4.脳筋な策略家
「ふぅー」 会議が終わり俺は一度管理所に戻った
「あ、おかえり久!」 「会議お疲れ様久君」 下倉と由美が一堂に会していた
「意外な組み合わせだな」2人が揃ったのは久しぶりのことだった
「会議の日程は久に聞いてたしもうそろ終わるころかなーってね」
「ハハッ、久君それは少し不用心じゃないかぁ?」
「もー私達の関係わかってて言ってるよねそれ?」
頬を膨らませる由美に対しまた、高らかに笑う下倉
「ちょうど良かった」
俺は2人に今おかれている状況を話した、由美は難しい話だからと席を外した
「なるほど、政府国の軍事力を頼るには宇元将軍の説得が必要不可欠と…」 下倉は少し言い淀んでから口を開いた
「それは…難しいな」
「それは重々承知の上だ、政府国は本国程ではなくとも亜人種差別の気がある、俺が行ってもまともに取り合って貰えないかもしれない…だが!相手も同じ人間だ丁寧に説明すればきっとわかってもらえるさ…」
そう言い切ろうとしたところで下倉が遮る
「いや、そうじゃなくてだな彼の性格を鑑みるに説明したところで言うことを聞くとは思えないんだ」
「だとしても、真摯に向き合えば大丈夫だ今からでも行ってくる」
「ああ待て、先走るなここは策を練ってだな…」
下倉が何か言っているが俺は無視した
「記憶を取り戻すにもまずは戦争を終わらせなくてはならない、そのために今は…!」
そうして俺は政府国へと向かった
政府国に着くとすぐに向こうの人間が応対してくれた
「お待ちしておりました、ご予定よりお早いようですが今なら宇元様もいらっしゃいます。ささっ」
と言われ基地のような場所に案内される
ところが
「ああっまずい、宇元様今から出るところだ!」
どうやら内部の人間にすら彼を管理できていないというのは本当らしい
「しかも積み荷を搬入したあとかよー急がないと伝永様、申し訳ございません今呼んで参ります」
「宇元様ー、おまちっッテッテ お待ちください」勢い余って転びそうになるものの何とか立て直した
「宇元様、面会人です面会人ですー」
しかし全く聞こえていないようだ、自分も走って追いかけるべきかと考えていると
「くぅ〜ならば仕方ない、宇元様!獲物ですー」と指を刺されそう告げられた
と、次の瞬間
「ふんっぬ」 目にも止まらぬ速さでこっちに向かって鉈が飛んできた
「きっ、流槍刃!」 寸手の所で止め…られなかった
鉈は流槍刃を切断しギリギリ俺の後ろに落ちた
「流槍刃が…!」 流槍刃に痛覚はない、だが再生が始まらない
ふと目をやると切られた流槍刃が消えてないそれに気づくも…
(不安要素もあるが今は後にするか今は他にやることがある…)そう片付け、やることに顔を向ける
「ふん、俺に怖気付いて反撃する気も出ないようだな」
大柄で軍服を羽織っているが上半身は裸の男が近づいてきた
「俺は獲物じゃない宇元将軍、カセイ国守官の伝永久だ邪族戦争への軍の協力をお願いしたい」
俺は冷静に今回出向いた旨を伝えた、だが…
「ふんっ獲物じゃねえなら用はない、お前らーさっさと出せ」
「待ってくれ、タダでとは言わない終戦の暁には政府国とならなる国交をだな…」
しかし颯爽と行ってしまう
「せめて話を…まずい全く取り合ってもらえない
耳を貸さないにしてもこれはガン無視だ、耳が退化しているんじゃないかと思うほどの」
「申し訳ございません伝永様、このように宇元様は獲物以外には耳を貸さないのです」
「これじゃ埒が明かない何とかして呼び止めなくては…」 先の会話、獲物に対する異常なまでの執着
これを利用するしかない
「宇元様、聞いてくれカセイ国には今恐ろしい邪族という名の獲物が蔓延っている、そいつらはあなたが本国で相対する化異物共なんか比べ物にならないほど強大だ!なんせ、総人口の2割を占めているんだからな!」
語彙力の欠けらも無い暴論のスピーチだが、今はこの男の感性に問いかけるしかあるまい
「そいつは面白そうだぜ、本国じゃ月に数体しか強敵に会えねえがそこならもっといたぶれそうだなぁ!」
宇元が単純で助かった
「さっそく連れて行け俺が皆殺しにしてやる」
「いや、それはダメだあなたにはこちらの指示に従って軍を動かして欲しい」
その言葉を聞くと途端に表情が変わった
「俺は人の下に着くような器じゃねえ、おめぇなんかの言うこと聞くかよ」
とへそを曲げ出す宇元
「それではダメだ、しっかりと統制が取れていなければいくら一軍が強かろうと物量差には敵わない」
しかし考えを変えぬ宇元
「ならどうすれば、従ってもらえるか?頼む教えてくれ」
「面白いことを言うな、ならおめぇが俺より優れていると証明出来るような勝負を考えろ」 といいのける
「勝負?」
「そうだ、俺は考えることが苦手でなおめぇに任せる」
これは好機だ、これを利用しない手はない
「なら、」 俺は口を開いた
「なら、俺とあんたでそれぞれ一軍率いて殲滅勝負といこうじゃないか、獲物はカセイ国の他国間転移装置を占拠している邪族達だ!」(完璧だ…政府国の許可は得ている、軍はこれで問題ない。これで同盟決定と同時に邪族達に一矢報いて、その事実を知らしめられる!)
「よぅし、乗った!」
そうして勝負の約束を取り付け、日程を決めた後一時帰宅した
〜殲滅勝負当日〜
「ではこれよりルールを説明しておく、渡しておいた資料に目を通してくれ」 俺は全員が目を降ろすのを確認した後説明を始めた
「初めに、今回のことは勝負とはいえ一国家の戦争だ、標的もそれなりの力を持っているため生半可な気持ちでいては困るぞ、次に…」
俺は説明を終わらせ最終確認をした
「チームは俺を指揮官とした伝永班と宇元様を指揮官とした宇元班に別れて行う」
「宇元でいい、俺もおめぇのことを久って呼ぶからよ」
「わかった、では伝永班は人民国への転移装置、宇元班は政府国への転移装置の邪族達を相手してくれ、終わり次第中央国への転移装置へ進行してくれて構わない」
「やっと終わったかぁ、しゃあおめぇら着いてこい!」そう言うと宇元班は転移装置へと向かった
「さて、こちらも行くとするか!」
現在のカセイ国の状況は、邪族との戦闘こそ一時膠着状態にあるが闇属性のテロリストやデモ隊も増えており居住区への侵攻もいつ起こるかわからず不安定である
「とはいえ、主力である邪族さえ潰せば元は民間人の者まで殺す必要は無い、事が起こる前に確実に倒すとしよう」
〜人民国転移装置前〜
「はいよ、今日の配給だ」
「おっさんきゅ♪」 そうしたやり取りを行い今日も邪族は持ち場に戻る
ここはカセイ国の他国への転移装置前に作られた邪族達の戦略拠点だ、だが邪族といってもここにいるのは闇属性の人間が変化した者が大半だ、皆差別に苦しむ同士を救うべく志願した者だ
かつての大体勢力だった根っからの邪族達の軍人はカセイ国北西の鬱蒼とした霧に囲まれた魔王城に篭もって指示を出しており、前線に出ることはあまりないという
「しっかし、光属性の連中も大したことなかったな」
「数ヶ月前はあんなに奮戦してたのに統率者失った途端このザマだ、まぁ俺達にはありがたいことだがハッハッハッh…?」志願兵がふと上を見上げると
「ギ、ギガース隊長!?」 そこに居たのは3対の尖った角の付いた兜を被った重装備の邪族だった
「はて志願兵君、午前中から飲酒かね私はそんなことを許可した覚えはないぞ?」
「ひっすいません、以後気をつけますぅ!」
「そうかそうか、ならこれ以上は問わぬだがこれだけは聞いておけまだ戦争は終わっていない浮かれるのは早すぎるとな。」
「トクン!やべぇ俺ギガース隊長に話しかけられちまった心臓の鼓動が激しいよ…あれ、心臓ってなんだ?」
「俺に聞かれても困る」
(華がありつつも厳しい声にかかれば並の邪族ではたちまち惚れてしまうという紅一点のギガース隊長…その道に迷いなど無く何時も凛々しい!軍の中ではそういう印象を持たれている私だが、最近は悩みがある)
「ここからどう侵攻すれば良いのやら…」
(カセイ国の転移装置を占拠したとこまでは良かったが、その後ユウトピアやカセイ国の軍事拠点を抑えるには居住区を通る必要がある)
「でも、そんなことをすれば民間人に被害が出ざるを得ない…できればそんな奴らと同じようなことだけは…あぁ〜」 (悩んでいても仕方がないが今のところはデモ隊等の協力により双方の進軍を抑えているに過ぎない、魔王城よりお達しがあればすぐにでも侵攻することになるだろう…)
「とりあえず、今は緊急時に備えて防衛体制で待機させていることだし私も自室に戻るか」
「ただいま〜おじさn…!?たっとぅっっただいま戻りました!ゴルゴンゾラ第3提督殿」
そこに構えていたのはゴルゴンゾラ第3提督こと私の叔父さんである
「そう硬くならなくていい、海上偵察に来ていた俺をわざわざ副隊長にしてくれたのはお前だろう。」
(叔父さん、とはいえあまり面識があるわけではなく副隊長に任命したのも強さを見込んでというだけだが)
「どうした、また悩みを聞いてそうな顔をしているが?」 (だが私は叔父さんの前だと…いや別に関係ないかもしれないな)
「まぁいいか、実は…」「ギガース隊長!」とその時1人の邪族が駆け込んで来た
「おい、どうしたここはプライベートルームだぞ!」
「い、いま現在ぃ!北西部政府国転移装置より入電、大規模戦闘勃発中です!」
「なにっ、敵はなんだ!?」
「おそらく政府国軍の者かと、あの宇元将軍も確認されていますし…」
「オラァ!ハッハッハ…こんなの雑魚同然じゃあねえか、さっさと大ボス出てこいよォラァ!」
「くっそぅやってられるかよこんなの」
「こちら現在戦闘ちゅぐぁぁぁ」
(政府国がカセイに手を貸した!?いや、あの傍若無人な宇元が協力など…)
「わかった、なら私が行こう国守官クラスでは他の者は相手にならないだろう…ましてや宇元など」
「俺が代わりに行こうか?」
「大丈夫ですおじ…じゃなく副隊長、貴方にはここの指揮を任せる」 そうして私は宿舎を出ようとしたのだが
「うぎぃ」 「ぐぁぁぁ」 兵達の悲鳴が辺りに響く
「くっ今度はなんだ!」
「人民国転移装置到着か、気を引き締めろ!」そう声を掲げた
(はっきり言って、まだ流槍刃も再生していないため地下室より運んできた流槍を使うしかなく不安だが…)
「ここさえ崩せば連携が取りやすくなる、そうなれば…」歯を噛み締めて前を向く
「全軍、突撃!」
「な、なんだこれは…」 (味方が一斉に蹂躙されていく…政府国の技術にかかれば非正規軍人の者達などいとも容易いというのか…いやまだだ、私が加勢してやれば…すると眼前に槍を突き立てられた、その主に目をやると
「滅せよ、邪族の指揮官」そう言うと俺は勢い良く突いた、が避けられてしまったようだ
「貴様っ、その顔は伝永久!まさか生きていたとはだが今は関係の無いこと!」
そして邪族は鋭く闇に光る剣を取り出しこちらに放ってくる
「こい!」俺は流槍を構え防御の姿勢をとる
「うぉぉぉ!秘技:邪…」だが全て言い切る前に2人の間に何かが立ち塞がる
「叔父さん!どうしてハッ副隊ち…」
「撤退しろ、残っている者を率いてユウトピアまで」声の主はどうやら邪族の叔父らしい(撤退と言っているがこちらに攻撃する意思はあるのか?)
「撤退とはどうしてです!?」
「政府国の軍人によって半数以上がやられた、他国の介入は我々の想定していなかったことだ、ましてや政府国など…一度撤退して体制を立て直し上層部に報告するべきだ」
( なにやら話しているが…逃がすわけにはいかない!)俺は飛び跳ね2本の流槍を突き立てようとした
「おっと話の途中で攻撃してくるんじゃない!小僧」
そう言うと振り返り
「とにかくだ、こいつは俺が引き付けておくから早く行け!」
「わ、分かりました…全軍後退!ユウトピア転移装置まで一時撤退する!」私は不安を押し殺しそう声を掲げた
「さて、小僧お相手願おうか」
直に邪族達は次々に戦線を離れていきだした
「久隊長!敵が逃げていきますが追いかけますか?」
「分かった、宇元将軍と合流した後に追いかけろ、多分あちらの邪族も撤退しているだろう」(勝負は放棄することになるがやむを得ない、今はこいつを相手しなくてはならないのだから)
「ほらほらぁ、そんなもんか?」
やつは大剣を振り回し俺は防御に徹する他ない
「デジャヴだな」だが先に宇元の一撃を受けていたおかげで今度は比較的流せている
「威勢いいこと言ったからには、お前だけでも倒さねえとなぁ」だが体格差もあるため完全な防御とは行くまい
「くっ流槍刃があれば…立体的な移動も可能なんだ」自分の身体のようにわかる、それはまだ完全でないと
「思えばカセイに来て初戦もこんな風に防戦一方だったな…」
するとふと思い出す、核を再生した時のことを
「核を再生したのは流槍を突き刺されてから…流槍には固有の能力が…固有の能力、無属性、核エネルギー…」
「そうか、核を再生したのは流槍に含まれる核エネルギーだ」
核の主色である5大属性を強化する流槍の核エネルギーは5大属性そのものだ、つまり!
俺は後ろにはねのき距離を取った後すぐに行動に移した
「これなら、流槍を再生できるはずだ」
そうして流槍を構え自身の核に2本一気に突き刺した
「あっ…」その瞬間俺は負荷に耐えられず倒れてしまった「一握りの可能性に全てを掛けたんだ、これでダメなら…」
「おいおい、なにしてやがるんだ小僧。状況に耐えかねて自害してしまうとは…せっかく手の内を見るまで適当に振ってやってたというのにしょうがないやつだ…まぁいいか」そう言って去っていくとふと振り返り
「あそうだ、俺の肩書きゴルゴンゾラ第3提督っていうんだ、生きてたら覚えとけよ〜」と笑顔を見せた瞬間その顔が強ばった
「お前、生きて…ふっ生きてたか」
俺は復活した
「ゴルゴンゾラだったか、覚えておくよ」
そう言うと高速で飛びかかる流槍はただ再生しただけでなく3本に増えていた、おかげで移動がスムーズだ
ガッキンッ
「はやっ…い」大剣と流槍刃がぶつかり激しい音をあげる
「なるほどなそれがお前の必殺技ってわけか大層なもんだぜ、なぁ〜」そう言うと大振りの一撃を放ちつつ飛び上がり、全体重をかけて振り下ろされる大剣
「秘技:邪光大剣」
俺は流槍刃を絡めて威力を抑え否した
「きっこれ程の力量差があるとは…」大剣に絡んだ流槍刃を更にに伸ばし核を狙う
「まだまだだ、秘技:邪光連斬」大剣から飛ばされた三本の斬撃が宙を舞い俺を切り裂こうとするも
「ぐはっ」既に俺が核を貫いていた
「さて…」(核の再生を行いかなり疲弊しているが以前のようにまた倒れるわけにはいかない)
「宇元のところへ行くとするか…」
〜政府国転移装置にて〜
「くっそなんだこいつ、一撃一撃が硬ぇし重たい…並の獲物とはわけが違うと思ってかかったが、ちと不味かったようだな」
数時間前…
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「フッ、まさか政府国軍が来るとは…伝永久の追撃を恐れて邪族軍の戦略拠点に身を置き好機を伺っていたが奴らに邪族共をやらせる訳には行かない、ここは潜伏に向いているからなぁ」
(どのタイミングで行くべきか悩むなぁ…)
そうこうしていると政府国軍の一人が声を上げた
「全軍一斉掃射!」
その瞬間ありとあらゆる弾により辺りは一瞬で壊滅的な状況に
「フフフ、マジかこれでは守るものがいないじゃないかやってくれる。」
その後、邪族達が戦闘を開始するも圧倒的な戦力の差に為す術なく結局散り散りになってしまった
「おいおい、獲物共逃げていきやがったぞ、お前らぁ追いかけろ!」(そう言って走り出す俺の前にあいつが立ち塞がりやがったんだ…)
「フフフ、ワタシは銅羅夜寄伯爵、このままにしては返しておけん参る!」
「俺の道を塞ぐとはいい度胸してんじゃねえか、ぶっ潰してやるぜ!」(そして今に至る訳だが…)
____________________
「フフ、どうしたさっきの威勢の良さは?ほれ」激しい連撃が飛んでくる
「くっそ、全部いなすのは無理そうだ…しかしこいつ片手でっ」右手が高速で大剣とレイピアに変化するため対応が難しい、オマケで左手では無属性能力を使ってくる
するとまた一人が声を上げる
「全軍宇元様を援護しろ一斉掃射だ!」
「フ、小賢しい真似を無属性能力:別次元生物召喚」
無属性能力によって政府国軍は苦戦を強いられる
「てめえこそ!ぐっ」
「フ、どうした、技を発動しなくていいのか?こっちは容赦せんぞ?無属性能力:次元ワープゲート」
「何!?」俺の足元に紫に光る穴が出現する
「フフ、何もワープゲートは移動の手段だけではないさワタシ程になればこうして効果時間に関係なく閉じることもできようぞ!」
そうして俺の体が寸断されようとした時
「流槍刃!」その声と同時に宝石のように透き通った輝きを放つ槍が伯爵の右肩を貫き俺は命を救われた
「ぐぁぁそ、その声は…フ、伝永久!」
「あっ、お前は!」今まさに宇元将軍を窮地に立たせていたのはかつて逃した伯爵だった
「フ、マズイまだ態勢が、ちょっと待て伝永久!くっ私を守れカピロテッドマン!」
「そうはさせるか流槍刃!」流槍刃は割入ったカピロテッドマンごと伯爵の胸部を貫いた
「大丈夫か!宇元」そうして宇元に駆け寄ると
「あぁ、お前に命を救われるとはな」一息つくもその瞬間伯爵の体からなにやら小さく声が聞こえた
「フフフフフ、私にこのような仕打ちをしてただじゃおかんぞ!無属性能力:次元ワープゲート」
しまった、振り向くと先程の10分の1程のサイズになった伯爵がワープゲートに入ってしまった後だった
「まさか、あれで死なないなんて」また伯爵を取り逃してしまった、宇元将軍を窮地に追い込む程の実力を放っておくわけには行かないが、部隊の数を見るにここは一度引くしかあるまい
「宇元、悪いがこれ以上の戦いはよした方がいいとてもじゃないが被害が大きすぎる」暴君にこんなこと言っても無駄だろうと思いつつそう告げると意外な反応が帰ってきた
「あぁ久、俺もそう思うここは引くべきだ、今までの俺は自分より強いやつと戦うことを望みながらも本気で戦っていなかった。今回初めて本気で戦って勝てなかったのは、能無しの生き物とは違う知性があるやつだったからだ、俺も知性をつけなくてはならない、これからも協力は惜しまないからお前も俺に学をつけてくれ。」
「分かった」そうして俺達は初陣での苦渋を飲みこれからの事を話し合うため一時帰投するのであった