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仮面の勇者  作者: 偽陥 アニア
仮面の勇者 第一章 神殺編
5/20

仮面の勇者 5

仮面の勇者第5話、今回は一体どんなことがあるのか。

さぁ冒険の始まりです。

仮面の勇者5話


:冥龍憑依! 1


血五賢斗(ちごけんと)は僕に槍を振り下ろしたが、それは急に現れたガモが間一髪で止めた


「アオイ、ふざけすぎだぞ」


ガモに怒られた


「ごめんガモ、でも昔からこういうシーンが大好きでさ」


そう話していると血五が言う


「お前、仲間がいるのか? はははははは! どうりで弱いわけだ! だがまぁいい、国王よ、早くコイツの断罪を!」


そう血五が国王に向かって言うと


「いや、せぬぞ?」


血五はそれを言われて少しの間止まった


「え? は、は? なんで? コイツは、アンタのオリハルコンを盗んだんだぞ! 殺せよ!」


そう血五が言うと


「プフッ……クハハッ、アッハッハッハッハー! 悪いアオイ、面白すぎて耐えられん」


国王は大笑いしていた


「はぁ? 何がおかしいんだよクソ女が!」


血五が怒鳴る


「それには僕が答えよう。簡単に言うとな、お前は騙されてたんだよ、血五賢斗(ちご けんと)


2


僕が捕まる日の夜9時


「ユール、頼みたいことがある」


僕はユールに僕の考えている作戦を話した


それは、僕が血五のカジノに入ってあえて犯罪者になり血五を表彰させるためだった


そのためにお金を盗んでるところをわざと人に見られるようにしたけど、血五が一足早かった


まぁそのおかげでオリハルコンの話に触れることができたんだけどね。そして僕は捕まった


それから僕はユールにレジェルさんを連れて国王に会ってもらうよう頼んだ


そこで血五を罠にはめる計画を詳しく練ってもらった


「血五賢斗が偽物のオリハルコンを国民に見させることが目的だ」


そういうふうに伝えてもらった


血五は黄色のオリハルコン[偽物] を持っている、ドワーフは橙色のことを黄色と言う、なら血五がその偽物を国民に見せれば国民はどう思うだろう


「本物はどこだ?」


そう疑うはずだ


そして、今、国王と僕たちで血五を騙すことに成功した


なお、本物のオリハルコンは国王に頼んで、カジノをこの国の憲兵団に調べてもらってるから、もうすぐ出て来ると思う


3


「もう一度言うぞ、血五、お前は騙されてたんだよ、僕たちにな」


そう言うと血五は持っていた槍を振り回した


「そんなっ! そんな訳がっ! 無いだろっ! この僕が! 騙されるなんて!」


そう言い血五は槍を国王に投げる、しかしそれをガモが防ぐ、ガモは僕のいた位置から一瞬で国王の方に行った


「なんなんだ! お前は!」


そう血五がガモに向かって叫ぶ


「俺の名前はガモ・シード、これは俺のスキルワープシールド、指定した人の場所に瞬間移動して喰らう攻撃をゼロにする」


そう言って少し間をおいてまた言う


「まぁこれは指定した1人しか守れないけどな」


血五が震えている


「お前らは、なんで俺をイラつかせるんだ!」


そう血五が怒鳴る


「イラつかせてるつもりはないけどな」


僕がそう言うと余計に血五はキレる


「もういい、お前ら全員、殺してやる!」


そう言い血五は9種類の魔法を出した


「俺のチート、賢人は、解を導き出す能力、つまり、お前たちを皆殺しにする解はこれだ!」


血五はその9種類の魔法を合成させ、爆発を起こす、しかし、その爆発は広がる前に消え去った


「コレは私のスキル、魔法停止、[キャンセリングマジック]だ。貴様の魔法は止めさせてもらったぞ」


マイラが箒に乗って浮き上がってきた


「クソ! クソ! クソ!」


血五が頭をかき乱す、そして、血五は呪文を唱え、消えた


「え、どこ行った?」


僕達は困惑した


「転移魔法か、仕方ない追うのはやめておこう」


そうマイラは言っていたが、僕は追いかけてしまった


別にアテもなく追っているわけじゃない、さっき[生物の仮面]というものを作った、簡単にいうと生物を探知できる


「見つけた」


血五はそこまで離れたところにはいなかった


「どうやら転移魔法ってのは最大で行けるのは3キロくらいなんだな」


でも、遠いな、どうしよう


「おい! 冥龍の力を使え!」


「いたのかナノ!」


ていうか冥龍って、ドライサンドラさんの力だよな、でもどうやって


「なんか、こう、ふんって感じだ!」


いやわかんねー


「言葉に出すといいぞ! 冥龍召喚とか冥龍憑依とか」


魔法だけでも言うの恥ずかしいのに、でもこのままじゃ逃げられちゃうし


「えーい知るか!」


僕は右手を突き上げ叫ぶ


「冥龍憑依! ドライサンドラ!」


そう叫ぶと右足に白色で黄色の装飾が入った鎧がつけられる、足の部分には羽根があり、右足の太ももをドラゴンが食べているみたいな見た目になっている


頭にも足の鎧と同じような兜がつき、目の部分が青色のモニターになる


両手首と左足にも同じ感じの装備がつく


「ナノ、なにこれ?」


4


「おお! お前は憑依型だったんだな! それより! アイツ追わねえと!」


あ、そっか、そう思って走り出すと、めっちゃ早かった


「あれ? もう追いついた」


血五の真後ろに来るまでに1秒も経ってない


血五はこちらに気づいたのか、転んで尻餅をついた、そして路地裏へ逃げ込んだ


「なんで、ここにお前がいる」


「追ってきた」


血五は赤紫色の水晶を持っている


「まぁいい、これさえあれば! あの人が来てくれる!」


そう言い血五は赤紫色の水晶を使った


「あの人? 誰のことだ」


そう質問した途端、水晶から黒色の渦が出てくる


「繋がった、繋がった! やった!」


その黒い渦から人が1人出てくる、青髪でにこやかな異世界人の男、死十即破(しとそくは)だった


「おや、これは。そうか血五くん、君は召喚の水晶を使ったんだね」


召喚の水晶? さっきのあれか


「死十さん、こいつですよあの聖剣使いを殺したのは!」


「うんうん、そうだね血五くん。ところで君はなぜ俺を呼んだんだい?」


一瞬の沈黙の後、血五がひきつった声で言う


「え?」


そう血五が言った途端、血五の左腕が弾けた


「ゔっぐぁぁぁああ!」


血五が叫ぶ

「用もないのに呼ぶなよ、君も裏八くんのように能無しかい?」


そう言い死十は血五を何度も蹴る


「おや、見苦しいところを見せて悪かったね、たしかー、我弍飛(がにと)くん、だったかな?」


恐怖を感じた、この世界に来て何度も傷つくものたちを見てきた、でもこれは、なんか違う


血五は叫びのたうち回っている


「怖い」


本心が口に出た


「怖い?かはは!安心してくれ、僕はきみを傷つけるつもりは無い。今はね」


コイツは笑ってない、そう感じた。いや、そう確信した


「何が、目的だ」


声が震える、足が震える


「目的か、うーん、難しいな。まぁここに来たのはこの無能に呼び出されたからさ」


召喚とか言っているあたり、本当なんだろう


「あ、安心して、別にきみを勧誘しに来たわけじゃないから」


「勧誘?」


「あ、もう時間だ、そこの無能どうしようかな。あ、そうだ!滅七の作ったこれ、不本意だけど使ってみようかな」


そう言い死十は血五に赤色の液体を振りかける


「い、嫌だ! やめてくれ!」


血五は叫んだ


「じゃあ僕はここまでだ、我弍飛くん、また会えたら、よろしくね」


そう言い死十は歩いて去っていくら追いかけなきゃ


「おい、待て! って、どこ行った」


路地裏から出ると死十の姿はなかった


血五に帰還の仮面の力を使おうと血五の方を向くと


「ガグゲギゲゴガ」


バケモノがいた


5


血五の方を向くとバケモノがいた


大体3メートルくらいの大きさで、カマキリの腕に蜘蛛の足が6本ついていて、胴体は蜂だろうか


小さい羽が生えていてカマキリの羽だろうか、顔は蜂のようなものだった、それはその姿のままどんどん大きくなっていった


「なんだこれ、血五……なのか?」


よくみると頭の部分に血五の顔がある


「あ、アオイ! そこにいたのかい!」


路地裏の入り口にケルがいた


「ケル! ちょっとそこで止まって」


どうしようか考えなきゃ


「アオイ、なんだそいつは」


上からマイラの声がした


「血五が、こうなった」


「わかった、転移魔法で国の外に運ぶ、そこでそいつを討つぞ」


転移魔法? ここは国の中央あたりだぞ? 行けるのか?


そう思っていると、周りの風景が一気に変わり、国の外にいた


「マジかよ」


あそこ、国の外から数十キロは離れてたと思うぞ


「アオイ! 驚いてる暇ないよ!コイツを倒さなきゃ」


ケルが言う、そうだ、今はコイツを倒さなきゃ


「ガグゲギゲゴガ」


「コイツなんて呼べばいいんだ?」


「まぁ合成獣、いや、虫キメラと言ったとこか」


マイラが言うと同時に、リゼ、ガモ、ユールの3人も転移魔法で到着する


「なるほど、虫キメラか。まぁどんだけ強くても、僕たちならいける!」


そう僕が言い、戦闘が始まった


6


虫キメラは両手にあるカマキリの鎌を振って攻撃してきた、意外にもその攻撃は速くギリギリ避けられた


「かなり速いな、ガモ、僕たちが受けられない時は守ってくれよ?」


「わかってるぜ、ユール!」


虫キメラは次に蜂の口から毒の霧を吐いてきた


「ここは私に任せてください!」


リゼが前に出てくる、そうするとリゼの前に青色の結界が張られ毒の霧を防ぐ


「これは私のスキル、全結界(フルバリア)です。これは状態異常から完全に守る結界ですよ!」


そうしていると虫キメラはジャンプして、蜂の針を打ってきた


「ここは任せろ! 全防御!」


ガモがスキルを使って防ぐ、その間にユールが斬撃を加え、ケルが打撃、マイラが炎魔法を、僕は銃を撃ったが


「ダメだ、効いてる気配がない」


ユールが言った、この中で1番強いだろうユールが言ったんだから、全然効いてないんだろう


「アオイ! 何かないか? 異世界の知識!」


マイラに言われて気づく、そうだ、この虫キメラ、全部僕のいた世界の虫じゃないか。この世界の虫は変な虫が多いにも関わらず、しかも


「マイラ! こいつ一回も脱皮してない! まだカマキリの部分は成長してないはずだ!」


そういえば、このキメラは異質だ


まず、蜘蛛の特徴を生かすなら尻があったほうがいい、そこから糸を出せるから


それに羽は蜂のほうが飛びやすいはずだ、何より1番おかしいのは


「この虫キメラには触角がない」


虫の触角にはいろんな機能がある、周りの物体を検知したり、臭いや味を感じる事もあるらしい


「確かに、アオイ様の言う通り、あれには触角がありませんね」


しかし、触角がないからなんだ、それが勝ち筋に繋がるか?


「そもそも何で攻撃が通らないんだ?」


この世界で攻撃がほとんど効かない魔物はスライムとドラゴンくらいだ、ならあいつにはその要素が入っているのか?


「そういえば、血五の能力は解を導き出す力、もしアイツが化け物になる前に能力を使い人に戻れる解を出していたのなら」


この不気味でおかしな現象に納得がいく


「ユール! それぞれの虫の繋ぎ目を切って! マイラとケルは切り離された部位をなんとかしてくれ! ガモはそのまま盾役で!」


帰還の仮面をつけたらどんな状態で帰るかわからない、ならせめて、どうにかして人に近づけてから帰してやりたい


「よし!切り離せたぞ!」


ユールがそう言い、ガモが何かに気づく


「アオイ! 虫キメラの中! 血五がいんぞ!」


僕は冥龍憑依の足で飛び、一瞬で血五を虫キメラからひっぺがす、だが、血五の左腕がなくなっていた。


ごめんな、血五……


「よし! 剥がせた!」


僕はすぐに血五に帰還の仮面の力を使った


「これで血五は元の世界に帰る」


血五の体が光になって消えていく


「じゃあな血五、帰ったら、他人をちゃんと認めて仲良くなれよ」


聞こえていると、いいな


:5の贖罪 1


「うぁぁぁああ!」


ってあれ、何、してたんだっけ。


確か、死十さんに……


「血五くん!危ない!」


アイツ、あの、生徒会長、何を言って…


「逃げろ!」


次の瞬間、車が突っ込んできた


2


いったい、何があったんだろう、目が覚めると病院のベッドの上だった


「血五君、起きたのか! 体は大丈夫かい?」


そこにはあの生徒会長がいた


僕は学校から飛び出して、それで異世界に転生して、死十さんに……


「血五君が学校を飛び出した後、君は車に轢かれたんだ。でも奇跡的に助かった」


そういえば、左腕の感覚がない、いや、そもそも左腕がない


あっちの世界での出来事がこっちでも引き継がれてるのか? いや、でも年齢は戻ってる……


「それで血五君、俺、血五君と友達になりたい」


コイツ、何言ってるんだ? 僕は……


「僕は君の友達になる資格はない。僕は自分が主人公だと大それた事を言って、他人を見下していた。それに僕は君を殴った、だから僕は、もう、1人でいい」


本当の強者は、他人を見下さない人間だ


強者や弱者に周りの人間は関係ない、弱者だから群れる、強者は群れない、そんな事きっとないんだ


僕は自分の才能に自惚れて他人を見ようとしなかった


「血五君、友達になるのに、資格なんていらないよ、ただなりたいからなるんだ」


なんでこいつはそんなに、友達になりたいんだ、僕は君に酷い事をしたんだぞ


「「「帰ったら、他人をちゃんと認めて仲良くなれよ」」」


仮面をつけた男


僕をあの状態から救ってくれたやつら、そうか、僕は、他人を認められていなかった


「もし、生徒会長、君と友達になって今までの罪を償えるなら、僕は君の友達になりたい。いや、ならせてください」


「血五君、そんな畏まらなくていいよ、だって俺たちはもう友達だろ」


その言葉に僕は、救われた


:冬夜の細氷 1


血五が光になって消えた後


「血五が帰ってもこの虫キメラは消えないのかよ」


僕は嘆いた


「だけどアオイ、彼が帰ったことにより虫キメラに攻撃が通るようになった、僕の斬撃が効いたのが証拠だ」


ユールがそう言い指をパチンと鳴らす、が、その時、さっき切り離した虫キメラの体がくっつく


「な、なんでくっついたんだ?」


キメラの生態は僕は全く知らない、くっつくなんてことがあり得るのか?


「僕が切ったところも治ってるようだ」


攻撃は効くが圧倒的な回復力か……


「アタシにいい案があるよ!」


そう言いケルは虫キメラに飛びかかる


「コイツが倒れるまで、削って削って削る!」


「いや脳筋じゃねぇか!」


僕はケルにツッコミを入れた


「ケル、僕は賛成だよ!」


そう言いユールも虫キメラに攻撃する


「私もその案に乗ろう」


マイラはそう言い炎魔法の雨を降らせる


僕とガモとリゼは3人を援護する。


ユールとケルが虫キメラのくっついている部分を切り落として切り落とされたところを僕とマイラが炎魔法で燃やす


しかし、虫キメラはそれを振り払い僕の方へ向かってくる


「まずい!」


僕は虫キメラの攻撃を避ける


「虫にこの綺麗さがわかるとは思えないけど、魅せてやるよ!」


僕はそう言い手を前に突き出し、唱える


「冬夜の細氷[ナイト・オブ・ダイヤモンドダスト]!」


僕は虫キメラに向かって光魔法の砲撃を放つそれは虫キメラに直撃し、虫キメラは灰になり散り散りになっていった


「か、勝ったんでしょうか?」


後ろでみんなに強化魔法をかけてたリゼが言う


「まぁ勝っただろう。灰から復元する魔物なんてそうそういないからな」


言い方的に灰から復元するやつって、いるにはいそうだな


「よし、後片付けもなさそうだし、王様のもとへ向かおうか」


そう言って僕たちは王様のもとへ帰った


2


「この度、貴殿ら6人の功績のおかげでオリハルコンの件が片付いた、感謝する」


王様の元へ帰って数日後、僕たちは王様に表彰されることになった


「貴殿らに個別に報酬を用意したい、欲しいものがあればなんでも言ってくれ」


王がみんなに紙を配る僕も含めて


「じゃあ俺はこの国の名産物、火山おでんだな」


ガモが言った


火山おでん? この世界、おでんあるんだ


「じゃあアタシは旅の食糧でも頼むかね」


ケルはそれでいいんだろうか


「ならば私は魔導書を貰おう」


マイラが変な笑みを浮かべてる


「じゃあ僕は巨匠と言われた国王様に、剣の整備をお願いしようかな」


ユールはそう言って剣を見つめていた


「じゃあ私は聖水が一本欲しいです」


リゼ、もっと欲しがっていいんじゃないか?


「アオイ様はどうされますか?」


僕の欲しいものか、そうだなぁ、うん、ないなぁ


「書けたら渡してくれ、後日それを渡そう」


そう言われ、紙を出した後はそのまま宿に帰った


宿に向かう途中、みんなでお菓子を食べたり、食べ歩きの店に行ったりして遊んだ


その途中で、ユールに聞かれた


「あ、そういえばアオイ、君は願いをなんて書いたんだい?」


僕は少し間を置いて答えた


「なにも、何も書いてないよ」


僕には報酬をもらう資格はない、僕が血五を罠に嵌めたりしなければもっと早く事が終わってただろうし、何より僕は血五と同じ異世界人だ。 


あの非道な人間たちのうちの1人だ


僕はあいつらと同じだから、何か得をしちゃいけないと、そう思った


「それに、僕は見返りが欲しくてやったわけじゃないしね」


あ、この言い方はまずいかもな、まるでみんなが見返り欲しさにこの国を救ったと言ってるみたいじゃないか


「そういえばアオイ、機械の国でも報酬を断っていたよね」


ユールに聞かれる


「いや、この銃を貰ってるから一応、報酬は貰ってるよ」


ユールはふーんと言っていた


それから少し話しながら宿へ戻ってその日は休んだ


3


次の日、僕たちは王城に行き王にあった


王は順番に1人ずつ報酬を渡した


最後の僕の番はみんながいた部屋と分けられて、まるでドラマとかでよく見る取調室みたいな場所で、王と話をした


「アオイよ、お前は報酬は何もいらないと言うのか?」


「まぁやっぱりその事だよな」


まぁ欲しいものもないし、そう言った方がカッコよさそうだし


「うん、いらない」


そう言うと王は頭に手を当てて悩んでいた


「ふむ、そうか。しかしなぜ、いらないんだ?」


「まず大前提で僕は異世界人だし、今回の作戦の事ってガモとユール、レジェルさんとあなたしか知らなかったわけじゃないですか、だから他の人から見たら僕はオリハルコンを盗もうとした悪人です、この後にある表彰式にも出ません」


これでいい


王はまた考え込む


「わかった、報酬は無しで表彰式も出なくていい、その代わり、貴様に使命を出す」


「使命? なんだろ」


「貴様に土地を与える、そこを開拓して国を作れ」


「ほうほう、はい?」


土地をやる?


「ん? 貴様に土地をやると言ったんだ」


「ああ、なるほど、あんた何言ってんだ?」


「私は気になるんだよ、異世界人の国作りが」


「いや、でも国民やそう言う事ってどうすればいいんだよ、その土地の開拓とか他の国のこととか、いろいろ難しいだろ」


「それに国作りって覚悟も信念も無い奴がやっちゃいけないだろ」


王はニヤついている


「実は最近な、新しい種族が確認された。この世界には人間、獣人、龍人、巨人、エルフ、ドワーフ、魔人という7つの種族がいるが、これはどれにも属さないものでな」


どれにも属さない?


「そしてそいつらの種族の名前はない」


種族の名前が無い。本当になんなんだ、その新しい種族って


「でも、僕が国を作るとしても、今の旅がある、だから、ダメだ」


そう言いうと王はこう言った


「旅がそんなに大事か?」


「え?」


そりゃ、まぁ、大事……だと思う


「アオイ、貴様たちの仲間が旅をする目的は一人一人違うんだろう?ならなぜ一緒にいる?」


「えっと、それは」


なぜかと言われると、言葉が出てこない


「お前は1人じゃなにもできないんじゃないか?」


そう言われると言葉が出ない


「お前はユールという勇者やガモという最強の盾、そう言った強い者たちに囲まれて自分も強くなったと勘違いしている。貴様は何も偉く無いし何にもできない」


言葉が出ない、確かに、僕は何もできない


「お前の本性はグズで弱虫なんじゃないのか?ガニト」


僕の、本性か……いや、そんなわけないだろ、僕も強いし、今までどうにでもなってきたし


全部僕のおかげじゃないのか?


「………はぁぁ、よし、お前にこれをやろう」


そう言い王は僕の右手首に金色の輪をつける


「なんだ? これ」


「それは帰還の腕輪、仮面の勇者と名乗る者から貰った。安心しろ、それで異世界へ帰ることはない」


仮面の勇者から貰った? それに帰還の力


そういえば、ちょっと前にマイラに聞いた


〜〜  〜〜  〜〜

「マイラ、どうやって異世界人って召喚されるんだ?」


「アオイ、勉強熱心で私は嬉しいぞ。それで、召喚の方法だったな」


「そうそう」


「まず、異世界人を召喚するにはその前に召喚された異世界人が全員亡くなっている必要がある」


そう、亡くなっていなければならない

〜〜  〜〜  〜〜


「なら、その仮面の勇者と名乗った奴はこの世界の人間なのかも」


「わからんぞ? 仮面の勇者と名乗ったそいつは自分で3人目と言っていた」


3人目? 考える事が多すぎるな


「なんで、こんな物つけたんだ?」


「それはな、もう一つ果たして欲しい使命があり、その前払いだ」


「もう一つの使命?」


「簡単に言うと、神殺しだ」


神殺し……かみごろし……カミゴロシ?


「神殺しって言った?」


「驚いているな? 少し昔話をしよう」


4


これはまだ、この世界に二つの神しかいなかった時代


神は創造神カルナイと破壊神コロウアがいた


カルナイはこの世の大地、海、生物を作り、コロウアは魔法、スキル、そして万物はいずれ壊れるという摂理を作った


そして最後に2人の神は人に知恵を与えた


そして、その二つの神は人間に讃えられ崇められた


だがある時異世界からの人間が来た、その者たちは全員破壊神コロウアの加護を受けていた


その者たちは戦争を起こし、それは数年ほど続いた。それからコロウアの力が世界に知られ、コロウアはカルナイより崇められた


そしてカルナイよりも崇められたコロウアは調子に乗り魔天戦争と呼ばれる魔族とそれ以外の他種族との戦争を起こした。


こうして、破壊神コロウアの力は全世界に知れ渡り、恐れる者、その力を欲する者がコロウアの信者になり


破壊神コロウアを止めようとした創造神カルナイは多くの者から嫌われたのだった。


5


「と、まぁこんな感じだわかったか?アオイ」


「待ってくれ、それがどうして神殺しにつながるんだ?」


そう聞くと王はニヤついて言う


「ん?なぜかって?それはもちろん、世界のためさ」


世界のため


「まぁこっちの神殺しの話を主軸で動いて欲しいけどな」


「殺しは、できればしたくないけど」


そう言うと、王は笑った


「そうか、まぁ殺すことになるだろうがな」


殺すことになる、だって?


「神を殺すには魔王の元へ行かなければならない、だから勇者達への同行を許そう。国づくりの件も神殺しの後でいい。では、もう下がっていいぞ」


そう言われ僕は取調室のような部屋から出て、みんなの元へ戻る。みんなには僕は表彰式に出ないと言ってその場を後にする


「国作り、神殺し、3人目の仮面の勇者と名乗った者、そして」


そしてこの帰還の力の腕輪


「考える事が多いな」


そう言って僕は城を後にした


「お、アオイ、帰ってきたか」


ガモがそう言って手を振ってきた


「アオイー、あの女王様に嫌なこと言われなかったか?」


「言われたよユール、なんか感じ悪かったなぁ」


でもなんかあの女王様、少し違和感があったんだよな、考えを読まれてるような、そんな感じがした


「あの王様実は元鍛治士で、元占い師で、元騎士だから、いろんな世界を知ってるんだよ」


そう言ってユールは一息置いてまた言う


「まぁあの人がきつい言葉を言う時は、相手に成長して欲しいからなんだよ、まぁ、元気だしなよ」


成長かー


「まぁ、頑張るか」


みんなの強さに乗っかってるだけ、か


そんな事ないと思うけどな


6


あれからなんやかんやあって表彰式の日程はズレて、表彰式は明後日になった


僕は今日はすることもないからこの国の集会場に行って依頼でも受けようと思っている


「アオイ様、いくつか話したい事があります」


リゼに止められた


「話したい事?」


「話したい事は2つ、異世界の云々について、昨日の国王様との話についてです」


リゼの後ろには腕を組んだみんながいた。ちなみにマイラは呪文を詠唱していた


逃げられなさそうだな


「わかった、話す、話すから殺気を抑えてくれ」


少しして


「えっと、まずは異世界の事だよね、答えられることはなんでも答えるよ」


そう言うとユールが教えてくれた


「それじゃあまずは、他の異世界人の情報を知ってたら教えてくれ」


他の異世界人の情報か


「あ、そうだ、諦一最強(ていいちさいごう)は名前聞いたことあるな。確か総合格闘技のかなり強い人だったはず」


「アオイ様、総合格闘技ってなんですか?」


「なんか、戦うやつ」


総合格闘技を知らなさすぎた


「あと愚三魔乱っていう女優がいたな、それに刄九喰呑(ばくくいの)は有名な玩具メーカーの御曹司だった気がする」


そういえば愚三魔乱って芸名で、本名は違った気がするな


血五(ちご)裏八(うらば)、あと滅七(めつな)ってのは聞いたことないな」


「それ以外は聞いたことがあるのかい?」


ユールに聞かれた


壊四不死(かいしふし)は最近デビューした小説家だったはず。朽六(くちろ)は個人的な知り合いだ」


確か壊四も偽名だったはず


「アオイ様、確かもう1人いましたよね?その人は?」


死十即破(しとそくは)、そいつは僕のいた世界では有名な人間で、政治家だ。それに裏社会を操っているっていう噂もある」


そして、僕の母親の仇だ


「アオイ、政治家ってなんだ」


ガモが聞いてくる


「そっか、この世界は全部の国が王が国をまわしてるんだったな。政治家っていうの国の方針を決める人たちで、王とはまた違った人たちなんだ」


政治家の説明って政治が無い世界でやると難しいな


「まぁ貴族みたいなもんか」


ガモがそう言った


「さて、次は国王と話したことだったよね」


どうしよう、国作りの話も神殺しの話も言いづらい


「えっとー、なんで報酬が要らないのかって事だよ、そんな大した事じゃないよ」


みんなはふーんと言っていた


「アオイ様、隠し事はいいですが、私たちのことをもっと信頼してくださいね」


信頼か、できたらいいな


:2の悲観 1


我弍飛蒼(ガニトアオイ)僕の両親はいい人達だった、母さんも父さんも優しかった


母さんは専業主婦で、いつも家事をしていた、僕は学校から帰るといつも家事を手伝っていた


そんな母さんは僕が12歳の時に亡くなった


川で溺れている子どもを助けて溺れたらしい、幸いその子どもは助かったが母さんはそのまま死んでしまった


だが、警察の話によると母さんは他者に殺されたかもしれないと言われた


母さんの死体には足を縄で縛られた跡と背中を刺された跡があった


川の底に母さんを縛っていたであろう縄が発見された。


母さんの溺れた川の監視カメラの映像を見ると、死十即破と見られる男がいた


そこから少しの間防犯カメラの映像が途切れ、次についた時には母さんが溺れていた、いや、流されているようだった


その数日後、僕は死十即破、本人に出会った


僕は母さんのことを、死十がいたあの川での出来事を聞いた、そしたら死十は


「え?あぁ、あの女性ね、うん、俺がやった」


もしそれが嘘だとしても、なぜ言ったのかわからなかった、ただ一つ、なぜか死十の言った言葉は本当に感じた


この時の死十はまだ20歳だった、しかし、親が政治家であったり死十自体も頭が良く将来有望だといろいろなところで有名な人物だった為、僕は何もできなかった


でも、あの時の死十は、どこか悲しそうな顔をしていた


2


母さんが死んでから4年経ったある時、父さんが職場で倒れたと学校に連絡があった


病院に行くと、父さんは食道癌と診断された


持ってあと数ヶ月と言われた、父さんは最近不調だったし、父さんにはたまには休むように言ったりもした


でも、父さんは倒れてから2ヶ月ほどで逝ってしまった


父さんは最後に僕に言葉を残してくれた


「蒼、私たち両親が君が大人になる前に死んでしまうことを許してくれ、それと、人はいつか死んでしまう、だから私たちの死を誰かのせいにして、恨まないでほしいんだ」


父さんはそう言って僕の頭を撫でる


「最後に一つ」


そう言い父さんは僕の肩に手を乗せる


「君は自由に生きなさい」


そう言って父さんは死んでしまった


その後は、父方の祖父母の家で暮らすことになった、母は拾われた子だったから、父方の祖父母の方に引き取られた


祖母は僕を気にかけてくれたが、祖父はあまり干渉して来なかった


その後少しして知った、父さんから謎の体から薬品が検出されたらしい


3


僕は学校に親友が2人いた、2人とも幼稚園からの幼馴染で、よく喧嘩して、仲直りして、ずっと一緒だった


でも高校1年生になって、片方は不登校になってしまった


そして高校2年生の1月、もう1人は失踪した


そこから、僕の周りの人はみんないなくなる、死神だ、とクラスメイトから言われ、僕はみんなから避けられた


4


そして、僕が18歳になった日に祖母は亡くなった


それからはあまり話さない祖父と一緒に暮らした


祖父はもう60歳過ぎているのに、農作業をして野菜を作っている。でも、それは僕のためということを知っている、祖母が亡くなる前に教えてくれた


「蒼、あなたのおじいちゃん、あの人は口下手な上に恥ずかしがり屋なの、あの人は本当に貴方のことを想っているの。だから、貴方に頼むのは申し訳ないけど」


祖母は僕の手を掴んで言った


「あの人をよろしくね」


そう言い祖母は事切れた


それから数日後、僕はコンビニの帰りに異世界に召喚されることになる


一つだけ心残りがあるとすれば、祖父にありがとうと言えなかった事だった


:新武器・竜胆、炎牙


王との面談から2日後


「祭りだー!」


ケルが騒いでいた、しかも、朝から


今日はみんなの表彰式とともにこの国で祭りが行われることになった


僕は午前の間はレジェルさんのところに行って剣術を習っていた、ユールも一緒に教えてくれたのでかなり捗った


「いやーアオイ、剣術もその銃っていうのもかなり上達してきたね」


ユールが言う


「まぁどっちも完全に独学なんだけどね、でも剣は2人のおかげで太刀筋とか力の入れ方とか、基本的なことを学べたから感謝してる。ありがとう」


その時、ユールが真剣な顔で聞いてきた


「なぁアオイ、僕には本当のことを教えてくれないか?」


「本当のことって?」


「王との話し合いのこと」


本当のことか


「実は、神殺しをしてほしいって言われた」


「神殺しかぁ、なるほどね」


「あれ? 普通というか、反応が薄いな」


「まぁ神殺しはしてほしい人が多いからね」


「そうなの?」


「ああ、多分殺してほしいって言ってたのは破壊神コロウアだろう? あの神を本気で信仰している人はかなり少ない、殆どの人は恐怖で縛られてるか、成り行きだね」


「それで、この腕輪はその神殺しの前払いとしてもらったものだよ」


「へぇ」


そう言ってユールは黙った


その後、宿に帰るまでユールは無言だった


いくつか疑問とかあるし気になることもあるけど、明日は祭りだ。


今日は寝て、休もう


第5 終

最後まで仮面の勇者第5話を読んでくださってありがとうございました。


今、仮面の勇者番外編「慈愛の光」というリゼの過去の話を書いています、こちらを読めば先の話がもっと面白くなるかもしれません。


何を読むかはあなた次第、それではまた次の話で会いましょう。

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