7.決戦!魔王城
「もしもし伝永久だ、至急頼みたいことがある」 俺は下倉の死を自軍の者に報告し黙っておくように伝えた
(失踪としてもよかったが今は一刻も早く邪族共を殲滅することを優先したいしな…)
「さて」 そして俺はもうひとつの命令を下した
「全員いるか!これから邪族戦争終結のための作戦会議を行う」 俺は国守官管理所を抜け
カセイ国軍本部に兵達を集めた
「敬礼!」 上官の声によって兵達が慌ただしく姿勢をとる
「では本題に入ろう、まず今回の作戦はカセイ国軍のみで行う、その理由は極力死者を出さないためだ」 兵達がざわつきだす
「そう荒立つのも無理はない今までは邪族根絶を目指して進行してきたであろう。だが前回の進行で敵の大半は邪族ではなく闇属性だということがわかったからだ」 再び兵達がざわつきだす
「もちろん、闇属性も邪族に手を出していれば放ってはおけないが邪族を根絶するには大元を絶たなくてはならない」 (闇属性の奴らはあとで捕虜として持ち帰り核再生の糧にしなくてはならないからな…)
「そのため本作戦では魔王城のある天空樹の下層を無視し上から直接進行する!」 それを聞いた兵達は首を傾げ、作戦の真意を問う
「なにも無策というわけじゃないまあ聞いてくれ」
〜天空樹上層〜
「前回の進行やばかったな」 「そろそろこっちにも命令が回ってきそう…」 「おばちゃん、おかわり!」 邪族達の騒々しい声が響いている
天空樹は根っこの、闇・邪属性達の住処である最下層・下層
幹から枝への 邪族の構成員が住む 中層・上層
葉、そしてその上の雲からなり主に最側近が
従事する魔王城 に別れており壁面全体は闇の瘴気で硬くなっている上、雲のせいで魔王城を直接視認することはできなくなっている
「はぁ〜せっかくリーダー不在で勝利がこっちに傾いてきたかと思ったのにラキュ…」
「仕方ないゴレ、伝永久帰還っていうもんだから」 「そろそろ私が腕を振るう時も来そうですね」 「キュキュキュッいくらなんでもそうそう相まみえることはないラキュよw」
ドグヴワァァァァン
「!?」
「よし全軍突撃!」俺の命令で兵達が邪族達に立ち向かう、作戦は無事成功だ
「この作戦は今までとは違い、航空機を用いて天空樹上層に特攻するものだ、魔王城は雲に包まれており直接つけることは不可能だが
天空樹なら問題ない」 兵達が声を荒らげる
「ちゃんと最後まで話を聞いてくれ、これが
我が軍が開発した新装甲、ガード講和だ物体に接触した最 粘着系の物質に変化する性質を持っている」 兵達から歓声が上がる
これで爆発の心配はいらない、天空樹の壁面に着け壁を壊して侵入した!
「ななぁぁぁ!?」 俺の声を聞いてか中にいた邪族達が慌て出す
「む、むちゃくちゃラキュ!」 「やばいぞぶっ武器ぃ」 「ふん、遂にか!」 1人の邪族が俺に向かってくる
「はぁっ」 流槍刃を伸ばし突っ切った
「ふん、今のを避けるとはな」 邪族が再び向かってくるも
ドカンッ 光属性の攻撃が命中した
「助かるっ」(こんなところで時間を割くわけにはいかない、一刻も早く堕悪を倒さなければ!)
そうして制圧を兵に任せ奥に進んだ
「ぐわしゃっ」 「がぁぁ」 「闇属性能りょ…」
至る所から邪族が湧いてきたが通り過ぎざまに流槍刃で蹴散らしていった
「脆いな、やはり流槍刃はこういうものか」
これまでの戦いは自らの倍の図体を持つ敵との一騎打ちばかりだったため本領を発揮できなかったようだ
「本来の使い方はこうした殲滅の方が向いているらしい」
しばらくすると邪族も減り広い廊下に出た
奥に階段がある。急いで駆け出したが…背後の扉が閉まった
「闇・火・水属性混合技:邪炎咆哮波」
一瞬のうちに前方から黒く燃え盛る炎が眼前まで迫ってきたが流槍刃を刺し、逃れた
壁に触れた炎は広がり水のように部屋を満たしている
「来ると思っていたぞ伝永久、ギガントの仇とらせてもらう!」
(邪族の癖して仇と抜かすか…しかし攻勢を仕掛けようにもこの足場ではままならない、ひとまず火を消さなければ…)
「水属性能力:波…」
「かえんあらし!」 技の発動に合わせギランも技を放ってきた!
「ちっ…」 波は発動したもののかき乱され、火を消すことはできなかった
「今回は前とは違うんだ、こちらに有利な盤面で余計な者もいない、全てこちらに分がある諦めろ」 そうして次の攻撃を準備し出すギラン
「盤面の悪さなんて関係ない」 2本の流槍刃を最大延長して部屋全体に張り巡らせる
「こんなものっ」 ギランが剣を振り流槍刃を切り刻もうとすると
ジャギン 刀身が触れた流槍刃が逆立ちギランを突き刺す!
「ぐぁぁぁ」 そうしてかかったギランを包み込み流槍刃を切断した
「な、なんだこれは」
「流槍刃は俺の体の一部だが、核から離れてもその場に残る!簡易トラップだ」
流槍刃を2本失ったが再生用の流槍はある
「ぐっぎにぃああああああ」 激しく叫び出したギランに背を向け、俺は足を進めた
〜魔王城・門〜
「ここか…」
雲の上に立つそれは、闇の瘴気に包まれ見るものを怯ませる威圧感を放っていた
「おや、あなたは…」 そしてその城門にはこの世のものとは思えない者が立っていた