8.魔王ギガーン
「誰だ?悪いが俺は急いでいる、素直に通してもらおう」 (得体の知れない者だろうと今は関係ない、堕悪が最優先だ…!)
「おやおや、それでは貴方は訪問者ですか少々お待ちを」 返答は実に丁寧なものだった
「もしもしギガーン様、訪問者がいらしたのですが本日面会のご予定は?」
「ハッハッハッ、冗談が上手いな奈落神アポなしで来る面会者がどこにいる?そいつは勇者に違いない通せ!」
「かしこまりました。では勇者殿、今扉をお開け致しますね」
「ああ」 最後まで謎を残したやつだったが無事に通れるなら問題はない、そうして開く扉の先を見つめていると
ヒュンッ
「な、なんだ!?」 扉が開いた途端豪速球で何かが向かって来た、急いで流槍でガードするも勢いに押されふっとばされてしまった
「会いたかったぞ勇者伝永久!私の名は魔王ギガーンだ!」 そうして高速の剣撃を放ってくる者は自らを魔王というではないか
「くっ、堕悪じゃなかったかそれにしても速い…」 自称魔王は、その腕を止めることなく
口を開いてきた
「私は魔王に憧れ勇者との戦闘を夢見る者
だがしかし、伝説に名を馳せる過去の魔王達は無駄な会話に惚ける時が長すぎる!だから私はこうして話しながら戦闘することにしたのだ。邪君!私の栄華はちゃんと撮れているか?」
「こいつ!?」 (言ってることはめちゃくちゃだがしっかりと再現出来ている、その気迫も相まって防戦一方にならざるを得ない。しかも手下に話しかける余裕まであるとは…)
「ちゃんと一部始終録画してますから安心して戦闘に集中してくださいよ…」
「ぐぎぃっ」
「ほらほらどうした?そんなものか勇者とは!」 (こんなことではダメだ…隙をついてっ!)
「流槍刃!」 隠していた流槍刃を魔王の背後に滑らせる ガキンッ
「おっこんな隠し球があるとはな、喜ばしいぞ」 な、なんと大剣を右手で掴んだまま
左手で流槍刃を受け止めるなんて
「くっこんなもの!」 抑えられた流槍刃を伸ばし左腕に絡みつく、だが防具が硬く歯が通らない
「ハッハッハッいい小細工だ」 そういうと急に左腕を振り上げた魔王、おかげで流槍刃ごとふっとばされ
「そろそろ致命傷狙っていくとしようか!」
「まだまだっ風属性能力:追い風! 」 流槍刃と体を水平に保ち風属性能力で想定距離以上後退することで魔王の決め打ちを防ぐ余裕を得た
「ほう、さてどっちが先かな?」
「こっちだ!」 俺は流槍2本で防御の姿勢を取った
「ギリギリだが…遅い!」魔王の高速攻撃が襲いかかる
「はぁっ!」大剣を流槍で抑え一瞬の隙に俺は背後から射出した流槍刃を股下から魔王の胸目掛けて突き出した!
「ぐおっ」 だがしかし見事に腕でガードされてしまった
「へっ片腕を失ったぐらいで敗れるか…!」 再び特攻してくる魔王、だが
「核再生!」 俺は持っていた流槍の1本を核に突き刺した
「なんだと!?」
「ぐっハァハァ…やはりな」 1本だけならギリギリ意識を保てると確信した俺は2本の流槍刃を繰り出し、驚き動きを止めた魔王に確実に突き刺した
「ぐっ、油断大敵とは正にこのことか…」 魔王は核にダメージを受け倒れた
「ギガーン様!」 すると撮影していた邪族と
先程のなにかが駆け寄ってきたが…
「手を出すんじゃねえ!」 荒々しくも深い声がしたと思いきや辺りの空気が変わりやつが現れた
「堕悪!」 ずっと探していた、ここで由美の仇を打ち記憶を取り戻してみせる
「なにを!」
だが2人は耐えず近づいて来るしかし
「邪君、奈落神、手を出すな…これは私の負けだ」 2人共動きを止め魔王の傍に座り込んだ
「良い計らいだ、これで俺も存分に戦えるぜ」
そう言うと堕悪は背から6本の黒い腕を出しこちらに向けて放ってきた
「早いっ!?」 堕悪の攻撃は想定を遙かに超えた速度で接近し急いで構えようとした流槍を粉々に破壊した
「嘘だろ…いくら闇属性とはいえこの攻撃力尋常じゃない、そもそも手数の不利も圧倒的すぎる…」 今までの戦闘経験が役に立たないことを思い知らされる
「なら…目には目を歯には歯を闇には闇をだ!」
相手が絶大な攻撃力を持つならこちらもそれ相応の攻撃で相殺するまで
「ギランがやっていたものを流槍刃に…」 流槍は使い手が持つ属性能力を最大限発揮させる武器だ、流槍刃もその特性を引き継いでいるのなら可能なはず
「さあ次だ次!」 再び6本の腕が来る、そのまま受ければ流槍刃は砕け散るだろう再生手段を失った以上それだけは避けなくてはならない、間に合うか…
「闇属性能力:暗黒闘気」 発動した技に流槍刃を纏わらせ攻撃を受けながす。
「ぐっ」 流石に衝撃はあったが見事攻撃の相殺はできた
「はぁ〜通常攻撃はもうダメみたいだな…なら必殺技で詰めるとするか!」 (なんだと…!?確かに技を1度も唱えていなかったがこれ以上の攻撃が飛んでくるというのか、しかも6回も…)
「なら、風属性能力:上昇気流に追い風を重ねがけ!」 (攻撃の威力が未知数な以上…ここは避けることに最善を尽くすべきだろう)
「必殺技ぁ!暗黒死手」
そうして向かってくる6本の黒い腕、最初の3本は回避できたが4本目でバランスを崩し畳み掛けてくる2本の腕
「ならば…光属性能力:光閃」 シュキン 光が腕を貫通し瘴気を払い除ける。その隙に流槍刃でガードしつつ強引に腕を突っ切った、しかし
「しまった…」 暗黒闘気が光閃によりかき消されてしまうことを忘れていた、そして向かってくる黒い腕
バァン 直撃を食らい投げ飛ばされる俺、目の前が真っ暗になった
「こ、れは…」 (口から上が無い…生命維持も思考も全て核が担っているため問題はないが、多機能部位の再生は他と比べて少し遅い特徴がある)
「ハッw貧相な面しやがって」 目の前に堕悪がいる、動こうとするとどうやら足も欠損していることに気がつく
「俺はなにがなんでもお前の体を手に入れなくてはならない、完全体となりこの国を公平にするためだ」 堕悪が何か言っているが、笑わせてくれる…
「…公平を望んでおきながらお前は略奪を行うのか?」(俺はこんなところで終わってはならない理不尽に奪われることを許容してはならないそんなことはあってはならない由美と俺の記憶を取り戻すため絶対にここでこいつを倒さなければ…)
「そろそろ終わりにさせてもらうぞ」 (堕悪がトドメを刺すようだ…考えろ、なにか策はないか?腕は使い物にならず武器は流槍刃のみ
流槍刃…こいつは核から離れても消えない、ということはこいつは核エネルギーを保持する力を持つということだ、ならば核の代用も可能か!?核から離れたと同時に核を通して
再生すれば…)
「さあ、トドメだ!」 ゴォォォォォ 最大限、最大限のスピードで流槍刃を射出するそして
ジャギンッ 核から離れた流槍刃が腕のダメージを受け核に戻り再生
「流槍廻転」 無限に核を交差する流槍刃は段々とその柄を長く伸ばしていった
「な、なんだと…」 黒い腕が4本両断され堕悪が纏っていた闇の瘴気が溶けだす、そこには俺と瓜二つの顔があった
「ぐぅ、これじゃあ計画が…」 堕悪は突然の出来事に慌てているようだ、それに対して俺は
「はははっ」
「なにがおかしい!」
「すまない、なんか仲良くなれそうな気がしただけだ…」 俺はさっきまで殺す気でいたやつに
どこか親近感を感じその気すら忘れてしまったようだ
「くっこうなったら最後の最後まで足掻くのみ!うおおおおおお」 堕悪が向かってくるがさっきとは違いかなり遅く軽い足取りだ
俺は流槍刃ではなく腕を構えた、そして
「ガハッ…やられたぁ」
「なにをやっているんだ、さっきまでの威勢はどうした?」
堕悪は淡々と話し出す
「俺は、今のお前を見てその気に乗せられたんだ…いくら世界のためとは言っても目の前で温和な姿を見せられたら手を出せない、もういいだろ好きにしろよ」 堕悪は体を広げてその場に寝転んだ
「なら、俺の家に来るか?」
「は?」




