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仮面の勇者  作者: 偽陥 アニア
仮面の勇者 第一章 神殺編
1/20

仮面の勇者 1

初めての作品で拙い所もあるとは思いますが、お楽しみいただければ幸いです。

仮面の勇者1話


僕は、英雄になりたかった


:↑始まり 1


「貴方たちはこの世界に呼ばれた勇者様です、貴方たちにはこれから魔王を倒しに行ってもらいます」


目を開けたら、異世界にいた。


周りには黒いローブを着た人が8人、そして白いドレスを着た女性、床に描かれた赤い魔法陣。それから、同じ世界から来たと思われる人が9人いた。


18の誕生日が過ぎ街を歩いていた。確かコンビニに行って、帰る途中だったような……そして気づいたら知らない世界にいた。


「おい、ここ異世界かよ、チート能力とかあんのかなぁ!」


金髪の高身長の男がそう言った


「さぁ! 貴方たちの特別な力、見させてもらいます」


そう言い白いドレスの女性は石盤を取り出し一人ひとりにかざしていく


その度その人は笑顔で能力の詳しい説明をしていたが、僕の番は


「は? カルナイの方かよ」


と言い何も言わずに行ってしまった


それから少しして


「さて、勇者の皆様、これをお持ちください」


そう言いドレスの女性は周りの人たちに袋と装備を渡していく、だが僕には何もなかった


「さて、それでは王の間へ行きましょう」


「え、ちょっと、待ってよ」


「あの、無能は消えてくれませんかね? ww」


白髪メガネの男にそう言われた


僕は何も持たされず城の外に出されてしまった。


その時、僕の方を見ていたを見ていた白髪でメガネをかけた男が、僕を見て笑っていた。


2


「持ち物はコンビニで買った物と財布、スマホ、バッグ、後は今着てる服とお気に入りのスニーカーか」


上は青色のパーカー下は黒いズボン、お気に入りの赤いスニーカーに緑色のバッグ、そんでパーカーの中はジャージ、それが今の僕の装備だ


「どうしよっかなぁ」


コンビニで買ったものはおにぎりを2つ、お茶一本、あとマッチ棒と風邪薬


「あんま使えないかもな」


そんなことを1人でぶつぶつ言っていると


「すみません!」


誰かとぶつかった、そしてその拍子にバックを盗まれた


「あ! ちょ、待って」


バッグを盗った人にはすぐに追いついた。その人は白色のローブを着ていて金髪碧眼の女性だった


綺麗な人だなぁ


「あのー、できれば返してもらえませんかね、そのバッグ」


「嫌です、私はこの近くの孤児院の人間です、どうしてもお金が必要なんです、だから、嫌です」


「なら仕方ない、それをあげよう、だから僕をその孤児院まで連れて行ってください」


その人はキョトンとしていた、僕自身もなぜこんなことを言ったかよくわからなかった


「ふふふ、あなた、面白い人ですね、私が孤児院の人間というのは嘘かもしれないのに」


その人は微笑していた、美少女だけに


「微笑してるね、美少女だけにってか?」


キメ顔で言った。これは決まった! そう思っていると彼女はキョトンとしたあと笑い出した


「本当に面白いお方ですね、わかりました、ついてきてください」


そう言って彼女は孤児院へと僕を導いてくれた


「あ、まだ自己紹介がまだでしたね、私の名前はリゼ・ヘルフィ、女神コロウアを信仰している聖職者です」


「よろしく、ヘルフィさん、僕の名前は我弐飛蒼(がにと あおい)通りすがりの引きこもりさ」


そう言うとヘルフィさんは心配してくれた


「引きこもりさんなんですか? それは大変そうですね」


優しい言葉が心に痛い


「あ、つきましたよ、ここが私たちの孤児院です」


その孤児院は二階建ての木造でそこまで大きくはなかった


中に入るといくつか部屋があり、庭や周囲に子どもの姿は無かった


孤児院がある場所は国の隅にあるような丘の村で、さっきまで居た都市部とは違いこの村は石ではなく木造の建築物がちらほらとあるくらいだ。


「孤児院ってもっと子どもがいると思ってたんだけど、あんまりここには居ないのか?」


そう聞くとヘルフィさんは少しつらそうな顔をして言った


「いま、孤児院の子たちは病気で、それを治すためにお金が必要なんです」


「病気か、どんな症状か見せてもらってもいいか?」


自慢だが僕はいろんな病気にかかってきた病気の猛者である、だから見れば多少はわかる…と思う


「病名はわかっているんです、ただ薬が無くて。風邪という病なんですが」


「ああ、それなら薬持ってるよ」


風邪薬持っててよかった


子どもは12人いてそのうち8人が風邪だったが、子どもたちの体力は凄まじく薬を飲んでから1日で治った


まぁこの世界でこの薬がちゃんと効くかはわからなかったけど、なんとかなって本当によかった



 それから五日後


「アオイー! あそんでー!」


子ども達が僕の上に乗ってきた


「げぶし!」


僕は腹に打撃を受けて悶絶する


「よし……何して、遊ぶ?」


子どものこういう元気さは好きだが、やりすぎじゃないかな? まぁ遊ぶけども


僕はあの後お礼として、この孤児院に数日泊めてもらっている


「アオイ様、お遊びになるのはお食事の後にしてくださいね」


「ごめんごめんヘルフィさん、よしみんな、ちゃんと食べてから遊ぼうな!」


この五日間、僕は都市部におつかいに行って情報を得たり、ヘルフィさんにこの世界のことをいくつか教えてもらった。


 それで分かった事が3つある。


まず一つ、この世界には魔法があり、「炎、水、風、岩、草、氷、雷、光、闇」という9つの属性がある、ちなみに僕は光、あと水と氷がちょっと得意


いや属性多くね? まぁ僕のハマってたゲームは属性が16個くらいあったし……そんなもんか


二つ目、異世界人は召喚されてから1週間してから国の表側に出てきて、王が決めた仲間と共にそれぞれ旅に出るということ


三つ目、この世界の共通語と文字が日本語であるという事、ここは異世界なのに言語が同じというのはおかしな話だなーと思った


だが、1番気になることを聞けていない、それはカルナイとは何かという事


「アオイーあそぼー」


まぁ今は、楽しむか!


「よし! 待ってろ子ども達よ!」


3


そうして、僕が召喚されてから1週間ほど経った


「それで、僕そろそろ行こうと思うんですけど」


「いえいえ、まだここにいてもらっていいんですよ、異世界の勇者様なんですし」


ヘルフィさんには異世界から来たという事を教えた、そしたら意外に信じてくれた


「いや、流石にもう冒険とか始めなくっちゃなーって思いますし、魔王とかにも会ってみたいし」


それに、家事を手伝っているとはいえタダ飯食べさせてもらってる訳だし


「ですが、貴方は子どもたちの恩人ですし」


「いえ、行きますよ。申し訳ないですし」


そう言うとヘルフィさんは少し考えて


「わかりました、少しお待ちください」


そう言ってヘルフィさんは短剣とお金を持ってきた


「武器とお金さえあれば冒険者になれます、冒険者になれば多少は生活が安定すると思いますよ」


そう言って短剣とお金を渡してくれた。受け取れないと言っても「貰ってくれるまでどこにも行かせません」と言われたから、貰った


「もし、疲れたらまたここに戻って来ていいですからね。後、次会うときは、リゼと呼んでくださいね!それでは、いってらっしゃい」


「うん、ありがとうヘルフィさん」


と、その時


ドタドタ!という音とともに子ども達が走って来た


「バイバイ!引きこもり!」


「元気でね!引きこもり!」


「またね!引きこもり!」


こんな感じで子ども達から別れの挨拶をもらった、でもなんでだろう、嬉しいのに心が痛い


「おう! みんな1週間ありがとう! じゃあな!」


そう感謝の言葉を述べ僕は孤児院を後にした


4


「冒険者の集会場はここかな?」


ヘルフィさんから貰った地図で僕は難なく集会場に着いた


でももうお昼過ぎてるし4時は回ってる


「冒険者登録は大銅貨10枚、もしくは小銀貨1枚となります。あ、ちなみに貨が単位の場合はそちらも説明しますが……」


持ってるお金は多分小銀貨と思われるのが5枚とおそらく大銀貨と思われるのが1枚ある。小さい銀貨を出すか。


てか貨って単位があるのか、なら小銀貨とか分ける必要なくね?


「じゃあこれで」


「はい、小銀貨一枚、確かにいただきました。それではこちらの水晶に手をかざしてください」


そう言い宙に浮いた紫色の水晶を持って来た。うん異世界っぽい、そう思いながら水晶に手をかざす。


そうすると


「あぁ、これは…カルナイの方の」


そう言って受付の人は少し止まる。前と同じだなぁ、あ、じゃあ聞くか


「あの、カルナイってなんですか?」


そう聞くと受付の人はちゃんと答えてくれた


「貴方、知らないんですか? この世界には創造神カルナイと破壊神コロウアという二つの神がいます。ですがカルナイの力はとても弱く、あまり使えないものなのです、ですから、そこまで好かれていないのです」


なるほど、だから僕はあの白いドレスの女にあんな扱いをされてたのか


「まぁ正直言ってどっちの神でも結局人間は性格ですし、あ、それに過去の英雄たちのほとんどはカルナイの使者が多いんですよ」


あ、この人たぶんいい人だ


「さて、これがあなたの冒険者カードです、冒険者カードがあれば集会場のサービスをいろいろ受けられますよ」


そんな感じでいろいろ説明を受けていると


「邪魔するぜ」


そう言い金髪の高身長な男が集会場に入って来た、そう、あの時の一緒に召喚された人間だ


「よぉ、俺はここに冒険者登録をしに来たんだけどよ、早く準備してくんねーかなぁ!」


そう声を荒げて扉を叩いた、集会場には20人くらいの冒険者がいたが、全員その金髪を見た


「あのさ、他の人に迷惑だからやめた方がいいよ」


僕はそう注意した時、やっちゃったと思った。その男には従者が5人いてみんな強そうだった。戦いになったら負けるかもな、これ


「あ? んだとてめぇ。俺は人に優しい…いや、ちょっとまてよ? お前、あの時の雑魚じゃねぇか! あははははは! 生きてたのかよ! 雑魚のくせに!」


あーなんだろ、この小物感


「いや、でも別に生きるのは勝手だろ、人に迷惑とかあんまかけてないし。君と違って」


そう言うとまたその男は怒鳴った


「テメェ、雑魚のくせに分かってんのか? 俺が誰か? あぁ?!」


「誰かは知らないよ、僕は君みたいな優しくない人は知らない、と言うか関わりたくない」


それを言った瞬間その男は本気で怒った


「おいテメェ、表出ろ、俺に逆らったこと後悔させてやる」


「別に逆らってないけどね」


また余計なこと言ったなこれ


5


「さて、かかってこいよ、雑魚が」


結局、戦うことになった。僕が使えるのはヘルフィさんから教えてもらった魔法と彼と同じ特異な力、つまりチート。


冒険者カードに僕のチートが書いてあった


僕の力は


「仮面を作る力!」


で何をしろと? これは、うん、弱い。


「どうした? 早く来いよ、ビビってんのか?」


「いや、ビビってるのはそっちじゃない? だって1人、しかも雑魚と罵ってる相手に6人がかりってさ、どうなの?」


いや、正直こっちがビビってる、だってアイツ、めっちゃデカい剣持ってるんだもん


「あはははは、言ってろ、俺のチートは聖剣! どんな硬いものでもぶった斬れるんだよ!」


そう言い剣を構え突進してくる従者は見たところ魔法使いが2人、剣士が2人、最後の1人は武器を持ってないし闘士かな?


「まず従者達を倒すか」


従者の周りを炎魔法で囲う、その後に従者全員に穴が無く顔全体が包まれている仮面をつけさせる。どうやら遠隔でもつけられるみたいだ。


「な、何これ、外れない」


「従者の人達、周りには炎があるから動かないほうがいいよ」


注意はした、まぁ触っても火傷程度だろ


「お前! 俺のモノに何をする!」


「いや、この人たちは君のモノじゃないし、そもそもモノではないよ?」


そう言うと聖剣くんはまた突進してくる。硬いものを切れる、硬いものか


「これは切れるのか?」


僕はそう思いこんにゃくの仮面を作りそれで防御した、結果、できた


「は? なんで、切れない? どうして?」


「え、聖剣ってこんにゃくすら切れないの?包丁の方が強いじゃん」


マジでなんで切れないんだこれ、そういえば小さい時、めっちゃ強い剣なのにこんにゃくは切れない剣があったような。なんかのアニメで見たことあるような……


「あはははは、まぁいあさ、この聖剣は光を溜めて撃つことができる、それなら防げないだろ!」


光の砲撃か、剣なのか? それ?


「まぁいい」


そう言って僕は白色の仮面をつけて決めポーズをとる


「選択しろ、悪事をやめて罪を償うか、ここで僕に倒されるか」


よしっ! キマッたぁ!


「うるせえ! 俺は優しさを分け与えてんだ! 罪なんてあるかよ!」


そう言って裏八剣谷は聖剣を掲げ、呪文を唱え出した


「世界よ、神よ、コロウアよ、我に光の力を貸し与えよ、我が名は裏八剣谷(うらばけんや)聖剣使い! 我の力で敵を撃ち滅ぼせ! 喰らえ、ライトニングオブラストセイバー!」


「はい、鏡の仮面」


僕は全て鏡でできた仮面を作り、光の砲撃の前に置く、その瞬間光の砲撃が全て聖剣使い裏八剣谷に跳ね返る


「な、なぜだぁ!」


「おいおい、鏡は光を反射するんだぜ、学校で教わらなかったのか?」


その後情けない叫び声が聞こえて砲撃が終わると気絶した聖剣使いの、裏八剣谷のパーティがいた


少しの沈黙の後、見ていた野次馬の人たちから拍手があった


「すげぇぞ兄ちゃん!卑怯だけど」


「良い戦いだったわ!卑怯だけど」


「かっこよかったよ!卑怯だけど」


「待って、僕そんなに卑怯な戦い方したかなぁ?」


裏八がこっちを睨んで言った


「なんなんだ……お前はっ!」


「僕の名前は我弍飛蒼、通りすがりの引きこもりさ!」


:運命の邂逅 1


あれから約2ヶ月ほど経ったが、裏八剣谷を倒した通りすがりの引きこもりの話はあまり広まっていなかった


 そんなある日


「君を仲間にしたい」


集会場でお昼ご飯を食べている時に急に声をかけられた


「ここ、座っていいかな?」


「え、嫌です、悪徳な宗教勧誘はちょっと」


「あ、宗教勧誘じゃないよ、僕たちは君を冒険の仲間に入れたいと思ってね」


その男の後ろには4人の人がいた


「なぁ、ユール、やっぱりこんな奴やめよう、だって、こいつはアレなんだぞ?」


そう魔女みたいな見た目の人がユールと呼ばれた人に耳打ちしていた


「マイラ、たとえこの人がアレであろうとなかろうと、僕は仲間に入れるよ」


アレってなんだ? カルナイとかってやつか?


「あの、何があっても僕はなりませんよ?あなた達の仲間には」


だって1人が好きだし


「いや、君が良い、君じゃなきゃ嫌なんだ」


「え、新手の詐欺? 怖い」


「いや、僕たちは君と同じ冒険者だよ」


まぁそうだろうなー


「で、なんで僕を仲間にしたいの?」


まぁ理由はどうあれ、アレがなんなのかめっっっちゃ気になる


「理由は2つある、まず君が異世界の人間だからだ、その異世界の知恵を借りたい」


「それなら他の人でも良いじゃん」


「まぁ最後まで聞いてくれ、もう1つは、君の事が好きになったからだ」


「あ、いや僕は男性より女性が好きなんで、ちょっと、ごめんなさい」


そう言われた彼は目を丸くし、笑った


「ははは、やっぱり君の言った通り面白い人だ、ねぇリゼ」


リゼ? どこかで聞いたことあるような、というか面白い要素あったか? 無くね? それより


「えっと、リゼさん?僕たちどこかで会いましたか?」


そう言うと大きい盾を持った大きい男の人が言った


「おい、出会って早々にナンパとは良い度胸じゃねぇか、こいつは俺たちの仲間だ、手を出すようならタダじゃおかないぞ」


「まぁまぁ、落ち着いてガモ。リゼが知り合いって言っていただろ?」


そう言って押さえてる、やっぱりこのユールって人がこのパーティのリーダーだろうな


「で、リゼのことだけど、確かに君の会った、リゼ・ヘルフィで間違い無いよ」


なるほどなるほど…


「パーティに入ります」


一瞬、ユールと呼ばれた彼は止まった


「え、なんで?」


凄い動揺してるな


「僕はヘルフィさんに恩がある、一週間も孤児院に泊めてもらった、だから恩返しのため」


「ははは、やっぱり君は面白い、わかった、じゃあ今日から君は仲間だ! みんな、文句はあるかい?」


「俺はみんながよけりゃ別に良い」


ガモと呼ばれていた大きい男が言った


「私は、ユールがいいなら良いと思うぞ」


マイラと呼ばれていた、ザ・魔女という見た目の人が言った


「アタシも良いと思うよ! だってユールもリゼも認めてるんでだろう?」


猫耳の女の子? がそう言った


「私は大賛成ですよ」


ヘルフィさんがそう言った


「よし、じゃあ決定! 君は仲間だ、あ、名前教えて」


「いや、知らないのかよ」


「まぁ知ってるには知ってるけど、一応、ね?」


「僕の名前は我弐飛蒼、通りすがりの引きこもりさ!」


キメ顔で言ってやった。


2


「さて、じゃあ僕たちの自己紹介の番だね」


「そういえば普通はそっちが最初に名乗るのが礼儀だよな」


そう言うと沈黙の時間が流れる。もしかして、余計なこと言ったかな


「う、ごめん。まぁいい、まずは僕、このパーティのリーダーにして剣士の役割をしてるユール・シャットと言う、みんなは勇者って言うけど、そんな事ないよ」


そんなことないんだ


「俺の名前はガモ・シード、まぁ見ての通り盾役だ、みんなは俺が守る」


タンクかぁ、身長高いな


「身長いくつあるの?」


「ん?ああ、前は計った時は198とかだな」


「へー、デカいな。かっこいい」


そう言うとシードは照れていた、あれ? この人案外カワイイかも?


「次は私だな、私の名前はマイラ・メルフェナ、見ての通り魔法使いだ、ちなみに知識担当だ」


「頭いいんだ、羨ましい」


「いいや、それほどでもないさ、それに異世界の者の方が私たちより賢い、コッチは魔法でなんでもできるから、学問がそれほど発展してなくてな」


「魔法を使える時点で僕らより上では?」


「そんなことないさ、まぁ私は例外だがね」


へぇ、この人は例外ってどういうことだ? と思ったけどすぐに次の人が喋った


「さて、次はアタシだね! アタシの名前はケル・セネコ・リフィ! 闘士だよ! そして猫の獣人さ!」


「獣人? なるほど、確かに猫耳だ」


「そうか、あんた異世界人だったねぇ、この世界には人間、獣人、龍人、巨人、エルフ、ドワーフ、魔人という7つの種族がいるのさ!」


わぁ、異世界っぽい、てか異世界か


「そして私、ご存知の通りリゼ・クセルシーナです」


「ん? クセルシーナ?」


「はい、色々ありまして、まぁリゼと呼んでもらって構いませんよ」


「ああ、そうだ、僕たちのことは名前で呼んでくれ、できれば呼び捨てで、その方が仲間らしいだろ?」


「まぁ、確かにそうだね、わかったよユール」


ユールはニコニコしてる、怖い、やっぱり詐欺か?


「さて、僕の欲しい人材が揃ったところで、今後の目標を発表する」


そう言ってユールは机をダン! と叩く


「え、目標? ダラダラするんじゃダメなのか?」


マイラがそう言った、そういうこと言うキャラなんだ


「ああ、ダラダラは駄目だ。さて、目標だが、それは! 魔王討伐だ!」


場が静まった、僕達のパーティだけじゃ無く、集会場全体が


「多分、多くの人は無理だと言うだろう、だが君たちはどうだい」


「私は良いと思うぞ、面白そうだ」


マイラが言う


「アタシも良いと思う! みんながいれば無敵だからねぇ!」


ケルが言う


「まぁ、盾役は必要だろ? 俺も良いぜ」


ガモも言う


「乗り掛かった船です。手伝いますよ」


リゼが言った


「さぁアオイ、君はどうする」


魔王討伐、いかにも異世界っぽいな


「そりゃもちろん行くよ、仲間なんだし」


「よし、役者は揃ったな、それじゃあ。僕たちの冒険はここからだ!」


そう言ってみんなが集会場の外へ歩いていく


「なんかよくある物語の最後みたいだな」


1人でボソッと呟いた


:前日譚 1


「旅に必要なものは何か、今回はこの僕、ユール・シャットが説明しよう!」


ユールが決めポーズをして言う


「ユール、うるせぇ」


ガモが言う


「今日は僕の一日を見せるよ! さぁ見たまえ!」


「ユール、誰に言ってんだ?」


2


午前7時


「まず、朝ごはんはケルに作ってもらう、僕は料理ができないからね」


ここは宿屋だ、そして、ここの女将はケルなのだ、だからケルが料理を作るのは至って自然だ


「ユール! アンタは作る努力すらしないじゃ無いか、そんなんじゃ将来やってけないよ?」


「ふっ! それは正論だよ、ケル」


「正論ならいいじゃないか! それでユール、今日は買い物に行くんだろ? 早く寝巻きから着替えな!」


「ああ、夕食までには帰ってくるよ」


「そうかい、なら早くいきな!」


ケルは「!」が多いけど別に怒ってるわけじゃなくて、声が大きいだけなのさ!


3


午前8時


「今日は剣の整備と旅の必需品を買うよ」


街歩く虚しく響く独り言


「あ、ユール! 話があるんだけれど?」


彼女は僕がよく行く食事屋の店長だ、名をリメンという


「一体どうしたんだい? 何かいいことでも」


「アンタ! 早くツケを払いな!」


スゥー…………………むーん


「いや、まぁまぁ、これから冒険者の仕事をしに行くところさ、そこで稼いでくるよ」


やっべ! ド忘れしてた! どうしよう…


「そうかい、それじゃあ今日の夜までに50000貨、稼いできな!」


ここで補足しよう


この世界には金銀銅の貨幣が大と小の二種類ずつある、


小銅貨1枚1貨

大銅貨1枚10貨

小銀貨1枚50貨

大銀貨1枚100貨

小金貨1枚500貨

大金貨1枚1000貨だ!


ちなみに僕はこの時決めポーズをしていて、周りから白い目で見られた


4


午前9時


僕は魔物の討伐に行く、集会場では依頼が受けられ、クリアすると報酬が貰える、討伐系はかなり儲かる


「と、言うことでだ、受付嬢さん、何かいい依頼はあるかな?」


ちなみに受付嬢の彼女の名前はミーフィ、僕の幼馴染だ


「そうですねー、なら、最高ランクの10のクエストはいかがですかー」


クエストにはランクが1から10まであり10が1番危険なのさ


「え? 最高難易度をやれと?」


「はい、あんたにはこの集会場に結構な借金がありますので、早く稼ぐか死んでくれ」


「え、ちょ、そりゃキツいっすよ、ミーフィさん」


「それでは冒険者ユール様! ランク10のクエスト、行ってらっしゃいやがれ!」


嘘だろおい


5


午前9時30分


「あれが、難易度10のモンスター」


デモングリズリーキング・フル・デスラーズ


「いや、ムリムリムリ!」


体長は8メートル前後、鋭い爪に固そうな皮膚、おまけに棍棒を持っている、口からヨダレが垂れていて、目が赤く光ってある


「わぁ、かっこいー」


いや無理だろ! でも、お金のためだ


「狩らせてもらうよ、クマさん」


この世界にはスキルと呼ばれる特殊な技能がある、異世界人の特殊な力と似たものだ。僕は剣のスキルを3つ持っている


「ソードオブカレィジ!」


これは勇気の剣と呼ばれるもの、自分より強い相手には絶大な効果がある


「ゔぉぉぉぉぉぉおお!」


「安心してクマさん、痛くしないからさ」


もう一度勇気の剣を使う、そしてデモングリズリーキングは撃沈する


「クマさん、安らかに眠ってね」


冒険者は冒険する仕事であり命を狩る仕事でもある、だからこそ命には感謝して生きなければならない


その考えは僕の正義と言ってもいいだろう


6


午後1時


「はい、依頼対象の撃破、確認しました、はいこれ報酬」


「あれ? 8万貨しかないよ? あとの12万貨は?」


「アンタ集会場に借金してんの忘れたの? 本気で怒るわよ。あ、あと今日の5時くらいにまた来てね、モンスターのドロップアイテム渡さなきゃだから」


ミーフィは幼馴染で同じ孤児院の出だから、よくこうやって当たられる、悪くない


「オッケー」


さてと、なにしよう


7


午後5時30分


「剣の整備忘れてた!」


「ユール、お前はバカか?」


マイラがツッコむ


「じゃあ魔物の素材取りに行くついでにやってくるかー」


「あ、そうそう、異世界人が召喚されてからもう一週間ほど経つ、街にも異世界人が出てくるだろう。揉め事は起こすなよ」


「おいおい、マイラ、止めたって僕は聞かない男だぜ?」


「いや聞け、でなきゃその場でのたれ死ね」


ひどい! 悲しい!


8


午後5時前くらい


剣の整備も終え魔物の素材も受け取ったあと。外がガヤガヤしていた


「なぁ、どうしたんだ?」


ミーフィに聞くと、ミーフィは困った顔で言う


「それが、聖剣を持った異世界と変な格好をした異世界人が喧嘩してしちゃってさー、アンタ止めてくんない?」


なるほどな、でも異世界の人間同士で喧嘩とは、珍しいな


「いや、嫌だけど? 異世界人なんてロクなやついないしさ」


「そりゃそうだけどさ、あれを受付した後輩ちゃん泣いちゃってんの、もう見てらんなくてさー」


 まぁ、ミーフィがそこまで言うなら、見るだけ見てみるか


外に出るともう戦いは終わりそうだった。聖剣を持った男が変な格好の男に光の砲撃を放つ、しかし攻撃された男は何かを作り出し砲撃を反射した


「すごい、まさか、あの力は」


それはおとぎ話で見た仮面の勇者に似たものだった。


9


午後9時


「しまった、彼の情報を集めていたらもうこんな時間に、よし、今日は外泊しよう」


ちょうどサキュバスの店の無料券もあるし、すぐバレるだろうし


「あの、すいません」


そう言って金髪の女の子が話しかけてきた


「ああ、ごめんね、僕はこれから男の楽園へ行くんだ、止めないでくれ」


「あなた、もしかしてアオイさんを探してた人ですか?」


あれ? この人、遠くにある村の孤児院の人じゃないか? まぁそれは置いといて


「アオイ? 誰だい、それは」


「あ、えっと、まず私はリゼっていいます、その、あなたが異世界人を探していると聞いて、その、知ってる事をお伝えしようかと思い」


「なに! それは助かる、ありがとう! 僕の名はユール・シャット、よろしく!」


ここから数ヶ月後、僕は彼と出会うことになる、あの、仮面の勇者に


「あ、そういえば、ツケ払うの忘れてた」


まぁ、店長さんにブチギレられたのはまた別の話さ! ちなみに旅の必需品の事も忘れておりケルに怒られた


:7番目の異世界人


我弍飛蒼が裏八剣谷を倒した1ヶ月後、異世界人はある城に集まっていた。


 ここは昔あった国の城の跡


「で、裏八くん、君は負けた挙句、なんの情報も得ずに逃げ帰って来たわけだ」


青色髪でにこやかな顔の男が言う


「い、いや、でもあいつ本当に強くて」


聖剣使い、裏八剣谷が言う


「えー? でもでも、そいつって雑魚雑魚能力者なんでしょー? なんでー? えー?」


桃色髪でツインテールの女の子が言う


「まぁ、たかが聖剣使いですからね、聖剣だけが取り柄ですし」


白髪でメガネのいずれ神になる男、この私、滅七時恋(めつな じれん)が言う


「やめないか、私達は争うべきではない」


黒髪でポニーテールの貧乳の女が言う


「良いじゃあねぇか! 喧嘩ぐらい! 俺は好きだぜ!そう言うのよぉ!」


赤色のツンツン髪の男が言う


「えー、あーしは喧嘩とかムリー、よそでやってよ」


今どき珍しいガングロギャルの女が言う、いや言うほど黒くはないな


「た、確かにぃ、喧嘩はダメですよぅ」


気の弱そうな女の子が言う


「そうだ、そんなに喧嘩が好きならキミがいけば? キミのチートって確か」


ヘッドホンをつけた男の子が言おうとしたことを赤色ツンツン髪の男が止めた


「ハッ、そうだな! 俺が行って確かめる! お前ら! 邪魔すんなよな!」


そう言い赤色ツンツン髪は城跡から出ていく


「本当に1人で行かせて良いのですか?」


この私、滅七時恋がカッコよく聞く


「いいさ、だって彼のチートは世界最強、ワンチャン僕にも勝てるやつだもん」


青色髪が言う


「いや、それはきっと無理でしょう、だってあなたのチートは、[即死]なんですから」


こうして彼らの話し合いは終わり、彼らは己らの仲間のもとに帰るのだ


「しかしあの雑魚能力者、一度会ってみても良いかもしれませんね」


そしてこの私、可憐にしてイケメンにして神になる男、滅七時恋は微笑した


:旅立ち 1


「さて、僕はこの6人で旅をしようと思うんだが、お互いのことを知る事が大切だと思うんだ」


ユールはそう言って変なポーズをとっている


「それでユール、どんな話がしてぇんだ?」


ガモがそう聞くとユールは言った


「うーん、1番気になるのはアオイの見た目なんだが……アオイばっかに聞くのは良くないし、みんなの事も話そう!」


うわー見た目の話とかシビアなの持ってくるなー、問題になったらどうすんだよ


「じゃあ面倒くさいから私から」


そう言ってマイラが手を挙げた


「私は緑色の髪で黄色の目、先祖にエルフがいてそのおかげで魔力が人より多い、この三角帽子は母の物で、このローブはそこらへんで買った物だ。あ、あと年齢は20歳、ここの最年長だ」


最年長なんだー、それに先祖にエルフか、かっこいいな


「じゃあ次はアタシが言うよ!」


ケルって確か獣人だったよな、結構気になるかも


「アタシは見ての通り黒髪で桃色の目、褐色肌が輝く獣人さ! 歳は19歳、まだまだ若いけど強い闘士さ!」


19歳か、僕より一個上だけど面倒見良いし、お母さんみたいなんだよなぁ


「次は俺でいいか?」


ガモが手を挙げて聞くと、ユールは興味なさそうにいいよーと言った


「俺はガモ、赤髪で翡翠色の目、戦う時は白い鎧を着て俺と同じくらいの大きさの盾を使って戦う、傷がいくつかあるが、気にするな、18歳」


同い年だー! まぁ話が合うかは別だが


「それじゃあ次は私の自己紹介ですね!」


リゼが立ち上がって言った


「私はリゼ・クセルシーナ、コロウア教からカルナイ教に改宗した時に、母方の性を名乗ることにしました! この国、というかこの世界ではよくいる金髪碧眼の女の子で17歳です!」


僕より一つ下だな。なんかこのチーム全体的に若いな


「じゃあ次は僕が言うか!」


そう言ってユールが立ち上がって決めポーズをした


「僕はユール・シャット! 孤児院の出でガモとは同い年で孤児院時代からの幼馴染、青髪とこの空のような水色の目が特徴さ!」


そう言ってユールはまた決めポーズをした、コイツ、やっぱり厨二病だよな


「じゃあ最後は僕か……」


自己紹介かー


「僕の名前は我弍飛蒼、ただの引きこもり、焦茶の髪に深い青色の目、異世界人です……よ?」


なんで最後に疑問系になったんだ?


「アオイ様、なんで最後に聞いたんですか?」


リゼが不思議そうな目で見てくる


「うーん、僕もよくわからない」


2


「でだ、異世界人は黒髪黒目のことがほとんどだ、なのになぜアオイは違うのか聞きたい」


ユールがそう言って耳を傾けてきた


「目は、僕の母親の色と同じなんだよ、髪はただ色素が少し薄いだけ、まぁ母さんは養子でどこの子どもかわからなかったらしいし、もしかしたら異世界人だったのかもな」


ま、そんな訳ないだろうし、元の世界では、もう母さんは死んでしまっているから、わからない


「珍しいといえば、ユール様の髪と目もかなり珍しいんですよ」


リゼがそう言っていた


「ああ、この世界には髪が青系統、もしくは白系統の人間はとても少ない、白い髪の人間はいないと言ってもいいだろう」


マイラがそう解説してくれた


「まぁ髪や肌の色なんてのはどうでも良いことだな、大事なのは信念だ」


「ああ、その通りだね、ガモ」


ユールが嬉しそうにそう言って頷いた


見た目………か。いろいろと思うところがあるんだよな、こういう話題


3


それから夜までみんなと話して、女子たちがお風呂に入って行って、宿のリビングにはガモとユールと僕だけになった


「アオイ、僕はね、君が仲間になってくれて本当に嬉しいんだ」


急にユールが喋り出した


「どうしたユール、風邪でもひいた?」


「いや、本当にただ嬉しくて、アオイには感謝しかないんだよ」


そっかー、でもなんでそんなに僕を評価しているというか、なんというか


「ねぇユール、なんでそんなに僕にこだわるの?」


そう聞くとユールは寝ていた


「よし、ならこっからは俺が話すか」


そう言ってガモはユールの座っていた椅子を動かして暖炉の前まで持って行った


「この世界にはな、仮面の勇者って逸話があるんだ、まぁ簡単にいうと仮面をつけた英雄の話だ、まぁその仮面の勇者はまた今度話すよ」


ガモはそう言いながらホットミルクを作って持ってきた


「最近冬が終わったばっかだが、まだ寒いしあったまれるもんがあったらいいだろ?」


「ありがとうガモ、お前、めっちゃ優しいなぁ」


最初はあんなに怖かったのに


「はは、そうかよ」


そうガモは少し笑ってミルクを少し飲んだ


「まぁそれでよ、仮面の勇者ってのは子ども達の憧れでな、ユールはいつか、仮面の勇者とともに旅をしたいって言ってた。そんで、仮面を作れるお前を、仲間にしようとしてたんだ」


仮面の勇者かぁ……僕はそんな勇者みたいな人間になれるかな?


「ユールは昔から、いろんなところで問題を起こす異世界人が大嫌いだった、そんな奴が異世界人のお前を仲間にしたんだ。まぁ、あんまり人種とか考えてねぇと思うけど」


そう言ってガモは体を伸ばした


「まぁ、なんていうか、ユールは人を見る目があった、だからお前を選んだんだろうな」


「ちょっと照れるな、えへへ」


僕は無表情でそう言った


「ならなんで喜ばしい顔してないんだよ」


ガモはそう言って笑っていた


その後、ユールを起こさないようにユールの部屋のベッドに放り投げて僕たちも寝た


次の日、ユールが


「旅に出るのは1週間後、今まで会った人に別れの挨拶を済ませておきな」


とみんなに言った


お世話になった人か…リゼと孤児院の子どもたちくらいかな


そうこう考えていると、リゼから聞かれた


「アオイ様、孤児院に行きませんか?」


もちろん行くさ


4


僕とリゼはあの孤児院に来た


ここを出てからは街の方で同じ宿屋に泊まってたから、ここに来るのは2ヶ月ぶりだな


「あ! 引きこもりー!」


「おーリシュンじゃないかー、引きこもりはここだよー」


この子は孤児院の子どもの1人、リシュン、風邪をひいていた子どもの1人


「アオイ様、名前ちゃんと覚えてるんですね」


「まぁね、僕は一度会った人の名前は絶対に忘れないから」


全員の特徴とかもふまえて全員覚えてるし


「この金髪ロングの子がリシュン、妹が双子で名前はウィンとリィン」


「よく男子3人組でいるのがリィク、ゼネ、クルゥ」


「赤ちゃんが3人いて、赤髪がノック、青髪がキック、女の子がディネ」


「ずっと本を読んでる子がダイ、よく寝てるのがボウ、筋トレしてるのがラグトラ」


あと孤児院のマザーというか管理者の人がリゼ以外に2人いたな


「料理がめっちゃうまいマリイネンさんと歌の上手なキルフィレールさん」


こうしてみると、2ヶ月会ってなくても以外と覚えてるものなんだなぁ、と、達観してると


「それよりも引きこもり! みんなが大変なの!」


変態? あ、ちがう大変か


5


リシュンの話によると、孤児院に突然メガネをかけた白髪の男が来て、リシュンとラグトラ以外をさらって行ったらしい


その時リシュンは外に買い物に行っていて、帰ってきたらその男がみんなを一瞬で消したところを見たとリシュンは言っていた


孤児院に行くと縛り付けられたラグトラがいた


「ラグトラ! 大丈夫か? 一体誰に縛られたんだ」


そう言ってラグトラにつけられてたさるぐつわをとると


「リシュンー」


…リシュン? てかなんで泣きそうになってるんだよ


「だってそいつ、仇を打つしか言わないし、危なっかしいから縛っといたの」


まぁ確かにラグトラはリシュンと同じ最年長で喧嘩っ早いし。女に負けたから泣いたってことか?


「それよりも引きこもり! オレ、アイツの行った場所知ってるんだ! はいこれ! ソイツが置いて行った紙!」


「おお! ナイス、ラグトラ!」


「はぁ? アンタ! そんなん持ってんなら早く見せなさいよ!」


「ご、ごべんー」


そう言ってリシュンはラグトラをガシガシ蹴っていた


「リゼはこの2人を頼む、僕はこの紙に書かれた場所に行くよ」


この紙の通りだと、ここから東の方だな


僕は無我夢中で走り出した


「いや、待て」


僕は孤児院から出て数10メートルくらいのところで気づいた


「何で紙に残しておいたんだ」


子どもたちを攫うだけならこんなことしないはずだ、それに、ラグトラを残した理由は何だ?それに、白髪でメガネって、あの異世界人なんじゃないか?


確信は持てないけど、この行動は完全に


「罠だよな」


そう思い、僕は走った


6


紙に書かれた場所は廃れた教会だった


「おや、やはり来てくれましたか」


そこには白髪メガネの、あの、同じ異世界人のあの男がいた、ソイツの後ろにみんながいる


「やっぱり、罠だったか」


息が途切れ途切れだ、今戦闘になったらヤバいかも…


「安心して下さい、全員解放しました」


は?


「お前、何言ってんだ?」


「ん? ああ、もちろん狙いは貴方です、ですので邪魔な人にはいなくなってもらいました」


男がそう言った瞬間、みんなが消えた


「!!!」


一体、どこに行った


「私はですね、完璧主義者なんですよ」


さっきのは一体なんだ、コイツのチートか?


「どんな事もしっかりと、完璧にこなすのがこの私なんですよ」


コイツのチートは瞬間移動か? 空間を捻じ曲げたりする力かもしれない


「だからですね、私は思ったんですよ」


いや、物体を飛ばす能力かもしれない


「完璧な私は神になるべきと」


「神か、それがお前の夢なら応援するよ、じゃあ僕はこれで」


そう言って僕が帰ろうとすると、ソイツは言ってきた


「貴方………………いつか殺しますからね」


そう言われた瞬間振り向いた、しかし、そこにあの男の姿はなかった


7


教会の外に出ると、連れ去られた大人も子どもも全員いた


「あ、アオイ君、よかったわぁ」


「マリイネンさん、僕もよかったと思ってますよ子どもたちが無事で」


しかし、あの男のことが気になる、同じ異世界人ではあるだろう、しかし、何か変なものを感じた


そうこう考えているうちに、孤児院についていた


「アオイ様! 皆様! お帰りなさい!」


そう言っていたリゼは大泣きしていた、それを見かねたのかマリイネンさんが言った


「ただいまリゼ、そういやアンタ旅に出るんだってねぇ! アオイ君から聞いたよ、気張っていきなり!」


「リゼちゃん、私たち、草葉の陰から見守っていますからね!」


キルフィレールさんがそう言った。それ死んでないか?


「ううぅ、頑張ります」


リゼはまた泣いていた


その後、僕とリゼはお世話になったこととか、いろいろ感謝の言葉を伝えて、子どもたちと遊んで、みんなのいる宿に帰ってきた


8


そして、1週間が過ぎ、旅に出ることになった


僕たちは国から出て次の国へ行く。そのために馬車乗り場に来ていた


「ユール、そのペンダントどうしたんだ?」


ガモがユールに聞いていた


「これかい? これはミーフィ、僕達の幼馴染からの贈り物さ! さぁ、羨ましいだろ!」


「俺ももらったぞ、だって俺もミーフィと幼馴染だし」


あれ? なんかユールが白くなって固まっている


「アタシはあの宿を引き払って来たよ。そのおかげで旅費は結構稼げたねぇ!」


そう言ってケルは金の入った袋を掲げた


「私はこの国の魔導士に片っ端から喧嘩売って勝ってきたぞ」


うん、マイラ、お前は何をしてんだ


「私たちはお世話になった人に挨拶に行ってきましたよ、ね、アオイ様」


「うん、そうだね」


リゼが涙目になってる。そうか、あの人たちと一緒にいた時間が長いんだし、もしかしたら今生の別れになるかもだもんな


「リゼ、大丈夫だよ、きっと」


何が大丈夫なのか、それは僕にもわからない、だけど


「生きてれば、また会えるんだぜ」


そう言って僕は、ドヤ顔をした


「そうですね、うん。ありがとうございます、元気が出ました、いきましょう!」


リゼはそう言って馬車に乗った


「おいリゼ、私が1番に乗ろうとしたんだぞ、窓側の席は取るなよー」


マイラがそう言って馬車に乗る


「よっしゃー! 行くよー!」


ケルも乗り込む


「アオイ、ユール運ぶの手伝ってくれ」


ガモがユールを片手で担いで馬車に乗り、ガモは運転席に座る


「手伝う必要あるのかなぁ?」


僕も、馬車に乗った。その時、ユールが跳ね起きて数秒した後に言った


「さぁ、行こう!機械の国クレリチアへ!」


ユールがそう言うと馬車が動き出す、クレリチアには5日もあれば着くらしい


ふと後ろを見ると、孤児院のみんなや集会場で仲良くなった人たち、その他のお世話になった人達が手を振っていた


「ありがとう」


その時、小さな声で、僕は呟いた。


第1 終

この度、仮面の勇者を読んでくださってありがとうございました。この物語は初めて書く作品なので、進行がグダグダになったり一気に飛んだりする事もあるかと思いますが、精一杯精進していきたいと思います。


さて、次回「仮面の勇者」2話は始まりの国ハルファウルから出たアオイ達一行が機械の国クレリチアに行き、様々なことをする物語になります。

行く道中で問題が発生したり、国の中でもなんやかんやありそうでワクワクしますね。


それではまた次のお話でお会いしましょう。

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