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永伝(エデン)   作者: ちがタニ
永伝(エデン) 第3章
32/37

9.過去に失ったもの達

前回のあらすじ

由美復活のため正直達と話すことを決めた久は父、伝永雄司と再会した。父親を信じてやまない久はのこのこついて行くが、過激な雄司に少しづつ疑念を抱き始める…が気づいた時にはもう手遅れ。皆と過ごして産まれた記憶も感情もぜーんぶ消えてなくなったのであった


〜チキュウ星〜


某日

「好きです、付き合ってください!」


「いいですよ」パアァァァ

「よっしゃー!」


この日、伝永家長男、伝永雄司は永井(ながい)家長女、永井知子と結ばれた。カセイから遠く離れたここチキュウで2人は子を作り、健やかなる暮らしを営むと誰もが思っていた。


「誰が女を産むと言った!この役たたずが!」「待って…!この子には手を出さないで!」「うるさい!」


雄司は、自分の思い描いた通りにならなかったことに腹を立てていたた。

息子と遊ぶために買ったおもちゃも

息子を着飾るために買った服も

息子に与えるため考えた雄という名前も


全てが全てが!無に帰した、そんな言い分だった


母と私は徹底的に痛めつけられた…抵抗の余地も介さないほどに一方的な暴力


やがて見る気すら失せたのか私は託児所に預けらるようになった。私はそこでも暴力を受けた、カセイ人である以上当然のことだったが…家での生活に比べれば痛くも痒くもなかった


託児所が休みの日は最悪だ、気配を悟られないよう徹していた。気づかれればまた暴虐の限りを尽くされるからだ。以前2人で遊園地に行ったこともあったが、帰ってきた私達の笑い声が耳に障り…私達は二度と会話を交わすことはなくなった


そんな日々が続く中、その日が来た

雄司が嬉々として私達の居る部屋に入り込んできたのだ。あまりにも想像のつかない表情だったため酷く不快感を得たが…そんなのはまだ序の口だった


「遂に成果が出た!念願!雄!お前を男にする方法が完成したんだ!」

「…」いつか来るだろうとは思っていたことだった、そうならなかったのはこいつが怒りに酔いしれていたからだと…だが


「核から情報とその一部を抜き取って再生するんだ!クローンだよ!これで雄を男にできる!」思っていた以上にイカれていた


「早速取り掛かろう!いやあ良かった!これでもうくよくよすることもない!」「ふざけないで!」「!?」母が声をあげ、思わず驚愕した


「なん…」「そんなのこの子を殺すことと同じよ!そんなこと許さない、今日という今日は私が命に変えても守る!」母の声が部屋中に響いたが


「なに言ってるんだ?お前もクローンだ、俺の理想を不意にした罪これでやっと償えるぞ!よかったな!」「な、何言って…」グチュウン


「さっ雄…いや、久!お前がこの先いつ久しく俺の息子であり続けられるように生まれ変わろうなっ!」




「そうして、伝永久が産まれ私の核の断片は核再生機内に残留した。そして再び再生された時に願ったんだ、次はあんな悪を知らずに生きて欲しいと…」久、いや雄が…その膝に横になる優の頭を撫でた


「…」全員が、なにを言うでもなくただ誰かが話し出すのを静かに待っていた

「あっ…なあ。」最初に口を開いたのは毒闇だった


「その、託児所なんだが…もしかして"楽園"か?」


「…そうだよ、毒闇くん。赤根ちゃん。」

「!?」「えっ嘘!?ホント!?毒闇く…」


「ああ…いつも隅にいた青髪の、そうだ…その後久が来て…!いつの間にか居なくなってた…。そういうことだったのか…」「そんな…私達、すぐ近くにいたのに…」


「自分を悔やむことはないわ、君達もあそこで受けたことは覚えているわよね?自分のことでいっぱいいっぱいだったはず。」

「うぅっ…」


再びの沈黙が…思ったより早く空けた

「…これでわかっただろう?伝永雄司という男がいかに悪か」

「江美…」


「だが、これで終わりではない…伝永雄司のことはお前達にも関係のあることだ、それを今から話す。お姉ちゃん…」

「え、ええ…じゃあ話すとしましょうか」


「私達の親は近所だった伝永家とよく交流があったの、でもそれで気づいてしまったんでしょうね…雄司の、雄さんへの暴力に」正直が服の袖を握りしめる


「ある日雄司に会いに行った私達の親は帰ってこなかった、そして私は1人怯えて自分の部屋に籠っていた。すると玄関の扉を開ける音がした、恐る恐る扉を開けると…姉がいたの」


「姉?三姉妹だったのか?」

「ええ、姉の名前は夜暗 先本(さきもと)、姉は何も言わずに出ていった。私はまだ小さかった江美を置いて1人で姉の後を追った、そしたら…姉は雄司に協力していたの。


でも姉に近づくのは一筋縄ではいかなかったわ…だから、姉が持っていた"堕悪計画"の完成品を奪ってチキュウで"起動"したの、そこからはそのデータを元に独自開発した人造人間のマオ、ハヤブサ、サツキを利用して…今に至るわ」


「マッ…」

「ごめんなさい雄さん!あなたとお母様が酷い目にあわされたのは私のせい、私が姉を止められなかったから…!」正直が話を終えたあとすぐさま反応を返そうとした堕悪だったが、同時に放たれたその言葉を前に口を噤んだ


「…頭を上げて、あなたが謝ることはないわ。」

「でも…」

「いいから、それよりもっと他に謝って欲しい人がいるんじゃない?」

「え?」正直は江美に目を向けた


「…普通、まだ小さい妹を1人置いて出ていくかね?」

「あ…」

「復讐のためとか言って…こっちは手がかりなし、行く宛てなしで探し回るはめになったんだぞ?」

「えへへ…ごめんね、江美?」

「…まあいい、それより雄殿はこれからどうするつもりだ?」


「そうね…現状雄司に繋がる方法はないけど、伝永久の体がある限りいつか再び現れるはず。それまで力を付けて…」

「まだ間に合うわ!」「うわっ!!!」急に大声を出した正直に皆が注目する


「な、なんだ?急に」

「まだ雄司に会えるかもしれない!」

「!!」

「そ、それはどういうことですか?」


「いい?雄司は逃げたの!逃げるということは会わないようにすること、つまりまだカセイにいる可能性は低い…」

「…お姉ちゃん、それは当然だろう?」

「待ってよ、大事なのはここからなの!逃げた雄司はどこに行くか…ただチキュウに戻るだなら追ってきてしまう、となれば行先はひとつよ」


「マーズ…!」毒闇がそう口にした


「本当!?本当に雄司はマーズに向かったの!?」雄が聞き立てる

「可能性は非常に高いわ、最悪既に去っていたとしてもマーズ政府に行き先を聞ける!」

「雄さん!!」毒闇、赤根が声を高らかにする


「…正直ちゃん、至急ロウ国に連絡を」




「ふむふむ、雄司君殿が帰ってきていて、勝手にマーズまで行ってしまったから追いかけたいとな?」蟲夢が毒闇達をジロジロと見回した (…なんか増えておる)


「ふむ、雄司君殿からは何も聞いていないが…まあいいじゃろ、船を貸してやろう」

「やったわね!」


「ただし!急な来訪になる以上、そんなに大勢は行けないぞ?」それを聞き皆が目を合わせた

「勿論、行くのは俺達だけだ」雄が優の手を掴んで前に出た

「久?」優が驚く


「ふむ、まあそれぐらいなら問題ないじゃろう…マーズ政府にはわしから伝えておこう」

「助かる、蟲夢…優、もう二度と離したりしないからな!」「久!?」パァァァ


ドカッ

「ぬあっなんだ?」堕悪が江美の背中を押した

「いいのか?このまま行かせて」

「…」江美が2人の元へ歩み寄った


「江美ちゃん…」

「雄殿、成すべきことを成せ」雄の肩に手を乗せながらそう言った江美は静かに下がった

「ふっ…そっちはいいのか?」堕悪が今度は毒闇達に問う


「自分らは流石に、入り込むのはおこがましいので…」「えへへぇ…接点が、ね?」

「そろそろいいかの?」

「ああ、では皆行ってくる!」


「…雄さん!行ってらっしゃいぃ」

「い、行ってらっしゃい!」隼と光がそう言った


「ハッハッハ、やっとなにかしら話せるタイミングが回ってきたか!頑張れよ勇者!」

「罪人に天罰が降ることを願っております」

「祈っているわ、雄さん」ギガーン、奈落神、正直も


「応援します雄さん」「私も応援します!」

毒闇と赤根も


「お前達…優ちゃんばかりに注目しおって、少しは"久"君殿にも声をかけてやったらどうじゃ」


「ははっ、頑張ってこいよっ久ぃ!」

「ああ!」




「発射まで、5!4!3!2!1!発射!」カッ ドブワァァァァァァ


「見ろ優、マーズが見えてきたぞ」「わ〜」

カセイ、マーズ間はチキュウ、カセイ間の3分の1程の距離らしい


「逆噴射!」ゴフォフォフォフォフォフォ

「着いたようだな」ハッチが開き、外の景色が見える。見渡す限りの青、カセイよりも海が大きいそれがマーズだ


「直にマーズ政府の者が来るはずだ、それまでここで待とう」

「ん?久、誰かいるよ!あれかなー?」

遠くに2つの人影が見えた

(…蟲夢の連絡を受けたとはいえ早すぎる、あれは)


「なんだあおめえらぁ!得体の知れないもんが降りてきたと思ったらぁ、まさか侵略者かぁ?」


「優、どうやらマーズ政府の者ではないみたいだ…ここはひとまず移動しよう」


「どこへ行く気だ侵略者?マーズの矛、速蔵(はやくら)霧牙(きりが)が逃がしはしないが?」振り返った雄の先には2人目が立っていた


(これは…本格的に厄介な状況ね)

次回予告!

雄司を追ってマーズに来た雄と優の前に立ち塞がった2人の力剣士、脅威に立ち向かう中マーズの悪魔が牙を剥く!

次回 第3章 10.マーズ

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