打ち上げ阻止した打ち上げ花火
夏本番という時期に入ろうとしているのだが、夜の空を見上げても打ち上げ花火はあがっていない。今回は様々な場所で花火大会や夏祭りが中止となり、そういったイベントを楽しみにしている層からは悲しい声が流れている。
だからと言って、彼らがほかのイベントに対して中止や自粛を呼びかけるような騒動も起きているのを放置はできない。
「どう対応すればいいのか」
とあるバーチャル配信者は、こうした動向に関してはあまり注視することはなかった。しかし、今回は状況が状況である。これを放置すれば大規模な炎上が打ち上げ花火のごとく……となりかねない。
この人物が懸念している大規模炎上とは、日本が完全孤立をしかねないような事案に対してである。SNS上での炎上が様々な懸念事項となっている現在、些細なことでも事件となってしまうのだ。
これを止めるため、様々な方面から情報を集め、どのように止めるか考えることにするが……。
「書き方によっては、また繰り返しになってしまう」
結局はメッセージの伝え方で全ては変わる。攻撃的や感情的に走れば更に別ジャンルで炎上するのは確実だろう。平和的に訴えたとしても、逆にまとめサイトなどで事実をゆがめられるのは避けられない。
それでも警察などに通報せず、穏便に済ませようと考えているのには別の理由もあった。下手にマスコミがこの話題を報道すれば、確実に炎上をあおるのは確実だ、と。
今の状況でネガティブな話題を拡散すれば日本は完全に世界から孤立することを……あるモニターを見て把握している。
「どうすれば、阻止できる?」
適当な発言をすれば炎上は不可避、だからと言って真面目に書けば理解されずにスルーされ、ネタに走ればまとめサイトがパクリ発言と炎上させるだろう。
「情報発信をしない選択もあるが、それでは無関心や放置とも認識される」
この人物が情報発信をしない選択は取らない。放置すれば、他の配信者がマスコミに報道されるような迷惑行為に走って情報をご発信するからだ。それを避けるためにも、自分が発信しなければいけないのである。
それから彼女は様々なサイトの情報を集めて一時間後、午後九時頃に情報を発信した。その内容は予想外の手段と言わざるを得ない。
【打ち上げ阻止した打ち上げ花火】
それはWEB小説という形でメッセージを伝え、SNS炎上を広げることが愚かであることを拡散する……だった。
「このメッセージをきっかけに美しくもないような、炎上を広げるだけの花火を打ち上げるユーザーが減ることを……」
その動画配信者の願いがかなうかどうかは、まだ定かではない。