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永伝(エデン)   作者: ちがタニ
永伝(エデン) 第2章 邪族戦争後期編
17/36

5.破られた休息

前回のあらすじ

カセイ国軍の軍師、三等にこれまでの行動を追及された久だったが一つ一つに真っ当な言い分で返した上で軍との関係解消を宣言し難を逃れた、一方で魔王軍は歴戦の英雄ゴルゴンゾラを呼び寄せ久達に再度の勝負を挑もうとしていた…


「ほう!あれが国守官管理所か?バカでかいのう」 マオと提督はもう目と鼻の先まで来ていた

「つかぬ事をお聞きするが、提督は何故その巨漢で飛行ができるんです?」 とマオが聞くと


「ふふんっ、跳躍を極めればこのようなことも容易いのだ、貴様には不要であろうがな」 マオら人造人間達は属性とは別に闇の瘴気を持っている、心を持たぬうちはそれを無尽蔵にエネルギーへと変換できるのだ。


「と、談義している間に着きましたなここからはどう致します?」

「貴様は(正面から)派手にいけ、ワシは(裏から)コソコソと行こう」 ゴルゴンゾラ第1提督は言葉を足し忘れる癖があった

「了解です!」


「ふぅ難を逃れたあとの休息は格別だなあ」

「うわーいっぱい部屋がありますよ!」 光が目を輝かせていると


「マンションを改築したようなものだからな、1階はエントランスホール、2階は共用のキッチンにランドリーと洗面所、3階以上は全て居住スペース、キッチンバストイレ付き、また地下には大浴場もあるようだ」 俺は管理所内1階のミーティングルームで説明を済ませていた


「マジ?豪勢だなあ」 流石の俺もここまで良い設備とは予想外だった

「それで久さん、部屋決めのことですが」 隼で思い出した

「そうだ、各々の意見は尊重するが…できる限り皆近くの部屋で生活してほしい」

「万が一に備えてだな」 と江美が付け足す

「ああ、で部屋決めだが…ん?優がいないな」


「本当ですね、こういう時はいつも だーあーくー一緒がいい〜 って言ってるのに」と光が真似して見せた

「ははっ似てるw」

「ああ、優ちゃんなら1階のボールプールに」

「キッズルームか、なら堕悪と離れるのも納得だn…」


ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ

「なっなんだい、この揺れは…」

「まさか…」 (想定はしていた、だがこんなにも早くその時が来ようとは…)


ドゥーン グーン ドガーン!

「この!背信者どもがぁぁぁ」マオが2階のフロアごと壁をぶち破り入ってきた!


「私が行く、はぁっ!」 江美が刀を振るうが

「はっ」 ズガガガガガガッ なぎ払われ勢いそのままに2階の壁を貫通し見えなくなった

「ぐっ、がぁぁぁぁ!」 堕悪が組み付き、そのまま2人は外へ出た


「はっ、堕悪さん!」 慌ててハヤブサと光も追いかける

「しまった…」 俺は1人にした優の身を案じた。

この急襲、1人とは限らないと


「おっ、てキッズルームとはなんとも平凡な場所へ来てしまったもんどあっ」 バッガラガラ

提督は壁をぶち破り隣の部屋の壁に打ち付けられた

「シャアアアア」 目の前には瞳を爛々と赤く光らせ唸る少女がいた


「ふっ、どうやら怒らせちゃったみたいだな悪かったよっと」 提督の素早い剣撃…を少女の背から伸びた幾多もの触手が弾く

「みんなのとこ、行かせない!」触手が鋭利に変形し、優が攻撃姿勢に移るも

ドガァーンッ 遠くで爆音が聞こえた


「はふぁっ」 優が振り向こうとするも バシュッ

眼前を短剣が通ると背後の壁に刺さった

「はっはっはっ向こうも本気らしい、ならワシも全力で行くとしよう!」

「ぐっ、ガァーーー!」 優の叫びが、戦いの火蓋となって切られた


バッ バッ ガッ ギィーーン

黒い手の爪とマオの腕が重なり合い激しい音を立てる

「なっ腕が…刃物に!?」 堕悪は飛行できるわけではない、だがマオが近距離を得意としていたことがある種の不幸中の幸いだろう


バッ!シュンッ マオのもう片腕が堕悪を狙う

「堕悪さん!風属性能力:風刃(ふうじん)」隼の攻撃を避け、下がるマオ


「助かった隼…」 隼と光が合流し一時態勢を整えた堕悪だが、それは相手もまた同じこと

「堕悪にハヤブサァ!自らの主を蔑ろにした挙句、敵に寝返るとはこの恥知らずどもが!こんなものでは…終わらせん」 マオが飛び上がる

「させるか!風属性能力:隼大旋風!」 切り裂く風がマオを狙うも

ズシェッ マオの瘴気が生成した刃にかき乱され


「あまり甘く見るな…水・闇属性能力:悪意の波。」 マオの周囲から大量の闇瘴気が産み出され荒波のごとく堕悪らに襲いかかる


「おああ」 堕悪が黒い手を広げ波を抑えようとする

「甘い!」 しかし波に紛れて放っていたマオの刃が突き刺さり

「ぐっ」 体勢を崩し皆波に呑まれていった


一方こちらは優の状況

シュッ バッ フッ ブーン キンッ

キン ゴン ジャキンッ ガガガガ ゴーン!

「くっ」 優の放つ多彩な触手を華麗に捌く提督


「ぎっ、やぁ!」 ここで姿勢を低くした優、触手で跳び素早く突撃をかけるも

「とぅっ!ははぁw」 狙っていたかのように跳び優の目の前に来る提督、なぎ払われる大剣


ドシャッウォン ドンッ ガタン

全ての触手を用いてガードしたものの威力を殺しきれず、優は壁をぶち破って隣の部屋の壁に打ち付けられた

「ふははは!いくら鋭く数を持とうとも、か弱い女子(おなご)の力では随分と脆く儚いものだな…」 提督が歩み寄ってくる

「はやく、立た…なきゃぁっ」


優はこの時、記憶が戻っていた

普段の彼女が悪夢に支配される前の無邪気な心なら、今の彼女は悪夢を生きながらえてきた強い心だろう

「私はぁ…」 (あの檻から出てこの世に第2の生を受けた私は、あの悪夢に身を委ねることでまだ笑顔を忘れずにいた自分に幸せを託そうとした)


「だから!」 (幸せな私の居場所を、みんなを傷つけるやつは…)

「絶対に、許さないのーーー!」


壁を飛び出し、全力で走る優

「はっ!まだやる気か嬢ちゃん?」 提督が狙いを付けるが

「ん?んん?」

「はやく、もっと速く!」 提督の周囲を回る回る回るっ全力で回り続け

「とりゃあ!」 直進!

「うぬ!?ぁぁ古い手よ、小賢しい小娘がぁぁぁ」 急な接近に狙いが遅れたかと思いきや


「一刀両断っ邪光斬(じゃこうざん)!」 腕を曲げ視覚と反対側の大剣を気にすることなく前振り!

ドァァァン ギーンッ

両者の攻撃は交わることはなく…

「かはっ…」 優だけが倒れた

肩先から腕を落とされ、決着は一撃であった

「ふっははっ、さて助力に行かねば…?」 するとよろめく提督


「なんだ、このおっ?」 ふと脇腹に目をやると優の触手の1つが刺さっていた

「これは…毒、いや麻酔?くっ最後まで小癪…な。」 そうして提督もその場に横たわった


ザアア (…どうやら正面入口辺りまで流されたようだ)

「お前ら、大丈夫か?」 堕悪がゆっくりと起き上がる

「な、なんとか」 頷く隼と光

まだ周囲に瘴気が充満しているおかげで

マオはこちらに気づいていないらしい


「堕悪さん…」

「ハハッどうやら相手さんのエネルギー総量はとてつもなく多いらしい、しかもそれを利用しての防御と攻撃をこなしてる。」

すると隼が口を開き

「堕悪さん思い出したんですが…あいつはマオ!俺達を生んだ張本人、夜白正直の命に従っているうちは闇属性のエネルギーを無尽蔵に供給してもらえるんです」


「っw無尽蔵か、なら供給を断つしかないな?方法は」

「俺みたく改心させるしか、でも元々忠誠心の低かった俺のように行くかどうか」 隼は俯きながら答えた


「そうか、じゃあ正攻法で行くしかないな…相手の属性は水と闇 対してこっちは風と闇、ったく光属性でもいれば楽なんだがなぁ」 そう愚痴をこぼす堕悪だったが

「えーと、私光属性ですよ?」 光がそう答えると

「は? えおい、マジか光!堕悪さんこれで…」 隼がはしゃいだ瞬間、瘴気が晴れそこにはマオが…


「悪意の波!」

「きっ…」 堕悪が腕を広げて全力でガードした

衝撃波と共に今度は漂うことなく消えていく瘴気、そして傷だらけの堕悪がそこにはいた


「堕悪さん!」 叫ぶ2人だったが…


「ぺっ、あんまり俺を見くびるんじゃねえ!」

堕悪はそう吐き捨てると

「光、時間が無いようだから手短に説明する、まずっ」 再び始まるマオの攻撃、今度は降り注ぐ刃の雨を堕悪は黒い腕で払い落としながら話し出す


「まず新しい体で慣れないだろうが絞れるだけの力を絞って最大限の技を引き出せぅ」 ドシュ ドシュ ドシュ ドシュ 雨のパターンが変わり堕悪に刃が突き刺さる


「そして、俺がマオを抑える!一時的だが確実だにだぁっ」 挙動を変える刃の雨


「そして光が確実に叩き込んだ後でっ隼!トドメを刺すんだ聞こえたなぎっ」 寸前で形を変え強引に肉に食い込む刃


「とっとにかく時間は俺が稼ぐ…焦らずに確実を目指せよ!」 そういうと堕悪は果敢にかかりに行った


「はぁ…はぁ…落ち着いてゆっくり」 パァァ シュン 光の手が一瞬光ったかと思うと元に戻った

「あ、あれっどどうしよこんなはずじゃ…」 焦る光は何度も同じようなことを繰り返した


「どうして!どうして上手くいかな…いの?」 感情的になる光に隼が手を重ねる

「落ち着いて光、なにも既存の技を出そうと拘らなくてもいいんだ、光輝の弾にしても光属性の基礎にしても…今出せる最高を目指すんだ」 その言葉に落ち着きを取り戻した光は

「わかった、やってみる!ありがとう隼」 と微笑んでみせると


パアア!光の手が強く光だし2人の身に纏うように広がっていくと、まるで風の刃のように滑らかで鋭い光へと象られていく…2人は覚悟を決めると


「堕悪さん!」

「よしゃあ、闇属性能力:邪力解放さっきのお返しだ!」マオに迫っていた黒い腕が大きくなり全身を掴みかかる

「ながっ…ぐああああ」 叫びながらもがくマオに


「くらえ!風・光属性能力:隼大聖風(はやぶさだいせいふう)」 いく千もの光り輝く風達がマオの全身に襲いかかり、たちまち瘴気を払ってゆく

「ぎっ闇属性能力:邪力解放…」 ズゼェーン

苦し紛れに発動されたマオの邪力解放!大量の闇瘴気が流れ出し辺り一面が覆われていく


「はぁっはぁっ」 大量のエネルギーを消費し一時的に降下するマオだったが何かに掴まれる

「なっこれは…」そのなにかは黒い手であった


「ちっいい加減に…」 引き剥がそうと力を込めるマオだったが

「それはこちらの台詞だあああ!」 空よりかかる1本の刀

「秘技:邪気一閃からの!…秘技:邪気乱雑(じゃきらんざつ)うぅぅぅ」 エネルギーが切れ剥き出しとなったばかりのマオの肉体に深く刺さる一閃そして身を内から切り裂く斬撃


「あぁぅあああああ…正すげぁっ」 核を破壊され一瞬にしてマオは消滅した


「間に合った、か…」 江美はその場に座り込みため息をついた


その頃久は…

「江美が一撃、現在推定される内の最高戦力、敵の戦力未知数、賢明な判断だ…」 2人のイレギュラー、優と光の底を短時間で推測しきれなかった久は逃げることを選択した


「今やられるわけには行かない、今のままではまだなんの意味も果たせない、戦術的撤退、あくまで正しい、逃げではない…」 目的を持って行動に移したはずだった久の心境はそのうち自らを肯定する思考へとその心を変化させていった。

次回予告!

マオが死に帰らぬ提督に頭を抱える夜白正直、そんな彼女に語りかけるギガーンの心境は

そして逃げた久の元には悪意の魔の手が迫る

はたして残された者達の想いとは

次回 第2章 6.心の談論

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