仮面の勇者 14
仮面の勇者第14話
今回は捕まったアオイ達は一体どうするのか
さぁ、冒険の始まりです。
仮面の勇者 14話
:王の監獄 1
「さて、貴様が何をしたのか吐いてもらおうか……」
僕はいま、取り調べを受けている
昔、砂漠の団に捕まった時に受けたあんな可愛らしいものとは比べ物にならない程、本格的かつ拷問的な取り調べだ
「だから、僕は何もしてない。なぁ、王の死んだ正確な日時とかを教えないのはなんでだ?教えられない理由でもあんのか?」
「うるせぇんだよ!」
僕は兵士の持っていた棍棒でおもいっきり殴られる
「なぁ、エルフは拷問とかすんのかよ」
「は?罪人にはなんだってしていいだろ?」
「1つ聞くぞ、お前達は、自分を高貴な存在だと思ってるか?」
「当たり前だろ!俺たちはエルフ様だぞ!」
はぁ、なんかこいつら、昔の僕を見てるみたいだな。自分が正しくて絶対で間違いを知らない
「僕はずっと、エルフは高貴で格式高い人たちだと思ってたよ」
横から来る棍棒を口で止め、噛み砕く、口の中に入った木は吹き出す
「でも、蓋を開けたら拷問に種族差別、人身売買に無罪の人間に冤罪をふっかける始末」
「そういやエルフって長命種らしいな……お前達、更年期か?」
そう言うとエルフ達は襲ってくる、僕はイスから飛び上がって2人のエルフを足で鎮圧、メモを取ってたエルフはびびって動けなくなっていた
「えーっと、心配しないで……って言っても、信用ないか。ま、今は逃げないよ」
僕はそう言いまたイスに座った
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あの後、僕は牢屋に移された
牢屋の扉は鉄格子で壁はレンガ造り、窓が左側と扉の逆側にあるって事は、ここは角部屋だな。それにさっき窓から外を見たけど、かなり高くて、ここは4階とかだと思う
ベッドが1つにトイレが1つ、一応右の牢屋の中もすこし見える設計になっている
「にしても、静かだな」
監獄とかってうるさいイメージがあったんだけど、なかなか静かなんだな
いや、夜だからかな?
僕がベッドの中に入ると、隣の牢屋にケルが入って行くのが見えた
え?どうやって見たんだよって?
闇の仮面で遠隔的に見えるようになりました、こればっかりは僕もなんでかわからん。でもできちゃったし、しゃあない
「って違う違う! ケル! 大丈夫か!」
僕は小窓から静かにケルに聞いた。
ケルを取り調べしていたのは女性のエルフだったから変な事はされてないだろうけど……
「あぁ、アオイぃ」
ケルが泣いてる!?珍しいな
「って、どうしたんだよ?」
「ここの看守の人達の事を知って、アタシは悔しくなってねぇ!」
あ、ちょケル、声が大きい
「ここの看守のほとんどは、ここで家族を人質にとられ、無理やり働かされてるらしいじゃないか!」
おいケル、声がでかい!
「アタシは!そんなの許せないねぇ!」
あー、看守達がこっち睨んでるー、こえー
にしても家族が人質か……案外エリフェルって闇深い国なのか?
王の暗殺だって捏造みたいだし、絶対に裏があるな、この国
「まぁ、今は待つしかできないか」
その日は普通に寝た、この牢屋のベッド、めちゃくちゃ寝心地が悪かった
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次の日、僕とケルは食堂で話していた。
食堂はそこそこ広く、ここはレンガじゃなくて石造りだった、机とイスは木でできていて、キッチンのような場所から朝食を貰ってくるスタイルらしい
「朝食は2種類、魚か肉!どっちかだよ!」
女の看守さん……いや、料理長か? その人がトングを持って言っていた
「豚の逆はシャケだぜ!」
「……アオイ?アンタ何言ってんだい?」
「ごめん、監獄に入ったら一度は言いたかったセリフなんだ」
「はぁ……なるほどねぇ」
ケルに冷ややかな目で見られた
「ところで、ケルに1つ聞きたい事がある」
昨日、ケルがみんなに話したい事があると言っていた事、あの後すぐに兵士たちに捕まったから聞けなかったんだよな
「あぁ、昨日のことかい?そうだねぇ、ま、言ってもいいか」
ケルはそう言い小声で話し始めた
「実はアタシね、獣人の国の、ヴィラストの王の娘なのさ」
「なるほど、それで?」
「えっ! 驚かないのかい!?」
「ケルー、声大きいよー、座りなー」
ケルは慌てて座り、また小声で話し始めた
「まぁそれはマイラが言ってたからいいとして」
「マイラが言ってたってどういうことだい?」
ケルがさっきより小声で話してる、ケルには1か100しかないのか?
「僕たちが捕まった時、マイラが変な話し方してたろ? それがさ、口の動きと声が違ってたんだよ、そこからいろいろ情報を知れた」
それでも口の動きから知れたのは断片的な情報だった。
まず、魔法やスキルは全て国に感知される事、この監獄では魔法が感知されない事、この国の裏を探ってほしいという事、この国には神の預言書という神話のようなものがある事を知れた
いやあの数秒でよくこの情報伝えられたな!
「まぁだからこの監獄の方が話しやすいんだって」
「なるほどねぇ、裏を探るってのがマイラが1番やってほしい事だろうねぇ」
「ケルは……マイラに裏切られたって思わないのか?」
「ん?思わないよ?マイラは大体何か考えて行動するし、アオイも裏切られたって思わないだろう?」
まぁ、僕は話を聞いた……というか見たからだけど、ケルはマイラのことちゃんと信頼してるんだな
「よし、マイラの期待に応えてやろうぜ」
「おうよ!」
:裏切り 1
「どうしてあんな事したんだ!」
少し前、アオイ達が連れて行かれた後。ユールはマイラの胸ぐらを掴んでいた
「あんな事とはなんだ? 密告したことか? それとも仲間じゃないと言ったことか?」
「全部だ!」
「アオイとケルは聞き分けが良かったぞ? それに比べてお前は子供だな、ユール」
ユールは震えている
「……行きたいなら行けよ、お前を慕う人たちがいるんだろ」
ユールはそう言いマイラを突き放す
「……あぁ、そうさせてもらうよ」
マイラは荷物を持って部屋から出ようとする、マイラは悪びれる様子もなく淡々と支度をしている
「あ、あの!」
その時、リゼが手を挙げて言った
「つ、釣り! 釣りしませんか!」
リゼの目はぐるぐる回っていて混乱していた
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「……つまり、マイラはこの国の闇を知るために、ケル達を犠牲にしたのか」
私たちは今、釣りをしてます。ユール様とマイラ様の間に私とガモ様が挟まれていて気まずいです。助けて!アオイ様ー!
「それでも、僕は許せない。仲間を裏切るようなあんなやり方……」
「……あの時は、ああするしかなかったんだ。相手の使える魔法だってわからなかったし」
これは誰かが悪いとかそういう話じゃないんだと思います。ただ、マイラ様がなぜこの国の闇を知りたいのか、それだけがわからない
「しかし、私はもうこんな失態はしない、ちゃんとするさ」
そう言ったマイラ様の目は、とても強かった
「よし、そうと決まれば早速ケル達を」
「いや、それはまだだ」
それはまだって……いや、マイラ様には何か考えがあるのかも知れない
「わかった、何をする? マイラ」
「私たちはケルとアオイの解放ではなく、この国の神の預言書を探しに行く」
「よし、そうと決まれば早速行こう」
ユール様、今回はすんなりと受け入れました、よかった、喧嘩にならなくて
「私はこの国でもかなり有名だからな、私の権限さえあればだいたいどこでも入れるぞ」
なるほど、それは凄い。
でも、なんでマイラ様はそこまでの権限を持ってるんでしょうか? 昔、この国にいたと聞きましたが、何か関係があるのかな?
「どうしたリゼ、置いて行ってしまうぞ」
「あ、すみませんマイラ様!今行きます!」
まぁ、今は考えなくていいかもしれないですね
:監獄の謎 1
この監獄に来て1週間ほど経った頃、あることに気がついた
それは、朝昼晩、どの時間帯も静かすぎることだ。いや、静かすぎるのに問題はないけど、ただ、異常な静けさなんだ
人の話す声も、外に降る雨の音も、風が隙間から吹いてくる音も、音が聞こえない。異常なまでの静けさ
その日、僕はケルに聞いた
「なぁケル、なんか気づいたことないか?」
隣の部屋からは何も聞こえない
「ケル? どうしたんだ?」
いくら話しかけてもケルから反応は無い
「寝てんのかな?」
しかたないし、僕も寝るか
その日、僕は闇の仮面を目の中にしまった状態で普通に寝た。
考える事が多い、異常な静けさの事、この国の闇の事、そしてマイラの言っていた神の預言書の事
明日には、何か変化があるといいが……
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次の日、朝起きるとケルに活気が無かった
「ケル? どうしたんだよ、なんか今日のお前暗いぞ?」
そう言ってもケルは頭を少し縦に振るだけだ
「なぁケル、マジでどうしたんだよ? お前変だぞ?」
ケルはまた小さく頭を縦に振った
一体なんなんだこれ? 明らかにケルがおかしくなってる。反応が薄くなって目がうつろになってるし、ずっとぼーっとしてる
「なぁケル! どうしたんだよ!」
僕はケルの肩を掴んでケルを揺さぶる、が
「あぁ、あー」
違う、ぼーっとしてるとかってレベルじゃない……これはもう
廃人
「なんだ、これ、なんだよこれ!」
周りを見る、気づかなかった、他の囚人も全員この状態になっている
「ざけんなよ、一体なんだってんだよ……」
いや、冷静になれガニト・アオイ、なんで″僕だけ″この状態になってない?
そういえば、おかしいことは他にもあった、それは看守達だ
いつもは威張ってふんぞり帰ってるくせに、ちょっと睨むと死ぬほどビビる
「いったい何が……」
こうなっている理由、そもそもこれがどんな現象なのか、情報が無い……
クソっ
3
あれから少しして、お昼ご飯を食べている時、気がついた事がある
「なんで飲み物が水なんだ?」
食事っていうか、給食とかって普通は牛乳とかだよな?でもなんで……
「あぁ、そうか、そういうことかよ」
薬とかはジュースや牛乳と一緒に飲んじゃいけないってどっかで聞いた事がある。そう、つまり
「食事に、薬物が入ってやがるのか」
これなら説明がつく、毎日分け隔てなく全員に同じ量の食事が渡される、それは薬物依存症、ようは薬漬けにして脱獄を考える頭を無くすってわけだ
そして、看守達の情緒の不安定さも薬に依存した強気な態度って考えれば納得がいく
「憧れのエルフ……か」
こんな薬漬けで埃も気品もなくて、ただ生きてるだけの……いや、今はケルを助ける方法だ。どうすれば
「待てよ、なんで僕だけこうなってない?」
みんなとの違い、仮面かな、だとしたら闇の力? もしかして、この仮面をケルにつければ治る?
「ケル、この仮面つけてくれないか?」
「あー?」
「……じゃ、つけるぞ」
僕がそう言い自分の顔から仮面をとる、その時、頭が猛烈に痛くなる、でも、ちゃんとケルに仮面をつけて目に収納させる事ができた
その後も少しだけケルはぼーっとしたままだった
次の日の朝、ケルは回復したみたいで元気になっていた。でも、二日酔いみたいだ感じでちょっとぐったりしていた
「つまり、アオイはこの国の闇を、依存性の高い薬物だって考えたんだね?」
「あー」
「どうしたんだい!? アオイ!?」
「昨日までのケルの真似ー」
「うざったらしいね、アンタ」
普通に怒られた
4
動くなら今日のほうがいい、多分、次の食事にも薬が入ってる。なら今のうちに大きく動かないと
行くならキッチンかな、バレないように行きたいけど……
「アオイ! 闇の仮面が必要なんだろ? アタシは大丈夫だから持っていきな!」
「でも、朝ご飯を食べたらやばいんじゃないか?」
「根性でどうにかするさ! さ、気張って行きな!」
そう言いケルは僕の背中を叩いた
「ありがと、ケル」
僕は仮面をつけて走り出した
:王の監獄の闇 1
僕はあの後、闇の仮面で自分の姿を隠してキッチンに忍び込んだ、今は朝食を作っている所らしい
闇の仮面の強い所は闇や陰さえあればほぼ透明に上、暗い所では暗視効果がつく事。でも闇が一片もない光の空間だったり、急に明るくなったりすれば力が弱まる
このキッチンはかなり暗い、出入り口は1つしかなく、食堂に繋がっているカウンターはかなり大きく、机を挟んだ向こう側にある。
あそこには近づけないな
「にしても、もう少しで朝食の時間なのに人が来るのが遅くないか?」
確かあと2〜3分で朝食を受け取れる時間になるはず、僕が抜け出したのがバレた? いや、だとしたらもっと騒ぎになってるはず………
「まさか、作り置き?」
冷蔵庫を開けると食材は無く、大量の白い粉が入った袋がいくつか入っていた
「さて、仕事するか」
誰か入ってきた、あれはいつものいつもの料理長さんか
「こんな事するの、嫌なんだけどねぇ」
料理長は白い粉の入った袋を1つ取り出して鍋に入れた
他にも何人か入ってきて食事に白い粉を混ぜていた。人が入ってくるタイミングで僕は外に出た
「ケル、大丈夫かな……」
できれば薬を処分しておきたかったけど、いろいろと問題になりそうだしな
次は看守の部屋にでも行ってみるか
2
看守の部屋はこの建物の最上階にある。看守の部屋に行く途中に他の部屋も少し見たが、人が少なく魔法陣とかも見当たらなかった
「衛兵はいないし、結界とかの魔法陣もない、薬漬けにしてるから逃げないだろって思ってるのかな」
だとしたら、この監獄では魔法が完治されないってのも本当なんだろう
「あ、鍵かかってる」
看守の部屋は鍵がかかってた。まぁ問題ないけど。
僕は異國弐閃で鍵を作り扉を開ける
「誰だ! お前!」
あ、やべ、なんか脱獄とかワクワクして隠れるの忘れてた
「あー、通りすがりの、仮面の勇者だ」
僕は闇の仮面の力で異國弐閃を透明化、そして異國弐閃で看守達を捕縛した
「さてと、バレちゃったし、堂々と探すか」
僕が看守達のロッカーを探っている時、1人の看守が魔法を使おうとしていたから、1人の看守の首を弾き飛ばした。
いや、正確には闇の仮面で弾き飛ばしたように見せた
「僕は今、仲間が酷い目にあわされて怒ってるんだ、余計なことはするなよ?」
いや、実際今はそんな怒ってない、ケルがあんな事になった時はさすがに怒りが湧いたけど、ケルに後遺症がなくてよかったと思ってるし。
今はそんなに怒ってない。それにコイツらを殺すつもりもない
「よし、こんなもんか」
看守達のロッカーからは冷蔵庫で見つけた薬物と同じ物がいくつも入っていた
その後、僕は部屋から出て看守達の拘束を解いた
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あの後、僕は牢屋に帰ってきた、まだ自由時間だけど、考えたい事があるから帰ってきた
「まず、この監獄の闇は薬物、それと……」
この監獄が、どこにあるのかがわかった
「まさか、地面の中にあるなんてな」
この監獄に来た時、4階建てくらいの建物に見えたけど、看守の部屋までに20階ほど登った、そして看守の部屋が最上階
「外に見える空は魔法で作られた幻影……どうりで風が吹かないし、なんの音も聞こえないわけだ」
にしても、看守達を解放した後になんの行動も無かったのが意外だったな。追いかけてこなかったのを見ると、何か策があるのか?
もしかしてあの仮面の下の顔がわかる魔法とかあるのか?
だったらやばいな
「ま、今日は寝るかぁ」
その日は普通に寝た、食事をとってないからかなりお腹が空いてるけど、我慢だな
:魔導隊長の訪問 1
次の日、珍しく囚人達が騒がしく、僕はそのうるささに耐えかねて起きた
「いったいなんだってんだ?」
囚人達が牢屋の鉄格子を握って何か言ってる、そして看守がその手を警棒で叩いて牢屋の中に戻す
「看守が多い……ってあれ? 看守の後ろに誰かいるな」
綺麗な服で昔の偉い人が着てそうな和服、それにあの髪の色……
「愚三魔乱!?」
そう叫ぶと周りを見回していた愚三がこっちを向いて驚いた顔をして迫ってくる
「え! どしたんアオっち! え? 食い逃げとかしちゃった感じ?」
「いや違うよ、冤罪で捕まってんの」
「えぇ! アオっち冤罪なんてしたの!?」
こいつ冤罪の意味わかってないだろ
「それより、なんでお前がここにいるんだよ」
「え? ああ、あーし、なんかマドータイチョーってのに任命されてさ、んまよくわかんないんだけどね」
マドータイチョー? 魔導隊長って事かな。だとしたらかなりの権力者のはず……じゃあなんでここに来た?
考えられる理由は1つ、昨日出没した仮面の勇者を探すためだろ
「つーか、冤罪で捕まるってさ、どゆこと? アオっち何も悪くないじゃん」
こいつ、冤罪の意味知ってたのか! ごめん、心の中でバカとか言って
「ねー看守さーん、アオっちなんで捕まってんの?」
「え、あ、あぁ、それはですね、王の暗殺容疑で隣の牢屋のケルという囚人と共に捕えられたらしいです」
「はぁ!? あーしのダチが人殺しなんてするわけねーじゃん! 解放して! 隣のケルって人も!」
「いや、ですが、愚三様、それは」
「解放してー!」
愚三の必死のお願い、というより駄々により、僕とケルは解放された
2
解放された後も、仮面の勇者の捜索は続いていた
「愚三、ありがとう。僕の冤罪だって言葉、信じてくれて」
「アタシからも、解放してくれてありがとうねぇ、嬢ちゃんはほんっとにいい子だよ」
僕たちは愚三に誘われて客室でお茶をしている
「別に、ダチが困ってたら助けるのが普通っしょ!」
そう言い愚三はお茶を飲む
こいつ、1つ1つの所作がすごく綺麗なんだよな、どこかの令嬢とかなのか? 僕は元の世界の愚三の事は全然知らないからな
「それに、他の囚人さん達は変になってたけど、アオっちとケルケルは普通だったじゃん? だからなんかあるんだろーなーって思ってさ」
こいつ、やっぱり見た目以上に頭が良いな
「あーしバカだからわかんないんだけどさ」
そう言い愚三はマカロンを食べる
「他の囚人さん達はおかしくなってて、最近来たアオっち達は普通って事はさ、この監獄、なんか裏あるくね?」
こいつ、マジで鋭いな
「んでさ、あーしの両親警察だしいろいろ教えてもらってんだけどさ、あの症状は薬物じゃね?」
こいつ……凄い!
「んま、だから早く2人解放して一緒にタピりたいなーって思ったわけよ」
よかった、ギャルだ
「あ、そういえば壊四不死は一緒じゃないのか?」
「あぁ、フシっち今ヴィラストって国にいんの」
ヴィラスト、獣人の国でケルの故郷、そしてケルはそこの王女……
「……ヴィラストに行くのもありか」
個人的にはみんなに会いに行きたいけど、エリフェルから見たら僕とケルは犯罪者、ここで愚三が僕たちを解放しても、この国じゃ今は動きずらい
「アオっち達ヴィラスト行くの? んじゃあーし送ってこっか? 転移魔法とか使えっし」
転移魔法ってかなり高位の魔法だよな? しかもヴィラストって数十キロ先だしかなひ凄いんじゃね?
「ヴィラストに行くなら、アタシはこの国の奴隷商人の所に行って全員解放したい。いいかい? アオイ?」
「うん、そうしよう。それじゃあまずは全員助けるために奴隷商人の拠点を潰さないとな」
「アタシはこの国に来た事ないからわかんないねぇ、魔乱はどこにあるか知ってるかい?」
奴隷制がこの国では当たり前なら、隠れた場所とかにはないと思う。攫いやすくするためにヴィラストに近い南側にありそうだな、いくつか拠点もあると思うし
「って、どうした愚三? そんな驚いた顔して」
愚三は驚いて口を開けていた
「いや驚くっしょ! だって奴隷商人ってめちゃ怖いんよ!? その人達の拠点潰すってマジ!?」
「うん、大マジ。それに怖いのは奴隷にされてる子どもの方だよ」
「マジか……」
そうだな、拠点を見つけるまで3日、拠点を潰すまで1日、国から出るのは5日後ってところかな
「じゃあそろそろ僕達は出て行こうかなー」
そう言い僕とケルは監獄から出ようとする、が
「いいや、それはだめだ」
部屋の外にいた看守に止められる
「はぁ? あーしが自由にしていいって言ったじゃん! 釈放してあげなよ!」
「すみませんが、いくら愚三様でもそれは……」
ん? あの看守、なんか持ってるな。あれって、通信ができる水晶じゃね?
「愚三、僕たちの事は心配しないで、うまくやるから」
考えられる手としては脱獄だよなぁ
「ま、ちょっと考えてみるか」
:7の狙い 1
「まったく、あの聖女とやら、全然使い物になりませんでしたねぇ」
アオイ達がエリフェルへ出航した数週間後、滅七時恋は氷の国シルファンにいた
「[聖剣]も[賢者]ももう無い、[即死]や[最強]、[不死]はとるのが難しい……」
[永遠]と[洗脳]はとるのが簡単そうだ。[暴食]は少し難しいがとれなくはない
「何より……あの[仮面]、あれは、あれだけは! 絶対に壊す!」
滅七はデッグドッズでの戦いの後、シルファンまで逃げ、シルファンにある村をいくつか使って自分の能力の実験をしていた
そこで見つけた新しい力が3つ、元々時を止める、時を戻すが使えた。
未来を見る、人を衰えさせる、人を若くする
「この力を使えば、国を滅ぼすことさえできる」
さて、作戦開始です
2
滅七は王城の前まで来た
門番の体内を衰えさせ衰弱死させる、そのまま城の中まで入っていく
城の東側の廊下まで来た、ここに目的の[洗脳]がある……
いくつも部屋を開けていく、物置、使用人の部屋、客間、なかなかいないな
そして1番奥の角の部屋、そこにいた、私の、[洗脳]が
「案外、簡単に見つかる物ですね」
私は[洗脳]、朽六洗雨を持ち上げる。その時、部屋の明かりが付いた
「貴様、何者だ」
後ろにいたのは、聖騎士、ティルサマレクサナだった
なぜ聖騎士がここに? まぁそれはいい、どうせ私の方が強いに決まっている
「どうやら、貴様に名乗る必要はないようだ。しかしまぁ名乗っておこう」
ティルサは剣を腰から抜き前で構える
「聖騎士ティルサ・ニゥフェ」
ニゥフェ? マレクサナじゃなかったか?
「さぁ、戦闘開始だ」
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滅七は朽六をベッドに置く。その瞬間ティルサは滅七の目に向けて突きをする、しかし滅七は時を止めてなんとか回避する
「な、急に襲ってくるとは、しかし時を止めてしまえば」
そう言いかけた時、時が動き出す
「は? え? な、なぜ?」
「私はさまざまな力があってな、デッグドッズの王のように他者からの力が効きずらいんだよ」
あの時のあいつと同じなのかよ! クソ!
「じゃああのシーニィ・ブラッドって奴とも同じなのかよ!」
「シーニィ? 貴様! シーニィさんを知っているのか!」
なんだ? この反応は? いや! 今はこの隙を狙う!
「若くなれ」
私はティルサを10歳程に若返らせた
「あなたは強い、胎児まで戻すつもりでしたが、できませんでしたね。でもいい。その歳ではうまく力が使えないでしょう?お義父さん」
「貴様……何を言っている」
滅七は朽六を抱きかかえ、窓を開ける
「何って、私は彼女を婚約者にします」
「ふざけるなよ、センウには好きな人がいる。そんな事はさせない」
ティルサがそう言うと、滅七は邪悪な笑顔を作る。ティルサは滅七の考えを読み、なぜそんな顔をするか理解した
「この……外道が!」
ティルサは小さい体で剣を持ち滅七に切り掛かる、が
「無理に決まってるでしょう」
滅七は剣を弾きティルサを蹴飛ばし廊下に飛ばす
「子供の姿からは1週間程度で治ります、それでは失礼します、お義父さん」
そう言い滅七は去って行った
第14 終
仮面の勇者第14話を読んでいただきありがとうございます。
今回はアオイ達が監獄に捕えられ、闇を探るという話でした。そして滅七の謎の行動……
次回は3月ごろの投稿になります! ここからどう話が進むのか、気になりますね
それではまた次の話で会いましょう。