仮面の勇者 3
仮面の勇者、第3話です。裏八との戦いが今回大きな場面ですよ。ぜひ楽しんでください。
さぁ、冒険の始まりです。
仮面の勇者3話
:人の知恵 1
「おーいレグートーいるかー?」
「あ、アオイ! 来たんだね! 昨日の戦いを見たよ! 凄かったね!」
「圧がすごいなぁ」
今日はみんな各々のしたい事をしてるから僕は暇つぶしにレグートの武器庫まで来た
「それで思ったことがあるんだけど、アオイって異世界の人間でしょ? それなのになんで特異な力を使わないのかなって思ってさ」
「ん、ああ、僕の力って仮面を作る力なんだけど、弱くってさ」
レグートはふ〜んと言って考え始める
「アオイ、仮面の勇者って知ってる?」
「仮面の勇者?」
「うん数百年くらい前の話なんだけど」
[昔々、あるところに人間、獣人、龍人、巨人、エルフ、ドワーフ、魔人という7つの種族が同じ世界で暮らしていました、ですがある時魔族が全ての種族に戦争を仕掛けました、ですが魔物を魔界に封印して世界を救ったのが仮面の勇者様なのです」
「ていうのなんだけど、その人は仮面に特別な力を付与してたみたいなんだよね、だからアオイもできるんじゃない?」
仮面に特別な力を付与するか、やってみるか
「こんな感じでどうだろう」
仮面を作り出した、けど…….
「うーん、力は無いみたいだね」
レグートに鑑定してもらったけど、ダメだったみたいだな。
いや特別な力の付与ってどうやるんだよ!
「まぁまぁ、結局はおとぎ話みたいなものだし、もしかしたらまだできないだけかも! いつかできるよ!」
「ありがとな、レグート」
僕はレグートの優しさに少し泣いた。と、その時、武器庫の中に数人の衛兵が入ってきた
「帰りますよ、レグート様」
「……アルシャハル、なぜ君がここにいる」
レグートは衛兵よ隊長みたいな人にそう言った、て事はやっぱり
「レグート、やっぱりお前、貴族……いや、王子か」
「ごめん、隠してて。俺が王子って知ると、みんな俺じゃなくて俺の地位や金を見るからさ、それが、嫌で」
「何言ってるんだレグート、僕は例えお前が王子でも、今とおんなじ態度をとるよ」
まぁ衛兵がわざわざ出てくるなんて、本当は王子か? とか思ってたけど、本当に王子ってのはびっくりしたな
「貴様、アオイと言ったか」
アルシャハルと呼ばれた衛兵に呼ばれる
「あ、はい、なんですか?」
「貴様もついてこい」
そのまま僕は王城に連れてこられた
なんでー?
2
「貴様か、最近レグートが言っていた者とは」
そこにはサングラスをかけた金髪のスーツ姿の男がいた、結構若くてイケメンだ
「えっと、王様ですか?」
ここはこの国の中でも1番大きいビルでレグートはここを王城と言っていた、だから多分この人は王様かな?
めっちゃヤ○ザみたいだけど
「ワレはこの国の王、リザルート・ゲートだ。貴様を呼んだのは知恵を借りたいからだ」
「あ、やっぱり国王なんですか、それで知恵を借りたいってどういうとこですか?」
「実はな、とある者達から武器の製作の依頼を受けていてな、明後日までに剣を1000本作らないといけないんだが、一日に作れるのは10本ほどなんだ、どうすればいいと思う」
「剣の種類や素材って決まってるんですか?」
「いや、そこら辺は特に指定がなかったな、とにかく武器を1000本ほど作ってくれと言われていてな」
「へぇ、なんでもいい、か」
「アオイ?」
いいこと思いついちゃった!
3
「なぁアオイ、これで本当にできるのか?」
レグートに質問される
「たぶん」
レグートは今、大きい木でできた的を持って砂漠を歩いている、目的はコボルトだ
「確か、コボルトの剣を取るってことだけど、コボルトが剣を投げなきゃ意味ないんだろ?」
「うん、だからこうしてるんだ」
僕は的の中央に縛り付けられている、ちなみに安全のためにリゼにバリアの魔法とガモにアンリミテッドシールドというスキルを使ってもらった
「でも、こんな作戦よく思いついたね」
「いや、僕は思いついてないよ、これを考えたのは三国志という書物の孔明という人さ」
「孔明さんすごー」
そう話しているうちにコボルトの大群に会った
「さぁ、レグート、この的を立てて隠れてて!」
数分後
「あ、もうコボルトたちの剣がなくなったみたい」
「おお、1000本集まったかな?」
「うん、数えた感じ1018本あったよ」
「え、レグート全部数えてたの?」
「うん。そうなんだけどさ、これどうやって持ってく?」
あー、考えてなかった
4
「こ、これは、本当に集めてきたのか!」
ドヤ顔をしてやった
ちなみにこの剣は全部手押し車で持ってきた
「さすが、異世界人だ。ちーとのうりょく? とやらでやってくれたのだろう、ありがとう!」
この実績をチートと言われたのは気に食わない、孔明さんの素晴らしい作戦なのに。まぁ、異世界の知識もこの世界じゃチートみたいなものなのかもな
「いやぁ、よかったよかった、取りに来るのは明後日だし、今日はもう休んでくれたまえ」
喜んでくれたのならいっか
「そうだ、報酬はどうしようか、金でもなんでもいいぞ?」
「あ、もうレグートからこの銃を、貰ったから、それが報酬って事でお願いします」
王様は驚いた顔をしていた
「まぁレグートの作る武器は一流品だしな、お礼したいんだが……まぁいい、今日は帰っていいぜ」
この人、結構いい人だろうな
と、その時
「ドガーン!!」
そう大きな音が聞こえた方へ行ってみると、このビルのエントランスが破壊されて煙が舞っていた
「なんかデジャヴ」
:9つの出会い 1
ここは、雷と機械の国クレリチア王城前の広場、通り過ぎて行く人が彼らを見ている
「さて、最強くん、君の出番だ」
青髪の男が言う
「ああ、任せろ!」
そう言い最強は下にあったビルの入り口を破壊する、一瞬の間の後、ビルの中が騒がしくなる
「それじゃあみんな、行こうか」
そういい青髪の男が城へ入っていく
2
「一体、何があった!」
レグートが近くにいた近衛兵に聞く
「大扉が、何者かに壊されました、壊した者はまだ、あの煙の中にいます」
煙の中には9人の人影が見えた
「あー、ビルの中の皆さーん? 生きてますかー?」
そう声が聞こえる
「あれ? 返事ないな、私また何かやっちゃいましたか?」
その言葉を聞いてようやくわかった
「異世界人だ」
その言葉を聞いて近くにいた衛兵が言う
「い、異世界人ですか?どうりでこんな事を」
そう言っていると煙が晴れる
「ああ、やっと晴れた、ってあれ ?君、おんなじ転生者の弱い人だよね? 何で生きてるの?」
青髪の男が僕に向かって聞いてくる
「あ、あなたたち! 何しに来たんだ!」
レグートが異世界人たちの前に立つ
「うるさいモブですね、どきなさい」
白髪メガネの男がそう言いレグートを蹴り飛ばす
「え? 何その転生者? きっもー。オタクじゃん消えてくんない?」
ピンク髪の女が言う
「すまないな、用件が済んだら私たちは消えよう」
黒髪のポニテ……あれ? あいつもしかして……まぁいいか
その異世界人がそう言う。そのまま異世界人たちは王の間へと向かっていく
「挨拶もなしか、悪いな、一応全員の名前言っとくぜ」
そう最強が言ってきた
「えっ何でお前が?」
「そりゃ俺はお前に負けたからな。あ、そうだ
。お前の仲間にした仕打ち、そしてお前の仲間やお前への暴言、本当にすまなかった。謝って許されることじゃないと思うが、本当に、すまなかった。」
そういやコイツ、戦った場所壊した後ちゃんと自分で直してたな、コイツ、やっぱり悪いやつじゃなくてただの戦闘狂なのかな?
「で、あいつらの紹介だなまず青色の髪の男が死十即破、俺たちの中で1番強い」
あ、あの俺何かやっちゃマンか、そうか、死十か………
「そしてピンク髪のツインテールが刄九喰呑、まぁ、コイツも強い」
あのオタク全否定女か
「んで白髪メガネが滅七時恋で黒髪ポニーテールが朽六洗雨、どっちも同じくらい強い」
滅七、あの教会で会った奴だよな、それに、朽六、なんでアイツがいるんだ
「それでヘッドホンの男は血五賢斗、その隣のすげえ日焼けしたギャルが愚三魔乱その後ろの気弱なやつが壊四不死」
「すげえ、わかりやすい、脳筋のくせに」
それに愚三と壊死ってどこかで聞いたような
「あとは俺、諦一最強と、もう会ったと思うが裏八剣谷の9人だ」
「情報量が多かったなぁ」
それに滅七、アイツは僕と会ったとは言ってないのか?
「いや、自己紹介してる場合かよ ?!もうあの異世界人たち行っちゃったよ?!」
レグートが叫ぶ
「やっべ、行かないと」
3
王の間に着くとそこには王を縛り上げている異世界人達がいた
「お前ら、こんな事をしてタダで済むと思うなよ」
王様が異世界人達に向かって言う
「え? その状態で何ができるの?」
青髪の男、死十即破が言う
「まーあーでもー、こんなに剣を作ったのはー褒めなきゃねー」
ピンク髪の女、刄九喰呑が言う
「お前ら! 何やってるんだ!」
駆けつけた瞬間、レグートが叫ぶ
「最強、なぜ止めなかった?」
白髪、滅七時恋がそう言う
「えっ! 止めなきゃいけなかったのか?!」
「アンタほんとに脳筋だな」
思わずツッコんでしまった
「その剣は、そこにいるアオイという異世界人が持ってきたんだ」
「おっと王様ー? それ今言う必要あった?」
なぜ今それを言う、びっくりしたぞ
「へー、じゃーアンタ、そういうチートなんだねー」
刄九が言ってくる
「まぁいい、目的は達した、帰るぞ」
死十が言う
「待ってください死十さん、俺、今からあの雑魚を倒しますから」
あれは、聖剣使いの裏八か、前より強くなってそうだな、強くなってる……よな?
「そうだね、もともと各国を支配するつもりだったし。いいよ、彼に勝ったらこの国は裏八くん、君のものだ」
そう言って死十は立ち上がる
「それじゃあみんな、帰ろう」
黒い球体が出現し、そこに異世界人達が入っていく、裏八以外の全員が入ると、その黒い球体は空の彼方へ消えていく
「ふぅ、それじゃあ邪魔者を消そうか」
裏八はそう言い聖剣をふる、その瞬間、この場にいる兵隊たちが気絶する
「さぁ始めようぜ、クソ雑魚が」
:8の優しさ 1
俺、裏八剣谷は優しかった
学校で気持ち悪い話ばっかしてる陰キャどもとも話してやってたし、運動ができねぇ奴には辞めろって言ってやってた、それほど俺は優しかった
それなのに、誰も俺に感謝しない、おかしい、この世界は狂ってる、俺はそう確信した
そんなある日、俺は1人の陰キャに話しかけた
「よぉ、えっと、陰キャ、お前何見てんの?」
そいつはメガネで髪は長くてずっと勉強してる奴だった、そいつがある時スマホでなんか見てた
「え、な、何って、アニメですけど」
俺は優しいからその話題に乗ってやった
「へー、何のアニメ? 俺、アニメ詳しいよ?」
「え、えっと、転プラって言うんだけど」
知らないアニメだった、そもそもアニメなんてゴミみたいな文化見てるやつはゴミだしな
「ぼ、僕はね、この主人公のルグルって子が推しなんだけど」
こういうのつまんねーんだよなー
「ああ、もういいわ、じゃあなー」
その日、そのアニメを見てみた、次の日、感想を言った
「よぉ、陰キャ、お前が昨日言ってたやつ見たぜ、えっとーペルクラだっけ?」
「転プラです」
「あーそうそう、それね! マジつまんなかったわ〜、どこが面白いんっていうクソアニメ? あと、あの主人公キモいよな〜、マジいらねぇ、消えてほしいわぁ」
俺みたいな優しい人間はこうやって感想をしっかり言えるんだよ、なのにこの陰キャは
「なら、見なければいいじゃないか」
そう言ってそいつはどっか行った、そいつの事はネタにしようとしたけど、乗ってくれる奴はいなかった
みんな、何で俺の優しさを認めないんだ!そう思って夜の街をタバコ吸いながら歩いていたら、この世界に来ていた。
2
「でも、ここにいる奴らは俺の優しさに触れて、俺についてきてくれたんだ、はぁ、俺ってやっぱり優しいなぁ」
裏八は笑う、僕は一息おく
「転プラ、転々としたらプライド傷つけられた件、あれは小説、漫画、アニメでラストが違うけど、全部、すごい面白かったよ」
裏八の笑いが止まる
「お前もその話かよ、やっぱ陰キャってキモいわ。俺の優しさに気づけな」
「お前のは優しさじゃない」
裏八の言葉を遮り言う
「お前のそれは優しさじゃない、それは優しさとは呼ばない」
「はぁ、やっぱりわかんねーんだな、俺の優しさ。悲しいわ、うん」
「そうだな、そんなもの、誰もわからない。僕の亡くなったお母さんは言ってたよ。人に優しくあれって」
「は? お前何言ってんの?」
「僕はお前みたいな奴に心底怒りが湧くような人間だ」
「お前さ、うるせぇわ、黙ってくんね?」
「僕はそこまで優しくないのかもな」
「はぁ、もういい、俺の優しさがわからない奴は死ねばいい」
そう言い裏八は切り掛かってくる、だが、その剣は数ヶ月前戦った時と何ら変わりのないものだった
「はぁ? 何で当たんねーの? お前チート使ってんだろ! ああ! イライラする!」
「なぁ裏八、お前、あの仲間たちをどうした?」
「あ? あぁ、あのゴミどもか、使えないから切って捨てた、魔法使いたちはいい感じで切れたなぁ」
切っ…た? 殺したのか? 仲間を?
「お前、辞書で優しさって調べてみろよ、お前はそんな大層なもん持ってねぇと思うよ」
裏八がキレて叫ぶ
「はぁ?! 優しさもわかんない奴が、優しさを語んなよ!」
「それはお前だろ」
僕の悪い癖、それは思った事をすぐに口にしてしまう事だ、しかも今は
キレかかってる
「どーせお前の親も仲間も碌でもねー奴なんだろうな、あ、だから母親死んだのか!あはははははははは!はー、面白ぇ」
笑いが収まり、少しの沈黙の後
「あ゛?」
僕の発したこの一言には、疑問と怒りと憎悪があった。
僕は裏八に飛びかかり膝蹴りを喰らわす、よろめいたところにさらに蹴りを喰らわす、裏八はよろめいた
「お前! 急に蹴るなんて卑怯だぞ!」
「ん? ああ、悪かったな。じゃあ、今からお前を殺すまで殴るよ」
冷静さを失うと、人は冷酷に無情になれる。そうなったら、僕はコイツと同じクズになるともわからずに
「くそ!やってられるか!こうなったら必殺技だ!世界よ、神よ、コロウアよ、我に光の力を貸し与えよ、我が名は裏八剣谷聖剣使い!我の力で敵を撃ち滅ぼせ!喰らえ、ライトニングオブラストセイバー!」
それを僕は、鏡でできた仮面で反射した
「ぐぁぁぁぁぉあああ!」
裏八がそう叫ぶ
「バカの一つ覚えだな」
そう言い裏八の方へ近寄る
「アオイ様!」
リゼの声が聞こえた、その後ろから他のみんなが来た
「あれ、みんな何で」
後ろで裏八が立ち上がる、まだフラフラしている
「あははははははは! 碌でもねえ奴の碌でもねえ仲間が来た! って待てよ? 俺が城の前に置いてきた仲間は? ああ、クソっ!使えねぇ、使えねぇ奴らが!」
アイツ、意識が混濁してるのか?
「あーアオイ、そいつぁ何だ、気にくわねぇ」
ガモが聞く、それに続けてケルとマイラが言う
「何かすごい嫌な奴な気がするねぇ!」
「アオイよ、よく殺さずに耐えたな、いや、リゼの声に助けられたのか?」
「ガモ、コイツは裏八っていう奴だよ」
ガモにはこの返答で合ってるのか?
「いや、そいつの名前を聞いたんじゃねぇんだけどよ。まぁいいぜ、アオイがいいならよ」
顔がボコボコになった裏八が言う
「はっ! どれだけクソ雑魚が集まったって! 俺には勝てねーんだよ! この聖剣のチートがあればなぁ!」
裏八は国王を掴み王の首に剣を突きつける
「アオイ! ワレに構わずこんな奴やっちまえ!」
国王が僕に向かってそう言う
「うるせぇ!」
そう言って裏八は王に剣を振り下ろす
「王様!」
僕は、走った、そして、王を裏八から離すことができた
「アオイ!」
後ろからガモの声が聞こえた
あぁ、痛い
:神の間
「おお勇者よ! 死んでしまうとは情けない」
そう聞こえ目を開けると、目の前には白髪で短髪の人がいた
周りは神殿のような場所で浮島みたいだ、上は青空では光がさしている、島の下は全部雲がかかっている
「 」
あれ? 喋れない? 体にモヤがかかってる
「ん?ああ、まだ目の部分しか力が無い……という事はまだ仮面を作り出せる程度か」
「 」
「ああ、話さなくても言いたい事はわかる、私の名はカルナイ、創造神さ」
カルナイ? そういえば、コロウアとカルナイという神がいたな
「 、 、 」
「面倒だな、自分で外せると思っていたが……私が口元を外してやろう」
カルナイは僕の口元に手を近づけて黒色のモヤを取る
「え、これで喋れるの?」
「ああ、喋れているぞ」
これで楽だな
「そうだ、僕は、裏八にやられて、なんで」
「まぁまぁ、時間はあまり無い、簡単に説明するぞ」
そう言ったカルナイは置いてあった豪華な椅子に座った
「まず、お前に異世界人を元の世界に返す仮面を与えた、あっちの世界に行けば作り出せるだろう。次に、私はお前が何度死のうと蘇らせる、安心しろ。最後に、お前には力が二つある、仮面を作る力、物体に能力を付与する力だ……ま、頑張れよ」
そう言いカルナイは指をくるくる動かす
足の下に白色の紋章が浮かび上がる
やばい、情報量が多い、いや、今は
「カルナイ! なんかいろいろ、教えてくれてありがとうな!」
カルナイは微笑んで手を振っていた
:さぁ、選択しろ! 1
目を開けると、涙目のリゼが僕に回復魔法をかけ、他のみんなが裏八と戦っていた
「リゼ、今の状況は……」
「あ、アオイさまぁぁぁああ!」
リゼが完全に泣き出した
「アオイ! 起きたのかい!」
ケルがこっちを向いて言う
「はは! 遅いよアオイ!」
ユールが背を向けて言う
「アオイ、さっきは守れなくて悪かったな!」
ガモがそう言って手を差し伸べてくる
「ここから反撃開始だな、アオイ」
マイラが後ろから言ってくる
「アオイ様、ほんとに、本当に、よかったです」
リゼが泣き止んだ
「ああ、みんな、ありがとう」
僕はガモの手を取り立ち上がる
「さてと、反撃しようか」
2
「お前らも! あの雑魚と同じように殺してやるよ!」
裏八は剣を振る
「おい裏八、僕は生きてるぞ」
僕はそう言って裏八の方に剣を突きつける
「あ? なんで殺したのに生きてる」
裏八は今にも……いや、もう怒ってるな
「まぁいい、これで決めてやる」
そう言い裏八は剣を振り光の斬撃を放つ
それをガモが防ぐが、衝撃波でガモは飛ばされた
「雑魚雑魚雑魚雑魚雑魚ばっか! 俺の優しさがわかんねーカスばっかだ!」
さらに裏八はケルとユールを吹き飛ばす
「は、ははは、はははははは! 弱いんだよ! 弱い奴は優しさもわかんねーだろうしな!」
裏八は笑う
「なぁ裏八、最後に一つ聞かせてくれ、お前はなんで優しくありたいんだ?」
僕がそう聞くと、裏八は止まる
「優しくありたい? 俺は優しいんだよ」
それを聞いた時わかった、コイツは、優しく無い
3
「死ねぇぇえ!」
裏八が切り掛かってくる
「誰が死ぬもんか」
裏八の剣を避け銃を撃つ、裏八の右肩に当たる
「うざってぇ!」
裏八はまた剣を振る、裏八のチートは多分、剣からの光線とあの剣
「でも、最強よりも脳筋だ」
戦闘IQは低い。なら、簡単に倒せる
「突っ込んでくるだけかよ裏八剣谷、お前には優しさも剣術も無いんだな」
「うぁぁぁあ! うるせぇんだよ! ぶっ殺すつってんだろ!」
コイツ、煽り耐性無いな
さっき貰った力、異世界人を帰すだけの仮面
「力もスピードも裏八の方が上だけど、勝てるだろ、僕なら」
光の斬撃は鏡の仮面を作り反射、斬撃は避けてカウンターを喰らわせる
このループが数分続き
「もういい! これで終わりにしてやる!」
そう言い裏八は剣を高く掲げる
またライトニングオブなんとかか?
「無詠唱!ライトニングオブエンドレスラストセイバー」
無詠唱!?
「でもな、ワンパターンなんだよ!」
裏八は笑う、裏八は知ってるからだ、この必殺技は反射できないと
「残念だったなアオイ!これは反射できないんだよ!」
アオイは光の砲撃を避け、一瞬で裏八に近づく
「言ったろ? ワンパターンって」
銃の持ち手で裏八の顎を殴る
「ゴハァ!」
そう言い裏八は倒れる
4
「あたまが、震える、な、んで」
僕は裏場に近づき、異世界人を元の世界に返す力、帰還の仮面を作った
「さぁ、選択しろ! ここで僕に倒されるか、優しさを学び罪を償うか」
僕は自分に紫色で金の装飾が入った仮面をつける、そして、裏八が言う
「俺が償う罪なんてねぇよ!」
「そうか、じゃあ、帰ってもらおう」
そう言い僕は裏八に帰還の仮面をつける、そうすると裏八の体が光のように消えていく
「おい、お前、何をした。答えろ!なぁ!」
「最後に言っておく。お前は優しさを知れ」
最後に裏八が、俺の優しさがとか言っていた、アイツは……変われるだろうか。
その後、王様にことの経緯を伝えた、王はパーティーをしようと言ってくれたが、僕は断った
それから数日後、この国を発つ日になった
「アオイ、またきてくれよ」
レグートが見送りに来てくれた
「まぁ行けたら行くよ」
「それ来ないやつじゃん」
「いーや、僕の行けたら行くは絶対に行くだ、覚えておけよ」
「アオイ、話してるとこわりぃけどよ、そろそろ行くぞ」
ガモが言ってくる
「じゃあ、そろそろ行くよ。僕の名前は我弍飛蒼通りすがりの仮面の異世界人さ!」
ドヤ顔で旅立った
:8の贖罪 1
俺が、負けた? あの優しさも知らないような雑魚に? 嘘だ、嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!
「あれ? ここは?」
気がつくと、俺は元の世界に帰っていた
「あのー、大丈夫ですか? よかったら、救急車呼びましょうか?」
会社帰りのOLだろうか、俺に手を差し伸べてくる、でも
「優しいのは俺だけでいい」
そい言って俺は手に持っていた聖剣でその女を斬る
「嘘の優しさをひけらかす奴は、みんな死ねばいい、そうすれば俺が、俺だけが優しい人間だ」
その後、この男、裏八剣谷は警察に捕まり4名の殺人と13名の殺人未遂で逮捕され、無期懲役を言い渡されましたとさ。
2
「あっはっはっはっはー! あーやっぱり人間は面白い、君は本当にバカだねぇ裏八」
黒髪青目の女が笑っている
「なぁコロウア、私も手助けしたとはいえ、流石にこのラストは……」
白髪赤目の女がコロウアと呼ばれた女に近寄る
「ん? カルナイ、見てたんだ」
「まぁ、少しな。でもこれはちょっと……」
「私がカルナイに召喚された子を1人だけあげた理由は、これが見たかったからさ」
「だが、なぜ彼を私によこしたんだ。いや別に嫌ってわけではないのだが」
コロウアと呼ばれた女は少し考える
「うーん、あの男の子があの10人の中で、1番ルート分岐が多そうだからかな?」
カルナイと呼ばれた女はハァとため息をつく
「仕方ないか、今の私たちには見守ることしかできないからな」
2人は大きい円盤から、異世界人、我弍飛蒼を見ていた
:絶壁の盾 1
「なぁガモ、僕と旅をしないか?」
そう言ってきたのは10年間ずっと一緒にいたユールだった
「なんで、俺なんだ?」
そう聞くとユールは笑って答えた
「最初は絶対にガモにするって決めてたんだ。だから一緒に行こう!」
「わかった、わかったよ。お前は危なっかしいんだから、俺が守らないとな」
俺は本当にコイツといていいのか、そう思いながら言った
2
俺はスラムの生まれだった
俺の父親は家族に暴力を振るい酒に溺れたクズな人間だった
母親はある日、俺と俺の妹を置いて消えた。あの父親といるのが嫌になったんだろう。それから数日して妹が病気になった
その時、街に行って薬を買った。毎日頑張って稼いだ金だ、医者は俺のことを嫌がっていたが、金を出したら黙った。でも帰る途中に
「おいガキ、それよこせよ」
そう言ってきたのは異世界の人間だった、俺はそいつに薬を取られた。妹の病気は治せずに、死んだ
父はその時初めて自分が何をしていたか知ったらしい、そして頭の悪い父は異世界人に喧嘩を売り、殺された
最後に父が
「こんな父親で、ごめんな、お前は優しく生きてくれ、ガモ」
そう言い父は事切れた
その後、俺は異世界人がなぜ薬を奪ったのか自分で調べた。その異世界人達は薬を高値で売るために奪ったらしい
その後、俺はよく逃げ込んでいた孤児院に正式に拾われることになった、それが大体6歳くらいの時のことだ
3
アオイが異世界人裏八剣谷を倒した後、俺は驚きで立ちすくんでいた
「ガモ、どうした? ぼーっとして」
アオイが話しかけてくる、俺は異世界人が嫌いだ、俺から全て奪った奴らだから
「気分でも悪いか? おんぶでもしようか?」
でも、コイツは他の異世界人とは違う気がする、まるで、仮面の勇者のようだ
「俺は大丈夫だぜ、それより、お前はどうなんだよ、ほとんど1人で異世界人と戦ってたんだろ?」
「大丈夫だよ、これは僕の目標だしね」
そう言ったアオイは覚悟を決めていたようだった
「そうか、頑張れよ」
俺はそう言ってアオイの背中を叩く、俺の目標はみんなを守ること、でも、守らなくてもみんなは進んでいけるんだろうな
第3 終
仮面の勇者第3話を最後まで読んで頂きありがとうございます。
さて、次の話ですが、蒼の新しい力「冥龍憑依」と「仮面ノ創造」が出てきます。ここから少しの間は頭を使った戦いより俺超TUEEE状態になるので、それまでお楽しみください。
それではまた次の話で会いましょう。