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3月18日

 悪夢無し。

 トイレとシャワーを済ませ、ロウヒへ繋ぐ。


『リゾットだ、食えるか?』

「うん」


『妖精にはクッキーだ』


 食事を終えほわほわしていると、車のライトに気が付いた。

 なんだ、誰だ。


「ちょっと行ってくる、またね」

『おう』


 国連の兵士に基地の兵士らしき何者か。

 そしてトール。


 やっと、終わったんだろうか。


『制御具の確認に来たんだが、顔色が悪いな』

「痛いし悪夢を見ますので、ソファーで寝てます」


『食事はどうしてる』

「昨日とかは、1食、起きてられないので」


『コチラの医師に診せるが、構わんか』

「どうぞ」


 どうやら国連の医師らしいのが腕や肘を確認、眼鏡でオーラも確認しているらしい。


 まだか、まだ解決しないのか。


 いつまで、こうしてれば良いんだろうか。


『痛み止めだ、容量を守れよ』

「はい」


 処方箋。

 コレは、行くべきか。


 車列を見送り、少し悩む。


 バス停までかなりの距離が有る。


 リタには言いたく無いし、基地に何か言うのもアレだし。


 誰に言えば良いんだコレ。


 マティアスに運送屋の連絡先とか、緊急連絡先を聞いておけば良かった。




 諦めて珈琲を淹れて飲んでいると、再びドアがノックされた。


 タピオ、大家さんだ。


『なんて酷い顔なんだ、アンテロから様子を見に行ってくれないか聞かれたんだが、どうしたんだい?マティアスは?レーヴィはどうした』

「皆、お仕事中です。コレは転けて、仕事でミスして謹慎中なんです」


『あぁ、そうか、薬は?』

「処方箋なら、さっき貰いました」


『薬をくれれば良いモノを、車を出してあげるから取りに行こう。動けるかい?』

「いや、かなり楽になってるので、大丈夫です、ありがとうございます」


『黒い妖精と治療師の話し、どうせ詐欺師の疑いを掛けられたんだろう?』

「いや、仕事のミスです」


『他の町からの噂だ。もうリタの耳にも入ってる、ココは小さい街だからね、良い噂も悪い噂も良く周る。それでも、誰も君を詐欺師だとは思って無い。寧ろ、貴族階級の遊びに君が巻き込まれたと思ってる。だから大丈夫、巻き込まない様にしなくても、君はまだ子供なんだから大人に任せなさい』


「すみません、ありがとうございます」


 危ない、人見知りが発動して助かった。

 危うく決壊する所だった。




 そのままコートを着て、タピオの車に乗り込んだ。


 あれから、もう何も聞かないで薬局まで連れて行ってくれて。

 お金も出してくれて、湿布も買ってくれた。


 お金はマティアスから倍にして返して貰うからと、ピザとハンバーガーも買ってくれて。

 内緒だとお菓子も買ってくれた。


 危惧していた巡回兵に遭遇するも、一礼して見送るだけ。


 そして無事に、家に辿り着いた。


『はい、ウチの無線の周波数と電話番号。どっちも使い方は分かる?』

「はい、ありがとうございました」


 車を見送り、薪を足してロウヒへ空間を繋いだ。


『良い匂いがするな』

「ハンバーガー買ってもろた、ピザも」


 まだお昼前なのに、凄いお腹が空いてしまった。

 さっきまでの報告をしながら、両方をロウヒと共に平らげた。


『ふぅ、食欲が戻ったか』

「みたい」


『では、アイスはいけるか』

「勿論」


 でも先ずは薬が先だと痛み止めを飲まされ、ご褒美にとアイスを貰った。


 もう、子供扱いで良いや、凄い助かるもの。


『ふふふ、暖かい珈琲がまた合うんだ』

「なんか、ブラックが美味いのよね。前はカフェオレだったのにさ」


『体がココに合わせたのだろうな、その体にとってココは魔素が少ない。御使いらしい体質なのだろう』

「元々からココなら、平気だったんだろうなぁ」


『そうだな、そうしたら、どうなっていたんだろうな』

「秒で森で凍死だな」


『ふふ、転移先が違うかも知れんよ』

「ならウツヨキかね、そこでシーリーに秒でバレて。運送屋を頼んで貰って、トールかロウヒか。ロウヒか」


 それだったら、マティアスもレーヴィもリタも巻き込まなかっただろう。

 あの魔獣に襲われた兵士は死んで、それすら知らないままに魔渦を解消させる為に動く。

 ミアには会った、きっとイデリーナにも会っていそう。


 でも、マティアス達には会わないままで、平穏に過ごさせる事が出来た。


『ふふふ、どうせマティアス達に会わないで済んだとでも思っているんだろうが。運命とはそう簡単では無いんだよ、どこかでどうしても巡り会うモノなんだ』

「知ってたら、やり直せたら、2週目なら回避出来る筈」


『大きな流れを変えるには、大きな代償が必要になる。知っているからと云って全てが上手く行くのなら、魔女は神になり放題だ』

「病弱なら、特に難しいんだろうな」


『そうだな、こんな膜で動ける様になっても、好きに動けるとは限らんよ』

「膜を治す前なら、毒の耐性が得られたかもって言われた」


『苦しいぞ、今より』

「魔道具請うだろうなぁ」


『ホイホイ与えて、甘やかしてしまうかも知れん』

「もっと甘やかされるのか」


『そうだな、もっとだろうな』

「もう充分なのに」


『今でも、まだまだ甘やかせるぞ』

「やめて、幼児返りしちゃう」


『まだ生後1ヶ月か、随分成長の早い子だ』

「まだ1ヶ月かぁ、立って歩いて喋ってんもんな」


『そうそう、凄い赤ちゃんだよ』

「この子も言ってた、褒めて伸ばすの上手いよね」


『妖精は特に煽てるのが上手いんだ』


 妖精達は、日向でクマのぬいぐるみをベッドにお昼寝中。


 そう言えば眠く無いのに、頭がボーっとするな。

 薬か、良くないなコレ。


「この薬合わないわ、ボーっとする」

『寝てしまえ、寝てしまうのが1番だ』


「しょうがないよな、赤ちゃんなんだもんな」


 其々に妖精をそっと抱え、空間を閉じた。


 ベッドにクマと妖精を置き、歯磨き。


 そしてベッドで横になる。




『ロウヒ』『トール』『タピオ』

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