1人死んだところで、俺にカンケーねぇし」


それを聞いた滅七は子どもを上に投げてナイフを取り出す


「じゃ、子どもも殺すしかないか」


滅七は子どもに向かってナイフを投げる


僕は、考えるより先に体が動いていた


「ダメに決まってるだろ!」


子どもを助けるために飛んだ、ナイフが胸に刺さる、よかった、心臓の位置じゃない


「おや? 誰かわからない方、なぜ助けたんです?」


なんで助けたって……そんなの


「死んでいい人間なんて、いないだろ!」


僕がそう言うと滅七は笑って言った


「ははははは! 死んでいい人間はいない? そんなわけないだろ! 私の邪魔をする者は死ねばいい! そして、私はあなたが嫌いです」


コイツが、アオイの言ってた滅七……


「そうか、僕もお前が嫌いだ」


:命が大切だからこそ 1


胸に刺さったナイフ、幸い、心臓には当たってない

まだ、子どもが泣いている


「大丈夫、もう泣くな、ほら、あっちに逃げるんだ」


子どもが走って逃げていく


「なんで、ガキ助けた?」


最強が聞いてくる


「だって、子どもだぞ、まだ死ぬべきじゃない」


それに


「それに、死んでいい人間なんていないんだ」


最強にはわからなかった、人の生命の大切さが


「それに何より、僕はサイッコーにカッコいいからさ!」


僕は胸に刺さってたナイフを抜き決めポーズをとる


「カッコいい? ダサいですよ? 人助けなんて」


滅七が僕に向かって言う


「ダサい? ははっ! ダサくて結構!」


僕は剣を持ち直す


「僕は人を助けるたびに、勇気が湧く、心が湧く、強くなれるんだ!」


あぁ、ほんっとに僕は、カッコいい!


「そうですか、では、死んでください」


滅七はナイフを投げてくる


僕はナイフを全て防ぎ、走り、滅七の懐に飛び込む


「アンリミテッド・ソード・オブ・カレィジ!」


刃がひかり、辺り全体が光に包まれる、その瞬間


滅七の服が切り刻まれ滅七は遠くに飛ばされて行く、最後に、滅七は叫んでいた


2


「なぁ、ユール・シャット、なんで、ガキを助けた?」


「ん? さっきも言ったでしょ、死んでいい人間なんていない」


うん、僕のした事は正しいはず、わかんないけど


「人を助けると、強くなれるとも言ってたよな、どういう事だ?」


あぁ、あれか


「簡単だよ、人を助けたらその人から応援される、応援されたら力が湧くだろう? だから、強くなれるんだ」


それを聞いた最強は少し驚いていた


「人から応援されたら、力が湧く……か」


僕は剣を鞘にしまう


「どうする? まだ戦うか……い? って……あ、れ?」


僕はその場に倒れた、ナイフは心臓に刺さっていなかったとはいえ、血は出てるし


あ、これ、ダメなやつかも


「ユール様!」


あ、リゼに、ガモ、マイラ、刄九に勝てたのかな


「仲間が来たみてぇだな……なぁユール・シャット、お前は、自分を強いって思うか?」


最強が聞いてくる


「思わないね、でも、強さは欲しい。みんなを守るためにもね」


最強は……笑っていた


「ははは!そうか、じゃあ、またいつか会おうぜ、ユール・シャット」


そう言い最強は国の壁を越えて去っていった


「ユール! おい! 死ぬなよ!」


ガモがリゼとマイラを背負って走ってくる


「死なないガモ、僕のしぶとさ知ってるだろ?」


3


「そんでユール、滅七はどこ行った?」


ガモに聞かれた


やっべ、どっかに飛ばしちゃった


「まぁテメェが生きてただけで良いけどな」


ガモが優しい! 今日は槍でも降るのかな!


「とりあえずだが、私は魔力が少ないから動けん、ユールもさっき使ったと言うソードオブカレィジの上位互換スキルのせいで動けん」


ナイフで刺されたのもあるけど、さっきの咄嗟に出たスキルのせいでもあるよなぁ


「それに、リゼも結構魔力使っててあんま動けねぇ。俺はまだ動ける、だからアオイの方に行こうと思うが、どうする」


ガモたちの話によると刄九は帰ったらしい、最強も帰ったし、死十はどうだ? アオイかケルが見つけてると良いんだけど……


「よし、俺は滅七を探しにいく、その前にお前たちを安全な場所に運ばねぇとな」


そうガモが言った瞬間、遠くの方で槍が降った



:暗青の血 1


「滅七の野朗、どこ行った」


ガットさんが言う


「アオイ! アオイじゃないか!」


後ろから声をかけられた、この声は


「ケル!」


滅七を飛ばした方向に行く途中、ケルがいた


「アオイ、滅七は見つけたかい?」


「見つけたんだけど、どっか飛ばしちゃった」


そう話していると、遠くの方で何か光った


「あれ、なんだ?」


僕がそう言うと、光の方から人が飛んでくる…あれは……滅七だ!


「ケル、光の方に行って! 多分ユールがいる! 状況を説明してきて!」


「でも、アオイは」


「大丈夫!」


僕はそう言いケルの目を見る


「………うんわかった、死ぬんじゃないよ!」


そう言いケルは走っていく


「よかったのか?」


ガットさんが聞いてくる。


まぁ、刄九の事もあったし、なんか不安なんだよな

そう考えていると、滅七が降ってくる


ドゴーン!


「あ、ああ、ああああ!痛い!」


滅七、あれで生きてんのかよ……こいつも大概やばいな


2


「ああああああああああああああ!!!!!」


滅七が叫んでる


「まずいぞ、ガットさん!」


「わかってらぁ!」


ガットさんが滅七に殴りかかる、僕は仮面をつけて戦闘体制に入った瞬間、周りが動かなくなった


「はぁ、ほんっとうに、面倒くさい」


体が動かない、でも目は動かせるのか


何かできる事は………


「残念ですが、時を止めた間は動けないし、止まってる間は目も見えないし何も聞こえない……って、わかりませんよね」


いや、聞こえてるし見えてる…仮面をつけてるからか?


「さて、まずは、お前からだ! ガット・ワガット!」


そう言って滅七がナイフを振り下ろした瞬間


「あー、やめといたらどうだ?」


そう言い兜をつけた男が滅七のナイフを止め、ガットさんを触った


「っぶねぇ! おいシーニィ! 危なかったぞ!」


「あー、悪い悪い、でもしゃーねぇーって、な」


「な、じゃねぇぞ! 俺の特異体質じゃ時間停止中にちょっと動けるだけなんだからよ!」


シーニィ?まさか!クレリチアで会った、あの、シーニィ・ブラッド!?


「ん? あ!! キョーダイじゃねぇか!」


あ、こっちに気づいた


「んー、どうすっかなー、うーん」


シーニィのやつ、何考えてんだろ


「よし、じゃこうしよう」


シーニィは僕の方に来て耳打ちした


「キョーダイの考えてる通り、滅七の能力は時間操作。なら、必要なモンはわかるよな?」


確かに、滅七の能力は時間操作、でも、必要なものってなんだ?


「キョーダイ、自分の力を過信しろ」


は? 何言ってんだコイツ?


次の瞬間、全てが動き始めた、滅七が時を動かしたんだろう。にしても必要なもの……なんなんだ?


シーニィはどこ見てもいないし……


「アオイ! 上見ろ!」


「え?」


上から、大量の槍が降ってきた


「ははははは! 時間停止中にやらせてもらいましたよ!」


まずいな、これ


3


「はははははは! さぁ! さぁ! さぁ! どうする!」


滅七が笑っている


「アオイ! さっきシーニィと話してたろ! なんかねぇのか!」


なんかそういえば、シーニィが自分の力を過信しろとか言ってたけど


槍を止める力いや、違う、時間関係の何かで………えっと……


「自分の力を過信しろ」


できる……のか?


「さぁ! 蒼! どうする!」


どうすか、やってみるしかない、僕は、僕の力を過信する


「僕は、こうする」


僕は仮面を作り、顔につける


形は空間の仮面と同じ形だが、顔の左側につける仮面で色も空間のと逆だ


「名前は……そうだな、そのまんま[時の仮面]」


その仮面を使った瞬間、あたりの時間が遅くなる、そして右手を上げて言う


「冥龍憑依、ドライサンドラ!」


光の速度で槍を掴み地面に叩き落とし刺していく、そして、時の流れを戻す


時が戻った瞬間、滅七が言う


「は?」


さて、反撃しようか


4


「さぁ、選択しろ、ここで僕に」


「まぁ、また時を戻せば良いですしね」


僕が決め台詞を言いかけた瞬間、滅七がそう言い指を鳴らした……が


「戻んないよ」


僕は時の仮面の力で時間逆行を止めた


「………は?」


びっくりしてるな


ちなみに僕もこんな事ができてめっちゃビックリしてる


「もう一度言うぞ」


僕は銃を取り出し言う


「さぁ、選択しろ、ここで僕に倒されるか、罪を償うか」


滅七は歯軋りをしてる


「ははっ、はははっ! ハァ、私は撤退させてもらいます。それでは」


そう言い滅七は逃げる


「待て!」


そう言った瞬間、化け物が降ってきた


5


上から化け物が降ってきた


腕が4本生えていて、腕が異常に発達していて異常に大きい、首から上は無く肌は白色、肩や足からは苔が生えている


指は4本程度で爪が黒色……


身長は20メートルくらいか、落ちてきたけど地面が壊れてない感じ、あまり体重がなさそう?


「アオイ! ソイツはサンドゴーレム、水魔法と氷魔法しか効かねえ!」


ガモ!? きてくれたのか、それにケルもいる……けど

「ガモは地魔法と自然魔法、ケルは炎魔法と風魔法しか使えない」


そして僕は冥龍憑依は魔力を消費するから、僕にはあまり魔力がない。どうするか


「ガットさん、あのゴーレムって何でできてんの?」


そう聞くとガットさんは答える


「アイツは砂と土だけで作られてる、だから水魔法と氷魔法しか効かない」


なるほどねー


「コイツに勝つの、簡単じゃん」


6


「ガモ! ヘイトを稼ぎながら海の方へ運ぶぞ! ケルとガットさんは通路の確保と人の避難を頼む!」


海の方に運べば水がある……流石にもう滅七はいないか


「わかったぜアオイ、海へ運べば良いんだな?」


「ああ、頼む」


ケルとガットさんは住民の避難をいている


「でもよアオイ、連れてくんじゃ無くて″運ぶ″なんだな?」


「ああ、運ぶ、だ」


このゴーレムのさっきの着地感じからして、重さはほぼ皆無、なら、運べる気がする


「俺は盾を使って運ぶが、アオイはどうすんだ?」


僕は氷魔法で板を作る


「これで」


僕はドヤ顔をした、ちなみにこの板を出してる途中もずっと魔力を消費するので、早く運ばないと


数分後


「よーし、打ち上げるぞ」


僕はそう言いゴーレムを風魔法で上に打ち上げる、3メートルくらいしか飛んでないけど、いけるだろ


「さぁ、運ぶぞ」


運んでいる間、ゴーレムの攻撃はガモのスキルのフルバリアで耐え、周りを攻撃しそうになったらケルが前に出てきてヘイトを稼ぐ


そんな感じで運び、国の壁まで来た


「おいアオイ、どうするこれ」


「あー、どうしよう、考えてなかった」


壊すのは、ダメか、そう思っていると、後ろからガットさんが走ってきた


「まかせろ!」


ガットさんが思いっきり壁を殴り壊す、そして、海が見えた


「え! ガットさん!?」


「壁の事はいい!どうせ作り直す!早く投げ入れろ!」


僕はガモと目を合わせる


「「せーのっ!」」


ゴーレムを海に投げ入れる、ここは少し浅瀬みたいで、遠くに投げたが体の半分ほどしか入っていない

しかも


「あ、あれ? 溶けないの?」


あー、ミスったな、これ


7


「ガットさん、サンドゴーレムって、どんな構造してるの?」


今聞いても遅いと思うけど


「アイツはな、土の外殻に、中にはたっぷりの砂がある、首の部分しか穴がないが、そこから真下に核がある。核を壊せばゴーレムも止まる」


砂か、ケルなら外殻をぶっ壊せるか? あ、でもケルって水が苦手なんだっけ?


いや待て、砂なのか?


あのゴーレム、関節部分の土が伸び縮みしていて、砂が出ないようになってる。なら、いけるかも

いや、でもまた失敗したら…


「アオイ! ブツブツ言ってどうした! 考えてることあんならどんどんやれ!失敗を恐れんな!」


ガモが僕を励ました? 今日は槍でも、って、さっき降ったな


「ありがとうガモ、勇気が湧いてきたぜ!」


僕がそう言うとガモが笑って言う


「アオイ、お前、ユールみたいになってきたな」


僕は、ユールみたいな勇者じゃないけど


できる、そう信じれば、何だってやれる!


「ガットさん! ゴーレムの核ってどんぐらいの重さ? 中に空気とかは入ってる?」


そう聞くとガットさんは壊れた壁の前で腕を組んでゴーレムを見ていた


「あのゴーレムの核は確か、中身のない樽くらいの重さだ、大きさは10センチくらいの赤い玉、魔力が大量に入ってる」


なるほど、なら、いけるかもしれない!


「ガモ! 僕をゴーレムの方へ飛ばしてくれ!」


ガモはニッと笑い応える


「おう! 言ってこい!」


僕はゴーレムの方へ飛んでいく、冥龍憑依の力で飛距離は伸びたが、目的の首までは一歩届かず、ゴーレムの胸の辺りにきた


「まぁ、いいか!」


そう言い僕はゴーレム胸に拳を叩きつけ、穴を開けその中に手を突っ込み、魔法を使い空気を発生させる


「さぁ、これが流動だ、とくと味わえよ」


この前、朽六と手合わせした時にやったの、思い出せてよかった!


けど…


「どうやって核、取りに行こう」


そう考えていると


「おいおいお前、オレがいるだろ!」


声の方を見ると、ちっこい龍が、ナノがいた


「いたのかナノ!った、龍というより少しデカいトカゲが」


「おいテメェ!うるさいぞ!」


コイツ、いつもどっかほっつき歩いて、今度縄でも括りつけよっかな


「よし、ナノ、多分上に赤い球があるから、壊してきてくれ、今ゴーレムから手抜いたら砂出ちゃうし」


ナノはよかったぁ、オレ、活躍したかったしなぁ、とか言ってる


「よっしゃ待ってろ!赤い球壊せばいいんだな!」


「ああ、頼むぞ」


そう言うと、一瞬でゴーレムの上まで行って、赤い球を持って帰ってきた


「いや、壊してこいよ」


そう手で突っ込んだ瞬間、ナノはやられたフリをして大きく口を開けた、その口の中に、ゴーレムの核が入ってしまった


「ん? んんー。ゴクン」


ゴーレムが固まり、灰になっていく、僕は、口を開けて驚いたまま、固まってる、ナノも固まってる


「お、おま、お前、ばかー!」


「あ、ああ、オレのばかー!」


2人で慌ててると壊れた壁の方からガモが言う


「おいお前ら! ゴーレム崩れるぞ! 早く戻って来い!」


でも、僕は慌てすぎてその声が聞こえてなかった、上から、ゴーレムの腕の一本が落ちてきて、僕とナノは海に落とされた


:終戦の鐘


数時間後


「「いやー、何とか助かった!」」


僕とナノは泳いできたガモに助けられ、今は壊れた壁の前にいる


「お前たち、ふざけるなよ、危うく死にかけてたんだぞ、お前たち」


ガモから聞いた話だと


あの後、ゴーレムは完全に灰になって、消えたらしい


異世界人はどの港に行っても目撃情報が無くどこに行ったかは、わからないと言う


今回、幸いにも亡くなった人はいなかったが、国の建物が大きく壊れてしまった


「民家や建物を壊してしまい本当にすみませんでした」


僕はガットさんにそう謝ったが


「ん? んー、まぁ気にすんな、人が生きてりゃ大丈夫さ」


そう言い笑っていた。修理費を出すとも言ったけど、それは断られた


「まぁそれより、お前たちはこの国の英雄だ、ぜひ城に招待したい。そうだな、来週の土曜日と日曜日に祭りがあるんだ、土曜日の朝に来い、いいな?」


うん、個人的には行きたくない


「まぁ祭りまで、観光しててくれや!この国をな」


ガットさんが去っていく。本当に国王だったのか

周りを見ると、もう夕方だった


「アオイ様! それにガモ様とケル様も、お怪我はありませんか?」


あ、リゼがユールとユールを浮かせて持ってきてる


「あぁリゼ、僕は大丈夫だよ。ガモは何回か攻撃喰らってたけど……」


「あんなんへでもねぇぜ」


やっぱり強いな、ガモは


その時、目を覚ましたユールが言った


「……はっ! 覚醒した! ………よし、みんな、生きているね。うん、僕たちの勝利だ!」


その時、国の鐘が鳴った、時計塔を見ると、午後6時を指している


こんなに長い時間戦ってたんだなぁ、僕たち


:7の失踪


あぁ、クソッ、クソッ、クソッ!


考えれば考えるほど嫌になる


僕は神になる男だぞ! そんな崇高な存在に反抗するとは、なんて蛮行なんだ!


「ん? にいちゃんどうしたんだい? 辛そうだが? 助けはいるか?」


なんだコイツ? 農夫か? ああ、いつの間にか、こんなとこに来ていたのか


「ほらにいちゃん、大丈夫だ、何があったかは知らないが、きっと、よくなるさ」


大丈夫? きっと良くなる?


ああ、そうだ、良くなる! 全部良くなる! アイツさえ、アイツさえいなければ!


我弍飛蒼!


「にいちゃん?ブツブツ言って、どうし」


「黙れ」


次の瞬間、農夫の体が左右にに真っ二つに切断される


それを見た村の人が悲鳴を上げる


「ああ、まずは、全部消すとこから始めよう」


その日、滅七はその村の人間を、子どもも老人も皆殺しにして


死体を村の周りに置き、それに釣られた人たちを殺していった


「ああ、そうさ、だって私は、神だから」



:冥龍についての云々 1


「なぁナノ、冥龍って何なの?」


僕は、お祭りがある日まで暇だったから、宿屋にいる時に何と無く聞いてみた


「あ、そういやオレ説明してなかったな、ドライサンドラも説明しない時あるし、よっしゃ説明するか!」


そう言いナノは向かい側の椅子に座……いや、飛んでるなコイツ


「冥龍っつうのを知るには、まず3つのことを覚えておかなくちゃならない」


ほんほん、なるほどね


「1つ目、冥龍は現在この世界に4体いると言うこと、2つ目、冥龍の力は試練以外では手に入れられないこと、3つ目、冥龍の力は大きく分けて3種類あると言うこと」


なるほどなるほどー。ナノはまだちゃんとした冥龍じゃないってドライサンドラが言ってたから、コイツを含まないで4体か


「4体の名は知ってるぞ、試練の内容は知らないけどな。後、冥龍の力の種類も知ってる」


「じゃあ、まず名前から知りたいな」


「ほい来た、任せとけぇ!」


なんかナノ、上機嫌だな


2


「まず1龍目、雷光冥龍ドライサンドラ、まぁお前も良く知ってるだろ。雷と光魔法が得意で、冥龍一速い龍だ!そんで体は黄色と白色」


なるほど、スピードタイプか、まぁちょっと戦ったけど、見えなかったし


「そんでもって、ドライサンドラは冥龍の中で一番難しいところなんだぞ」


なるほど……まぁ確かに難しかったな


「尚、ドライサンドラはメスです」


へぇ、そうなんだ、あんま興味ないな


何でナノはこんなドヤ顔してるんだよ、ウチのママ美人でしょーとでも言いたそうな顔だな!


「あれ? そういえば、ナノってドライサンドラの子なの?」


「お? 違うぞ? オレは虚空、闇から生まれた龍だからな、冥龍にはいない属性さ」


そうなんだ……親がいないってのは、少し親近感が湧くな


「あ、同情はすんなよ、イッチバン嫌いだからな、同情は」


うん、やっぱり僕と似てるな、コイツ


「僕も同情は嫌いだな」


いや、コイツと似てるなんて認めたくない


「ほんじゃ次の冥龍を発表シマース!」


「お願いシマース!」


「地水冥龍ウォルドルマ!地と水魔法が得意で防御に優れた龍だ!四足歩行で口がデカい!穴掘ったり泳いだりするのが得意、顔はカエルみたいな感じだな。体は紫と青色」


カエルみたいな感じって……でもなるほど、そう言うことを聞けるのはいいかもな、会った時の対策にもなるし


「ちなみにウォルドルマは冥龍の試練の中で一番簡単だ。あと、コイツもメスだ」


ふーん一番簡単か……防御に優れてるって言ってたし、あんまり攻撃とかしてこないのかもな


「さて次の冥龍はー!」


「ドドドドド、ドーン!」


「の前にきゅーけー」


えぇぇぇーーーー


3


「次の冥龍はー!」


きゅーけーと言われ、お菓子を食べてた時に突然言い出した。………休憩は?


「氷木冥龍アイスリー!まぁ名前の通り氷と自然系の魔法が得意で、物理攻撃が得意だな。アイスリーは形はドライサンドラに似てるけど二足歩行、体の色は水色と緑色だ」


物理攻撃タイプか、でも氷と木なら炎で簡単に倒せそうだな


「お前、今、炎魔法で倒せるなって思ったろ?」


「うん、まぁ、氷と木ならいけそうだなって」


「実はな、アイスリーは炎無効体質なんだよ」


は!? ズル!


「だから、冥龍の試練の中で一番強いんだよ。あ、ちなみにアイスリーもメスだよ」


一番強い……まぁ弱点を補える体質ってだけでだいぶ強いしな


それにドライサンドラは難しいってだけで、1番強いってわけじゃないしな


「さぁ!お次の冥龍はめっちゃカッコいいぞ!」


「おお!どんな冥龍なんだ!」


「炎風冥龍フラグウィン! 炎と風を巧みに操る魔の奇術師! 腕は無いが羽で飛ぶ、まさに天空の覇者! 赤き翼に黄色の模様! その姿はまさに不死鳥!」


おおー! 言い方が一番気合い入ってるな、この冥龍


「そんなにカッコよく紹介してるけど、なんか思い入れでもあるのか?」


僕がそう聞くとナノは鼻を擦って言う


「まぁ、オレの、憧れでもある龍だしな。あ、でも、他のみんなも尊敬してるんだぜ、ウォルドルマは頭いいし、アイスリーは強いし、ドライサンドラは優しいし」


ナノ、みんなのことが好きなんだなぁ


て事は、ナノ、全部の冥龍に会ったことあるのか


「まぁ一番かっこいいのはフラグウィンだけどな!あ、ちなみにフラグウィンもメスだよ」


冥龍全員メスかよ! いや、悪いわけじゃ無いけど!


「なるほどな、でもこれで全員か、いろいろ知れたな」


僕がそう言うと、ナノが言う


「おいおいー、誰か忘れちゃいねぇかぁ?」


あ、コイツ、自分のこと言いたいのか


「闇に隠れる漆黒の体、月のように明るく光る金色の瞳、鋭い爪と牙は鋼さえも打ち砕く、夜の支配者を知ってるか?天に轟く闇の翼!闇翼冥龍ダカルナノア!」


コイツ、厨二病だ……


「えっとーちなみみにダカルナノアさんは何をなされてるお方で?」


「え? 冥龍見習い」


コイツ……自分で自分の事を冥龍だとかほざいておきながら、よくも……


「まっ、オレが冥龍になったら、こう名乗るって事だ!」


「いや、やめとけ、絶対。後悔するぞ」


「えーそんなー、アオイのい・け・ずぅー」


「おいナノ、何気に初めての名前呼びがこんなとこで使われるなんて誰も願っちゃいないぞ」


「え?あぁ、じゃあアオって呼ぶわ」


えぇー


まぁ、いっか


「よろしくな、ナノ」


「え? 急に何? キモチワルイんですけど」


「よっしゃあ! テメェ、ブッ殺ぉす!」


「おお! やんのか! アオイ!」


その後、軽く殴り合った


4


「さて、次に冥龍の力の種類についてだ」


次にって言ってるけど、さっきの話からもう2時間も過ぎてるんだよ


「冥龍の力は召喚方、上昇方、憑依方の3つがある。アオイは憑依方だな」


なるほど、上昇方が少しわからないな


「まず召喚方だけど、これはそのまま、冥龍を召喚するんだ」


「え? じゃあドライサンドラとか普通に呼べちゃうわけ?」


そう聞くとナノは咳払いをし、フッフーンと言った


「実はな、召喚した冥龍はその冥龍の分身体で、力は約100分の1程度になるのだー! あ、ちなみに召喚する人が強ければ分身体も多少強くはなるぞ」


なるほど、召喚方のメリットは2人で戦えるとか、そんなところか


「ちなみに、大抵の奴は召喚方だな冥龍の試練を突破した人の8割くらい」


じゃあ、一般的には召喚なんだ


「次に憑依方だけど、これもそのまんまなんだけど、アオイ、お前の憑依がちょっとおかしいんだよな」


「おかしい?」


なんかおかしいところあったっけ?


あ、右足しか装備がついてないついてないってことか?


「たぶん、考えてる通り、お前の憑依は体全体じゃ無く右足だけなんだよ。それに、憑依すると、性格も変わるのに、お前は変わってない」


なるほど、それがおかしい点か


「ま、オレがわかんないんだし、たぶん知ってるのは冥龍のみんなぐらいだと思うよ」


なるほどなぁー


「じゃ、次は上昇方だな、これは、例えばドライサンドラなら速さが上がるし、フラグウィンなら、魔法の力が上がる……ってあれ? アオイの憑依もそんな感じだよな? あれ?」


ん? 憑依したらそのステータスも上がるんじゃ無いのか?


「アオイ、憑依方はな、速さとか上がらないんだよ、その憑依中の冥龍の魔法が使えるってだけ、それに上昇方は装備なんてつかないし……あれ? オレ、わかんないや」


ナノでもわからないとなると、もう冥龍に聞くしかないよな、マイラも冥龍の事は6割ほどしか知らんって言ってたし


「ま、保留って事だな」


ナノもそれで納得してくれた


まぁまたいつか、冥龍に会う機会があれば聞いてみるか



:旅の経路


「さてみんな!明日が祭りだからって浮かれている所悪いが、次に行く国を決めよう!」


次の経路、行く国としては水の国ワランと氷の国シルファンがある


「うーん、アタシはシルファンに行きたいね! アタシ、寒いとこは苦手だから、早めに行っておきたいんだよねぇ」


なるほど、ケルは苦手なところには行かないじゃなくて早めに行くタイプなのか


「私も、シルファンがいいな」


「へぇ、理由は?」


そうユールが聞くと、マイラは回答を濁した


「ま、俺はみんなの行きたいところでいいぜ」


やっぱりガモはそうだよなぁ


「僕は……どっちでもいいかなぁ」


「アオイ! どっちでもいいが一番困るんだよねぇ!」


ケルは怒ってるわけじゃない、けど、圧が……


あ、そういえば、朽六のやつ、シルファンにいるって言ってたな、じゃあ


「あの、私、シルファンに行きたいです!」


リゼが珍しく手を挙げて声を大にして言った


「あの、昔、お世話になった人がいて」


なるほど、なら、やっぱりシルファンがいいな


「オレもいいと思うぜー」


ナノも混ざってきたし、まぁシルファンに行くのは確定かな


「やった! シルファンに行くのか!? 行くよな! なぁ!」


マイラが騒いでる、どうした?


「あぁアオイ、そりゃ驚くよね、マイラってばお酒に目が無くてさ、僕も最初見た時はビックリしたよ」


うん? どういう事だ?


と、思っていると


「アオイ、氷の国シルファンはな、酒の国としても有名なんだ」


あ、そういう事か、お酒かー僕はまだ18歳だし飲まないどこ


「ひゃっほー! 酒だ酒ー! いやっっったぁー!」


マイラ、初期からだいぶキャラ壊れてるよな


第8 終

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。


今回は異世界人を元の世界に帰すことが出来ませんでした。しかし、異世界人にとっても、蒼たちにとっても、何か得られるものがあったはずです。


次回はデッグドッズの祭りや氷の国シルファンでのリゼの過去などが出て来るかも。楽しみですね。


それだはまた次の話で会いましょう。

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