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永伝(エデン)   作者: ちがタニ
永伝(エデン) 第2章 邪族戦争後期編
23/36

11.他が為に(最終回)

前回のあらすじ

すっかり人気のなくなった天空樹を抜け魔王城にたどり着いた久達、しかし魔王復活の足止めに刃向かってくる夜暗正直とギラン!

そして涙するギガント!皆の戦いに決着がつこうとしていたところで復活を果たした大魔王ギガーンの奥義が久を襲ったのであった


「へぁへぁへぁ…」

「はぁはぁはぁはぁ…」 服が乱れ頭が割れた正直の首筋に江美の刀が添えられていた

しかし江美自身も動かなくなった人造人間に身体を押されられたままでこれ以上身動きが取れない


「よく…やるじゃないっ」 正直の顔に僅かに笑みが見られた

「ちなあっ!」 ガガッガクッ 江美を掴んでいた人造人間の手が握られた

しかし江美は間一髪、関節を外して難を逃れたようだ


「くっ…」 「はぁはぁなか…なかぁ」

両者はそのまま沈黙するかと思われた…が

ピピッ

「はっ!!」 この信号は、間に…合った!!

なにかに反応した正直が最後の力を振り絞り奥に秘められたボタンを押しにゆく


「待てっ!」 江美も負けじと、手を伸ばし跳ぶっ

「ぐばっ」 「きっ…」 ビー!ビー!ビー!ビー!

間に合わなかったようだ、ボタンは押され警報音のようなものが鳴り響く


解き放てよ我が王〜♪


「ふふふっ、最後に勝つものが勝者なのよっゴホゴホッゲホッ」 ズルズルッ 正直はその場に横たわった

「くっ、行かっなくては…」 江美は床を這って部屋を出た


「大魔王奥義!ギガーンマスタァーブレイカーーーーー!」 BGMの終わりに合わせて放たれたその技は

天地が揺れるかという程の轟音と振動を引き起こし、それと同時に大爆発が起きた


「うぅ…」 砂埃に塗れたものの幸い優も俺も怪我はなかった、だが上を見上げるとそこには青空が広がっていた


「ククク、やはり良い仕事をしてくれた…今ばかりは流れを無視してでも賞賛したいものだ」

ギガーンはそうして剣を抜くと

「とうっ」 ひとっ飛びで魔王城、雲の上まで上がりこちらを見下ろすと

「勇者伝永久よ!せっかくなら広々とした舞台で舞い踊ろうではないか!」 と誘い文句を投げかける


「ああっ!お望み通りになぁぁぁぁぁぁ」 俺は未だ光を纏い続ける流槍刃で地をかけ、飛びあがりその刃先をギガーンへと向けた


ヒューン ドキン ガキン ゴキン ダキン ゲキィーンッ

俺は雲の上を舞台に以前ギガーンがそうしたように反撃の隙を許さない連続攻撃を仕掛けたが大きな音を立てながら全て剣でいなされる


「ひさしー!」 優も追随し、少し迷ったかのような表情を見せるも触手を射出しギガーンの回避先へ伸ばす


「おおっと?」 ジャコンッ

ギガーンがよろけて後ろに倒れたことで流槍刃と触手が衝突した

「うっ」 「なっ」 優が少し痛がるような素振りを見せたことに気を取られてしまった


「よっ!」

「ぐわっ」 ギガーンが右腕を軸に回し蹴りを仕掛ける ガコンッ 足に着いていた鉤爪に流槍刃が弾かれた


「えいやぁ!」 ギガーンの突進、急いで防御の姿勢を取ると

ピュンピュンピュンッ

「優!」 触手が再びギガーンに向かったが構えていた剣で弾かれる、だが


「助かった…これで体勢を立て直っ」 剣を薙ぎ払った左腕を歪な曲げ方をして戻してきた

ジャクッ

「っ…」 回避こそしたものの腕の関節に深手を負った、回復には3分以上要するだろう


「ひさしっ!」優が触手を伸ばし傷口に針のようなものを刺す、するとたちまち再生されていく


「ぁ…ありがとう、優」

「どーいたしましてっ!」


優のおかげで冷静さを取り戻せた、このままではダメだ打開となりうる一撃を決めなければ…


以前戦った時は流槍刃で体を固定し確実に取りに行ったそうでなければまた腕なりで攻撃を防がれてしまうだろう


「優!」

「な、なぁに?ひさし…」

疲弊しているのは俺だけではない、無理をさせてすまないと思いつつ俺は手を伸ばした


「優、頼みがあるお前のその触手であいつをがんじがらめにしてくれタイミングは任せる、それまでは絶対に俺が守るから!」


「はぁぁ」 優は間の抜けた表情をしつつも喜んで俺の手を取った

「よし行くぞ!」 再び駆け出した


「はぁっ大魔王大剣(だいまおうたいけん)んんん」 ガキン ゴキン グインッ

一気に距離を詰めながらも流槍刃で攻撃を弾く幸いまだ輝きは消えていない


「やあっ!」 パヒューン シュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッ

優の触手がギガーンの体を捉える

「ここで一気に仕留める!」 蔓延り続け悪意、全ては平和のために今ここで正義の光を放とう…ただ一点の闇を払うための一撃


「おおおっ!?」

流槍閃光刃(りゅうそうせんこうが)ァァァァァ!」当たれっ貫け! ギュオオオオオオオォォォォ


ドフォーン

「はぁーっはぁーっ」 手応えはあった、直撃の筈だ

「優大丈夫か?」

「う、うん…」


ギシンッ

なんだっ、急に攻撃がっ新手か?

間一髪流槍刃で防ぐことが出来たが、その攻撃の主は…

「なっ!?」


「おいおい、何を驚いているんだまさかこの程度で我を倒せると思ったのか?」


「ぐっ」 甘かったか…もはや以前のやつとは力の差が歴然だった

そうしてギガーンは剣を担ぐと


「正直はよくやってくれた、大魔王ギガーンは我と彼女の愛の結晶とも言えるモノだ!それを貴様はその程度、その程度で殺れる等と…愚弄するでないわ!」 ギガーンの激しい剣幕が辺りに響き渡る


「闇属性能力:暗黒闘気…」 ギガーンの周囲に真っ黒な霧が広がっていく


は、しまった視界を奪われるっ

気づくのが若干遅れたが…

「ならこちらも、暗黒闘気!」


「むむっ貴様も扱えるというのか」

互いに展開した暗黒闘気で両者が何も見えない状態となった


「厄介だな…」 だが案ずることはない、流槍刃を伸ばせ相手の気配をいち早く察するのだ感覚を研ぎ澄ませ、こちらにできてあちらに出来な…


ゴパッ ブシュゥーー

「なにが、起こった?」 次の瞬間には身体全体を切り裂かれていた、体液がドロドロと流れ出る

「えっ?は!ひさしーまっててすぐ治してあげるかなっ」 ガキンッ 優が駆け寄って来るが


「同じ轍は踏まない…回復女!次は貴様だ」

「くっ」 ヒュンヒュンッ ジャキッ ジャキンッ


「ぐっあっ」 ギガーンの猛撃が始まる、優は触手で対抗するもやつの剣とぶつかる度に痛そうに声を荒らげる

「ふんっふんぬっ」 ジャコッ ガキン ギンギンッ

「ぐわあ、うっ…いだぁっ」

「早く立て勇者よ!まさか反撃を許したぐらいで戦いを辞める気じゃないだろうな?」


ボゴボゴ ドプッ

「ぐっうぅぅ…」腕、足の関節は完全に壊れ、もはや肉だけで繋がっている状態だ…胸と腹の傷はもはや貫通している 頼みの綱の流槍も折れ、輝きも消えかかっている

「こんな状態では…だが!諦めてたまるか」 俺は苦難の心境で必死に再生を待ち続ける


トッタッタッタッタッタッタッ

足音が聞こえる…まさか

「おーい!久〜」 堕悪達だ!江美の姿も見える


「見えましたね!」

「良かったぁ」

「いや、事はそう簡単ではないようだ…」

____________________


トットットットッタッタッタッ

「堕悪!」

「おう江美!やってくれたんだなっ」 堕悪達の周囲には動きを止め、ボロボロと崩れつつある人造人間達があった

「ふう、流石に骨が折れましたよ」

「全くですもう少し長引いていたら危なかったかもしれませんもん」 3人とも疲弊しているようだったが


「疲れているとこ悪いが、本命はこの先だ!急ぐぞっ」

「待て江美、俺の目にはお前が1番重傷に見えるんだが大丈夫か?」

「ふっ、なんのこれしき大したことはないだが…その心遣い感謝するぞ!」 そうして走り出した4人


「例の扉だ、果たして一度閉まった後も開くのだろうか?」

「悩む暇もしゃらくせえ!俺に任せてくださいよっ隼大旋風!」 キリィ ドガガガガッ

しーん…


「ん?」

「ビクともしないな」 すると江美はおもむろに刀を取り出し振るうと

ドバゴッ 音を立てて扉が崩れた

「は、はやぶさ別に落ち込むことじゃないのよ」 目が泳ぎまくっている光のフォローを受ける隼

「ああもう、せっかくの見せ場だったのにトホホ〜」


「うわぁ…」 部屋に入るなり最初に皆が見たものは跡形もなく消えた天井に広がる青空だった

「わーすごいですね〜」 皆が感心を示していると


ドフォーン


「なんだ、この音は?」

「上からですもしかして、誰かが戦闘しているのかも」

「久ぃーっ!」 真っ先に堕悪が飛び上がり、江美隼光もそれに続く

____________________

「ひとまず、久達に加勢するぞ!」

「はい!!」

待ってろ久…俺が、2人まとめて守ってやるからな!

ドグォーン ズズズズズズー


「ぐっなんなんだてめえ!?」

「おやおや、ここから先へは行かせませんよ」 堕悪の行く手を防いだのはなんと奈落神であった

「てめえ奈落神、今の今までずっと眠りこけてたってのに…今更なんのつもりだ?」

「ほっほっほ生憎と私は城門を守れと仰せつかっている身、当然のことでしょう」

「なにが城門だ!こんなとことっくに塀の外じゃねえか」


そうこうしているうちに江美はこっそりと久の方へと走り抜けようとしていた


「行かせませんよ、暗黒魔弾(あんこくまだん)!」ドドドドドドドドドンッ

「なにっ」 速すぎる、間に合わな…数多の魔弾が江美に触れようとして弾けた

「がはぁぁぁぁ」 痛いっうっ腕が!?

江美は攻撃を凌ぎきれず体がボロボロになっていた

「ぐっ…なかなかのっものだなぁ」


「どうですか?ギガーン様自ら発案されたこの力は!」 それ自体が大きな砲台となっている腕を誇らしげに見せびらかす奈落神


「どうやら倒すしかないようですね」

「堕悪さん、指示を!」

「チッ」 久が危ないってのに…ん、何故今俺は久が危ないと?

いや、なんでもいいとにかく今は目の前のこいつに集中しねえと


ピュンピュンッ ジャキーン

「無駄だ」

シュッヒューン ガスッガキンッ

「無駄だ…」

シュシュシュシュヒューン キューイッ

「無駄だ!」 ガシッ

「なっ!あががががあがぁぇっ」 ギガーンは優の触手を掴むと勢いよく引っ張った、優は引き寄せられ雲に隠れていた硬い地面に強く打ち付けられた


「優ーーーー!」 くっ、再生はまだか…あと少しせめて腕だけでも治ればっ

「ふんっ」

「かはっ…」 ギガーンは優に馬乗りとなって大剣を構える

「トドメだ!」 振り下ろされようとする剣


「ぐああああああああ!」 集中しろ!腕だけに再生を集中させて、手を伸ばせえええええええ!


ジジッディキィーーーーーードガァンッ


「ほおう、なんとも素晴らしい光ですね」

「よそ見すんな!俺はこっちだ」


「ふん、間一髪と言ったところか」

俺はギガーンの手から優を取り上げ少し先で背を向けて佇んでいた


「…」 優は動かなかった、もちろん気絶しているだけの可能性もあるが…今の俺には都合が良かった


ギシュウーーーーーーーー


光り輝く5本の流槍刃、俺は怒りに満ちていた

ドバッ

「はっ!ぐぬぅ…」 ガキ ゴキ グキ ゲキ ゴキ ガキ ガキンッ

「ぐぶっ…ハッハッハ…やるではないかぁ」 敵に隙を与えない?許さないなんてことは頭にはなかった、ただただ攻撃をやめたくなかった、ひたすら怒りをぶつけ続けたいそれだけだった


カセイ国をみんなを優を優をゆう?ゆみ?

「由美!」 由美由美由美由美由美由美由美由美由美、怒りを保っているうちに洗いざらい発散しようとした…その身が灰になるまでと。

____________________


「もう、久ったらほんっと親父さんとそっくりなんだから」

____________________


「これは…」 知らない記憶だ…それを聞いてつい我に返ってしまった

気がつけばギガーンの四肢は断裂、もはや勝負は着いたと思えたが


「クックッくふっ…久々にいいものを見せてもらった、しかし神は我に味方したようだな!」

ふと周囲を見渡すと1人の女が立っていた、そして空へと手を掲げると

ゴオオオオオオオオ

辺りから闇の瘴気が集まってくる

「なっ…まさか!」


「我は大魔王ごときで満足する器ではない」 それに同調するように女が笑みを浮かべる

「超魔王、いやギガ魔王として全世界に名を轟かせようぞ!」

ドシュェーーーーー

瘴気がギガーンの体を覆う!

「さあ!第2形態だ!」


ギイン ガイン カギン ギィン ギィン ジャジャココ

(おかしい、流槍刃は5本に増え輝きも戻っているというのに…さっきからずっと防戦一方だ

剣を振るう速度が早すぎて手数が追いついていない)

「ほうれ!ギガ魔王剣撃!」

「くっ」 言っていることはハチャメチャだが放たれる技はとても強力だ…しかしこちらも伊達に刃が増えた訳では無い


「はあっ!」 流槍刃を剣に引っ掛ける、優程リーチもしなやかさもないがこれくらいはできる!

「連続やい…」 バキッ (なっ剣が2つに!?)

「くっ」 ジャコーンッ (開きざまの攻撃は凌いだがただでさえ足りていない手数差を広げられたのは厄介極まりない)


「ハッハッハッハァ、ギガ魔王奥義!」 (まずい、でかいのが来る!直ぐに攻撃範囲外に退避しなけれ…ば?)


「久ぃぃぃぃぃっ」 ほんの一瞬、視界に堕悪が写った、それは明らかに歪でとても形容しがたい姿だったために俺は…思考が止まった


超波撃(ちょうはげき)!」 ドドドドブワアアアアアア


「おいおいおいおい!」 なんだ?

「どういうことだよっ超波撃は簡単に避けられる超広範囲攻撃で乱発するはずだったのに…なに直撃食らってくれてるかねえ」 どうやら少々気絶していたようだこの損傷具合、核にひびが入ったと見るべきだろう


「おい!起きてんのか死んでんのかどっちだ?ったく…おい奈落神!」

「なんでしょうか?ギガーン様」

「お前が堕悪を殺したせいで、こいつ頭イカれちまったじゃねえか…どうすんだよ」


「はぁ、しかしこの男この程度で死ぬとは毛頭思ってはいませんが?」

「はぁーもういいとにかく、今からは死なないように相手することをもっと重要視しろ!」


「分かりましたしかし、もはや残った者はガキが2人…ハンデありとはいえ死なずにいられるとは思いませんが」


「ふっ、い、言わせてっおけば…堕悪さん達を殺し、たぐらいッで…」

「う、うぅ…」

「おぅい、泣くな…よ光ぃこういう時こそ、心を強…くもって、だぬぁ〜」


俺は、恐る恐る目を開けた

右腕と両脚を削がれた江美が倒れている…人族の回復力では再生に数日はかかるだろう


隼と光が戦っている…いや、あれはもはや自暴自棄と言った方が良さそうだな


堕悪の、死体…恐らく核はまだ生きているしかし損壊度が酷く再生出来ずにいるのだろう


優…は


俺の後ろに立っていた


「んんん?おお!回復女生きていたのか」

「ギガーン様…」 奈落神が優に銃口を向けるが

「待て、なにもしなくて良いここからどうするか見物だろう?」 とギガーンが制する


「優…俺が」

「何も言わなくていい」

「ゆ…う?」 背筋が凍った、確かに優の姿をしているがそこにいる者は優とは到底思えないオーラを出していた

「ごめんなさい、私が甘かったわ」 雄は話し出した

「自分の身さえ絶望に打ちのめされて苦しみを背負っていれば…まだずっと、笑っていられると思ってたけど違ったわ」 そして上を向くと


「現実も常々残酷なものなのよ…だから、どっちかだけに蓋をしても無意味なら両方幸せにすることを望むわ!」


「ふん、決意は済んだか?ならば終わりとしようか!」 ギガーンが攻撃体勢に入る


「この状態も、もって数分ってところか…なら今のうちに共通点を作っておかないとね」 そう言って彼女は俺に近づくと


龍槍刃(りゅうそうやいば)展開!」そうして銀色に輝く数多もの触手と、青く光る龍のごとく鮮烈な出で立ちの刃が背中から伸びる


「伝永久、あなたのことは好きじゃないけど

今はとりあえず助けてあげるわ!」

そう言うと青い龍槍刃は俺の核を貫いた


コァオォォォォォ

力がみなぎる、体がたちまち再生しエネルギーが満ち溢れる

「おおお!すごいすごいぞその覇気、ギガ魔王となった我の相手として不足なし存分にかかってこい」


「さあ行くよ!」

「ああ!」

シューーーイッ キュイ キュイ キュイ キュイ キュイ キュイ キュイ キュイ

「おおお!速い速いぞ」 ガキン ゴキンッ

ああ綺麗だ…まるで星々に包まれるような


ザクッ ズシャア バシュッ バシュッ

「まあ少し、トゲが多すぎるがな…」

これで…決める!

「連続ぅぅぅぅぅ刃ぁぁぁぁぁぁぁ!」

ギガーンに纏わる闇を討ち払い、核を射抜いた


倒れるギガーン、仮面が割れガタイのいい赤髪の男の顔が露となる

シュゥーーー 熱を発しつつ触手達が優の身体へと戻っていく、それと同時に彼女の声も聞こえなくなっていったが…

龍槍刃だけは俺の背に絶えず生え続けていた

「まだ、やるべきことは残っている…」

俺はギガーンに近づく、確実に核を破壊するために


「ギ、ギガーン様ァ!」 奈落神は駆け寄ろうとするも命令のせいである程度進んだところから動けずにいた

「ま、待ってえええええ!」

そこへ先程の女が現れるやいなや


「もういいでしょ?もう!もう十分やったわよ!私達は降伏する!だから命だけは」


「正、直…」 ギガーンが小さな声で反応する

「疑柿さん、ごめんなさいでも私貴方を失いたくない!ここまでやっておいて今更とは思うけど話せば分かるはずよ」 話を聞いているだけで虫唾が走る…俺は


「何を言うか!邪族戦争は貴様らが引き金だろう、最も国内だけの問題なら情状酌量の余地もあっただが貴様らは俺の家族を手に掛けた!何度も平穏を脅かしたのだ、もはや生かしておく意味など…」 失い、失い、失った、これ以上失いたくないと…つい心がそうさせてしまう


「それは違う」

「なっ…堕悪!?」 何故だ、とても頭が追いつかないだって皆

「そうだぞ久」 江美までどうして…2人の視線の先には

「優…お前が生き返らせたのか?」 今度のは紛れもなく優だった、光とハヤブサを抱え立っている


「ひさし…その人達、殺すの?わたし達ちゃんと生きてるよ?」 優の言葉を聞いて考える、考えるが…だが心残りは消えなかった


「うぐががぁ、違う違うんだ…お前達だけじゃない俺はもっと大切なものを失ったんだ、その原因がこいつらにあることは明確な…」

パチンッ 優は俺の頬を叩いた

「ならいえばいいじゃん!ひさし、言ってさえくれれば解決できなくても痛みを分かち合える…そのための家族じゃないの?」優の言葉を聞いて俺は…全てを打ち明けることにした


「ユウトピアの騒動で、俺は記憶が消える以前の恋人だった由美を失った…肉体は消滅、残ったのは壊れた核と服の繊維だけだった」

「だから、俺はどうしても邪族を許せないんだ」


「ユウ…トピア?」 急に堕悪の表情が暗くなった

「そ、それは俺…がい、一帯を消し飛ばしたのは…」

「だあく…?」

「いや、気に病まなくていいお前だって利用された身だろそれぐらいは俺もわかっているつもりだ」

「そ、そうか…そうだなそう」 優は頭を抱えている堕悪を優しく撫でた


「か、核の再生なら私ができるかもしれないわ!」 急に正直がそう言うと

「そ、そうだぞ久!私の姉は…」

「姉?」

「あ、ああそうだ言い忘れていたがここにいる私の姉、夜暗正直は天才なんだ!そこに転がっているギガーンを復活させたのもこの人なんだ」 江美も同調している

「確か…にな」 小さな声で頷くギガーン


「い、いやだがしかし…」

「どう?ひさし、話してみてよかった?よくなかった?」 動揺している久を試す優


「決して許すことはできないが…殺すというのは言い過ぎだった気はする」

「じゃあもう大丈夫ね?」

「ん?あ、ああうん…」 上手く乗せられた気もするがとりあえず今日とのころは引き上げて一旦考える時間を作ることにする


「ギガーン!」

「なん…だ?」

「カセイ国国守官としてひとまず我々は一時停戦としておく、用があればこちらから出向く決して天空樹近辺から離れないように」


「あぁ感謝…する」

「ありがとうございます、部下達にはしっかりとご説明させていただきます」 ギガーンと正直は何度も感謝してきた


こうして邪族戦争は表向きには停戦状態のまま集結、各地に散らばっていた邪族達も全て天空樹領内へ帰還し俺達も元の生活に戻ろうとしていた


俺はこの期に乗じて国守官として属性差別解消の取り組みを積極的に推進していく傍ら、記憶の手がかりを追っていた…ああは言ったが結局魔王城には1度も行けていない


江美は姉妹水入らずで話すべく、度々出向いていたが今はもっぱら道場で研鑽を積む日々


隼と光は…まあ2人でよく出かけている

我が家の愛くるしい子達だ


そしてもう1人大きい子だった優は、あの日から少し頼もしくなった気がする


そして堕悪は…俺に後ろめたさを感じるようになってしまったが、無理に隠そうとしていて少し心苦しい


だけども俺達はたわいもない幸せをやっと取り戻したのだと…この時はまだそう思えた

永伝第2章 ご読了ありがとうございました

第3章の投稿には暫しお待ちいただくと思います

投稿したい気持ちを抑えてできるだけ一括で投稿できるよう努力致します

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