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永伝(エデン)   作者: ちがタニ
永伝(エデン) 第2章 邪族戦争後期編
19/36

7.堕悪逮捕!

前回のあらすじ

抱え込む重荷に耐え兼ねていた夜白の心を解き明かした魔王は、自らの恩に報いるため夜白に名を明かした。そして堕悪達は久に新たな拠り所を気づかせることで打ち解け

邪君を貶めた銅羅夜寄伯爵を打倒するのだった


俺の名前は堕悪、ある時は魔王軍で働く人造人間だったが…相まみえた男に連れ添ううちに身も心も染まってしまった男だ

今は仲間…いや家族である奴らから買い物を頼まれてカセイ国の繁華街まで来ているのだが


「えーと…玉ねぎとじゃがいもにあとは」 カセイ人には栄養は必要ないのだが娯楽として食を取ることはあまり珍しくない


「あとあと、あーあれ!カレ〜」

「ちょっとよろしいですか?」 急に声をかけられ振り向くと

「あっお前!その顔は…」 ガチャン

「えっ?」 買い物袋を掴んだ腕を見ると手錠を掛けられていて

「え?」 そのまま車に乗らせられ

「えええ?」 移送され…

「えええええ?」 収監されてしまった


「ひっ久ぃぃぃぃぃ!」


〜カセイ・国守官管理所〜


「まさか江美に料理の才があるとはな」

「才という程でもないが、長らく放浪していただけはあるからなっ」 久の言葉に反応する江美

「本当に尊敬します、あのサラダも江美さんが作られたんですよね?」

「ちぇっ私も隼に作ってあげたいのに」 光はだいぶ体には慣れたが、まだ繊細な作業は苦手としていた


「なら今は己を磨いておくことだ、慣れたら私がちゃんと教えてやろう」 と江美が光に告げた

「江美さん」 パアア

「それにしても遅いな、やはり堕悪殿に任せたのは間違いだったか?」 もう2時間以上帰ってこない、徒歩にしてもあまりにも遅すぎる堕悪を皆見かねていた


「確かにな、なら堕悪に持たせた携帯に電話してみる」 と言って電話を手に取ろうとすると

プルルルルルル 向こうから電話がかかってきた


「もしもし、堕悪今どこに…」

「こんにちは、こちら危険生物収容所(ドグマセンター)・カセイ支部総合案内です」淡々とした声でそう告げられた、不審に思った久は


「聞いたことがないな、堕悪はどうした?どうしてお前がその電話を使っている」 するとしばらく待つように言われ待っていると…


「おまたせ致しました、この電話の主は罪を犯して拘留中となっております。現在は取り調べ中との…」堕悪が捕まったという事に驚いたが同時に無事を確認できて安堵する


「なら面会を求めたい、俺はその家族だ」

「畏まりました、では場所の詳細をお送りしてお待ちしております」 そうして電話は切れた


「との事だ、堕悪を連れ戻しに行ってくる」

そう言うと

「待ってくださいよ久さん、早速1人で出かけるおつもりですか?」 と隼に呼び止められた

「そうですよ、昨日あんなことまでして…まだ分からないんですか!?」 頷いて付け足す光


「そうだが、この家をあまり空けておきたくない…」 そう説明してみせると

「そういうことなら、私に任せて行けばいい」

「江美お前…」

「あいつと一緒に確実に食材を買ってくるんだぞ!」 その言葉に皆が感謝の視線を送った


「ひさしー!」

「ん優、お前も行きたいのか?」

「だあく、遅い!早く会いたーい」 そうせがむ優に俺は困惑したが江美が気を利かせてくれたので

「わかった、なら3人とも早く行くぞ!」

「はい!!!」


「着いたな」 俺達は危険生物収容所に着いた

車で数十分、カセイ国の東側に位置するそこは綺麗な外観とは裏腹に化異人や凶悪犯を収容する目的で建てられたらしい


中に入ると俺達を出迎えるかのように1人の男が現れた

「ようこそ伝永久様、私はここドグマセンターの所長、鈴木(すずき)と申します以後お見知り置きを」見かけは俺より年上で20代半ばだろうか…だがその男は、周囲のそれとは違う黒く染まった白衣を着ていた、差別化にしてもあまりにも異質すぎる


「何故俺の名を知っている?」 そう言うと皆がざわつき目の前の男を警戒するが

「いやいや何を仰いますか、カセイ国守官でしょう?貴方様は有名人なんですよ」

「そうなのか」

ズコー

「もう久さん!警戒して損しましたよ」 と隼を筆頭に周りがズッコケるが俺は


「分かっているなら話が早い、早速だが俺は拘留中の男を解放してもらうためにここへ来た」

国守官としての権限を行使しようとしたが


「へぇそれは面白いですね…」 一瞬鈴木の顔色が変わったが気に止めようとしなかった


「おっとすみません、残念ですが私達は本国からここの管理を任されている身で貴方の命令は聞けないのです」 ドグマセンターは本国に本部を持つ、制御権はあちらにあるということか


「まあでもせっかく来られた訳ですし、面会の件は承諾致しましょうどうぞこちらへ」 だが幸運にもそう言われ着いて行くことになった

「ああ、すみませんが同伴者の方はここでお待ちを」

「えっ」 隼と光は奥に連れて行けないようだ

「悪い、少し待っててくれ大丈夫だ心配するな」 そう言って俺は3人と別れた


「てめえさっさと白状しろ!ネタは上がってるんだ」ガラス張りの部屋から怒号が聞こえるすると鈴木が中に入り

黒田(くろだ)!誘導尋問はそれくらいにしておけ」と怒鳴っていた声の主を押さえつける、おもむろに目をやると

「堕悪!」 向こうもこっちに気づいたようで半泣きの顔でSOSを知らせてくる堕悪


「ほんっとお前は、少しは抑えようとなぁ」

そう言って鈴木に鎮られた男、黒田というらしい歳は所長とほとんど変わらないだろうが青臭さが抜けないことを感じていると


「紹介しよう彼は私の助手の黒田、今回実際に被疑者を見つけ連行した張本人だ」 この男が堕悪を

「それで、いったいなんの理由なんだ?」

「オイオイ、理由も知らずに来たのかよ国守官サマ」 挑発するような態度の黒田を隅に追いやると鈴木が口を開いた


「実は彼、現在政府国で指名手配中でして」

「!?」 どういうことだ、いつの間にそんなことを

「彼は政府国にて複数の女性に接触していた、そして1人の女性が通報し現行犯というところで逃走、理由としては最もでしょう」 それを聞いて俺は1つの疑問を感じた

「ちょっと待て、それなら罪状はなんだ?」


「迷惑防止条例違反といった所でしょうかね」そう言う鈴木に追及するも

「それなら…」

「確かにそこまで重い罪ではないのも事実、本来であれば注意程度に留まるものですが…」 鈴木は間をおくと


「彼は闇属性だ」 と告げ

「闇属性は邪属性という名のバケモノに変化する恐れがある、そんな奴が民間人に近づこうものなら迷惑所の話ではないんですよ」 と続けた

「おい、それはつまり属性差別じゃないか!」 珍しく感情が高揚する、頭にふつふつと浮かぶ彼女の記憶がそうさせているのだろうか

「生憎ですが私達は本国の人間です、そちらの基準に左右される筋合いはありませんよ」

本国の差別主義に気圧されていると


「ですがまあ、他でもない国守官様の頼み1度くらいならお答えしてもいいでしょう」

「本当か?」またとないチャンスに目の色を変えると

「ただし条件があります、伝永様が今までに戦った敵の詳細を教えて欲しいのです」 意図が分からず困惑していると


「ここは収容所でもありつつ研究所でもあるのです、収容している人間及び化異物のデータから対策を考えるのも国の安全のためなので」

「分かった、そういうことなら協力しよう」

思想や文化は違えど通づるところもあるものだと感心していると


「ではこちらへ、彼のことは話の後で処理致しますので」そう言って案内されるが

「その前に、長くなるなら連れと話したいんだが」 と言うと

「ああ、あの方達にはこちらからもう既に伝えてありますので」 そう言われ少し疑いつつも着いていくと


「と、ここですお入りください」 そうして中に入ると




「ううう…」 全身が痛いここはどこだ?暗くて何も見えない、俺は確かに部屋に入り椅子に腰掛け鈴木と対面で話をしようとしていた…

そこまでは覚えている

「一体なにが…」 パッ すると突然、明かりが付き部屋の全貌が見えてきた


「なんだ、ここは」 そこは俺が入った部屋ではなかった…部屋全体が真っ白でうち三面が黒塗りのガラス張りになっている、さらに俺は衣服を何も身につけていなかった

すると…


「お目覚めですか?伝永様」 もう一面の透明ガラスの向こう側から鈴木が覗いていた

「これはなんの真似だ?」 と問うとすぐに回答が飛んできたが予想外のものだった


「伝永様、カセイ人って実は知られざる特性があるんですよ。なにか分かりますか?」 その言葉で状況が少し分からなくなった

「いったい何を言っ…」

「そうです"弱点"です!光と闇の核が互いの瘴気で影響を及ぼすなんてのとは、全く違う異次元のものです!」


「伝永様、あなた気絶してたんですよ私が渡した睡眠薬入りドリンクで」 それを聞いて思い出した(あの時…飲み込んで一瞬のうちにか!)

「耐性がなくて助かりましたが、そこから気づいたんです。あなたの弱点に!」 そして鈴木が指を弾く、すると次の瞬間


「ぐっ」 周囲から散布された液体を浴びた俺はたちまち体が溶けだす

「あなたの弱点は 薬品 それもありとあらゆる効果が効きすぎるという」(再生ができない…いや、正確にはかなり遅くなっているだけのようだが…鈴木が言っていたことは間違っていないのか?)


「はっはっはぁ!この部屋は弱点スキャナー!入った瞬間全自動で弱点が分かるんですよ」 鈴木は本性を表したかのように態度が急変した


「ここに入ったが最後!さあとっとと白状したまえバケモノよ」

「何を言っている?」 鈴木は本当にどうかしていると思ったのもつかの間


「伝永久、俺はお前をずっと見ていた…あの伝雄司の息子でありながら得体の知れない何かを隠し持っている気がした、そして帰ってきたお前を見て確信に変わった」(…こいつも過去の俺を知っているというのか? )


「国守官急襲、政府国同盟、天空樹作戦、いくら軍が隠蔽しようと噂はあるもの、お前の背にはバケモノがいると…うっすらだが証拠もある」鈴木の手には俺の写真、ぼやけてはいるが間違いなく流槍刃が写っている


「さあ吐け、お前を今の立場から引きずり下ろしてやる…カセイ族とて亜人種、異形を宿しているとなれば本国も黙っちゃいないだろうからな」


「目的はそれか…!」(今国守官を辞めることになれば堕悪達の安全は愚か地下室の由美や下倉殺害まで全てバレかねない…間違いなく言うまでもないだろう)


「ふん、だんまりか?まあそんなことだろうとは思っていたがな」 鈴木が再び指を弾くと天井からモニターが生えてくる、そこに映っていたものは


(…あいつら!?)

「えっなにここ!?あちょなんで服は…隼ー!」

「はやぶさぁ、ひーかりー!どこぉ」

「くっ隼大旋…」 そう言おうとして倒れる隼

「ぐあああああああ痛い!痛いぃぃ」 床に這いつくばって叫んでいる


「面倒なことはしてくれるなガキ…さて他お2人わっと」 鈴木の操作で他の部屋にもなにかがばら撒かれる

「ふむ、風のガキは電気か…珍しくもなんともないな、光属性の方はなるほど高湿度で衰弱ねえ。おっ青い髪の女は水かこりゃレアだな純度が高いほど効果が大きいのか…」 水を浴び皮膚が焼けただれている優を見て、鈴木は楽しんでいるようだ

「うあーーーーん、痛いよぉ痛いよぉぉ」


「こんなことをして…あいつらは関係ないんだぞ…」そう言うが

「ふん、お前が吐きさえすればそれを目の当たりにしておきながら黙っていた者達として釣れるだろう?」 頭がおかしい、そう思った俺は選択を迫られる。


(一瞬で流槍刃を射出しガラスごと鈴木を刺せば…いや強度が分からない以上それは博打だ)

そうこうしていると鈴木が口を開いた


「ひとつ言い忘れていたが、弱点というのは人それぞれで死に至るほどではない場合が多い…だがお前は違う、致死性の薬品など大量に存在するんだいつでも殺せることを忘れるなよ」

それに焦った俺は流槍刃を出そうとした


ドガラガシャーンッ

急に天井が崩落、鈴木は押し潰されそうになりつつも避けたが

ジジッバンッ

「あああぁぁ…部屋が!機械が!黒田ぁぁぁ!」

見上げると巨大な1つ目のバケモノが壁ごと屋根を突き破り吹き抜けになっていた、俺は割れたガラスの隙間から外に出ると

「おお久じゃねえか、良かった安心したぜ」 堕悪が上の階から現れた

「あいつが急にああなって本当に驚いたぜ」

____________________


「なあ、あんた」

「はぁ?なんだよ犯罪者」

「ぐっ…その呼び方はまあいいとして、あんたもさっきのやつも」

「鈴木さんをやつ呼ばわりするんじゃねえ殺すぞてめえ!」 急に逆上し出す黒田


「ああわかったすまんすまん、でその鈴木さんとだな…髪色、雰囲気的にあんたらも闇属性なんだろ?」

「何が言いたい?」


「いや、服装等で差別化しているならあんたらも非難の対象じゃないかと思ってな…本国所属にその首のチョーカー、もしかし」 言い切るより先に黒田が乗り出し胸ぐらを掴まれる


「てめえ!犯罪者風情がっ」

「ぐっだあっ!」 堕悪は止むを得ず、黒い手で抵抗しようとしたが


「ちっ 覚醒 」 コァオォォォォォ

____________________

「そうして突如やつの胸が光り出して今に至るというわけだ」 俺は現状を把握し堕悪に事情を説明した


「ぎにぃぃぃ、黒田!この責任は後ほどきっちり取らせあっ」 堕悪が荒ぶる鈴木を黒い手で掴み上げた

「おい!てめえ俺達の家族を今すぐ解放しやがれ!さもなくばわかっているよな?」堕悪はそう言って黒い手を大きくして見せたが


「知るか!そんなこと後にしろそんなことより私の弱点スキャナーが!」聞く耳を持たない鈴木を堕悪は黒い手で殴った

ドン ドガッ べチッ バシャッ ドチャッ とにかく殴った、すると流石に状況を理解したのか


「ぐっわかった…わかったから落ち着いて話を

どわっ」そして、鈴木は床に投げつけられた


「ゲホッゲホ、3人は…ガラスの向こう側だ」

その言葉を聞き堕悪がガラスを叩き割ると

3人の顔があった


「大丈夫か?」 優は堕悪を見るや否や駆け寄ってきて抱きついたが、光は倒れたまま、ハヤブサは動けないようだった

堕悪は鈴木から上着を剥ぎ取り俺達に手渡した、そして3人を抱えその場を去ろうとしたが


「待て」 鈴木に呼び止められると

「まだ指名手配の処理も釈放の処理も済んでいないぞ?」

「何を言う、ここまでしておいてまだ何かを望むつもりか?」 俺は反論するが


「ふっ、これは私とは関係のない元々の決まりだ。さっきのことはまるっきり嘘の条件、帰すにはちゃんとした手順を踏む必要があるんだよ…」


「きっそんなこと、お前の所業を報告すれば…」言い切る前に堕悪に塞がれ

「もういい久、きっと報告してこいつがどうなろうと俺の現状は変わらないはずだ」 そう言って宥められ、俺は下がった


「いいだろう鈴木、お前の言う手順とやらには従うしし報告もしない、ただし…お前達のこと洗いざらい教えてもらう!それが飲めないならここで死ぬんだな」 そう言い放つと堕悪は抱えていた2人を置き黒い手を構えた


それを聞いた鈴木は、しばらく俯いたあと堕悪の目を見てただ一言だけ

「わかった」 と告げた

次回予告

ドグマセンターの所長、鈴木は久達に真の素性を打ち明け信用を得た上で堕悪に協力を要求した…

政府国に潜む、世界を揺るがす悪意が今日暴かれる

次回 第2章 8.堕悪の1日警察

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