仮面の勇者 13
仮面の勇者第13話
今回は書き方がいつもと違います、だからゴーストライターとかってわけじゃないですよ。
まぁそんな事はどうでもいい。
さぁ、冒険の始まりです。
仮面の勇者 13話
:氷木冥龍 1
氷の国シルファンに来てから約3ヶ月が経った、僕たちは今日、この国を出発する
「にしても晴れたなぁ、いい船出日和だ!」
僕たちは今港に向かっている
「そういえば、アオイ、この近くに冥龍の……アオイ、急に耳塞いでどうしたんだい?」
「フラグなんだよそれ!何回やらすんだよ!もうみんな飽きてるって!」
そう言うと、周りが霧に包まれていった
「あぁ!もう!またかよ!」
って、あれ?立ってる人影がある……
「おーい、そこのひ……と……」
見覚えがあった、その人は、いや、人じゃなかった。
あの時、炎の国ガウィタチンで会ったあの鬼だった
「おお、これはこれは、久しぶりだな」
「えっと、そういえば名前ないんだっけ」
「ああ、我らはまだ知られぬ存在だからな」
「じゃあめんどいし名前適当につけるね。じゃ焔侍って呼ぶから」
僕がそう言うと鬼は固まっていた
え、もしかして名前つけると死ぬ?いやだよそんな設定あったら、僕が殺人犯になっちゃうじゃあないか
「これ……は……。力が、溢れてくる」
「え?何言ってんの君」
焔侍が僕に近づいてきて跪いた
「やはり、貴方様が我らが王、ぜひ貴方様のお名前をお聞かせ下さい」
何言ってんだ?コイツ
2
結局、焔侍は氷木冥龍のいる場所までついてきた
氷木冥龍の家というか、巣?いや神殿か?まぁそんなところは氷でできた木で囲われていた
「「「さて、試練を始めよう」」」
「アオイ様!なんだこの声は!」
うるせぇ
「「「さぁ、切り抜けてみろ」」」
「あいわかった!」
うるせぇ!
そう冥龍の声が聞こえると、空から20体ほどの氷でできた4〜5mほどの兵士が降りてきた
「アオイーどうすんだこれ」
「いたのかナノ、まぁいい。とりあえず」
「貴様何者だ!アオイ様に近づくとは無礼千万!ここで斬り殺す!」
うるせー
「焔侍、コイツは僕の相棒のナノ。ナノ、コイツはさっき知り合った焔侍っていうやつ」
「という事は、この者は倒さなくても良いのですか?」
「うん、倒すな」
僕がそう言うと焔侍は跪いて言った
「仰の儘に」
さてと、収拾もついた事だしそろそろこの氷の兵をどうにかしないとな
ほとんどの兵は剣とか斧を持ってる、杖を持ってる兵が4人、盾を持ってる兵が2人……
「焔侍、盾を持ってる奴を倒せるか?」
「はい!勿論です!」
焔侍は走り出し盾兵の前で跳んで剣を取り出した。剣からは赤色の炎が出た、普通のオレンジ色の炎じゃない、真っ赤な炎が
「陽真一閃の心得!」
空中に赤い一筋の光が通り、空間が歪む、そして盾兵が半分になり炎で焼かれ消滅する
「アオイ様!やりましたよ!」
「おお、お前……すごいな」
普通に感心した
「アオイ、オレは何したらいい?」
ナノが焔侍の方を見て唸ってる、嫉妬してるのかな?
「じゃあナノは空を上を飛んで見張ってて、最近覚えた魔法があってさ、ナノにしかできないんだ」
「よっしゃ!わかった!」
そう言いナノは空へ飛んで行った
「感覚共有魔法[ライドアイ]!」
ナノの目と繋がる、右目は自分の目、左目でナノの見てる風景を見る。慣れないな
「でも、これで勝てる。異國弐閃」
僕は黒色の武器を取り出す……そういえばこれ、どんな形にもできるんだよな?
「なら、こんなのはどうだ?」
異國弐閃を地面に突き刺す、兵士たちの足場から黒い刃が出て兵士たちを襲う
「面白いな、鏖血鉱ってのは」
残りの兵は3人、全員斧か
その時、3人が同じ速度で同じ場所で斧を振りかざしてきた
「アオイ様!」
しかし、3人の斧はそれぞれの斧に当たる、そして斧が壊れる
「さぁ、これで終わりだ」
僕は異國弐閃を大剣にして、回って遠心力で1人を真っ二つに切り裂き、そのままもう1人を切り裂く
最後の1人が手で僕を掴もうとしてきた、その手に僕は触れて、兵士の中に異國弐閃を刺し中で破裂させる
全ての兵が崩れるまで1分もかからなかったな
「「「なるほど、少しはやるようだ。では、来るがいい」」」
扉が開く
「さぁ、ナノ、焔侍、行くぞ!」
「おう!」
「おう!」
3
「よく来た、人間と、新種と……ナノ?」
「久しぶりー!アイスリー!」
そう言いナノはアイスリー、氷木冥龍に近づいていく
焔侍は剣を出そうとする
「アオイ様、なんですか奴は、さっき戦ったあの兵共とは一線を画す化け物……」
そういえば、ナノは1番強い冥龍って言ってたな、って焔侍震えてる?
「焔侍、震えてる暇ないぞ」
焔侍は剣を握って歯を食い縛る
「アオイ様は、怖くないのですか?圧倒的強者が」
「怖いよ、だって負けたら死んじゃうかもだろ」
「ではなぜ、戦えるのですか……」
「だって……」
僕は、英雄になりたい
「だって、褒められたいから!」
これは理由になってないかもな
「よし、合格だ」
………………は?
「いや、アイスリーさん?」
「自分に正直になれたろ、合格だ」
あ、この人はちゃんと理由言ってくれたな、よかった
4
アイスリーとナノが遊んでる
「なぁ焔侍、いろいろ聞きたい事があるんだけど、いいか?」
「はい、なんでもお聞き下さい」
「一応聞きたい事は2つ、お前達の種族の事、僕の事を王って言った事、聞かせてくれるか?」
まあ焔侍が嘘をつく可能性だってあるけど
「俺たちの種族は、約100年前に急に生まれた種族です、名前は無く、魔物と同じような立ち位置なのです」
なるほど、確かに全ての種族はかなり昔から存在してるし……魔物と同じような立ち位置か……
「次にアオイ様を王と呼んだ理由ですが、10年ほど前に「10年後にこの世界に来る人間がいる、それがお前達の王になる」と言われまして、特徴の合う方がアオイ様でしたので」
へぇ、そんな事を言ったやつがいたんだ……誰だそれ、ガウィタチンの女王か?いや、でも会った事なさそうだったし……
もしかして
「それを言ったのってシーニィ・ブラッドって男じゃないか?」
「あ、はい、そうです、仮面をつけたヘンテコな男でしたので、しっかり覚えてます」
シーニィ、やっぱり何か隠してるのかな
「ありがと、焔侍。僕たちは帰るけど、お前はどうする?」
「あ!ならついていきたいです!我が王に!」
うーん、めんどくさい
「じゃあ、王からの命令、聞いてくれるか?」
「はい!勿論です!」
めっちゃ目をキラキラさせてる、なんか可愛く見えてきたなこいつ
「じゃあ君たちの拠点に帰っていて、いつか僕が行って、君達の王になるから」
「はい!仰の儘に!」
その後、焔侍は先に帰って行った、僕はここで少し残る事にした
「さて人間、何か残った理由があるんだろう?言ってみろ」
「アイスリー、例えばあんたの能力が誰かに奪われたり消されたりしても、取り戻せるのか?」
異世界人を殺せばその能力が手に入る。
この間はミリィドの戦いで能力を失った。
この事から能力が人から人へ行き来するものって事がわかる
でも、能力の行き来は一方通行じゃないだろ、流石に
「取り戻す方法か………取った相手を殺す。もしくは、聖女の力で戻すだな、それしか知らん」
なるほど、じゃあリゼが聖女になるから待ってればいっか、ミリィドを殺したくはないし
「ありがとうアイスリー、やっぱりこの世界のことはこの世界の人に聞くのが1番だな」
あ、そうだ、この世界についてもう一つ聞きたいことがあったんだ
「アイスリーさん、この世界って戦闘力とかあるの?」
戦闘力、ゲームやアニメとかでよくある設定だけど、あれば強さとかわかりやすいし
「まぁ、あるにはあるな」
あるんだ……
「だが、そんな物はなんの指標にもならん。実際、私は8000万程でお前は10程度だが、私はお前に勝てる気がせん」
ハッセンマン?
あぁ、8000万か、なんか小学生の考えた設定みたいだな
てか僕、10ってマジかよ
「さっきの新種は2500万程だな」
は?インフレが過ぎてるだろクソが
「ちなみにお前の仲間は全員3000万を越えている」
「はぁー?ふざけんなよぉー?」
それをインフレって言うんだよ
………魔王ってどれくらいなんだろう
「だから言ってるだろ、そんな物はなんの指標にもならんと」
あ、そっか
でも使ってる人は多そうだよなぁ
「しかし、一般市民の平均でも300ほどなのに。あまりに低すぎるな、お前」
いたたまれない、この状況
でも確かに低すぎるような気がするな
「ま、いいや、ありがとうねアイスリーさん。じゃあ僕そろそろ帰るよ」
僕とナノが外に出ると霧が晴れていた。
さぁ、早くみんなのところに帰ろう!
:シルファンからの旅立ち 1
次の国、自然とエルフの国エリフェルに行く船に乗った時、僕たちはマイラから渡された薬を飲んだ
どうやら耳がエルフの形になる薬らしい………
待て、ケルってどうなるんだ!
「はぁーー、いいねぇ!これ!」
ケルの方を見ると、猫耳が消え、尖った耳が生えていた
なんだろう、この没個性感………親近感が湧く
「まぁ僕は闇の仮面でどうにでもなるんだけどね!」
闇の仮面を使えば体の形を変えたり服を変えたりできるのだ!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
そこの君、今
「あれ?仮面の力使えないんじゃない?設定ミス?」
と、思ったね?
ははは!半分正解だぜ!
実はミリィドに刺された時、闇の仮面をつけていたからか、闇の仮面だけは使えるんだぜ!
それに!アオイはこの時新しい技能を獲得していた!それの説明は後ほど
さ、解説は終わり
謎の解説班はこれにて終了!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「あれ?アオイ、仮面はどこに持ってるんだい?」
ユールがそう聞いてくる
「あぁ、実はね、仮面を一つだけなら目の中に収納できるようになったんだ!」
僕は決めポーズをとる
「仮面の能力なのかはわからないけど、仮面を見えなく、そして触れなくする事ができるようになってた」
確か……僕が家出した時かな?あの時の記憶が曖昧だし、リゼとちょっといろいろあったから思い出すと……うん
「でもよアオイ、それって目の中に収納してるってわけじゃねぇじゃん」
「それはそう」
「それはそうなのかよ」
ガモ、大丈夫、僕も何言ってるかよくわかってないからさ!
にしても、マイラだけなんで薬を飲んでないんだろう?
まぁマイラなら飲まなくても魔法でどうにでもできそうだけど
「にしてもあれだな、エルフ耳、カッコいいな」
エルフってちょっと憧れあるんだよなぁ
気品高いし強いしかっこいいし
エルフになれるなんて経験ないからな
まぁエルフになったわけじゃないけど
そういえばリゼがいないような……
「あ、あの、アオイ様、変じゃ……ないですか?」
リゼが船の中の部屋から出てきた
リゼの方を見ると、いつもとは違う服だった、モコモコした服、短パン、黒いタイツ、ニット帽、それに尖った耳にいつもは垂らしてる金髪が結いあげられて頭の上でまとまっている
「うん、すごい可愛い、よく似合ってる」
なんだ?ここに天使でも舞い降りたか?
あぁなんだ、天使か
「あ、えっと、ありがとうございます……」
リゼの顔が赤くなり、リゼは後ろを向いて頬に手を当てていた
僕もなんか後ろ向いて頭を掻いてる
なんでだろう、恥ずかしいわけでもないのに
なんか、リゼを見れない
一方その頃、ケル達は
「じれったいねぇ!アタシ!やらしい雰囲気にしてくるよ!」
マイラ「やめとけやめとけ」
ガモ「やめとけやめとけ」
ユール「やめとけやめとけ」
ケルがユール達3人に止められていた
2
船が出航する時、アイズとティルサさんがいた。見送りに来てくれたらしい
「みなさーん!来ちゃいましたー!」
そういえばアイズってティルサさんの息子なんだよな、確かによく見ると面影があるような……
その時、ティルサさんが近づいてきた
「ティルさん……」
ちょっと怖いんだよな、この人、まぁいろいろあったし
てか間違えてティルさんって言っちゃった!やばい!殺される!
「久しぶりだな、異世界人………私はこの間」
「あの時はほんっとにすいませんでした!」
僕は深く頭を下げた、さっきティルさんとか言ったことも含めて謝罪した
「でも、やっぱり愚者とか愚か者とか言われたのは少し悔しいです」
ティルサは驚いた顔をして、その後少し笑った
「いや、私もあの時はすまなかったな。異世界人だからという理由で言い過ぎた」
この人……やっぱり本当はいい人だよな
「私は別にいい人なんぞではないがな」
あ、そっか、この人たしか人の心読めてたな、カッケェ
「は?カッケェだと?」
「おう!人の心読めるなんてかっこいいじゃん!」
「……はは、そう思うか……なぁ、もう一度貴様の名前を教えてくれないか?」
「我弐飛………ガニト・アオイ、通りすがりの英雄さ!」
いや、別に通りすがりではないか
その後、2人に見送られながら出航した
2人は結構長い間手を振って送ってくれた
朽六も……来てくれればよかったのにな……
:旅の途中、船の上で 1
「時にユール、戦闘力って知ってるか?」
「なんだアオイ、そんなものに興味あるのかい?」
そんなもの……か、やっぱりこの世界じゃあまり重要じゃないんかな?
「戦闘力、どっちかっていうと脅威度とか死縁値とか言うね」
へーそーなんだー
にしても脅威とか死縁とか、やっぱ力だけの数値じゃないのかな、そこに僕が10ってのもなんか関係してそうだな……
「その力ってさ、なんか基準とか……あったりするの?」
「うーん、そうだな。ランク1の冒険者の平均が1,000くらい、ランク2は3,000、ランク3は5,000〜8,000で、 それでランク4からは急に飛んで10万〜100万とかかな」
なるほどな、結構振れ幅が大きい上にランク4から飛躍的に上がるのか
たしかにランク3からランク4になるのは相当難しいし、スキルか魔法作らないといけないんだもんな
「ちなみに、僕の死縁値は4500万、ガモは4510万、マイラは1億5300万、ケルは4405万、リゼは3200万」
「へー………ちょっと待て、今なんかバケモンいなかったか?」
1億5300万ってバカかよ、インフレすぎだろ
「ちなみに1億は考えない方がいいよー、マイラは1億分の力を封印してるから」
マジかよ、ふざけてんだろマジで
にしても、僕の10って本当になんなんだろ、異世界人って事が関係してるのかな?
「あとティルサさんが7700万とかかな」
「よしやめようこの話!わけわからんくなる!」
「ちなみに冥龍はこの世界のドラゴンの最強種だから7000万越えはあたり前で……」
「やめろー!僕の自己肯定感がなくなるー!」
なんでそんな強いんだよみんな!
この後知ったけど、みんなは本当に天才的に強いだけで、こんなに強いのは世界に数人程度らしく、1億以上はマイラ含め3人しかいないらしい
なんで3人もいるんだよ、おかしいだろ
2
「そうだ!バイク作ろう!」
僕は手をポンと叩いた
「えーっと、アオイ、お前何言ってんだ?」
「バイクってなんだい?アオイの世界のものかねぇ?」
ケルとガモと一緒に料理してる時に思いついた
「えーっと、バイクってのは……1人乗り用の馬車みたいなもんだよ」
バイクって説明が難しい……
「うーん、なんとなくわかったような気がするが、どうやって作るんだい?材料とかどうするんだい?」
「そりゃもちろん!これがあるだろ!」
僕はそう言い異國弐閃を丸い球体にして出した
「なるほど、アオイの鏖血鉱はいつでも形を変えられるんだったねぇ!」
あ、そっか、普通は一回形が変わったら戻らないんだっけ
「まずバイクに絶対必要な物だけど、エンジンだ!」
まぁエンジンなんてこの世界には無いだろうから……
「どうしよう……」
「なぁアオイ、お前はそのバイクってのがどんな設計か知ってんのか?」
そういえば、この武器、想像力でなんでも作れるんだよな。この前は建物とか作れたしだから設計を知らなくてもいける気がする!
「って事で、早速作ろう!」
▼試作1
「ほーこれがバイクってやつかい、なんか単眼のドラゴンみたいだねぇ」
カフェレーサーというレース用のバイクを作ってみた。ちょっとスーパースポーツってやつに似せて作った
「これどうやって乗るんだ?」
「あぁ、これはこうやってまたがって……あれ?ハンドルが効かない」
それにエンジンもかからない、いや、かかっても発進はできないんだけどね
「よし、もっかい作るか」
▼試作2
「今度はこんな感じだな」
次はスーパースポーツ、SSとか言ったりするやつだな
「今度は目みたいなのが2つあるねぇ、それにさっきのやつより丸っこい」
「なんだろう、俺、この形にワクワクする」
「ガモ、やっぱりわかるよな!」
今度はちゃんとハンドルが動くな、それにタイヤともちゃんと連結して………
あれぇ?タイヤが回らない
「また失敗……いや、まだまだ!」
▼試作3
今度は趣向を変えてみた
「これはストリートバイクってのだな、さっきの2つとは違って乗り方はこう、軽く……」
あ、ブレーキとかつけてなかった
「まぁ、見た目はやっぱりカッコいいな」
ガモが腕を組んでニヤついてる。コイツ、乗りたいのか?
「まぁ一旦……あれ?」
なんだ……?これ……クラクラして……
「アオイ!大丈夫かい!?」
あ、立ちくらみか
「そういえば、鏖血鉱って血ぃ、使うんだった……」
失敗したなぁ
▼試作4
リゼから魔力を血液に変える魔法を教わったので試してみたら、すぐに血が回復した
「で、作ってみた」
今度はストリートファイターってやつ
あ、あの格ゲーじゃないよ?
「今度はしっかりエンジンがかかる!タイヤが動く!走れるぅ!」
ん?走れる?
僕はそのまま甲板から海へ飛び出した
「あぁー!」
「アオイー!」
「ガモー!どうすんだーい!」
いや待て、鏖血鉱は変形させられる……なら
「これでどうだ!」
僕はその日、空を飛んだ
次の日
「なぁアオイ、昨日のバイクってまた作れんのか?」
「あぁ、鏖血鉱で一回作った物は何回でも作れるんだよ」
本当に便利な武器なんだよな、これ武器器………?
「にしても、なんで水陸空に行けるようにしたのか、まったくこれだからアオイは」
「かっこいいだろ、ケル」
ケルはやれやれと首を振っていて、ガモはバイクに乗りたそうな顔をしていた
3
「リゼ、ユール、ケル、恋バナしないか?」
「は?」
「なんだって!」
「何を言ってるんですか?」
ある日、マイラが僕たちに恋バナをしようと言ってきた
アオイとガモは外で釣りしてるし……まぁ、大丈夫……かな?
「あの、それで、マイラ様、恋バナと言うのは……」
「恋の話、略して恋バナだ」
なんでそんな話しなくちゃいけないんだ……
「まずはケル、確か故郷に婚約者がいたな、どんなやつなんだ?」
え、本当に始める感じ?
「あ、アタシかい?」
ケルは照れながら言う
「アタシの好きな人は、まぁ、ちょっとダメなところもあるけど、アタシより弱いのにアタシを守ろうとしてくれるような優しい人なのさ」
ケル、楽しそうに話すな
「アタシはあっちから告白して欲しいんだけど、きっとアタシから告白するしかないんだろうねぇ」
そう言いケルはやれやれと首を振る
なるほど、やっぱり告白ってされたいものなのかな………いやでも僕は
「じゃ次はユール」
「はい!?」
え、ぼ、僕?
いやいや、僕はただの観戦者として呼ばれただけだろ!
「僕は別に好きな人なんて、ねぇ〜」
「そういえばミーフィ、手紙で気になる冒険者がいるとか」
「なんだって!」
「安心しろ女だ」
「ほっ」
いやほっ、じゃないよ、それにマイラはなんでミーフィと手紙でやりとりしてるんだよ!
「え!ユール様ってミーフィちゃんのこと好きなんですか!」
「そういえばリゼはユールとミーフィが幼馴染って知らなかったねぇ!」
ミーフィちゃん?
あ、ミーフィって受付嬢だし当然リゼとも会った事あるのか
「いや!別に好きじゃないし!あんな意地っ張りで強情で」
「ちょっと可愛くて面倒見がよくてご飯食べてる時の顔が可愛くて」
「優しくてなんでも笑って許してくれて、それでも怒る時は怒るし、怒った顔も可愛くて」
「なんでも自分でやろうとしちゃうところが心配でもっと頼って欲しくて」
「そんな自由奔放で自由な人を!好きなわけないだろ!」
僕はみんなに向けて指をさす
リゼは口元を手で隠し、ケルとマイラは真顔で固まっていた
なんだこれ、めちゃくちゃ恥ずかしくなってきた
「いや、ユールよ、お前はそれでいい」
「うんうん、甘酸っぱいねぇ」
あ、あ、が、あ
「覚えてろー!」
そう言いユールは部屋から飛び出して行った
「まるで逃げる悪役のようだったな」
「はぁ、いいねぇ!恋バナ!」
「少し、悪い事をしてしまった気がしますが、確かに楽しいですね」
リゼが笑っていると、ケルとマイラの邪悪な目がリゼを見つめる
「リゼ、あんたも言っちまいなよ」
「へ?な、何をですか?」
リゼは話をはぐらかそうとするが、ケル達に詰められる
「ほらリゼ、誰が好きなんだ?私たちに教えてくれよ」
「え、いや、あの、まだ好きかどうかわからなくて……えっと……えへへぇ」
この時ケルとマイラは思った
「いないとは言わないんだな」と
4
あと数十分でエリフェルに着くらしい
エリフェルはシルファンと同じで港町から少し行った所に王都があるらしい
そして何より、エリフェルでは、まだ獣人の奴隷制がある。
ケルのために遠回りしようとリゼが言い出したが、「リゼの聖女になるという目標を実現するために行く」とケルが言い、絶対に譲らなかったから仕方なくケルも一緒に行くことになった
「しかし、確かに異世界っていったら奴隷とかって思ったけど、本当に奴隷制なんてあるんだな」
しかも、それが良しとされてる世界なんて
僕はいつの間にか歯を食いしばっていた
「アオイ、そんな怒らなくってもいいさ、アタシだって許せないけど、仕方ないんだ」
「仕方ないなんて言うなよ、僕はな、人が不条理に会ってんのが許せないんだよ。だから、人を傷つける事とかが大嫌いなんだよ」
だから、そうだ、奴隷制を廃止させ……
「お前は全部どうにかなると思っているだろ、ぜんぶうまくいくと思っているだろ」
ティルサさんに言われた言葉を思い出した
そうだ、こんな甘い考えじゃダメだ
「どうにか、できないんかな……」
僕には世界を救う力なんてない、せいぜい仮面を作れる程度、その力さえも、今は無い………どうにか、救えないかな
「……みんな、アタシから少し、話があるんだけど……」
ケルがそう言いかけた時
外から騒音がした、港に着いたのか?
にしては騒がしすぎる気が……
その時、扉が勢いよく開き、エルフの兵士たちが部屋に入ってきて、ケルを捕える
「ケル・セネコ・リフィ!王の暗殺容疑で貴様を逮捕する!」
「誰だあんたら!」
僕はそう言い兵士に突っかかるが、簡単に捕まった
「貴様もコイツの仲間か……。ちょうど2日前に密告があってな、この船に我らが王を殺した犯人がいると」
は?何言ってるんだ?2日前に密告?その時は僕たちはもう船に乗って数日経った頃のはず
もしかしてこの船の中の誰かが?
「いや、そもそも王の暗殺ってなんだよ!ケルはやってない!」
いや、待てよ、そもそも船の上にいるのにどうやって把握した?
伝書鳩とか鳥……いや、この数日はユールとリゼしか飛ばしてない、2人は仲間を売るような奴じゃない
だとしたらどう伝えたんだ?
「………あぁ、なるほど、そういうことか……マイラ」
マイラの方を見ると、少し笑っていた
「まさか!あの「変調」や「特異点」の異名を持つ、マイラ・メルフェナ様ですか!?」
そんな異名あったんだ、こいつ
「あぁ、いかにも、それに密告をしたのも私だ」
「やはりそうでしたか!ちなみに、この者や後ろの者は一体……」
「仲間じゃないさ、こいつらの魔法は弱い、いらない魔法を作るような奴とは、仲間じゃないさ」
弱い魔法?
マイラが人の魔法を貶すなんて珍しい……
いや、もしかしたら……試してみるか
「マイラ!裏切ったのかよ!あの幼女に喜び酒に浸るお前はどこ行ったんだよ!」
そう言うと、マイラの顔が赤くなってこっちに近寄ってくる、僕の前で深呼吸をして、僕の耳を掴み、みんなに聞こえる声で言った
「お前達とは、もう、仲間じゃ、ないさ、今まで、のは、演技だった、んだよ」
!!!
マイラ……お前……!
「マイラ、お前言葉不自由になったんだな」
僕がそう言うとマイラは体をプルプル振るわせていた
「うるせぇ!ばーかばーか!兵士ども!早くそいつら連れて行け!」
「はっ!わかりました!」
兵士たちはそう言い、僕たちを担いで船を降りた。その後は馬車の荷台に縛り付けられ、運ばれた
そして、気づいた時には、監獄の目の前にいた
第13 終
仮面の勇者第13話を読んでいただきありがとうございます。
今回はいつもと書き方を変えました。いかがでしたでしょうか?これからもこの書き方になるのでよろしくお願いします。
さて、今回の内容はラブコメをちょっと入れましたね、ユールもケルも恋が実るといいですね。
次回は捕まったアオイとケルはどうなるのか、マイラの言葉が不自由になった理由とは……気になりますね。
それではまた次の話で会いましょう。