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仮面の勇者  作者: 偽陥 アニア
仮面の勇者 第一章 神殺編
15/20

仮面の勇者 15

仮面の勇者第15話

今回はアオイ達はあの後どうなったか、そんな話です

さぁ、冒険の始まりです。

仮面の勇者 15話


:仮面の怪盗タンザナイト 1


とある1人の男がいた、彼の名はポルドルド・マネクルイ、光の国ハルファウルの貴族で奴隷売買で稼いでいる


「にっしっし、明日はオークションの日、今回はどれを売ろうかなぁ」


奴隷を閉じ込めている牢屋の扉に手をかけた時、1つのカードを見つけた


「ん? んんん? あー! こ、これは!」


そこにはこう書いてあった


[今宵、貴方の持つ奴隷達を解放し、貴方の闇を暴きます。仮面の怪盗タンザナイトより]


「こ、これは……」


怪盗タンザナイト。半年前から巷を騒がせている義賊である


裏の顔や闇がある貴族や金持ちを襲う怪盗。無理矢理奪った物を奪い返したり、奴隷を盗みどこかへ連れて行っているとか


「ぐぬぬぬぬ、ワシが何か悪いことをしたとでもいうのか!」


「あの……ご、ご主人様、何かございましたか?」


「今すぐ警備体制をひけぇ! ワシの、ワシの財産が奪われるぅ!」


2


夜、月明かり、夜景、高台に仮面をつけた男がいた


青色の宝石が付いた紫色の仮面、コートのような革のコートのような長い上着を羽織り、きっちりとしたシャツを着ている


「さぁ、ショータイムだ」


彼はそう言い懐中時計を胸ポケットに入れて、警備兵の前に飛び降りた


「な、何者だ!」


「通りすがりの、怪盗だ」


警備兵たちからの攻撃を避け全員を気絶させる


彼はそのまま屋敷に入って行った


3


「ご、ご主人様、け、警備兵さんが全員、その」


ポルドルドはメイドに向かってガラスのコップを投げる


「きゃっ!」


コップはメイドの隣のドアに当たりコップが割れる


「わかっとるわ! 無駄口を叩くな!」


「すいません! すいません! すいません!」


メイドは震える手でガラスの破片を片付けて出て行った


「クソっ! クソっ! どうする、あの怪盗とやら、どうする、どうする!」


その時、扉をノックする音が聞こえた、最初は無視したが何度も叩いてきた


「誰だ! うるさい音を出してるのは!」


「失礼します」


さっきのメイドがまた入って来た


「お前どういうつもりだ! この緊急事態に!」


そう言いうとメイドが近づいてくる


「ご主人様、怪盗が屋敷の西側に火を放ちました、すぐに宝を持ちお逃げください」


「な、なにぃ! それを早く言わんかぁ!」


ポルドルドは本棚に駆け寄り隠し扉を開け金庫を出し床に置く


「この中にはワシの宝が入っとるんだ! 人から奪ったものもある! 盗まれたらまずいんだ!」


そう言いポルドルドは金庫にしがみついている


「何をしてる! 早く運ばんか!」


「あ、はい、すいません。でも、奥様やお嬢様、それに奴隷の子ども達はいいんですか?」


「そんな物と宝! どっちが大事かわかるだろ!?」


「……わかりました」


そう言いメイドは金庫を持ちポルドルドと一緒に外に逃げて行った


4


「はぁ、はぁ、ここまで逃げてくれば十分だろう」


屋敷から出て少し行った森の中、国を取り囲む壁までもう少しかな


「さぁメイドよ、それを早く渡せ、中身を見ておかなければ」


「はい、どうぞ」


メイドは金庫をポルドルドに渡す、ポルドルドは中身を急いで確認したが、中には何も入っていなかった


「うそ……だろ?」


「あんたは金や宝を優先して、本当に大事な物をみようとしなかった」


「は? 貴様、何を言っている! お前のせいでワシは全部失ったんだぞ!」


メイドは顔に手を当てていう


「そうだな、これから全部失う」


メイドは顔の皮を剥ぐ、いや、変装を解く


「き、貴様は!」


「仮面の怪盗タンザナイト、どうもこんばんは、下劣な貴族さん」


怪盗は手袋を引っ張り調整する


「タンザナイトー! こっちは全部終わったぞー!」


小さな黒いドラゴンが飛んでくる


「おう、ありがとうな、ナノ」


その時、ポルドルドが腰からナイフを取り出して怪盗に向ける


「いい気になるなよ! 女1人くらい、ワシでも倒せるわ!」


いや、女て、まぁ確かに半年間あまり髪を手入れしてなくて伸びてるけど、女とは思わないだろ


「あ、この世界じゃタンザナイトは女性がつける宝石だぞ」


ナノ、何でタンザナイトって名前にした時に言わなかったんだよ


「まぁいいか。ねぇ、ちょっと話し合いしたいんだけどさ」


「うるさい! 話し合いなんぞするわけないだろ!」


意思は固いみたいだなぁ


「仕方ないか、こういう人は」


僕は黒色の剣を作りポルドルドに向ける


「さぁ、選択しろ」



:新しい冒険 1


僕とナノは一仕事終えて、アジトのある獣人の国ヴィラストまで帰ってきた


「にしても頭いいよなーアオイ、闇の仮面で金庫の中身が無いように見せるなんてさ!」


「ナノー褒めても何も出ないぞー? はい、干し肉も一つあげるね」


僕は干し肉を投げる、ナノはそれをキャッチして食べる


「お! アオっちにナノっち! おっかえりー!」


「アオイー! ナノー! よく帰ってきたねぇ!」


さて、事の説明をしよう


2


僕とケルは半年とちょっと前、王の監獄(ロイヤルジェイル)からの脱獄を計画した


脱獄の仕方は簡単で、闇の仮面で僕とケルの姿を消す


見回りに来た看守が牢屋を開けてくれるから、そこから普通に出て、階段を登って屋上まで出る


そこからは獣人の国ヴィラストに行く、方向はケルが知っていたから簡単に行けた


国境付近に行くと、愚三魔乱(ぐみ まらん)がいた


エリフェルの魔導隊がサーチの魔法でずっと脱獄犯の僕達を探していたらしく、運良く愚三が見つけてくれたらしい


愚三は僕たちと一緒に行くと言っていたから、仕方なく愚三も一緒に連れて行くことにした


僕達はヴィラストまで行き、そこで壊四不死(かいし ふし)に出会った


そして、僕達はヴィラストの王城の近くにある少し大きい家を拠点にした


そして気になったことが一つ。エリフェル、それにヴィラストの周辺の森に廃ビル街があった


植物が茂っていたから、かなり昔に放棄されたところだろう


ま、それはいいか


3


「にしても、アタシがいた時よりも国がひどくなってるねぇ」


国の多くの場所はスラム街のような場所で、板をつぎはぎしたような家がたくさんあり


城も城とは言えないような粗末なものだった


「ケルケル……あ、そーだ!アオっち今回は何とってきたの?」


「よくわからないお宝、それと奴隷にされてた子ども18人」


後でこのお宝、元の持ち主とかに返さないとな


「あ、あの、アオイさん、ケルさん、ご飯作ったので、食べませんか?」


壊四がパスタを作って持ってきた


パスタを食べながら次の作戦を考える


「そろそろ、貴族を襲うのをやめる」


「お、アオっち、そろそろ本当の作戦に出るってことだね?」


本当の作戦、それは世界戦争を止める事


「やぁ、君たち、やってるかー?」


「ネスト! 怪我は大丈夫なのかい!?」


彼はネスト、ケルの婚約者で、よく人攫いに来る奴らを倒している人だ


「また怪我したんですか?」


僕が聞くとネストさんは優しく答える


「俺は大丈夫だよ、それに、国のみんなを守りたいんだ、当然のことをしてるだけさ」


まぁ、まずは世界戦争を止めるという事だ


世界戦争、僕が仮面の怪盗タンザナイトとしてあらゆる国を跨いで情報を集めた


そこで得た情報では、奴隷制の撤廃を求める国と続けろという国があった


撤廃を求めているのは雷の国クレリチア、炎の国ガウィタチン、岩の国デッグドッズ、獣人の国ヴィラスト


続けろと言っているのは自然の国エリフェル、氷の国シルファン、光の国ハルファウル、水の国ワラン


まぁ魔王の国もあるけど、今は鎖国してるみたいだし、それは一旦置いといて


「この2つの派閥が、戦争になりそうになってる」


調べた感じ、ワランはどっちでもよさそうな感じだった、まぁ国に入ってないから詳しい事はよくわからないけど


デッグドッズも巨人自体が労働力となるから別に奴隷はいらない、だからここもそんなに関わってない


どっちもその派閥に近いってだけだ


「とりあえず、絶対に引かないのはエリフェル、それに俺たちヴィラスト陣営も引く気はない」


そう言いネストさんは地図を広げる


「アオイ君が調べた通りだと、シルファンとハルファウルも引く気はなさそうだね」


この3つの国が引かないとなると、ちょっとまずいな


シルファンには聖騎士のティルさん、それに朽六、それにあの強そうな女王様………マイラが戦力が少なくて弱い国って言ってたけど本当か?


ハルファウルの強さはわからないけど、みんなの大切な人がいるし、戦争はしたくないな


「戦争か……」


できる事なら、話し合いで解決したいよな


4


数日後、僕はシルファンの貴族の屋敷の前に来ていた


結局、あの後ナノを含めた6人で話し合った結果、怪盗タンザナイトは継続して、戦争が起こりそうになってから考えるという事になった


呑気な考えだと僕は言ったけど、ケルはこれの方がいいと言った


まぁケルもいろいろ考えてるんだろうし、とりあえずはいいか


「さてと、ナノ、今日の標的は?」


「うぅぅ、ごめん、少し酔った」


僕は他の国に行く時、異國弐閃で作ったバイクで空を移動している


僕はいつもハイスピードで移動してるから、かなり酔うらしい


「しょうがないだろ、怪盗タンザナイトは複数人いるとか、高度なワープ魔法を持ってるとかいろいろ言われてんだ。騙し続けた方が利点が多いの」


「ならしょうがないかぁ。それで、今回の標的だったな」


そう言いナノは紫色の仮面をつける、壊四が暇だったから作ったと言い、ナノにプレゼントしたらしい


「今回の貴族はズーポ・ポロリスル」


ポロリする? 需要ないと思うぞ?


「地方貴族だけど、ずっと王都の別荘で暮らしていて、仕事は10歳の息子に全部任せてるらしい」


今まで何人かいたな、そういう人。こういう人が王都にいる理由って、だいたいロクでもないものなんだよなぁ


「この人は奴隷を買ってないな。というか、オレには仕事してる息子があえて買ってないみたいに見えるな」


「まぁ、屋敷に入って調べなきゃわからないよな」


僕は闇の仮面をつけ直す


「にしても、またメイドばっかかよ」


「アオイも女装が慣れてきたな!」


これで21回目、クソっ、僕がカッコ良さそうだから怪盗やるって言ったばかりに……


「最近は慣れてきたし、今回も前回と同じように予告状出して、その日の警備に参加するぞ」


前回は予告状を出して、その時の警備兵とメイドに変装して情報を取った、今回もそれでいけるだろ


それと実は、ナノの冥龍の力が進化して、僕の闇の仮面と似たようなことができるようになった!


変装や擬態、透明化もできれば闇の力で攻撃もできる! 弱いけど


「まぁいいや。さてと、潜入開始だ」



:地方貴族ポロリスル 1


僕はあの後、アーウィという名前でここでメイドとして働く手立てをした


面接とかそう言うのは簡単に通れた、身分は「孤児だった」で、だいたいいける


そして女装は茶髪のロング、メイクすれば普通に女に見える顔だ


「クソ、女装したら、なんてナノの助言聞くんじゃなかった!」


最近女装にもなれてきた、僕はそういうキャラじゃないのに………


まぁ掃除とかの家事や料理が上手くなったのは良いことかな


その時、部屋のドアにノックする音が聞こえ、どうぞと言う前に入ってきた


「あの、今日1日の方ですよね? 私、クナって言います! よろしくです!」


「あ、はい、クナ先輩」


「せ、先輩……えへへぇ」


そう呼ぶとクナ先輩は照れてた、もしかしてこの人、僕が初めての後輩か?


「あ、それじゃあこの屋敷の説明をするね! ついてきて! 」


予告状は今日の夜、ズーポ・ポロリスルの部屋に置く、できれば早めに知っておきたいが


「まず、領主様のお部屋を教えていただけますか? 先輩」


「うん! 任せて! ご主人様の部屋は3階の東側、1番奥の部屋だよ! 行こうか!」


元気だなぁ、この人


2


領主の部屋に来ると、鍵が閉まっていた、それに中から音が全然しない、防音壁か?


「あ……今は他のメイドがご奉仕中ですね、他のところを回りましょう」


「あ、はい、先輩」


クナ先輩の顔は暗かった


それから、台所、風呂、トイレ、物置、その他諸々の部屋を見た。多分、宝とかは領主の部屋にあるだろう


歩いてる時、クナ先輩から話が出て来た


「アーウィちゃんはさ、夢とかある?」


僕の夢……


「英雄になってチヤホヤされる事、ですかね」


「あっはは! 良いね! だから頑張って、私は応援してるぞ」


この人の笑顔は、とてもいい笑顔だな


「クナ先輩はあるんですか?」


「私は……私ね、パン屋さんになりたいんだ、でも、ここのご主人様に恩返ししなくちゃいけなくて」


恩返しか、拾ってもらったとかなんかな


「頑張ってください、クナ先輩、私も応援してますよ」


僕がそう言うと、クナ先輩は驚いて、笑ってくれた


「ありがとう、アーウィちゃん」


その後、屋敷の中を大まかに見てわかったが、絵や花瓶がとても多く、メイドの姿もよく見かけた、かなりメイドが多いな


それにしても、ここもハズレかもな、戦争の情報は無さそうだし、早めにお宝とって帰るか


「今日はありがとうございました、クナ先輩、それじゃあ私はお風呂に……」


「あ、アーウィちゃんは1時間くらい待ってて、私が先に入るから」


お、それならナノと情報交換する時間取れるし、そうしてもらうか


「わかりました、では1時間後に入りますね」


「うん、それじゃあまた後でね」


そう言いクナ先輩はお風呂場に向かって行った、それと同時に、領主も風呂に入って行くのが見えたが、まぁいっか


3


ナノが部屋に入ってきて、情報交換の時間になった


ちなみにナノは壁をすり抜ける事ができるようになったらしい、なんでだよ


「んで、コレがオレが得た情報な」


そう言いナノは話し始めた


最初はこの貴族の領地の人間がいなくなってるとか、ここら辺のサキュバスの店の店員が減ったとか、そんな話だった


「そんで次、コレがいっちばん大事だぞ」


ナノが言うには、最近、ここの領主の妻が失踪してるらしい、つい2ヶ月前くらいから姿を消し、領主はそれを黙ってるらしい


ナノは街で噂程度に聞いたと言っていたが、確かに奥さんを見てない


面接の時もメイド長と領主の2人だけだった


「奥さんが行方不明なのを黙ってる。ま、なんかあるよなぁ」


考えられる可能性は、家出とか、人知れず実家に帰省、最悪の場合は事故とかで……もしくは殺されて……


「いやそんな事あるわけないか」


でも、何人かそういう貴族いたな、お金目当てで結婚して、その後で殺して金は全部自分の物にするって奴


「まぁアオイ! オレからの、情報はこんぐらいだな、あとは頑張れよー」


自分勝手だなぁ、ナノは。あ、そうだ


「ナノ、ちょっと着いてこい」


僕はナノのしっぽを掴んで領主の部屋に連れてきた


「ナノ、この部屋入って鍵開けられるか?」


「おう! マカセロリ!」


なんなよマカセロリって、つまんないな。でもナノが楽しそうだ、しいいか


それから少しして、領主の部屋が開いた、部屋の中央に大きいベッドがあり、タンスや机もしっかりあったが、イスはなかった


「なーアオイーなんか臭くないか?」


僕は床に落ちていた手袋を持ち上げて言った


「まぁ、そうだろうな」


クナ先輩に悪い事しちやったな


4


その後、領主の部屋に予告状を貼り付けて部屋に戻った


[明日の宵、貴方の宝をもらい、貴方の闇を暴きます。仮面の怪盗タンザナイトより]



:さぁ、ショータイムだ 1


次の日、領主は国に頼み兵を貰っていた


朝からかなり忙しく、どうお宝を盗むか考える時間が少なかった


前に襲ったポルドルドって奴は専属メイドがいたから、その人に変装するのが大変だった


まぁ結局はゴリ押ししたが……


休憩時間、自分の部屋で作戦会議をすることにした


「ナノ、いるか」


「おう! いるぜ!」


「作戦決まんない」


前のポルドルドの時は闇の仮面の力で火を放ったように見せた


同じ手はあまり使いたくないけど、タネがバレるかもしれないし


「うーん、闇の仮面でダミー作るとか? ダミーの方は俺が操作するし」


悪くない作戦だな、まだダミー戦法は2回くらいしかやってないし


「ならこっちのメイド姿をダミーにするから、ナノはこっちを操作してくれ」


「まかセトリ!」


セトリ? なぜ急に音楽?


「そういえば昔ギター弾いてたなぁ」


中学生の時、僕と仲のいい幼馴染の4人でバンドを2年間ほどやってたことがある


僕たちの住んでた街では結構有名だった、高校に入ってからは辞めちゃったけど


「てかそんな事よりさっそく準備だ、ナノ、あとは頼むぞ」


そう言い僕はナノとグータッチをする、ナノはさっきまでの僕の姿になり、僕は闇に溶け込む


さぁ、作戦開始だな


2


あれから数時間後、いろいろセッティングした僕はクナ先輩の部屋に来た


中は綺麗に整頓されている、というよりこの部屋を全く使ってない様子だった


クナ先輩は、自分を「ご主人様のお気に入り」と言っていた


「これくらいしか手助けできないけど、頑張ってください」


僕はそう言いここに入った時の初任給を置いた、が、その時


「はぁ、やっと休める」


クナ先輩が部屋に帰って来た、サーチの魔法とか探知をぜんぜんやってなかったから、隠れる隙もなかった


「あ、こ、これはお嬢さん、こんばんは」


僕はそう言いお辞儀した、頼む、叫ばないでくれよ


「えっと、こんばんは、もしかして仮面の怪盗さん?」


案外クナ先輩は静かだった


「はい、私の名前は仮面の怪盗タンザナイト、今宵、ここに住む領主の闇を暴きに来ました」


そう言うとクナ先輩はじっくり僕の顔を見て来た


「ねぇ、あなたもしかして、アーウィちゃん?」


な、バレた!? ケルでもわからないほどの変装だし、仮面をつけてる、それに部屋は暗いのに


「なんで? って顔してるね、だってさっきそこに置いたの、アーウィちゃんの初任給でしょ?」


あ、普通に洞察力が高いだけか


「まぁでも、ありがとうね」


そう言いクナ先輩は抱きついて来た


「クナ先輩、夢、叶えてくださいね」


僕は心から、そう言った


「お嬢さん、私はそろそろ行かないと行けません、予告に遅れるわけには行かないのでね」


そう言い僕はクナ先輩の頭を撫でた


「うん、ありがとう、アーウィちゃん。いや、タンザナイトさん」


僕は窓に手をかける


「それじゃあ、また会う日まで、クナ先輩」


さて、これからが本番だ


3


アオイに言われた通り、オレは領主の近くについている、のだが


「早く茶を持って来んか!」


コイツ横暴だし呑気だしオレ、コイツのこと嫌いだな


「ハイ、オモチシマシタ、リョウシュ様」


カタコトになっちゃった


「領主? ご主人様と呼ばんか!」


ご主人様? 領主様と何か違いでもあるのか?


「わかりました、ご主人様」


もうすぐでアオイが暴れる時間だな、そうなったらオレが合図を出してアオイを呼ぶ


そしたら前みたいに領主が金庫を出すだろうから……


と、その時


「でたぞー! 怪盗だー!」


アオイが暴れ出したのだろうか、部屋の前にいた衛兵もどっか行ったな


「領主様、宝を持ちお逃げください」


そう言ったが、領主はなかなか逃げる様子がない、アオイを倒せるって思ってるのかな?


「ははは、別に良い、あやつが来たとしても、意味はない」


何を言ってるんだ? コイツ、なんか企んでそーな顔だな


「あの、領主様、意味はないとは……」


「ご主人様と呼べぇ! まぁ良い、まぁな。実はな、あと数日で戦争が起こる、その時に武器を輸出すれば、大いに儲かるんじゃよ!」


戦争! もしかしてヴィラストとエリフェルの戦争か!? 早くアオイに伝えないと!


そう思い俺がドアノブに手をかけた時


「おい待て、貴様どこへ行く?」


領主は俺の手を握り、俺を床に押し倒した


「貴様、仮面の怪盗タンザナイトじゃな? しかし貴様は女だったとは、これは楽しみがいがあるなぁ」


そう言い領主はヨダレを吹いた


「きっ、キッモ!」


俺は領主を跳ね飛ばそうとしたが全然飛ばない、力が入らない


「離せよ! この変態キモデブカス野朗!」


ここでドラゴンに戻るか? いや、でも戻ったらいろいろとバレちゃうし


その時


「はぁぁぁー!」


1人のメイドが箒で領主を殴り飛ばした、確か、クナ先輩とかって名前だった気がする


「行って! 早く!」


「う、あ、ああ! ありがと!」


クナ先輩の横を通り過ぎる時、ボソッと言われた


「どういたしまして、怪盗の助手さん」


そしてナノは走り去って行った


「どういうつもりだクナ、ワシへの恩を忘れたのか! それにワシは毎晩、毎晩」


クナは声を遮るように地面に辞表を叩きつけた


「私! 本日づけでここ辞めます! パン屋さんになりたいので!」


領主は地べたに這いつくばっている


「ふざけるなぁ!」


領主がそう言いクナ先輩に襲いかかろうとした瞬間、仮面の怪盗タンザナイトが窓際に現れた


4


「領主、ズーポ・ポロリスル、お前の悪事はばら撒いた、もうそこら辺で辞めておけ」


僕は窓際に座り指をパチンと鳴らした


「ふざけた真似をぉ!」


そう言い領主は走って来たが、肥満のせいか今までの怠惰のせいか、うまく走れずに転び、普通に拘束する事ができた


「さーて、情報を洗いざらい吐いてもらおうか」


まぁ期待してないけど


「ははっ! さては知らないんだな? 2週間後、ハルファウル、シルファン、ワラン、エリフェルの4カ国同盟がヴィラストの全面戦争を仕掛ける事を!」


なんで悪役とかってこういうことをペラペラ言うんだろう


てかちょっと待て、2週間後に、戦争だと?


「……早く帰らないと」



第15 終

仮面の勇者第15話を読んでいただきありがとうございます。


今回は前回の話からだいぶ期間が空いてしまい、申し訳ありませんでした、今回から戦争編、開始です。

次回からはより戦争や人の生死を書こうと思っています、人が多く亡くなります、でもそれも成長ですから悔やむしかないですね


それではまた次の話で会いましょう。

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