バイト入門 1
仕事を選択するとき 誰でも一度は軽作業をやったことがあると言う人も多いかと思ういますが わたしはほとんど軽作業しかやったことがないので その時の体験談や仕事の内容などを書き綴っていきたいです 知りたがりの人も参考にしたい方もぜひ
今から十二、三年前に京浜東北線の車両清掃をしたことがある 軽作業でありつつ、物珍しさもあって面接に行った その当時は面接も即決というのが多く 受からせていただいたので やってみることにした
制服、カートに入った掃除用具を手にして単発清掃に入る 京浜東北線は十車両 一番はじの車両は社員がやることになっているので、だいたい新人は五、六車両目からはいる 単発清掃の時間は十五分 その時間内で一車両を掃除しなくてはならない まずはかぎ棒と言われるエル字のプラスドライバーを曲げたもので座席に詰まった ガムや飴のゴミをかいていくその次に自在ぼうきで車両を掃く 文才があまりないので端的にいうと同じ場所を二度掃くということはしない自在ぼうきいっぱいにさー、さー、と掃いていく はいたゴミは自在ぼうきでかき集めながら一つにする
そのあと窓を拭く その窓を拭く雑巾は、あっちこっち雑巾と呼ばれ 三枚くらい重なった布の中心が縫われ、何回も汚れた箇所を折り畳んで綺麗な布から使えるようになっている その雑巾で頭皮の汚れを中心に拭きあげる 手すりもこの段階で拭く
作業が前後するかもしれないが 荷台の上ははたきで拭き 新聞紙や漫画雑誌などが置いてあったら回収する
最後にモップ拭き なかなかの重労働だ でもこの作業を六十代の年配の方や 元JRの社員はんなんかもパートとして働いている
そのJRの元社員さんと話しをする機会があったが その方は車輪を削り、調整をしていく技術者の人だった 定年後が車両清掃だなんて、と思ったがその人も言っていた老人イジメだと 一番偉そうにしていた人は南浦和の駅から車両を浦和電車区、車庫兼清掃場所に引っ張る仕事もしていた 通りがかりわたしたちパートに手などを振っている ご機嫌そうなおじさんだった
単発掃は午前中4、5本かそれ以上あったか その後昼食を摂る 聞いた話だが昔は昼食時も担当車両ごとに座る場所も決まっていたらしい
午後から全般掃に入る 担当車両の総仕上げだ 書きたいのだがあまりこの作業は記憶にないのだ ただ大変だったのが、吊り革を両手を挙げて拭いていくこと これがきつかった あとスポンジで座席の脇の板を半ば削るように磨いたのを覚えている
その作業を終え全般掃に入る 一車両目から五車両目 六車両目から十車両目に分かれて清掃する 細部にまで話したいがもう記憶にない部分もある
まずバケツに入ったワックスを落とす剥離剤を撒く 次の人はかっぱぎというもので剥離剤を平す その後ポリッシャーで磨き 汚水を吸い取る この作業を一人一人分担してやる そのあとにワックス掛け 細部まで書きたかったが記憶に残っていないのが惜しい だいたいわかっていただけるだろうか
以上のことを朝九時から十六時までやって作業は終わる わたしはその当時三十代で行っていたがほとんどこれを五十代六十代の方達で作業している 車両の外側は主に男性がやり この他中吊りの広告を取り替える作業の人たちも入ることがある 定期的にドアの20センチ四方のシールの張り替えも 単発掃除の間に張り替えることもあった