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永伝(エデン)   作者: ちがタニ
永伝(エデン) 第2章 邪族戦争後期編
14/36

2.揺さぶられた心

前回のあらすじ

少女の正体がわかったものの次に直面した問題は着替えがないこと…任せろと意気込みつつも愚策を弄する堕悪、助け舟として出てきた少女は戦闘狂。

そして魔王軍から新たな刺客がユウトピアへと送り込まれた


「堕悪死はんどおおおお!」 堕悪の背から伸びる2本の黒い手、対する邪族は

「風属性能力:隼大旋風(はやぶさだいせんぷう)!」 風属性能力!?空気すらも激しく切り裂く風に周囲の安全を悟る


「ぎっ江美!あれを!」 堕悪はそれを黒い手で受けつつも江美に何かを命じた

「わ、わかった。闇属性能力:邪力譲渡(じゃりょくじょうと)」 江美の手から闇の瘴気が出ると黒い手に吸い込まれていった

「ぐっああああ」 それにより黒い手のサイズがアップ、堕悪は抑え込みに成功したが


「おい、集まってる人間共!こいつは邪族だ襲われたくなきゃさっさと逃げろ」 と堕悪が叫び

集まっていた者はちりじりになっていった


「そうか、これなら」

「ぐぁぁぁぁぁ」 黒い手に抑えられている邪族が叫び出す

「離せぇ!離せぇぇぇぇ」 手の中で風がゴウゴウと吹いているのを感じる

「江美!可能な限り邪力譲渡をやめるな、限界まで抑え込む。」 堕悪の指示で俺達はそのまま小一時間耐え続けた


しばらくして音が止むと俺は

「風属性能力は処置が難しい、警察を呼んだところで気体化等を使われるとコルセットなど意味が無い、邪族ということもあるしうちで預からないか?」一同困惑した、優を除いて


「いやいやいや、確かにそうかもしれないがこんなやつ家で飼うのは無理があるだろ狂犬よりも狂犬だぞ」

「そそうだぞ、それに今はエネルギー切れだからいいが回復後はどうやって拘束する気だ?」


「そこは俺に任せてくれれば大丈夫だ」 一同不安しかない様子だった、優を除いて

「?」


「ん…んんんっんーーー」 再びゴウゴウと風が吹き荒れ始めるも吹き抜けることはなくとどまるばかり、その上今度は口も封じられていた

「起きたか…」 目の前に男がいた黒いやつの奥で戦闘を観ていた青いやつか。

「んんっんんーんーんーんんん」 俺は口を開こうと頑張ったしかしこのワイヤーのようなもの!?今気づいたが部屋中に張り巡らされている、風が通らないのはこのせいか


「どうだ?特性流槍刃部屋の感想は」 対5大属性として鉄壁の硬さを持つ流槍刃を部屋中に張り巡らせることで風属性能力を完全に封じる作戦、もちろん中にいる俺も無傷とは行かないが

「まあ話し合おうじゃないか」

「んんーんんっんーんんー」 話し合う?こいつは何を言っているんだそもそもこの口で話すことなんて…

「はっはぁはぁ」 風が止んだ、使い切ってちょうど離したわけか


「話す事なんかない失せろ!」

「まあそう言うな…これから共に暮らす仲じゃないか」 暮らすだって?ますます何を言っているのか分からない

「なにを言って!」

「ところでお前、歳はいくつだ?見た目的には13、4といったところだろうが精神成長年齢は?」

ワナワナワナワナ

「お前どういうつもりだ!俺はがっっ」 さっきのワイヤーが俺を締め付ける

「抵抗は無駄だ、大人しくしている方が安全だぞ。」

「ぐっ…」

「よし、じゃあお前どこで産まれた?」

「…知るかよ」

「そうか」


堕悪によると、成熟後の記憶は一般常識と名前、肉体のスペックのみで自分の詳細な情報は持ち合わせていないという

「こいつも仮に堕悪と同じ人造人間だとすれば」 時期的に堕悪の開発者が新たに出した後継機と見るのが無難だろう


「なら親は?」 こいつを手懐けることが出来れば新しく邪族のことが知れるはず…ならばまずは会話を広げなければ


「知らない…」 煩わしい、俺はあのメガネに言われて来ただけなのに…こんな面倒なこと


「んーお前腹減ってるか?」

「なんだ…と」

「そうか、なら今食事を出す」 俺は手元の機器で堕悪に連絡を取り、料理を持って来るように言った

「ひゃひゃっ、ちょっとは気が利くじゃねえか」 俺は少しだけ、ほんの少しだけ目を輝かせたすると料理が来たようだ

「なんだこれは」

「料理だ、よく食えよ」 皿に盛られたのは緑色の何やらギザギザした線の入ったなにか…

「野菜サラダだ」

「きっ!こんなもん食えるかっ肉をよこせ肉を」

「好き嫌いは良くないな、肉もいいが野菜というものは自らの手でも育てられるという利点がある、近しいものほど愛情が湧くだろ」 まあこの野菜を育てた記憶は俺にはないのだが


「それがどうしたよ」

「お前はまだ右も左も分からない、ここままだとただ命令に従い本当に手に入れたいものすら得られないまま時を過ごすことになるんだぞ」

「は?」

「お前が喜んで食っている肉ひとつとってもただ命令に従っているだけとは気づかなかったか?」 邪族が動揺し出す

「俺は…」

「とりあえず食ってみろ」 俺は邪族の拘束を解いた

ムシャムシャムシャ


「美味い、肉とは違うが…美味いのは確かだ」

「それは良かったじゃあ本題だ、お前は何を得たい?」 ここまでは順調だ、後は答え次第となるが

____________________

あれは確か初めて魔王城に来た時の事だ…

「こちらが構成員の居住区ですゴレ」

「シャワーバストイレ完備、カーテンもあるラキュよ」

「だそうよ、みんな覚えてちょうだい」

「はい」 3人の傀儡は返事をした

「そして、こちらが…」 この時はまだ意志などなかったはずなのに何故か


「ねえ?あなた達わたしの声聞こえない?」

その声が強く行動を駆り立てた

「あれは?」 気がつくと俺は隅の部屋を指さしていた。正直が、少し驚いていたのは今まで忘れていたが

「そちらは、武器庫です。はるか昔の邪族戦争で使われていた光輝と呼ばれる兵器が置かれています、もっとも今では粗大ゴミ同然ですが」そうして俺達は去ったんだ

____________________


「あの、場所に戻って…確かめないと」 俺は立ち上がり

「青髪の…お願いしますここから出してください、行かなきゃならないところが俺にはあって」 そういう邪族に俺は

「わかった」 と一言いう

それを聞いた邪族が急いで出ようとすると

「待て、行く前に名前を聞いておきたい」

「俺は、ハヤブサです」

「そうか俺は久と言う、隼もしお前が行き場を失ったら必ず戻ってこい。俺はお前をこころよく迎え入れてやる」

「はい、ありがとうございます久さん!」

と言うと隼は颯爽と駆け出し、風のように消えた

「あとは…結果待ちだな」 俺はそうして部屋に戻ることにした


魔王城へ戻ってきた…今までなんとも思っていなかったそこは、実に禍々しく感じた

「ハヤブサ様、ご帰還です!」 そう邪族の掛け声がするとたちまち他の邪族達が集まり始めて

「ハヤブサ様おかえりなさいラキュ」

「どうぞこちらへ、おもてなししますゴレ」

と案内されたところは


〜魔王城・宴会場〜

____________________

「いいですか?貴方達はこれから仕事を終えて帰ってくるハヤブサにとびっきりの肉をお与えなさい」

____________________

という夜白の命令を聞いた邪族達は大慌てだった

「ささっ席はこちらですラキュ」

椅子に座ると目の前に並べられたのはただの肉、生肉だ以前なら喜んで食したろうが…

「なんだこれは、こんなの食えるか!」 そう言って隼は肉を皿ごと払い除けたそして

「こんなものより、お前ら野菜を食え!美味い野菜を!」 その言葉に邪族達は内心困惑していた

「え?いや確かに野菜も良いけど、聞いていたのと違うな」 乱暴さは変わっていないものの食の好みが違うのは違和感を覚えた


だが、そんなことでは留まるところを知らぬ

隼だった


「おい!野菜がないなら育てるぞ!」 と言って隼は立ち上がり

「風属性能力:竜巻刃(たつまきやいば)」床を掘り始めた

「!!!!!」 当然邪族達は急いで止めにかかった

「ハヤブサ様、何をなっしゃるんですか」

「野菜を育てるにはまず土を耕すんだ!」

「そんなこと分かっています、頼むから床は掘らないでぇぇぇ」 すると隼は何かを思い出したようにその場を去った、残された邪族達は

「うぅハヤブサ様やはりなにかがおかしいです、これはすぐに報告せねば」 と相談していた


タッタッタッタッタッタッタッ

隼は急いでいた、一刻も早くあの部屋に辿り着こうと

「はっ、ここだ!」 施錠を壊し中に入ると

錆びた装甲と車輪が目に入った、そして砲身の先になにか

「あっ、やっぱり聞こえてたのね」 ぼやけてはいるが白く輝く少女が座っていた、だが急いで近づくと少女の隊長は20cmにも満たず

とても人間とは思えなかった


「俺は…」 言葉に詰まる隼を見て彼女は

「良かった、ずっとひとりぼっちで退屈してたのよね話し相手ができて本当に嬉しいわ」

「あ、ありがとう俺は隼って言うんだ君は」

「私?私は駆動兵器:光輝 型式番号2618番だよ」それを聞いた隼はなんとも言えない気持ちになり


「そんな、女の子なのにそんなのおかしいよ」

「そうね、そうかもねwへへ」 そういうと彼女は俯き…

「でもね仕方ないの、私達はここを守るために作られたから全てはここが決めること…私達に自由はないの」


「なら、俺が連れ出してやる!」

「え?」

「俺も、ついこの間までここでただ命令に従い生きてきた…でもそんなのは良くないって気づかせてくれた人がいたんだ、だから俺はそれをお前にも味あわせてやる!」 それを聞いてか彼女がさっきより輝いて見えた

「ふふ、変わった誘い文句ね面白いじゃない」

そうして2人は脱出を決意した


〜魔王城・王の間〜

「急な申し出を受けて下さりありがとうございます」 邪族が面会を申し入れ

「いいのよ、さっさと本題を」 それを聞き入れたのもまた夜白であった

「実は、ハヤブサ様がご帰還されたのですが」

すると夜白の目が変わり


ドガーン!


その瞬間爆音が場内に鳴り響いた

「なにがあったの」 すぐさま確認を取る夜白

「そそれが…武器庫の光輝が突如動き出しまして」 光輝という単語に夜白が困惑すると

「その実はハヤブサ様が…」


主砲の威力で外壁が崩れ、落ちていく2人

「うわぁぁぁぁわ、私飛行機能はないのおおお」

「はっ風属性能力:翼風(つばさかぜ)

ハヤブサの腕に翼が生えるも

「ぐっ…重い」

「ちょっと女の子に対して重いは失礼でしょ!」 光輝の重量に耐え兼ね一時不安定だったものの風翼の重ねがけにより谷を越えた


「ひー全く、これ落としちゃダメなの?」

「ダメ!これも私の一部なんだから…核を原料として作った兵器で私はその精神体の」 後の方はよく聞こえなかったが聞かないことにした


「でさこれ何処まで行くつもり?」

「俺の恩人の久さんがいるところさ、そこまで頑張るから離れんなよ!」 念のためそういった隼であったが

「あら、かっこいいことも言えるのね」 そういうと 光輝の精神体 が距離を縮める

「なっくっつきすぎだ離れろ」

「矛盾してない?」

そうして俺達はカセイ国の空を駆けたのだった

次回予告!

無事久の元に辿り着いた隼と光輝であったが、自制できない光輝には別の器が必要だと進言する堕悪、その一方で隼の離反を知った夜白は連れ戻そうとある策を講じることに

次回 第2章 3.夢魔見参!

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