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永伝(エデン)   作者: ちがタニ
永伝(エデン) {改訂版}
1/36

1.喪失の連鎖

西暦2XXX年 とある銀河のひとつ 「神星系(しんせいけい)」 に位置する

「カセイ0-1星」 ここでは長きに渡り「光属性」と「邪属性」

相反する存在による血で血を洗う戦争が続いていた


俺の名前は伝永久(つたながひさし)「チキュウ星」で暮らす「カセイ人」だ

属性戦争は光属性優勢でまもなく終戦というとこまで来ていたのだが、突如「闇属性」の者達が邪属性に変異し物量差が覆され始め再熱したため

俺は家族共々チキュウに避難したわけだったのだが…


「イテテ…ったくトイレなんか知るか、カセイ人は味覚もあるし娯楽として食事することもあるけど全部「核」に一括吸収されるから排泄なんてないのにな」と、愚痴をこぼすがチキュウ移民のカセイ人の数を考えると妥当である


「俺は家が裕福…というか実質大統領みたいなものだしなんの問題もなかったけど…」 別れを告げざるを得なかった友人達に対し感情を零す

「あいつら、元気かな。」 と感傷に浸っていると


「しまった、もうこんな時間だ!」

いくらカセイで身分が高かろうと、こっちでは関係のないことだ毎日建設現場で汗水流す日々

始業時間まで残り5分 現場までの距離は5km

「まーあカセイ人の身体能力にかかればこのくらい」

次の瞬間全速力で走り出す


「よし、見えてきたぞ」 もう目と鼻の先にあることに安堵していると何やら軋む音が聞こえる

ふと顔を上げるとタワークレーンが根元から折れ、自身に向かって真正面から倒れてくるではないか


「まずい…始業時間ギリギリに着くように走ったせいでもう体力が…カセイ人は再生能力があるから多少の大怪我なら大丈夫だが核を潰されれば塵となって消え骨すら残らないっ…このままだと本当に死ぬ!」


絶対絶命の状況に追い込まれるが

「危ねえっ!」 !?何者かに押され間一髪難を逃れた

「大丈夫か、久」 「その声は」

そこに居たのはカセイにいた時の友人の1人毒闇太郎(どくやみたろう)」「太郎、お前もチキュウに来ていたのか!」 偶然の再会に息を飲み驚きと感動が混ざり合う感情が…


「じゃかあしい」 怒鳴られた

「てめぇ、俺を下の名で呼ぶなとあれほど言ってたろうが」 そうだった、こいつは

「すまんすまん、長いこと会ってなかったから」 なんとか宥めようとしていると


「ちっ外れたか」 眼上から声がする見上げると俺は再び息を飲んだ

そこに居たのは全身を黒い渦で包んだなにかだった

渦を黒くしているのは闇属性が体から発する特有の瘴気だろうか、とても禍々しい

「核を潰し、肉体を悠に奪える良い方法だと思ったのだがな、こうなれば自ら触れるしかあるまい次は外さんぞ伝永久!」 腕のような渦が俺に向かってくる


「久!」 毒闇が首の後ろに持つ鎖のような触手で俺を守ろうとするが、払いのけられ渦の攻撃が俺の頭をかすめる

「ぐあぁぁ」 痛い、頭部は体の中でも他の部位に比べて再生が遅く意志を担うため欠損すると体を動かせなくなる

「ゔぐ、お前はなんなんだ」 痛みを堪え謎の存在に問いかける


「お前?私か、私は堕悪(ダーク)

「名称のみ?やはり「邪族」か」 邪族は俺たちの種族、「カセイ族」とは違い苗字名前とは別に名称を名乗る風習がある


「まさかチキュウまで来るなんて」 チキュウ星とカセイ星は貿易が盛んでないため惑星間転移装置(ワープゲート)の設置は行われておらず双方に移動するためには専用の機械が必要なのである

「邪・闇属性の移民は厳重に管理されているはず、何故…」 本来いるはずのない存在に立ち尽くす


「おい久、てめぇは親父さんとこ行ってこのこと伝えてこい!一緒に来てんだろ」 声を聞いて走り出すがすぐに立ち止まる

「毒闇…お前はどうするんだ」

「俺はこいつの相手をする、なにさっきのは本気じゃない」 そういうと脊髄からさらに2本の触手を出す


「なら問題ないな、ここは任せる」 そう告げると再びかけ出す

「なに、逃がすとでも?」 堕悪の追撃が襲ってくるが毒闇のおかげで無事家に辿り着いた


「父さん!」

「どうした、そんなに慌ててその傷はどうした?」

俺の父親伝永雄司(つたながゆうじ)、今日は非番で家にいる カセイでは星の開発に尽力していた、俺の尊敬する御人だ

俺は父の顔を見て落ち着き事情を説明した


「なるほどな、なら早急にカセイに戻ろう」 「カセイに?」

「お前の話を聞く限り、その邪族はチキュウの戦力だけでは対抗できん安全なカセイで体制を整えろ」

「体制?何を言っているのか分からない、うちは軍人でもなんでもないただの大企業のはずだ、それに…」


言われたことが分からず仕切りに聞き返すが

「言いたいことはわかるが今は時間が無い、ついてこい」 そう言われて地下の部屋に向かう


「お前はこれで先に戻っていろ」 おもむろに目をやる

「これは惑星間転移装置!父さん、いつの間にこんなものを」

「俺はまだやることが残っている、いいから早く行け」

「ダメだ父さ……」 説得を試みるも言葉が出なかった

頭部を損壊した状態で全力疾走したため俺の体は既に限界だった、意識が朦朧として倒れる


目が覚めた時、そこは既にチキュウではなかった

「ここは…」 辺りを見回し、まず目に触れたのは

「古民家と…マンション?」 そして数棟のビルがあった

ただならぬ雰囲気を醸し出しているような建造物達を隅に置き ひとまず今自信が抱いている最も強い感情を言葉に出す 「俺は…誰だ」


そうしているのもつかの間、ビルから人がこちらに向かって来る、軍人のような格好をしているが

(情報を得る必要があるな…)

そうして自らも動き出そうとした時、付近になにかの気配を感じ歩みを止める、すると向かってくる人物がなにかに気づいたようで全速力で走り出しつつ大声で叫んでいる


「つた……ま」「伝ひさ……ま」「伝永久様!」 その声を聞き自分の名前が伝永久である記憶を取り戻す。と同時に感じていた気配が動き出す、名を呼んでいた者をなぎ倒しこちらへ一直線に向かってくる


なんとか寸前で回避し倒された人物に目をやるも、見るに堪えない状態だった、肉体は核ごと両断されておりたちまち塵と化した。おぞましい光景をただ眺めていると


「フフフ、こんなところにいたか、随分探したぞ伝永久」

「誰……だ」 気配の正体はカン高い声をあげる謎の男だった、だがその背丈は3m以上だ


男のルックスは割と細身で燕尾服を着ており 顔は銅鑼を二枚重ねにしたような被り物をしており、手は骨のように白く指先が鋭い鉤爪のようである

顔の中心部にはメガネが据え付けてある

「それ、見えてないだろ」


「フフフ、やっと会えたな待ちわびていたぞ!伝永雄司亡き今、息子の貴様さえ消せばこの世は完全に闇属性の手に堕ちワタシ達も住みやすくなるのだよ〜」

「伝永雄司亡き今…」 その言葉を聞き壮絶な怒りが込み上げてきた


「フフフ、申し遅れたな、ワタシこそは「重力族」支配階級第3位銅羅夜寄(どらやき)伯爵、貴様の命頂戴する」

すると右腕が刃となり燕尾も鋭利な形状へ変化する「そうか、なら丁度良い」 失った記憶を取り戻すきっかけになるかもしれないと期待する


「フ、丸腰で何が出来る」

言われてみればそうだが、カセイ人であれば核の色に基づいた属性の力、「属性能力」が使える。


そうして冷静に武器を念じる…

「これは。」

手の皮膚が開き核から捻出された「核エネルギー」が槍の形を成す」

「フフ、これが噂に聞く伝永家伝来の固有能力流槍(りゅうそう)か」


男の一言一句から記憶を蘇らせられ期待をさらに昂らせる

「やはりお前はちょうどいい、全力でかかってこい」

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