1.孤高の海賊達
前回のあらすじ
大魔王となったギガーンに苦戦する久と優、確実に捉えたと思えば反撃され優がピンチに!覚醒した久だったがギガーンも覚醒し拮抗から変化しない盤面
駆けつけた堕悪達も奈落神に為す術なくやられ
もうダメかと思われたが…優が内に眠る力を解き放ち久と共にギガーンを倒した!
由美のことを許せない久だったが仲間の説得もあり一時停戦となった邪族戦争
やっと訪れた平和に対し物思いにふける久達であった
ここはマーズ0-2星、カセイ星に次ぐ質量を持つカセイ型人工惑星でありカセイのすぐ隣りに位置するカセイ第3惑星…
〜マーズ外周基地〜
「どうした?なにがあった?この警報は?」
「こ、こちらマーズ防衛管制、センサーに反応あり現在、未確認飛行物体が超高速でここマーズへと接近中!」
「なんだと!」
ゴオオオオオオオオオオオ
「きっ、緊急防衛体制!」
「未確認飛行物体、データベース該当無し艦種特定不可」
「なんだと?もしや…外宇宙からの侵略?」
「何を言う!時期を考えろそんなことは…」
「予想進路、出ました!マーズ首都ああっ」
「どうした?」
「ちょ、直角に進路変更!このコースは…カセイです!未確認飛行物体、カセイ星ロウ国へ進行!!!」
「えええっこっこここを買収!?」 そう声を荒立てるのはドグマセンターカセイ支部の所長、鈴木であった
「じゃあ、俺はこれで」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ久さん!説明か何か」 その場を離れようとした俺はまさか呼びとめられるとは思ってもみなかった
「何だ?鈴木、お前にしては物分りが悪いな」 面倒と感じつつも渋々事の詳細を話した
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「ドグマセンターカセイ支部を買収したい?」
「そうだ、貴方とはあまり顔を合わせたくなかったが一応は本国代表だからな松保馬隆」
「ふん、小生意気な口を聞くようになったのはこの取引に少なからず此方の目を引く有用性があると見るぞ?」 背筋が凍る、そこまで読まれているとは松保馬隆…意外と侮れない奴だ
緊張の中、沈黙が走る
「ふん…まさか、本当に金だけで済ませるつもりじゃないだろう?」
「ああ、当然だ」 そうして俺は話し出す
「まず今回取引を持ちかけた理由は戦力増強のためだ、カセイ国は先の戦争で軍本部が壊滅し都市も2つほど機能が麻痺している状態だ。そこで今後の治安悪化と防衛力低下を恐れ自由に使える戦力と…」 言い切る前に遮られた
「よせよせ、そんなことはわかっておる他国に国の危機を告げる愚行を犯し話の真剣さを高める事など必要ない!早く本題に入れ」
「わかった、では本題の本国側のメリットを話そうか」 俺はポケットから眼鏡を取り出し掛ける
「そちらが推進しているプロジェクトに亜人種を他国へ移譲するというものがあるな?」
「ふん、そうだがそれで?」
「しかし、ユウトピアの生活水準では大部分である貧困層の受け入れは困難、政府国は治安管理の観点から受け入れ拒否、人民国は手続きが難航している状態…」
「そこで今日まで接点のなかったカセイ国側が受け入れ先として名をあげることにした…それが本国最大のメリットだ」 馬隆は黙ったまま何かを思案している様子でいる…俺は追い討ちをかけようと再び口を開く
「そしてこれが今回の取引内容と繋がる、ドグマセンターカセイ支部を拡張しそこの人員として移譲された者達を迎え入れれば多少は生活も改善される、もちろん移譲後のあれこれの為力剣士の一部も人員として貰いたいが…」
「ふん、いい内容だなよく思いついたものだ」
夢中で話しているとついに馬隆が口を開いたが
「だが…了承にはひとつ条件がある」
「なんでしょうか?」
「ドグマセンターカセイ支部に定期的に視察隊を送りたい」
「監査か?それなら…」
「いや、監査とは別に…力剣士を人員としたいならば安否確認が必要だ!亜人種と床を共にするならいつ何時なにが起こってもおかしくないからなぁ?」 ニヤニヤとした顔でそう告げる馬隆
「了解した」
「よし!取引成立だ」
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「というわけで、お前には拡張に伴い人員拡充を行ってもらいたい。一応上司になったわけだからよろしく頼む」
「な、なるほど流石は国守官様やることが壮大でいらっしゃる」
「怖気付いたか?」
「いやいや滅相もない、これからもついて行かせてもらいますよ」 鈴木にそう告げ自らの行いの大きさを再認識する…
「ああそうだ、この程度で揺れていては目的を達成することなど夢のまた夢だからな…」
「ブブッー 速報です、ユウトピア商業地区に未確認飛行物体出現!」 緊急回線で繋がった映像はそこにいた全ての者の目を釘付けにした
「えー現地の映像によりますと…あーこちらですこちらをご覧下さい」
「返す!我々は誇り高き宇宙海賊、邪眼族の一頭!自星の発展の為この星の資源を要求する、要求が呑まれるまでの間は自星の習わしに則り武力を行使して独自に資源の徴収を行う!さぁ隅から隅まで持ってこぉぉぉい!繰り返す!我々は…」
「このように宇宙海賊?邪眼族?と名乗る集団によってユウトピアが侵略されています、未確認飛行物体からは確認されているだけでも数十人が出現しているとの事で…」
「これは…」
「急いだ方がいいかもしれません、おい!黒田聞いてるか?〜車回せぇぇ!」 俺は立ち尽くしたが
(なんだこれは…こんなこれからだと言うのに!) すぐに持ち直し足を動かした
同時刻・魔王城
「ふっふふっふふ〜」軽い足取りで闊歩するのはギガーンこと闇枝疑柿、鎧上と鉄仮面を脱ぎ赤Tに身を包んだその男は魔王城のリビングルームこと王の間へ足を運んでいた
「それでね〜」
「あら、まぁ〜」
(ん、なにやら明るいな…普段雰囲気作りでキャンドルしかつけていない王の間とは思えん、それにこの話し声まさか!)
ガチャッ
「優!また来ていたのか!?」
「あっギーちゃんだ〜」
「あら、もう用事はお済みで?」
幾ら経っても顔を出さない久に変わってか、最近優が頻繁に来るようになっていた
「ねーお母さん、話の続きしよ〜」
「お母さん???」
「そうなの〜最初は思うところもあったけど…優ちゃんすっごく可愛くて私達に子供が出来たらこんな感じなのかな〜とか考えちゃったりして…。」
「お、おお」
「さっ話を続けましょっか〜」
「わーいっ!」
(そういえば…正直の年は幾つなんだろうか?)
「何か考えました?」正直が笑顔で睨みながらそう言ってきた、身震いがする
「ブブッー 速報です、ユウトピア商業地区に未確認飛行物体出現!」
「これは!?」その場にいた全員の目がその映像に釘付けとなった。そして視界を戻した時には既に優は居なかった
同時刻・久達の家
「ブブッー…」
「なん、だとっ…ハヤブサ!光!江美!」
「はっ?」「えっ?」「ちょっ待っ…」
「ユウトピアに行くぞ!」一瞬にして堕悪に掴まれた3人は、空を駆けるように飛び出して行った!
「せっ、せめてどこに行くかだけでもぅおおおおおおお!!!」
あちこちで巻き起こる悲鳴と火災、崩壊の連鎖がそこには広がっていた
(とても、信じられないな…) カセイで1度見た光景ではあるが以前とは違いこれは略奪
凄惨さに拍車がかかっていた
ドドドドドドッ ダガーン ボォォォォォオ
「ん?なんだぁ?」
「ああっ…」 武装した人間が人だかりを作っていた、急いでブレーキを踏む キィーーーー
ゴガガガガガッ 車内を激しく揺らしながら止まる
「黒田ぁ!」「す、すみません」
車を囲むように人だかりが迫ってきていた
「どうやらここまでのようだな」車を降りると人だかりは手に持っていた銃を、構えようとした
「流槍刃!」相手になにかさせる前に、速攻で片付けようとした しかし…
バキ ガキッ ボロボロ
「なにっ…」流槍刃の攻撃は敵の装備を破壊しただけだった
(邪族の時は、装備ごと絶命に至らせられていたのに)
「ひっPE装甲が一撃で!」
「我が軍の最高傑作だぞ!?」その一方で敵も攻撃に対し驚いた様子を見せてはいたが
「隊長!隊長〜!」1人が駆け出し奥に見える人間を呼ぶ
「なんだ?」「きょ、強敵です装甲が一撃で破壊されて…は、早く来てください!」何やら話している
「はぁ〜それぐらい自分で判断して行動しろ、ったく」ぶつくさ言いつつも近づいてくる大柄な男
「あれか」男は流槍刃を見つめると
「全員!B・対物機関銃、用意!一斉射撃!」
(まずいっ)
ダララララララララ
急いで流槍刃で防ごうとする
ガシッ ギャキッ ギィン
流槍刃がどんどん削られていく
「効いているぞ!交互に打ち続けろ!」
射撃は収まる気配を見せない
「このままでは。」策を巡らせる
(このままではいずれ突破される、だが防御をやめれば後ろにいる鈴木と黒田に当たって…)ふと振り返る
「ん、鈴木?」
「ブラッドクロス。」「パラーム!」
次の瞬間
「ぐあっな、なんなんだこれぇ」銃撃は終わり敵達が身動きを封じられていた
「6人拘束。ふぅ、1人で勝手に進めないでくださいよ久さん」
「あ、ああ…」2人がやったようだ
「8人拘束ぅ!どうっすか鈴木さん?」
「見栄を張るのは後にしろ。」そうして怪訝な目を黒田に向ける
「しゅん…」
「ぐっな、なんなんだよ!なんなんだよお前!」1人残された大柄な男が後ずさりし、その場を離れようとする
「逃がしはしない」俺は流槍刃を伸ばした、すると目の前に人影が表れ
グジュッ パァーン
「何!?」流槍刃が爆ぜた
驚いている暇もなく人影が男に近づくと
「こらこらちょっと、逃げちゃダメだよ…」男の襟を掴む
「や、夜多司令…何故ここが」男の声は震えていた
「いやさ、報告があったんだよね…一部区間で作業の遅れが見られるってさ?で、これはなんなわけ?」夜多と呼ばれた男はこちらを見る
気味の悪い顔をしていて酷く曲がった背には木の枝のような触手が付いているその先には実のようななにかが見受けられる風貌だが…
次の瞬間大柄な男が叫ぶ
「司令!こいつらは強敵です私の手には負えませんどうか力を貸し…」グジュ パァン
男の体に実が触れるとたちまち弾けた
「同士討ち!?きっ狂人がっ」男への警戒を強める
「鈴木、見ていたな」
「はい、黒田!覚醒は待てよ?」
「えっ?あーはい了解っす」
男はこちらを向くと懐から何かを取り出す
「通信機!?」ジジッ
「返す!我々は誇り高き」ジッジジッ… ガチャッ
「はいはいなんすか?夜多っさん」通信相手は未確認飛行物体の近くにいるようだ
「弐参、ちょっと強敵らしいの発見したから〜支援、よろしく!」
そう言うと急に、轟音が近づいてくる
「なんだ?」
「〜行使して独自に資源の徴収を行う〜」音の正体はあの未確認飛行物体であった
「カタカタカタっと、よしオート設定完了!支援行くぜえ、多重格納ミサイル発射!」
ドウドウドウドウドウドウドウドウ
未確認飛行物体の側面が開き、なにかが飛んでくる
「はっ、鈴木!車ごと引けえっ」
「はい、おい黒田!って何を」
(くっ、間に合うか…)
コァオォォォォォ
「変身:パラグアイ!」
突如覚醒した黒田が降り注ぐミサイルの雨をその身で受け止め…切れなかった
「ぐえっい、意外と強い…」大きな音と衝撃をたてて倒れる黒田、たちまち変身は解除された
「はぁぁ、ったく」鈴木が黒田を抱えて車へ乗り込む
「久さん、ここは一旦退きましょう!」
「いやいい2人だけで逃げてくれ、俺はここを抑える必要がある!」
「ほぉ〜」夜多がこちらを伺う一方で
「いや、何言っちゃってんだ?まさかこれで終わりとでも思ったか?残念、ミサイルはまだまだ残ってんだよ〜」弐参はこちらを見下した態度をとっていた
「ミサイル再発射!」
(問題ない、避けるだけなら容易いことだ…注意すべきは…) 久は夜多に目を向け、流槍刃を構えた
「連続ぅ…」
「邪眼・泥発、参る!」
(は、背後から!?)
ガッキィーーーーンッ
振り下ろされた刀が流槍刃と衝突し激しい金属音をたてる
「おっ泥発じゃん、お前までここに来るとはな〜」
「ww、だからいつも言ってるだろ〜それ、不意打ちwの意味ないって!」
(夜多に弐参そして新手の泥発、決して弱くはない敵が3人。残った流槍刃は…ダメか)
射撃で削られたもの、爆散したもの、そして先程の鍔迫り合いで今にもちぎれそうなもの
「っ…」敗北の色が見え出した
(流槍刃は今5本、うち3本が使い物にならず残りのうち1本は龍槍刃…流石に不確定要素がありすぎて使えない、流槍刃2本ならまだやりようがあったんだが)
ふと辺りを見回すと、まだ見える距離に鈴木達の乗った車があった…
「さて、どうしてくれようかな〜」
「へへっ」
「むぅ」3者が迫る中、久は
シュッ
覚悟を決めたような顔で冷静に、流槍刃を伸ばした
ガンッ
「久さん!よく気づいてくれましたっ」ガッ
ブオオオオオオオオ
俺は、流槍刃を刺した車により速攻でその場を離れた
「いやはや、久さんが無事で良かったです…目的地はひとまずドグマセンターでいいですね?」
「あ、ああ…」一息ついた久はおもむろに携帯の画面を見た、それは
「鈴木!待て!」
「はっ!」キキーー
「なんですか?」
「目的地変更だ…大至急、人民国に向かってくれ」
〜人民国・会議室〜
ガチャ
「遅いぞ!」部屋へ入るや否や馬隆の怒号が響き渡った
「すまない、いやそんなことより会議は」すると前方の椅子に人が映し出された
「蟲夢良李じゃ、初めましてのう 久君殿。」
次回予告!
突如現れたロウ国国守官蟲夢良李!
謎に包まれたその身で語られる、侵略者・邪眼族の目論見とは
奴らを打倒するべくユウトピアへと向かう堕悪達、降りかかる火の粉が街を染める?
次回 第3章 2.邪眼の実




