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永伝(エデン)   作者: ちがタニ
永伝(エデン) {改訂版}
6/36

6.踏み外した先は線路


「由美が死んだって、それは一体どういうことだ」俺は下倉を問い詰めた

「数時間前、政府国軍によるユウトピア敵拠点侵攻が始まった…最初こそ優勢だったものの突如現れた黒い渦に何もかも掻き散らされて…」

「黒い渦?なんだそれは」


「わ、わからない…とにかく転移装置は破壊、ユウトピアとカセイ国側両方が悲惨な状況にあるらしい」

俺はすぐに人民国に向かった、由美の安否を知るべく一刻も早くユウトピアに行くために


〜人民国〜

「頼む、無事でいてくれ」 着くなり早足でシャトルを降りた俺は人民国のユウトピア転移装置に向かったが…


「どうして通さない!」

「ちょっと買い物に行くだけじゃない!」

「娘が…娘を探しに行くだけだから!」

人民国のユウトピア転移装置前は封鎖されており、訳を求める人達とそれを宥める警備員でごった返していた


「これじゃあユウトピアに行けないじゃないか…」 俺の心は気が気でなかった、一刻も早く由美を見つけないといけないと気持ちが高まっていた

「だが幸い転移装置が壊れているている訳では無い、警備員とガードを流槍刃で強引に突っ切れば…」 俺の体は今にも動き出しそうであった


「あれ、久君じゃんどうしたんだい?」

すると仁羅祭が声をかけてきた

「どうしたって、あなたこそ何故ここに?」

国守官ともあろうものが早々街中をブラブラとしていいものでは無いまあ俺も人のことはいえないが…

「弟子の修行帰りでね、紹介するよ彼がその弟子の、月壊無倉(げっかいむくら)」 体格は俺とほぼ同じぐらいでやや逆だった藍髪の青年だ

(仁羅祭の影に隠れて気づかなかった…)


「それはそうと、なにかあったのかい?」

「あぁ実は急いでユウトピアに向かわなきゃいけないんだ」 俺は由美の安否が知りたい旨を話そうとしたが

「それはいい所で会ったね、僕も調度ユウトピアに出向くつもりだったんだよ」 と仁羅祭の計らいで難なく通ることが出来た


〜ユウトピア〜

「予想はしていたが、ここまでとは…」

ユウトピアのカセイ転移装置前は辺り一面瓦礫と炭で殺伐としていた

「じゃ、目的地に着いたしここでお別れだね、帰りはこれを使うといいよ」 と仁羅祭に自身の顔写真を渡され別れた


その後俺は隅にあった仮設医療所に向かった

「核さえ破壊されていなければいつか完治する」 その言葉を念じながら中を見回すも

そこに由美の姿はなかった

「核さえとはいっても、肉を全て失うほどの重体なら見つけようがないじゃないか…」 一応核だけで残ったものもあるがそれは全て壊れていた


絶望に打ちひしがれながら外に出る

「一糸の希望…」 記憶を失ってから一番良くしてもらった存在、最も求めていたもの、それを失ったとなればこれからどうしていけばいいのだろうそんな気持ちに苛まれる


だがその時ひとつの光が刺す先に何かある

「あれは由美の…」 そこには核、とそれに接着していた紙切れ、いや布切れ、あれは由美が着ていくと言っていた服とよく似ているではないか

「まだだ、まだ希望はある」 その時俺は絶望感で壊れかけていた心に舞い込んだ可能性という名の希望の力に動じずにはいられなかった

「核、再生、装置、地下、秘密の、暗証番号…」


〜カセイ国守官管理所〜

「下倉!下倉!聞いてくれ由美が見つかった!」 俺は早足でカセイ国に戻り意気揚々と話した

「本当かい!?じゃあ今はどこに」 そう言って聞いてかかる下倉に対し

「ほらここだ」 俺は由美の核を見せた

「んーこれは、えっとどういうことかな?」

首を傾げる下倉を無視して俺は地下室に向かった


「おい、ちょっと待つんだ久君!」

古民家に着いた辺りで追いついたのか呼び止めて来た

「はぁ、全くいきなり飛び出して帰ってきたと思ったら水羅君を見つけたといってそんなものを見せてきて一体どういうつもりなんだ!」

激しく問いただす下倉だが無視して家に入る

「あ、おい!」


階段を降り地下にやってきた俺は暗証番号を入力して核再生装置に入る

「おい!なにやってるんだこんなものにはいっt…」 すると下倉が割り込んできたがエレベーターが起動する

「ここは…」 下倉が見た光景は辺り一面に無数の水槽があり何やら得体の知れない液体が充満しており中央に一際大きいポンプのような装置がある部屋だった


「さて」 俺はエレベーターを降り装置へ向かうも…

「おい久君、そろそろなにか話したらどうだ?」 また下倉が問い詰めてきた

「なにかとは、なにを?」

「とぼけるんじゃない、まさか屋敷の地下にこんなものがあったなんてその様子だと君はなにか知っているようじゃないか!」


「おかしなことを聞きますね、ここは核再生装置ですここで由美を再生させるんですよ」

「なにぃ!」

「正確にはまだ完全な状態にはありませんが…」 言葉を溜めて発する

「ここには核エネルギーが満ちています、知っての通りカセイ人は核が太陽光をエネルギーとして吸収し、それを核エネルギーへと変換して生きています」


「ここでは培養層を核エネルギーで満たしそれをもって核を再生する、ですが核エネルギーだけでは太陽光からのエネルギー吸収はできない…つまり、核を捧げてエネルギーへと変換するのです」


「何も言わないのに着いてきてくれてありがとうございます、これで由美を再生できる」

下倉がおどろおどろしく声を上げる

「まさかとは思ったがここまでとは…」


「どうでしょう、核エネルギーに全て吸収させてしまえば証拠のひとつも決して残りはしない完壁でしょう?」 すると下倉が嘲笑する

「ふw 君のことについて、ひとつ言っていなかったことがあったそれは以前の君は父親に従属するロボットでしかなかった、最後に本性を確かめられてよかった!これで…」


俺は攻撃を繰り出した

「これで終わりです!」 2本の流槍刃を繰り出し

下倉の迎撃に3本目を構えるも…

「これで…ガハッハッハッハッブァッ」

不敵な笑みを浮かべながら下倉は培養層に沈みたちまち消えていった


「全く調子狂うな、直進した1本目の流槍を躱されることを読んでまとめてなぎ払えるよう2本目を用意したというのに…」 (1本目が直撃しそのままバランスを崩し落ちていくとは…)


「一応父親の側近だけあってかなりの強者と見ていたんだが、やはり博士…肩書き通り戦闘には不向きだったようだな」 そうして俺は博士から得たエネルギーを確認するも

「やはりこれだけでは届かないか」 再生にはもっと多くの核エネルギーがいる、だがそんなことは問題ではない

「由美を殺した邪族共を殲滅して、核を奪い再生させればいいだけの事だ」 俺は滾る意志を決意に変えて明日を見た


「待っていろ由美!」 そして


「諸悪の根源堕悪!」

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