仮面の勇者 7
今回も見てくださりありがとうございます。
今回のアオイ達の冒険はどうなるのか、目が離せませんね、それでは
さあ、冒険の始まりです
仮面の勇者7話
:時の輪廻 1
僕たちが岩と巨人の国デッグドッズについて数時間後、僕はある男に現王を殺せと言われた
その男の名はガット・ワガット、赤髪で顎髭を生やした筋肉モリモリの大男
「断ってきちゃったけど、別にいいよな」
僕はもちろん、そんな事は断った
「お? アオイじゃないか、ケルはどうしたの?」
「あ、ユール。ケルは先に宿に行ってるよ、確か国の東側だっけ?」
「あれ?西側じゃなかったっけ?」
「あれ、そうだっけ?」
「うん、西側のはず……待って、不安になってきた」
この国は真ん中に王城があり、その周りに円形のように街が広がっている
ていうか西側って記憶があるんだよな、何でだ?
「まぁ西側に行ってみるか」
そして国の西側に行くと、ガモが宿の前にいた
「な、アオイ、言ったろ?」
「うん。あれ? ガモ、ケルは来てない?」
「おう、まだ来てねぇぞ」
そう話している時
国の東側に黒色の大きな球体が現れた、その球体には大きな口があった
「なんだ、あれ」
そうユールが言葉を発した時には、僕はその場所へ向かっていた
何だろう、嫌な予感がする、何か、何かを、忘れている気がする
そして、もうすぐでその黒い球体のある場所に行けそうという時に、バクン、と、その大きな口が閉じられる
「まずい!」
口が開く、その口の中から大量の炎が出てきてあたり一帯を炎で埋め尽くす
「ガモ!あそこにケルがいるんだ!」
僕はそう叫んで気づいた、まだ炎が消えてないことに
なぜ、僕はケルの姿を見てないのにいるって思ったんだ? さっきから、何か、変だ
「わかった![ワープシールド]!」
ガギン!と、金属と金属がぶつかる音がした
「ガモ!それにアオイもユールも!なんで来たんだい?!」
そう言ったケルは、両腕が無かった
2
数分前
「いや〜結構買えたねぇ!今日は鍋にでもしようかねぇ!」
ケルは国の東側で買い物をしながら宿を探していた
「にしても、ここら辺はお菓子屋ばっかだねぇ、アオイとガモが好きそうだ」
そんなことを呟いていると
「ふんふんふふん、ふんふんふふん」
と、鼻歌混じりにステップで警備兵に近づく桃色髪でツインテールの少女がいた
次の瞬間
バクン、という音とともに、警備兵が消えた
「あ、またやっちゃった!えへへへへ」
一瞬だった、ほんの数秒、0.0何秒か、ケルは見逃さなかった、その少女が口を大きくし警備兵を食う様を、ケルは見た
「おい! そこのお嬢ちゃん、見間違いじゃないといいんだけど、あんた今、人を食ったかい?」
「えぇ! アレがみえたのぉ〜? すっご〜い! じゃあ、死んでね!」
そう少女が言い黒い球体を放ってくる、少し遅れた、そうケルが思った時には遅かった
「うっぐ!」
左腕が消えていた、まるで何かに食いちぎられたかのように
「なるほど、お嬢ちゃん異世界人か! その見た目……もしかして喰呑って名前の子かい?」
そうケルが少女に聞くと、少女は素直に答える
「うん!私の名前は刄九喰呑、今からあなたを殺す人だよ!」
そう言い刄九は空中に大きな球体を作る
「はい!次行くよ〜!」
そう言って刄九は大量の小さな黒い球体をあたりに散りばめる
黒い球体が飛び散った一つの方向に、少年がいた
「危ない!」
ケルが右手でその少年を突き飛ばすと、次の瞬間、右手も食われた
「えぇ! 人助けて自分が傷つくとか! バカじゃん!」
そう言って来た刄九に向かってケルは言う
「人助けがバカのする事なら、アタシゃバカでいいさ」
そう言うと、刄九の目がすわる
「へぇ、もういいや、死んでね〜」
そう言って刄九は巨大な黒い球体に自分のうしろを食わせる。そして、その一帯は丸く削れた
「はい、これで終わり」
そう刄九が言うと、黒い球体の口から炎が発射された、ケルは迫ってくる炎に蹴りを入れ、その風圧でなんとか耐える事ができたが、周りが炎の海と化した
「へぇ、まだ生きてるんだ、じゃあこれで死ぬかな?」
そう言って刄九は大きな槍を黒い球体から取り出す
「いっくよ〜!」
これは避けられないと思い目を閉じた瞬間
ガギン、という音が聞こえ目を開けると、ガモがいた
3
両腕が無いケル、この惨状、なぜか、知っている気がする
「アオイ! ユール! ガモ! あんたらじゃ敵わない! 逃げな!」
「だけど、コイツの攻撃止められたぜ」
なぜこの情景を知っている? 考えろ、考えろ
「ケル! 今そっちへ行く!」
未来視? いいや、これはもっと感覚的な……
「アオイ! 行くぞ!」
「行かせませんよ」
ユールが僕の方を向いた瞬間、急に、真横に人が現れた、コイツは
「どうも、滅七時恋と申します、では、さようなら」
滅七が消える
「どこ行った」
そう言ったユールの後ろに滅七が現れる
「ユール!」
ズバッという音とともに、滅七が持っていた短刀でユールが斬られる
「おや? 見えませんでしたか?」
急に現れた? やっぱりコイツの能力はワープ系なのか?
「おや? 仲間がやられたのに随分と冷静ですね、薄情な人だ」
「やられた? 何言ってるんだ、ユールがあんなのでやられるわけないだろ」
滅七の後ろでユールが立ち上がっていた
「僕は生きてるよ、アオイ」
滅七は深くため息をつく
「やはりしつこいですね……まぁ、終わらせましょう」
また滅七が消える
「ならこれでどうだ、[水海月]」
この前、船の上でくらった技
闇の仮面の力でクラゲを周りに作る、近づけば自動で攻撃する。これなら滅七の能力が少しはわかる
「これで本当にさようならです」
滅七に後ろから刺された
やっぱりワープか? いや、だとしたら後ろにばっかりくる? 前から目潰ししたりすればいいのに
にしても、なんで僕はこんなに冷静なんだ? まるで、この現状を経験した事があるみたいに
「そうか、わかったぞ、お前の能力」
「なに? いいえ、わかるわけがない、嘘はよしてくださいよ」
「時間操作だろ」
滅七はそれを聞き驚いた
「よく分かりましたね。でも、まぁもういいです」
「2択だった、たった2択だったよ、ワープか時間操作、当たってよかった」
僕はキメ顔で滅七に言う
「はぁ、そうですか、ではさようなら」
そう言い滅七はパチンと指を鳴らす、世界が曲がる、うねる、なんだ……これ
「はぁ、またか、パーフェクトゲームは遠いな」
滅七がそう言った、まさか、時間を戻したのか? でも、なんで僕は覚えていた?
「そうだ、仮面ってのは顔を、頭を守る装備じゃないか。でも、もしそうならぶっ飛んでるな、異世界って」
そう言い、目の前が暗転する
「あ! 皆様! もうすぐデッグドッズに着きますよ!」
リゼがはしゃいでいた
ループか……
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港に着いた後、僕はみんなに時間がループしてる事、滅七と刄九がこの国にいること、滅七の能力のことを話した
「なるほど、東側に刄九が現れるのか、にしても能力の詳細がわかっていないのが厳しいな」
マイラが言う
「しかも時間が戻んのは滅七の匙加減だろ? 難しくねぇか?」
「まぁガモの言う通り、滅七の匙加減だ、だけど、あいつがパーフェクトゲームって言ってたのが気になる」
「ぱーふぇくとげーむ? アオイ様、どう言う意味ですか?」
「僕のいた世界の、しかも他国の言語なんだよなー。まぁ直訳すると完全試合って意味かな」
パーフェクトゲーム……アイツは完全なものを目指してるのか?
「なるほど、滅七が能力を使った状況を考えればわかるかもな」
滅七が能力を使った状況、そういえば、もう少しで僕たちを殺せそうだったのに、殺さずに時間を戻した……
「わからん」
わからないなぁ、あ、でも疑問点はいくつかあるかも
「能力をあの状況で使った意味。刄九が前の時間を覚えているか。ガット・ワガットという大男」
「ガット・ワガットなら、知っているぞ」
「本当かマイラ、教えてほしい」
「ガット・ワガットはこの国の国王だった男だ。数週間前に死んだと聞いたが……」
死んでいるのか……あの大男が嘘をついてるかもしれないし、死んだという情報そのものが間違ってるかもしれないな
「まぁとりあえず、刄九がいる場所まで向かおう」
僕がそう言うと
「あ、行くならみんなで行かないほうがいいかも」
「え? ユール、どうして?」
「もう1人の異世界人、滅七の居場所がわかっていないからだ、また奇襲されたらまずい」
確かに
「アオイ、刄九の方には誰が行くべきだと思う」
「行くならガモ、マイラ、リゼだな、マイラが後ろから攻撃して、怪我したらリゼが治す、攻撃が来たらガモが守る、そんな感じでやれば、倒せるかも」
みたところ、刄九の遠距離攻撃はあの丸い球体を投げるだけっぽいし
「わかった、じゃあガモとマイラとリゼは国の東側を、僕たちは他の場所を探そう」
そうユールが言い、僕たちは別行動することになった
5
「とまぁそんな感じで、僕は北側、ユールは南側、ケルは西側に行ったけど」
確か、刄九が巨大な口を出すのは11時あたりだったはず、国の真ん中にある城の周りに、大きな時計台があったから覚えてる
「今の時間が9時、あと2時間で滅七を見つけなきゃな」
さてと、どこから探すか
「なぁそこのお前、ちょっと話いいか?」
フードを被った大男、フードの下の隙間から少し顔が見えた、この人……ガット・ワガットか?
「あんた、なんでここにいる」
さっきこの人とは街の西側の路地裏で出会ったはず
「ん? その様子だとお前、また記憶を持ったまま時間逆行したんだな?」
「時間が戻ったことを知ってるのか!?」
「おいおい、そんな大声出すなよ、誰が聞いてるかわからねぇだろ」
そう言いガットさんはシーっと人差し指で口自分のを押さえてた、おじさんがやっても可愛くないぞ?
にしても、なんでこの人は時間が戻ったことを知っているんだ?
「なぁお前、どこまで覚えてる?」
「どこまでって、さっき初めて……いや、そうか、何回か戻ってるのか」
僕は情報を少しだけ話した、まだこの人のこと信用できないし
「なるほどな、さっきまでの記憶しかないのか。ちなみに、俺の把握してる限りでは4回だ」
4回、多分、滅七も記憶を持って戻ってるよな……これが続いたら精神崩壊しそうだな
「一応、全部の世界のこと教えようか?」
「ぜひ教えてくれ!」
男はニッと笑い話し始める
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「まず最初の世界、ここではお前があの異世界人、滅七時恋と戦っていた、俺も参戦したが、負けた。ちなみにユールってのが滅七に一発入れてな、そしたら滅七はこれじゃあパーフェクトゲームじゃないとか、そんなことを言ってた」
なるほど、パーフェクトゲーム、滅七はそれに拘ってるのか……
「ちなみに、どこで僕たちは戦っていたんだ?」
「俺の城だ」
俺の城……この人、本当にここの国王だったりして、ってなわけないか!
「2つ目の世界だが、ここで異世界人が全部で4人と知った」
「4人? 誰と誰だ」
「名前はわかんねぇけど、1人は俺の名は最強だ!って名乗ってたな、あとひょろっとした青髪の笑ってたやつ」
死十即破か、最強は何げに会うの久々か? いやなんか友達みたいなノリだな
「まぁ、途中で仲間割れしてたけどな、青髪が滅七以外の異世界人含めたこの国の全員を殺した、そこで滅七はまた時間逆行を使った」
死十がこの国の人を全員殺した……か
「待て、なんであんたは死ななかったんだ?」
「んあ? ああ、俺ぁな、異世界人の能力があんま効かないんだよ、そういう体質だな」
どんな体質だよ、でもそうか、だからこの人は記憶を引き継いでいるのか
「んで3つ目、ここはもっと酷かった。街の北で急に大勢死んで、東側は火の海、南側では地面が割れて多くの人が落ちていった」
それは………見てるのも辛かっただろうな
「だがもっと酷いのはここからだ、お前がバツ印の仮面を作ってそれをつけた瞬間、周りの人間が倒れていった、あの仮面、お前がつけた瞬間、お前を殺したくなった、でもそのあとなんかふわふわってなって、よく覚えてないな、多分俺も死んだのかもな」
バツ印の仮面? そんなもの作った記憶ないな、それにそんな強い力、異世界人の能力を無効化する力も越えるのか?
「確かあの時、お前の周りにはお前の仲間の死体があったな、全員、酷い殺され方をしてた。まぁ詳しくは言わねぇが」
なるほど、それで……僕、暴走したのか
「まぁそれで、4つ目はお前の記憶の通りだ」
なるほど、この情報でいくつか考えよう
この国には滅七、刄九、死十、最強の4人がいる、情報を聞くと北に死十、南に最強がいそうだな、なら西に滅七がいるかも
ケルの話によると刄九は東側の門から入ってきたらしい、ならあの3人が滅七に呼び出されたのか?
パーフェクトゲームのことも、少し気になる、怪我をした時、滅七以外の全員が死んだ時、僕が暴走した時、前回は僕に能力を言い当てられた時だ
「あー、頭痛い」
考えていると男が言う
「そうだ、そういやループする時間がどんどん短く」
そういえば、滅七は民間人を殺していない、それ自体は良いことだけど、なんでだ?
と、その時
「こんにちは! ここにお集まりの皆様!」
北側の時計台の上に滅七時恋がいた
:破滅の仮面
これは、アオイの時間逆行3回目の事………
「また、戻ってる」
アオイは船の中で寝ていた、先日河童、鎌鼬と名乗るものと戦って少し疲れていた
「みんな! 聞いてくれ!」
アオイは今まで2回、時間逆行を体験している1回目は刄九に食い殺され、2回目は滅七に腹を貫かれ死んだ
時間逆行のこと、これから起こることを伝えた
「よし、ならこの6人で王城に行こう、滅七は1回目も2回目も王城にいたんだろう」
そうユールが言う
王城に着くと案の定、滅七はいた
「おや? 何故こんなに早くここへ来れたのでしょうか。まぁいいです、早めましょう」
そう言った瞬間、周りの時の流れが早くなった
「まず1人目」
ガモが斬られる、時間の流れが早いせいで回復が追いつかない
「お前ら、俺に構うな、一旦逃げろ!」
ガモはそう言って立ち上がり盾を構えるが、次の滅七の攻撃で殺された
「貴方たちの立ち回りはさっきから何度も見てるので」
そう言い次はケルの胸を刺し、腹を掻っ捌く。しかし、ケルは滅七の腕を掴み抑える
「みんな! アタシがコイツ抑えてる間に逃げな!」
「そんなことできるか!」
マイラはそう言い魔法弾を放つが、弾を制御できなかった
「時間の流れが早すぎる」
マイラがそう言うと
「そうですよ」
そう言ってマイラを斬ろうとした、しかし、ユールがマイラを庇って斬られる
「おや、1番厄介な人をここで殺せましたか」
「お、おい、ユール、起きろ、何……寝てるんだ」
僕は、みんながこんな簡単に死んでしまうことに、恐怖していた
「残念ですがそれはもう死にました」
そう言って滅七は僕の後ろに現れ、僕の足を切った
「ぐっ!」
足の腱を切られたのか、立てない
「貴方は弱かった、だから誰も守れない」
滅七はマイラの後ろにまわり込む、マイラはそれに気付き攻防戦を繰り広げる、が
「早……すぎる」
マイラは倒れているユールにつまずきたおれる、その隙を滅七は見て、マイラを滅多刺しにし、首を刈り取る
「かわいそうに、この私に歯向かうから、こうなるんですよ」
僕は這いずってなんとかリゼのところまで来た、闇の仮面を渡してリゼの姿を隠さないと
「何してるんです?」
滅七は僕の足、太ももの辺りを刺した
「痛ぇな! おい!」
僕は刀を振ったが、かすり傷程度しかつかなかった
「はぁ、またか、パーフェクトゲームは遠い、まぁここはもう少し楽しむか」
そう言って滅七は僕を拘束する
「クソがぁ!」
「情けない、情けない、情けない、情けない、情けない、情けない叫びだなぁ」
クソ!コイツ!
「滅七ぁ!」
「はい、私が滅七時恋です。どうしました?」
僕は滅七を睨みつけるしかできないのか? 縛られてるのは左手……
「それでは、残るは貴方ですね」
そう言ってリゼの方へ近づいていく
「逃げろ!リゼ!」
無理なのはわかっている、リゼも足を斬られている、回復魔法で止血はしたみたいだけど
「アオイ様、私……」
滅七を、コイツを早く倒さなきゃ
縄はほどけない、なら、左腕を斬ろう
「とんだ茶番ですね」
そう言って滅七はリゼの首を斬る
あと少し、届かなかった……
「はぁ、なんて脆いんだ、惨め、惨め、惨め、惨め、惨め、惨めだなぁ」
「おい、滅七」
「ほんっと、無能、無能、無能、無能、無能、無能な奴らだ」
「それ以上、喋るな」
「はぁ、ゴミ処理は疲れる」
怒り、憎悪、憎しみ、怨み、怨念そして、圧倒的な殺意
「お前を……」
周りが光に包まれる、一つの仮面ができる、バツ印の形をした仮面、それが顔についた瞬間、頭の中が真っ白になった
「お前を殺す……滅七時恋」
そして、これ以前の記憶が薄れ、4回目の世界に至る
この仮面、破滅の仮面の力は半径5千キロメートル圏内にいる生命全てにアオイへの殺意を向けさせるというもの
アオイへ殺意を向けた生命はその場で死に、死んだ数だけ効果範囲は広がる
一つの生命でおよそ1万キロメートルも広がる。追加効果として、生命以外にも効果があり、すべての元子が崩壊する仕組みになっている
もう一度言おう。この仮面の名は、破滅の仮面、全てを壊すだけの仮面だ
しかしこの力、滅七だけは除外されたのだった
:力の真価 1
「こんにちは! ここにお集まりの皆様!」
北側の時計台の上に滅七時恋がいた
「おや、あれは滅七君か、張り切ってるね」
後ろには死十がいた
コイツ、もう暴れるつもりなのか?
「おい青髪、あの滅七ってやつ、お前の能力が欲しいらしいぞ」
へー、フードの大男が行った。そうなんだ
「て、おい待て! 能力って盗れんの?!」
「何個か前の時間で言ってたし、盗れるんじやないのか?」
て事は滅七の目的はここに呼んだ異世界人達の能力を手に入れる事
「確かに、チートを持ってる人間を殺せば、その人間のチートは手に入る、まぁ譲渡もできるけどね」
そう死十が言った、でもなんで教えてくれるんだ?
「死十さん! よく来てくださいました」
「ねぇ滅七君、君、能力を奪うとか聞いたけど、本当かい?」
「そんなわけないじゃないですか死十さん」
「そうかい、なら、いいや。それより、用事ってなんだい?」
そう言って死十は滅七に近づいていく
滅七は自分の腰にさげてる剣に手をかけようとしていた
……もしかして、滅七が死十を殺して、死十の能力を奪ってここら辺の人を殺したのか?
「うらぁ!」
そう言って大男……偽物か本物かわからないけど、もうガットさんって呼べばいいか
ガットさんが滅七を殴り飛ばした
「おいおい君、なぜ彼を殴ったんだい?」
死十がガットさんにそう聞いた
「おいアオイ! その青髪と滅七を近づけさせるな!」
そうガットさんに言われた僕は殴り飛ばされた滅七をさらに殴り飛ばした
「なんか……動きやすい?」
さっき滅七と戦った時より強くなっている気がする
「はぁ、これじゃあ滅七君と話し合いするのは難しいね、じゃあ帰らせてもらうか」
そう言い死十は門の方へ歩いていく
「アオイ! 滅七は国の南側に飛んでった! 追うぞ!」
この人、人使いが荒いタイプだ
2
「強い奴はいねぇのかぁ!」
最強は南側の門から入りずっと騒いでいた
「滅七の野朗、俺を呼び出したくせにここに放置かよ」
そう最強が地団駄を踏んでいると
「なら、僕と戦うかい?」
ユールが最強に話しかけた
「ほう、俺とやんのか?」
「まぁ、そうだね」
そう2人が話していると
ドガーン、と、何かが降ってきた
「あ、ああ、あああ」
「あ? 滅七じゃねぇか、どうした」
「あ、君は、よかった、助かった」
最強は滅七を助けようと手を差し伸べたら、滅七はその手を振り払って立ち上がった
「そこの君、今、彼と戦おうとしていたね、だが無理だ! 彼は最強なんだからね!」
そう言って滅七は自分のことのように自慢した
「おい滅七、テメェの主観でモノ語んなよ」
そう言って最強は滅七を殴り飛ばした
「さぁ剣士! やろうぜ!」
「僕の名前はユール・シャット、よろしく頼む」
「俺は諦一最強! よろしくな!」
そう言って2人は戦いを始めた
3
アオイと滅七が出会う数分前
国の東側
「ふんふんふふん、ふんふんふふん」
と、鼻歌混じりにステップで警備兵に近づく桃色髪でツインテールの少女、刄九喰呑がいた
次の瞬間
どーん
「わぁぁ? 何?」
刄九は上空から魔法を撃たれた
「貴様が、アオイの言っていた刄九か」
上空には箒に乗ったマイラがいた
「へー、お空にいるんだーそういうのダルいねー」
刄九はそう言い丸い黒色の口を出現させてマイラの方に飛ばした
「ガモ」
「言われなくてもいるぜ!」
ガモが盾で口を叩き潰した
「案外、防御力はないみたいだ、これならリゼでも…」
ガモがそう言った時、刄九が大量にさっきの口を出した
「おいおいおい、千個はあるぞ!」
それが従王無人に広がり民間人を襲おうとする
「こうしちゃえばー、人守るしかないよねぇー」
と、その時
「スプレッド・ライト!」
リゼが辺りに光を充満させ口を消していく
「攻撃性はあまりありませんが、口を消すことくらいはできますよ!」
4
「あのさー、女の子1人に3人がかりとか、キモいんだけどー?」
刄九は腰に手を当てて前かがみになってる
「確か、刄九だったか、私はこのパーティの中でも最年長だが、20歳弱、アオイから聞いた話だと貴様は歳がかなり……」
「うるせぇ!黙ってろ!」
マイラの言葉を遮り刄九は叫んだ、それから少しして
「わたしー可愛いからー、よくわかんなーい」
そう言って刄九は頬に指を当てて困った顔をしていた
それから少しして、マイラが言った
「まぁ、私たちの目的は貴様を止め、ここから撤退させることだ、帰ってくれると嬉しいんだが、どうだ?」
刄九は少し考え、言った
「うーん、滅七を待つのもめんどくさいしー、帰ってもいいけどー、アンタは殺す!」
そう言って刄九は巨大な口を作る
「全部呑み込んでからー、帰るね?」
「おい、マイラ! どうすんだ?」
口が大きく開き、全てを飲み込もうとする
「まずは炎系の最大で行こうか」
マイラはそう言い杖を構える
「ブレイジング・イノーマス!」
巨大な炎の渦が口に向けて放たれる、が、火炎は口に飲み込まれてしまった
「よし、リゼ、強化魔法を頼む」
「はい、[マクス・リインフォース]」
その後マイラはさっきと同じ呪文を打った、魔法の威力は100倍程になったが、それも飲み込まれてしまった
「あー美味しいーで、本気まだ? もしかして終わり? えー? 雑魚じゃん?」
そう言われてもマイラは魔法を打ち続ける
「炎魔法ファイア」
「水魔法ウォータ」
「風魔法ウィンド」
「岩魔法ロック」
「自然魔法プラント」
「氷魔法アイス」
「雷魔法サンダ」
「闇魔法ダーク」
なかなか効果がないと思っていたが
「光魔法ライト」
この時だけ、口が動いた
それが数時間ほど続いた
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「2時間ほど試したが、反応があったのは光属性だけだな」
マイラは基本の9魔法とその強化版の5つ含めた54個の魔法に加え派生した魔法やオリジナルの魔法を200ほど打っていたが、光魔法以外には反応が無かった
「はぁー、雑魚すぎー、全部食べられちゃうなー、よっわー」
刄九の攻撃は全てガモが防いで、ガモが怪我をしたらリゼが回復していたから、全員無傷だった
「おいマイラ!まだ攻撃魔法あんだろ!諦めんな!お前が頼りだ!」
ガモがマイラに向けてそう言う
「確かに、私の主な攻撃魔法は255個ある、しかし、最後の一つを使うのはな……」
マイラは悩んでいた。なぜならこの魔法はかなり強く、出力を1割未満に抑えなければ国を消滅させるほどの力があるからだ
「じゃあ、食べた分全部返すねー? あ、そうだ、冥土の土産におしえてあげるー」
そう言って刄九は後ろを向き、首だけこちらに向けて言う
「私は[ウィザードスレイヤー]の称号を持ってるの」
そう言った時、場が凍った
「マイラ様、スレイヤーとはいったい……」
「スレイヤー、例えばウィザードスレイヤーだったら魔物、人を含めたウィザード、つまり魔法使いを一定数殺した時に得られる称号」
そう言いマイラは杖を構える
「ちなみに、スレイヤーを持っていることをスレイヤーの対象、つまり私だったら魔法使いに教えると、私にバフがかかるのー!」
そう言って刄九はマイラに襲いかかる、刄九は飛ぶ手段を持っていないため、空中戦ではマイラが有利だが
「マイラ!一旦ここは退くぞ!」
ガモは刄九が黒色の大きな口から何かを出そうとしているところを見た
「いや撤退はしない、ガモ、リフレクトの準備をしておけ」
マイラはガモに向かってそう言う、リフレクトとは物理攻撃以外を2倍にして反射する強力なスキルだ、しかし弱点もある
「あれが打たれても、リフレクトじゃ何もできねぇぞ! まっすぐ帰るだけだ」
「ああ、それでいい、いや、それがいい」
そう言ってマイラは呪文を詠唱する
「火よ水よ風よ、岩よ草よ氷よ、雷よ闇よ光よ、力を振るい集結せよ、邂逅の刻きたれり、深淵を震わせ、天空を穿て」
刄九がマイラに向かって小さな黒い口を投げる
「ごちゃごちゃうるさい!」
マイラはため息をつき刄九の方を見る
「詠唱は魔法の威力や精度を高める、この後もかなり長いが……以下略」
「へ?」
「オール・インフィニティ・バースト!」
マイラの杖から虹色の魔法陣がいくつか出て、巨大な口の中に狙いを定める、魔法陣から魔法陣が大量に出てくる、そしてマイラは言った
「詠唱にも魔法陣にも意味がある、しかしそれらを探究せずに呑み込んでしまうとは……つまらないな」
杖の先から大きな砲撃のような形で魔法が射出される、が、大きな口はそれを呑み込んだ
「あっれれー? たべられちゃったねー? もしかしてー、今の奥の手ー? えー! ざっこぉ〜!」
マイラは刄九に向かって言った
「今の魔法はな、本来なら人間が500人ほど集まって一緒に唱え、放つ魔法だ」
「えー? 自慢ー? でもでも、負けたよっ?」
マイラはもう一度さっきの魔法を打つ、無詠唱で
「自慢じゃないさ、ちなみにこの魔法を放った500人は全員、魔力が足りず10年ほど魔法が使えなくなったんだとさ」
マイラはもう20発くらい打ち込んでいる、しかし、平然としている
「は、はぁ? それがなにー? 別に、どうでもいいんだけどー」
刄九の声が震え気味になる
「確かに、貴様にとってはどうでもいいだろう、だがな、この魔法は国を一つ消し飛ばせるほどの威力なんだ」
マイラはもう100発くらい打ち込んでるはず、それにあの黒い口、なんか変だ
「だからさーそれがなにー?」
「どんな生物も許容量を超えたら限界が来て壊れる、魔力も同じく、溜め過ぎれば爆発する」
まさか、マイラの狙いは!
「よし、ガモ、あとは頼む」
マイラは俺の後ろに下がってきた
「ああ、そういうことかよ、お前、あの口でずっと実験してやがったな」
許容量がどのくらいか測ってだんだろうな、そんで俺に次の攻撃を防げと……
「も、もういいやー、大口、全部吐き出してー」
黒色の口が開き、赤黒い球体が発射された
「リフレクト!」
簡単に跳ね返せると思ったが、やっぱりマイラの魔法のせいで強い
「ガモ様! お力添えします!」
リゼが強化魔法をかけてくれた、これならいける!
しかしマイラはなぜ隣でメモを取ってるんだ!手伝ってくれよー
「戻れぇぇぇええ!」
パキン!という音とともに赤黒い球体が口に戻っていく、そして口はそれを呑み込んだ、放たれた時の2倍の威力になったそれを
「ンブォォオオオ」
口が天目掛け発狂し、口の中から一筋の光が天に伸びる
「え? は? なに? どういうこと?」
刄九は戸惑っていた、マイラは笑っていた
それから数秒後、口は灰のようにサラサラと消えていった
「は? え? 私の、必殺技が」
あの一筋の光は消えていた
「あーもう!滅七は来ないしー!嫌なヤツらもいるしー!もう帰るー!」
刄九はそう言い門を飛び越え去っていく
「勝った……のか?」
俺がそう言うと
「勝った? ガモ、私たちの負けだよ、人は怪我をしていないが、ここら一帯の家が、こんな酷い有様になってしまった」
俺たちの周りは、さっきの赤黒い球体のせいなのか、削り取られたように無くなっていた
「で、でも人は助かったんですし、マイラ様もガモ様も頑張ったと思いますよ!」
さらに周りを見渡すと、民間人が手を振っていた、ああ、人は守れたのか
「ガモ、落ち着いてる暇はないぞ、さっきのは刄九、滅七じゃ無かった、私たちは滅七を探さなきゃいけない」
そうか、たしかにそうだった
「そういえば数時間前、国の南側から大きな音がしましたよ」
「よくやったリゼ、さぁ立てガモ、みんなを守れるのはお前だけだ」
マイラは俺に手を差し伸べてくる
「わぁってるよ!」
さぁ、みんなを助けに行こう!
:仮面の種類 1
これは、炎と鍛治の国ガウィタチンから出国する少し前……
「ところでアオイ、君は能力のある仮面をいくつ持っているんだい?」
能力の入った仮面かー
「帰還、闇、応用、空間、生物、今はこの五つだな」
作ろうと思えば作れるし、暇さえあれば作っててもいいかもな
「じゃあ、アタシとマイラは買い出し行ってくるからね!」
そういえば、今朝からガモは観光してるし、リゼは教会に行ってたな
「いってらっしゃーい」
「いってらー」
そう言って2人を見送る
「んでユール、なんで仮面のこと聞いたの?」
「ああ、それはね、仮面の勇者が持ってた仮面をアオイが持ってるのかなって思ってさ」
仮面の勇者か…確か過去に実際にいた人らしいな
「昔の文献によると仮面の勇者は″通常シリーズ″、″滅シリーズ″、″七罪シリーズ″、″魔天シリーズ″、″四情シリーズ″っていうのがあるらしいんだ」
五つもあるのか
「シリーズってことは一つのシリーズにいくつか仮面があるって事だよな、ユールは全部わかるか?」
ユールは腕を組み少し考える
「いや、僕はわからないな。マイラですらよく知らないみたいだし。そもそもシリーズってなんだ?」
まぁマイラがわからないなら難しいかぁ
「よしアオイ、次の話に移ろうか」
あ、案外話長くなりそう
2
「今度は仮面の見た目で考えてみよう」
見た目か……よくつけてるのは闇の仮面だなぁ、なんか落ち着くんだよな、この仮面
闇の仮面は濃い紫色で金と赤の装飾、それと青色の宝石が嵌められてる
「闇の仮面は本当に闇って感じだよね、アオイがよくつけてるしアオイといったらこの仮面だよね」
「まぁ確かに、能力使わないけどつけてる時あるしな」
応用の仮面はなんというか、普通だ。白色で、目元を隠すだけの、普通の仮面
「これはあまり面白味がないね。普通すぎる。あ、別に悪くいってるわけじゃないんだよアオイ」
「いやまぁでも、確かに普通だな」
次に空間の仮面だけど
「顔の右側、しかも目の部分だけなんだよな」
怪盗とかがつけてる感じの片方だけのアレみたいな感じ
「そして帰還の仮面、これは顔全体が隠れる形の仮面だね」
「うん。でもこの仮面、つける人の顔の大きさに変わるんだよ、僕はつけられないけど、ユールつけてみて」
僕がつけたら元の世界に帰っちゃうかもだし
「うん。あ、本当だ、僕の顔の大きさになって……ってあれ?」
ユールの体が光り消えていく
「ユール! 外せ!」
ユールは勢いよく仮面を外した
「アオイ、この仮面……面白い!」
あー、コイツ脳天気だー
でもなんでユールに反応したんだ?
仮面に想像した力を与える、これは神からもらったもの。なら神に聞けばわかるかも
「あれ?ユール?」
カラン……と、帰還の仮面がその場に落ちた
3
ユールがいなくなって、夜になった
僕は街中を探していたが見つからず、何も得られず宿に帰ってきた
「お、アオイおかえりー」
ユールがいた
「ゆ、ユール、よかった、おま、お前どこ、行ってたんだよ」
「ああ、その帰還の仮面、この世界の人は24時間前にいた場所に飛ばされるみたいなんだ、気づいたらサキュバスの店にいて驚いたよ〜」
コイツ、こんな危険なもの触るなよ
「でも、無事でよかった」
安堵したのも束の間
「ユール様、サキュバスの店ってなんですか?」
さらなる修羅場到来!
ここからユールはリゼに聞かれたらサキュバスのことをうまくはぐらかしたらしいが
数日間僕含めたリゼ以外のみんなから白い目で見られたのだった
だって昼間にサキュバスの店だぞ?エグいって
第7 終
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
この間投稿した仮面の勇者外伝「慈愛の光」は8話と9話の間くらいの物語なので、投稿する順番を間違えました。
すみません。
さて、今回の話は気になるところが多かったですね。
作者は書いている時少しこんがらがりました
さて、ここらでそろそろ終わりますか、こんな後書き見てる人少ないだろうし。
それではまた次の話で会いましょう。